日清紡ホールディングス (株) 2010年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2010年
3月期
2009年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 242,409 286,166 (15.3) -
営業利益 3,569 407 776.9 -
経常利益 9,548 7,150 33.5 -
当期純利益 1,896 (1,285) - -
ブレーキ製品事業
売上高 41,350 49,606 (16.6) -国内自動車販売はエコカー減税や補助金の効果などにより下半期にかけて前年同期の水準まで回復したものの、輸出は依然として低水準であったため国内自動車生産が減少した影響を受け、減収。
-海外事業は、市場が急回復した中国の子会社を除き、減収となった。
営業利益 3,879 3,467 11.9 -
エレクトロニクス製品事業
売上高 51,709 60,549 (14.6) -
営業利益 (2,654) (3,918) - -
化学品事業
売上高 14,569 16,279 (10.5) -
営業利益 (375) (1,901) - -

事業再編

-日清紡ブレーキと日清紡ブレーキ販売の2社が2010年4月1日で合併すると発表した。2009年4月に持ち株会社に移行したことに伴い、日清紡ブレーキは新設分割会社として設立、ブレーキ販売はその完全子会社で、国内営業部門としての機能を担ってきた。製販合併によって、ブレーキ事業で一段と機動的な業務遂行や、迅速な意思決定を進める。(2009年10月31日付日刊自動車新聞より)

-事業の再構築を目的とした子会社の解散と合併を発表した。このうち、北米ブレーキ事業では、現地の量産工場であるNisshinbo Automotive Manufacturing Inc.(NAMI)に事業を集約。営業、開発機能を持つNisshinbo Automotive Corp.(NAC)は業務をNAMIに移管し解散する。NACは2009年4月から生産を休止し、NAMIに生産体制を集約しており、今回の集約で一社体制に再構築する。NACの解散は2009年12月31日の予定。国内では日清紡メカトロニクスと日本高分子が2010年3月1日付けで合併する予定で、日清紡メカトロニクスを吸収合併存続会社にして日本高分子を解散する。(2009年11月28日付日刊自動車新聞より)

合弁事業

-日本合弁会社の拡大に関し協業先のContinentalと合意したと発表した。2010年 3月をめどに同社との合弁会社Continental Automotive Corporation(CAC)にContinentalグループのエアバッグ・コントロールユニット、自動車センサーなど3分野を組み入れる。また同グループの中国工場や韓国工場もCACに集約する。これにより、CACをシステムサプライヤーとして機能させるとともに、グローバル供給が可能な体制を構築する。事業集約に伴い、CACの売上規模は50%増加する。(12月18日付日刊自動車新聞より)

>>>次年度業績予想(売上、営業利益等)

2011年3月期業績予想

(単位:百万円)
  2011年3月期
(計画)
2010年3月期
(実績)
増減率
(%)
売上高 256,000 242,409 5.6
-ブレーキ 40,500 41,350 (2.1)
-エレクトロニクス 54,500 51,709 5.4
-化学品 14,500 14,569 (0.5)
営業利益 13,500 3,569 278.3
経常利益 19,000 9,548 99.0
当期純利益 11,000 1,896 480.2
設備投資 16,000 13,027 22.8
-ブレーキ 2,400 1,031 132.8
-エレクトロニクス 2,700 N.A. -
-化学品 300 945 68.3

 

経営3ヵ年計画「Challenge 2012」

(単位:百万円)
  2013年3月期
(計画)
2012年3月期
(計画)
2011年3月期
(計画)
2010年3月期
(実績)
売上高 285,000 268,000 256,000 242,409
-ブレーキ 46,000 43,500 40,500 41,350
-エレクトロニクス 64,000 57,000 54,500 51,709
-化学品 17,500 16,000 14,500 14,569

-2013年3月期(10-12年度)までを実行計画とする経営3カ年計画「Challenge 2012」を策定したと発表した。経営資源を環境・エネルギー領域に集中的に投下し、太陽電池や燃料電池、電気二重層キャパシタ、カルボジライト、カーボン触媒などの新規事業を育成・強化する。ブレーキ事業についてはグローバル戦略により事業拡大を図る。2013年3月期の連結業績目標は売上高が2010年3月期見通しに対し470億円増の2850億円、営業利益が同150億円増の180億円、当期純利益が同140億円増の150億円を見込む。(2010年3月29日付日刊自動車新聞より)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2010年3月期 2009年3月期 2009年3月期
全社 8,817 11,932 11,932
ブレーキ製品 2,915 3,755 3,755
エレクトロニクス製品 4,538 6,095 6,095
化学品 455 980 1,209

研究開発拠点

ブレーキ製品
開発センター、実験センター 群馬県邑楽郡
化学品
中央研究所 千葉県千葉市

研究開発活動

ブレーキ製品
<摩擦材>
-重要保安部品としての高い安全性の確保、音・振動などの顧客への対応、地球環境を配慮した製品開発に重点をおいて活動。

-海外子会社への開発支援体制の強化や、開発・製造・生産技術の連携による原価低減活動を促進し、競争力強化を図っている。

<ブレーキ>
-グローバルビジネスの受注・拡大のため、海外子会社への開発支援体制を強化するとともに、海外技術提携先との協業を推進。

-環境対応技術の実用化や、将来を見据えた新技術の実用化にも注力。

-部品の標準化、開発業務の効率化を進め、開発段階からの原価低減により競争力強化を図っている。

エレクトロニクス製品
-LCDドライバーICでは車載用途に品質を高めた製品開発を軸にラインナップを充実させている。

-デジタル電源制御用ICの開発が完了し、応用範囲を広げる製品開発を行っている。

-基盤技術である半導体プロセス分野では、BCD(Bipolar-CMOS-DMOS)プロセスを生産協業先であるユー・エム・シー・ジャパン(株)に移植し、パワーデバイスや車載用ICの開発を推進。

化学品
<燃料電池部門>
-カーボンの特長を生かした燃料電池セパレータの高性能化の研究開発に取り組んでいる。

-燃料電池の触媒として用いられる白金の代替として研究開発を進める「カーボンアロイ触媒」が、白金代替触媒として世界最高レベルの発電性能を持つことを確認したと発表した。白金使用時に比べ、触媒のコストは10分の1程度に引き下げられるとする。また、白金触媒で問題とされる他の部材の腐食が発生しないため、電池寿命を長くできる。今後は、発電性能の向上に向け研究開発を続けながら、燃料電池車の量産開始時期に対応する方針。発電性能は、開放電圧が0.98ボルト、0.2アンペア/平方センチメートル時の電圧は0.67ボルト。出力密度は、525ミリワット/平方センチメートル。(2009年4月2日付日刊自動車新聞より)

<キャパシタ部門>
-電気二重層キャパシタの耐久性向上を進め、展開中。

主な技術導入契約

(2010年3月31日現在)

会社名
(国名)
内容等 締結年月
(有効期間)
TMD Friction Holding GmbH
(ドイツ)
ブレーキライニング、ディスクパッドの製造技術及び原料配合に関するノウハウの提供並びに製品の販売に対する援助(クロスライセンス契約) 1991年11月から10年間
(2001年11月以降1年毎自動延長)
TRW Automotive Inc.
(英国)
乗用車用ドラムブレーキアッセンブリィ、ブレーキバルブ及びその部品の設計並びに製造技術に関するノウハウの提供並びに製品の販売に対する援助(クロスライセンス契約) 2009年10月 - 2012年10月
Meritor Heavy Vehicle Braking Systems (UK) Limited.
(英国)
ディスクブレーキアッセンブリィ、ドラムブレーキアッセンブリィ及びその部品の設計並びに製造技術に関するノウハウの提供 2003年11月 - 2008年11月
(2008年11月以降1年毎自動延長)

主な技術供与契約

(2010年3月31日現在)

会社名
(国名)
内容等 締結年月
(有効期間)
Rane Brake Linings Limited
(インド)
ブレーキライニング、ディスクパッド、クラッチフェーシングの製造技術、原料配合及び製造設備技術情報に関するノウハウの提供 2005年1月 - 5年間
TMD Friction Holding GmbH
(ドイツ)
ブレーキライニング、ディスクパッドの製造技術及び原料配合に関するノウハウの提供並びに製品の販売に対する援助(クロスライセンス契約) 1991年11月から10年間
(2001年11月以降1年毎自動延長)
亨通機械股份有限公司
[Heng Tong Auto Parts Inc.]
(台湾)
ブレーキライニング、ディスクパッドの製造技術、原料配合及び製造設備技術情報に関するノウハウの提供提携製品の工場建設の指導 2005年12月 - 5年間
亨通機械股份有限公司
[Heng Tong Auto Parts Inc.]
(台湾)
ディスクブレーキ及びその部品の設計並びに製造技術に関するノウハウの提携 2007年7月 - 2010年6月
TRW Automotive Inc.
(英国)
乗用車用ドラムブレーキアッセンブリィ、ブレーキバルブ及びその部品の設計ならびに製造技術に関するノウハウの提供並びに製品の販売に対する援助(クロスライセンス契約) 2009年10月 - 2012年10月

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2010年3月期 2009年3月期 2008年3月期
全社 13,027 16,872 24,279
ブレーキ製品 1,031 N.A. 5,221
エレクトロニクス製品 N.A. 2,843 4,847
化学品 945 1,380 N.A.

ブレーキ製品
-連結子会社日清紡ブレーキ(株)でグローバル情報管理システムの構築等のシステム・IT化投資を実施。

化学品
-千葉事業所の燃料電池セパレータ製造用工場建物等の建設に設備投資を実施。

設備の新設計画(自動車関連)

(2010年3月31日現在)

会社名
事業所名
(所在地)
設備の内容 投資予定
総額
(百万円)
着手 完了
予定
完成後の
増加能力
新日本無線(株)
川越事業所
(埼玉県ふじみ野市)
電子部品製造設備 1,020 2010年
3月
2011年
3月
-