住友理工 (株)(旧 東海ゴム工業) 2018年3月期の動向

業績

(IFRS、単位:百万円)
2018年
3月期
2017年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 462,885 422,630 9.5 1)
営業利益 12,196 13,600 (10.3) 2)
税引前利益 11,285 13,300 (15.1) -
親会社の所有者に
帰属する当期利益
3,528 5,195 (32.1) -
自動車用品
売上高 393,440 362,367 8.6 3)
営業利益 9,590 12,499 (23.3) 4)


要因
全社
1) 中国・アジア市場で自動車、インフラ分野向けの販売が好調だったことに加え、円安による為替換算影響もあり増収。
2) 北米・アジアなどでの新規品立ち上げコストの増大、米国拠点の生産混乱等で減益。

自動車用品事業
3) 国内では、自動車生産台数の増加により増収。米国ではセダンを中心に新車販売が弱含んだ影響を受けたが、自動車生産台数が増加した中国・アジア、市場回復が続く欧州、市場が回復に転じた南米でそれぞれ販売が増加。
4) 北米・アジア等での新規品立ち上げコストの増大及び米国拠点の生産混乱により減益

海外事業

<メキシコ>
-20百万ドルを投資してメキシコQueretaroで2番目となる工場を開設すると発表した。メキシコ国内ではChihuahuaを含めて3番目となる。新工場ではマツダ、ホンダおよびインフィニティ向けに防振ゴム製品を製造する。新工場の年間売上高は20百万ドルを見込む。(201753日付 Mexico-Nowより)

-メキシコの自動車メーカー向けに防振ゴムを生産する新工場を、2016年12月に操業開始したことを明らかにした。トランプ米次期大統領が自動車メーカーにメキシコでの生産を強く牽制していることに関し「現時点までに決定した投資計画への大きな変更はない」としながら「自動車メーカーの動向を注視している。今後の増産投資などはその都度合理的に判断していく」(広報部)という。先月操業開始したのはメキシコの防振ゴム製造子会社の第2工場(Queretaro州)。現地で自動車生産が拡大しているのに対応し、日米欧メーカーに供給するため2,100万ドル(約24億円)を投じて生産能力を増強した。(2017年1月10日付日刊自動車新聞より)

<欧州>
-非日系自動車メーカーへの拡販に向け「第2グローバル自動車営業本部」を新設する。ドイツ・フランクフルトに本部を置き、欧州、米国、中国、インドの自動車メーカーとの関係を深めて受注拡大を目指す。同社は2013年に防振ゴムの独アンビス、ホースの伊ダイテックを買収したこともあって非日系との接点が増えている。欧州に第2の本部を設けて営業活動を拡充する。(2017年1月25日付日刊自動車新聞より)

中期経営計画「2022年VISION (2020V)」

-2016年に策定・公表した2020V(最終年度:2020年度)を抜本的に見直し、中期経営ビジョンを改めて策定。

Visionテーマ 事業環境が大きな変革期を迎える中で、着実な成長と体質強化を目指す
経営戦略 1. 新事業・新規顧客創出 新事業創出、グローバル拡販
2. モノづくり革新 競争を勝ち抜く強い現場づくり (SRIM 22 Act) 、技術革新(環境技術)・世界No.1品質
3. グローバル経営基盤強化 グローバル人材力強化、グローバルインフラ強化
2029年のありたい姿 安全・快適・環境に貢献するグローバル・システムサプライヤー


-自動車用品部門の施策としては、業界を取り巻くEVシフトを見越して、モーターの高周波音を抑える製品や、モーターやバッテリー等の過熱を防ぐ製品の開発を急ピッチで進める考え。
-2023年3月期、自動車用品部門の売上高目標は4,300億円。

事業計画

-ワイヤーハーネスの防水コネクターなどに使われるエラストマー素材のシール材事業を強化する。2016年度の売上高は約85億円だったが20年度には65%増の140億円へ引き上げる計画。先進安全運転支援システム(ADAS)や電動車両の普及などでクルマの電装化が加速している。これに伴い、雨水の浸入などからコネクターを守るシール材の需要も右肩上がりになっている。低コスト化や海外の納入先開拓に取り組み、事業の拡大を図る。防水コネクターのシール材は、子会社の住理工ファインエラストマー(埼玉県上尾市)が生産、販売している。住理工は今年4月に「ファインエラストマー事業部」を新設、住友理工ファインとの一体的な運営に乗り出している。(2017年6月26日付日刊自動車新聞より)

2019年3月期の見通し

(IFRS、単位:百万円)
2019年3月期
(予想)
2018年3月期
(実績)
増減
(%)
売上高 470,000 462,885 1.5
営業利益 13,500 12,196 10.7
税引前利益 12,500 11,285 10.8
親会社の所有者に帰属する当期利益 4,000 3,528 13.4


>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

研究開発費

(単位:百万円)
2018年3月期 2017年3月期 2016年3月期
全社 14,796 14,614 14,215
-自動車用品 11,941 11,812 11,745


-自動車用品分野においては、2016年8月に設置した「自動車新商品開発センター」において、体圧を検知する「スマートラバー(SR)センサー」を自動車のシートに埋め込み、呼吸や心拍などのバイタル情報によってドライバーの異変を検知、危険を回避する乗員状態検知機能の実用化に向けた開発や、EVおよびFCV向けの環境対応製品の技術開発などに引き続き取り組む。

研究開発活動

-従来比20%の軽量化を実現する低比重のゴムホースを開発した。合成ゴムの配合を見直したほか、新開発の補強材を採用したことでゴムの柔軟性や耐久性を維持しながらも重量を大幅に低減することが可能になるとしている。ラジエーターホースをはじめ、エンジン周辺の配管での実用化を想定している。すでに開発は完了し、国内自動車メーカーを中心に提案活動を展開し、2018年生産立ち上げモデルでの採用を目指す。同社によると各配管を従来のEPDM製や金属配管から開発品に切り替えることで、車両1台当たり約1キログラムの軽量化が図れる見通し。すでに20年に市場投入される車両への採用が決まっており、さらに前倒しでの受注獲得を目指す。(2017年7月3日付日刊自動車新聞より)

設備投資額

(単位:百万円)
2018年3月期 2017年3月期 2016年3月期
全社 29,486 32,069 30,538
-自動車用品 23,664 27,199 25,864


-自動車用品事業では、自動車用防振ゴム、ホースの生産設備を中心に投資を行った。