住友理工 (株) (旧 東海ゴム工業) 2017年3月期の動向

業績

(IFRS、単位:百万円)
2017年
3月期
2016年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 422,630 424,485 (0.4) -販売量は増加したが、海外事業における為替換算の影響が大きく減収
営業利益 13,600 12,867 5.7 -円高によるマイナス影響が大きかったものの、前期に実施した欧州での事業構造改善による影響があったほか、継続的なコスト削減活動などにより増益
税引前利益 13,300 11,896 11.8
親会社の所有者に帰属する当期利益 5,195 2,901 79.1
自動車用品
売上高 362,367 369,149 (1.8) -海外における販売は増加したものの、為替換算の影響を受けたことにより減収
営業利益 12,499 11,649 7.3 -前期に実施した事業構造改善の影響のほか、海外における売上の増加が収益に寄与したこともあり増益



国内動向

-自動車用防振ゴム製造・販売の新会社、住理工山形(山形県米沢市)の製造ラインで操業を開始したと発表した。グループ初の東北地方の生産拠点として、東北や北関東の自動車メーカーに供給する。住理工山形は、住友理工が全額4億9500万円を出資し昨年4月に設立した。約20億円を投じて建屋9400平方メートルの工場を建設した。このほど、一部製造ラインで操業を開始した。従業員は2017年度に100人、18年度に売上高30億円を見込む。(2016年6月17日付日刊自動車新聞より)

-2016年11日、自動車用防振ゴムを製造する住理工山形(山形県米沢市)の新工場の開所式を実施した。グループ初となる東北地方の生産拠点で、北関東や東北地方の自動車メーカー向け防振ゴムを生産する。山形県米沢市に約20億円を投じて建屋9400平方メートルの工場を新設した。6月に一部製造ラインを稼働し、10月に生産が軌道にのってきたことから開所式を実施した。新工場は2018年度に年間30万台分の自動車用防振ゴムを製造する計画。従業員数は17年度に100人を予定している。(2016年10月12日付日刊自動車新聞より)

-同社のグループ会社、住理工山形(山形県米沢市)は、防振ゴムに使用する金属や樹脂類の東北地方からの現地調達率を中・長期的に8割程度に引き上げる。現状、中部地方や関東地方から部材の調達が多いが、樹脂や金属類については、工場が立地する東北地方のメーカーから積極的に調達していく。東北地方から部材の調達を増やして物流コスト削減などを図るとともに、地元経済の発展にも寄与する。(2016年10月26日付日刊自動車新聞より)

海外動向

-住友理工は、20百万ドルを投資してメキシコQueretaroで2番目となる工場を開設すると発表した。メキシコ国内ではChihuahua を含めて3番目となる。新工場ではマツダ、ホンダおよびインフィニティ向けに防振ゴム製品を製造する。新工場の年間売上高は20百万ドルを見込む。(2017年5月3日付 Mexico-Nowより)

-同社は、非日系自動車メーカーへの拡販に向け「第2グローバル自動車営業本部」を新設する。ドイツ・フランクフルトに本部を置き、欧州、米国、中国、インドの自動車メーカーとの関係を深めて受注拡大を目指す。同社は2013年に防振ゴムの独アンビス、ホースの伊ダイテックを買収したこともあって非日系との接点が増えている。欧州に第2の本部を設けて営業活動を拡充する。(2017年1月25日付日刊自動車新聞より)

-同社は、メキシコの自動車メーカー向けに防振ゴムを生産する新工場を、2016年12月に操業開始したことを明らかにした。トランプ米次期大統領が自動車メーカーにメキシコでの生産を強く牽制していることに関し同社は「現時点までに決定した投資計画への大きな変更はない」としながら「自動車メーカーの動向を注視している。今後の増産投資などはその都度合理的に判断していく」(広報部)という。先月操業開始したのはメキシコの防振ゴム製造子会社の第2工場(ケレタロ州)。現地で自動車生産が拡大しているのに対応し、日米欧メーカーに供給するため2100万ドル(約24億円)を投じて生産能力を増強した。(2017年1月10日付日刊自動車新聞より)

-同社はイタリア事業の構造改革の一環として、自動車用ホース子会社 「Dytech-Dynamic Fluid Technologies S.p.A.」 の2工場を1つに集約する方針を発表した。トリノ市にあるAirasca工場とトリノ近郊にあるChivasso工場をChivasso工場に集約することについて、10月に労使協議を開始した。(2016年11月25日付プレスリリースより)

-同社は2016年度、防振ゴムを手がける海外子会社2社の事業収益を、15年度実績に比べて5倍以上となる11億円に引き上げる。ブラジル子会社が日系自動車メーカーから新たに防振ゴム製品を受注した。欧州子会社はこれまで進めてきた生産合理化策などの効果や新規受注獲得で収益が大幅に改善する見込み。今後も海外子会社の事業基盤を強化するとともに、新規受注の獲得も進め、世界シェア拡大に結び付けていく。(2016年6月30日付日刊自動車新聞より)

中期経営計画

「2020年VISION (2020V)」
(1)環境技術強化
環境配慮型製品 (燃料電池車向けセル用ガスケット、窓用高透明遮熱・断熱フィルム、ドライバーモニタリングシステムなど) の開発、環境規制対応技術(燃料蒸散規制対応、製品軽量化)の開発、事業活動におけるCO2排出量の削減・水資源保全・環境負荷物質の使用量低減などに取り組む。

(2)モノづくり革新
IoTや情報処理技術などを積極的に利用し、「SRIM 20 Act」としてグループ一丸となって投資・仕掛・リードタイムを2分の1以下とし、生産性2倍、災害ゼロを目指す。

(3)新規顧客開拓
既存事業において、23ヶ国105拠点のグローバルネットワークや、新たに設立する自動車新商品開発センターを活用し、グローバルマーケットにおける拡販活動や、自動車以外の事業についての海外展開を積極的に進め、新規顧客を開拓する。

2017年度の主な自動車用品部門の施策

  • Anvis社については、事業構造改善の効果などによって2016年3月期より黒字化し、今後の収益拡大を見込む。
  • Dytech社については、業績回復に向けて事業構造の改善に取り組んでおり、構造改革の一環として、イタリア・トリノ市にあるアイラスカ工場を同市近郊にあるキバッソ工場に統合し、生産効率の改善に注力する。
  • 北米などでの需要増加に対応するため、メキシコのS-Riko de Querétaro, S.A.P.I. de C.V.において新たな工場の稼働を開始。
  • 山形県米沢市に設立した住理工山形株式会社が2016年6月に生産を開始。
  • 海外自動車メーカーへの販売体制の強化を図るために、ドイツ・フランクフルト市に「第2グローバル自動車営業本部」を新設。
  • 「防振ゴム」「ホース」「ウレタン製品 (制遮音品・内装品) 」の既存3分野以外の自動車用新商品を開発・育成していくために、「自動車新商品開発センター」を設置。呼吸や心拍などのバイタル情報によってドライバーの異変を検知、危険を回避する乗員状態検知機能や、電気自動車 (EV) および燃料電池自動車 (FCV) 向けの環境対応製品の技術開発などを行う。

2021年3月期財務目標

  • 売上高 : 5,300億円
  • 営業利益 : 320億円
  • 営業利益率 : 6.0%
  • ROA (営業利益/総資産) : 7.0%
  • ROE (純利益/株主資本) : 8.0%

2021年3月期分野別売り上げ目標

  • 自動車 : 4,300億円
  • エレクトロニクス : 400億円
  • インフラ : 400億円
  • 住環境・健康介護 : 200億円

-2016年5月、中期計画 「2020年住友理工グループVISION」 を発表した。創業100周年を迎える29年の売上高目標を1兆円に設定し、その達成に向けた土台づくりとして20年度までの5年間に、「着実な成長」と「体質強化による収益力向上」に注力する。20年度の売上高目標は5,300億円で、1兆円に倍増させるには新たな原動力がいる。このため、売り上げの8割を占める自動車事業で防振ゴムなどに続く柱を育成するため「自動車新商品開発研究所」(仮称) を設立、7月に稼働させる。(2016年5月24日付日刊自動車新聞より)

2018年3月期の見通し

(IFRS、単位:百万円)
2018年3月期
(予想)
2017年3月期
(実績)
増減
(%)
売上高 425,000 422,630 0.6
営業利益 14,500 13,600 6.6
税引前利益 13,500 13,300 1.5
親会社の所有者に帰属する当期利益 6,500 5,195 25.1



>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

研究開発費

(単位:百万円)
2017年3月期 2016年3月期 2015年3月期
全社 14,614 14,215 12,821
-自動車用品 11,812 11,745 10,190


-2018年3月期、全社で150億円の研究開発費を見込んでいる。

-中期計画2020Vにおいて、2017年3月期から2021年3月期の5年間に800億円を投資する計画。

研究開発体制

-同社グループのコア技術を進化させる材料技術研究所と、コア技術を集約するために新設した先行技術研究所で技術開発を進めている。

研究開発活動

-2020Vの経営戦略の1つ、「新規顧客開拓」を推進する体制を整え、体圧を検知する「スマートラバー (SR) センサー」を自動車のシートに埋め込み、呼吸や心拍などのバイタル情報によってドライバーの異変を検知、危険を回避する乗員状態検知機能の実用化に向けた開発や、電気自動車 (EV) および燃料電池自動車 (FCV) 向けの環境対応製品の技術開発などに取り組んでいる。

設備投資額

(単位:百万円)
2017年3月期 2016年3月期 2015年3月期
全社 32,069 30,538 29,699
-自動車用品 27,199 25,864 22,458


-2017年3月期、自動車用品事業では、同社および海外子会社の自動車用防振ゴム、ホースの生産設備を中心に投資。

-2018年3月期は、全体で310億円、自動車用部品事業で250億円の投資額を予定。

-中期計画2020Vにおいて、2017年3月期から2021年3月期の5年間に1,800億円を投資する計画。