日信工業 (株) 2012年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
2012年
3月期
2011年
3月期
増減率 (%) 要因
売上高 159,098 164,733 (3.4) -震災およびタイの洪水影響による完成車メーカー各社の減産影響を受けた。
営業利益 9,474 13,058 (27.4) -
経常利益 8,717 12,413 (29.8) -
当期純利益 4,278 6,638 (35.6) -

海外事業

-海外生産拠点における部材の現地調達を強化する。2013年度末をターゲットに、現地化が進んでいる米国、中国、ASEANで現状に比べ10ポイント、今後事業規模を拡大していく南米やインドでは同20ポイント現地調達率の向上を目指す。現調率の高い二輪車用製品のノウハウを四輪車部門に水平展開するほか、内製化部品の品目を増やす。現地企業の調査活動をこれまで以上に強化し、目標達成につなげる。ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)などパワートレーンの変化への対応と同時に、マーケットが拡大する新興国市場向け低価格車などへの対応が急務となっているなかで競争力の強化を図る。(2011年6月4日付日刊自動車新聞より)

<英国>
-同社とショーワは、英国合弁企業「ニッシン・ショーワUK(NSUK)」を2013年末をめどに解消すると発表した。欧州域内での販売低迷と、現行モデル向け製品生産が12年末で終了することを受けたもの。(2012年2月2日付日刊自動車新聞より)

<アジア>
-タイやインドネシア、インドなどアジアの生産拠点での部材の現地調達率を一層引き上げる。二輪用部品のほか四輪用部品でも現調率を高め価格競争力のさらなる向上を狙う。ホンダ以外の日系や欧米メーカーの現地生産拠点への供給拡大を目指し主要部品の提案活動に注力する一方で、現地での他品種部品の生産要請にも対応、品質の高さのほか、現調率を向上することでコスト面での優位性をさらに高める考えだ。(2011年9月8日付日刊自動車新聞より)

合弁事業

-オーストリアのアルカーグループとインドネシアで四輪車用・二輪車用キャストホイールを製造する合弁会社を設立すると発表した。同社のインドネシア子会社「PT・ケムコ・ハラパン・ヌサンタラ」とアルカーのインドネシア子会社「PT・アルカー・ホイールズ・インドネシア」が「PT・アルカー・ケムコ・インドネシア」を設立、カラワン県にあるカラワン工業団地に工場を建設する。資本金は2千万米ドル(約16億円)で、アルカーグループが51%、日信グループが49%出資する。(2012年2月2日付日刊自動車新聞より)

受注

-富士重工の新型5ドアスポーツワゴン「Subaru Impreza Sport」および4ドアスポーティセダン「Subaru Impreza G4」向けに、リアドラムインブレーキアッシーを受注し、量産を開始したと発表。生産は、長野県東御市の東部工場で行われる。このインプレッサシリーズは2011年12月より発売開始の予定で、国内販売予定数は2,200台/月。(2011年12月2日付プレスリリースより)

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

2013年3月期の業績予想

(単位:百万円)
2013年3月期予想 2012年3月期実績 増減率 (%)
売上高 181,000 159,098 13.8
営業利益 14,500 9,474 53.1
経常利益 16,000 8,717 83.5
当期純利益 8,700 4,278 103.4

2014年3月期の見通し

-2013年度(13年4月~14年3月)の売上高目標を過去最高の2050億円に設定、07年度実績2025億円からの更新を目指す。国内や北米拠点では新開発品をはじめとした高付加価値品を中心に、アジアや南米では新興市場向けの普及・廉価品を軸に製造、現地需要に柔軟に対応することで拡販を促進する。これに合わせて、各拠点で積極的に設備投資を実施、3年間で総額300億円規模を投入し、増産に備える。製品別戦略では、走行抵抗を低減しながら軽量化を図る四輪向けブレーキなどの新製品開発のほか、新興市場の低価格車向けに軽量・廉価製品の普及拡大を目指す。四輪向けのアルミ軽量ナックルや低引き摺りキャリパーのほか、回生ブレーキといったハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)向けの高付加価値製品を国内と北米拠点を中心に製造。また、アジアやブラジルでは二輪車向けを含めた廉価品を増産する。拠点ごとの差別化や増産に向けて設備投資も積極化する。投資額は13年度までの3年間で総額300億円を計画、その初年度となる今年度は国内19億円、北米34億円、アジア51億円など設備更新を含めて110億円を投入する。製造拠点やその近隣地向け生産を明確化し、ニーズに対応し拡販を目指す。(2011年8月16日付日刊自動車新聞より)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
2012年3月期 2011年3月期 2010年3月期
全社 6,283 6,165 5,828

研究開発体制

-研究開発施設:栃木開発センター(栃木県那須烏山市)、長野開発センター(長野県東御市)

 

日本

-二輪・四輪車を主に、基本ブレーキシステム、メカトロ系自動制御システムおよびアルミ製品を軸として、軽量化、燃費向上、安全・快適性向上に貢献する商品開発、材料開発、製造工法開発等をグローバル視野で推進。

-CO2排出量低減に貢献できる商品開発、材料開発、製造工法開発等の開発を推進。

北米

-主に北米地域のニーズに合わせた基本ブレーキシステム、メカトロ系自動制御システムおよびアルミ製品の開発を実施。

主な研究開発成果 (四輪車用部品)

メカトロ系自動制御システム開発
-安心、安全に寄与する新規開発の小型、軽量VSA(横滑り防止装置)が1機種に採用。このVSAには、アイドリングストップ時の車輌保持のためにCAS(クリープエイドシステム)機能を新たに付加。
-Yaw・Gセンサーを本体に内蔵してシステムのトータルコストを低減させた新VSAを開発し、ホンダ「Civic」より量産開始。欧州仕様には、間接式タイヤ空気圧検知機能を新たに付加。
-ホンダ「Civic Hybrid」に従来製品よりコストダウンと商品性を向上させた新回生協調ブレーキシステムが搭載。

基本ブレーキ開発
-低燃費化の要望に応えるため、ブレーキシステムの引き摺りトルク低減とプランジャー型マスタシリンダーなどの小型軽量タイプブレーキ製品の適用拡大。並びに各製品のコスト低減、現地生産化を推進。
-低引き摺りタイプキャリパーは、4機種で採用。海外拠点を含めて量産を開始。北米生産機種では、新規構造キャリパー1機種の生産を開始。
-プランジャー型マスターシリンダーでは、日本に続き北米で2機種、中国で1機種の量産を開始。
-新規開発のリアパーキングブレーキ2機種とリアドラムブレーキが1機種が新たに2社で採用され、量産を開始。派生機種での適用拡大を計画。

軽量化技術開発
-軽量化に寄与するアルミ製エンジンマウントブラケット類が5機種に、またアルミ製ナックルが2機種に採用。

製品開発

低引き摺りブレーキキャリパー
-通常走行時のブレーキパッドとディスクの摩擦抵抗を大幅に低減した「低引き摺りブレーキキャリパー」のバリエーションを拡充、年内発売予定の新型車両への搭載をはじめ供給量拡大を目指す。新製品は、摩擦抵抗低減により燃費改善にも貢献する高付加価値品で、バリエーション拡大により軽自動車やコンパクトカーから大型乗用車にも対応する。国内生産のほか北米拠点での生産も視野に入れており、欧米完成車メーカーなどへの提案活動も強化する。ディスクブレーキシステムでは、通常走行時でもパッドとディスクが接触しており、抵抗となっている。同社ではパッドの戻し機構の付加などで、ディスクから効率良く離す構造を開発、同社従来製品に比べ抵抗を85%低減することに成功した。この抵抗低減により、車両重量や走行パターンにもよるが約1%程度の燃費改善が望めるとしている。(2012年1月23日付日刊自動車新聞より)

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
2012年3月期 2011年3月期 2010年3月期
日本 1,530 1,188 -
北米 3,112 2,584 -
アジア 5,606 2,775 -
南米・欧州 755 646 -
調整額 (132) (317) -
合計 10,872 6,876 6,076


日本セグメント
-生産能力拡充および研究開発等への投資。

-長野県東御市で予定していた新工場建設をさらに3年程度延期すると発表した。世界経済の構造変化や円高の高止まり、自動車業界を取り巻く事業環境の急激な変化により、当初構想での着工は困難と判断したため。一方、国内外の事業再編や成長戦略展開で、先進創造技術の開発環境整備、生産技術領域の強化や新規事業育成で新拠点は重要な役割を果すとしており、先端事業の具現化に取り組む姿勢に変わりはないとしている。(2011年12月21日付日刊自動車新聞より)

北米セグメント

-新機種立ち上げおよび隣接工場用地購入等の投資。

 

アジアセグメント
-市場の拡大に対応して、引き続き生産能力拡充および新機種立上げ等の投資を実施する。

南米・欧州セグメント

-金型更新および生産能力拡充等の投資。

設備の新設

(2012年3月31日現在)
会社名
事業所名
(所在地)
設備の内容 投資予定額
(百万円)
着手 完了予定
上田工場
(長野県上田市)
四輪車用部品生産設備 383 2011年
4月
2013年
7月
東部工場
(長野県東御市)
四輪車用部品生産設備 593 2011年
7月
2013年
6月
直江津工場
(新潟県上越市)
四輪・二輪車用部品生産設備 361 2011年
10月
2013年
3月
開発センター
(長野県東御市)
開発用設備 509 2011年
11月
2013年
3月
Nissin Brake Ohio Inc.
(米国オハイオ州)
四輪・二輪車用部品生産設備 2,947 2011年
10月
2013年
3月
Nissin Brake Georgia Inc.
(米国ジョージア州)
四輪・二輪車用部品生産設備 551 2011年
4月
2013年
3月
Nissin Brake (Thailand) Co., Ltd.
(タイ ナコンラチャシマ県)
四輪・二輪車用部品生産設備 1,296 2011年
7月
2013年
12月
P.T. Chemco Harapan Nusantara
(インドネシア チカラン郡)
四輪・二輪車用部品生産設備 3,297 2012年
1月
2012年
12月
中山日信工業有限公司
[Zhongshan Nissin Industry Co., Ltd.]
(中国広東省)
四輪車用部品生産設備 2,476 2011年
10月
2012年
12月
Nissin Brake Vietnam Co., Ltd.
(ベトナム ビンフック省)
四輪・二輪車用部品生産設備 459 2011年
1月
2012年
12月
Nissin Brake India Pvt. Ltd.
(インド ラジャスタン州)
四輪・二輪車用部品生産設備 383 2011年
4月
2012年
12月
Nissin Brake Do Brasil Ltda.
(ブラジル アマゾナス州)
四輪・二輪車用部品生産設備 608 2011年
7月
2012年
12月