太平洋工業 (株) 2015年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2015年
3月期
2014年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 99,952 91,976 8.7 -
営業利益 6,962 5,500 26.6 -
経常利益 8,691 7,062 23.1 -
当期純利益 6,714 4,587 46.4 -
プレス・樹脂製品事業
売上高 68,558 64,529 6.2 -主要顧客の自動車生産が日本においては前期比で若干の減少となったものの、米国や中国では前期を上回る。また、円安による為替換算の影響も加わった。
営業利益 1,574 1,334 18.0 -物量増加や原価改善など。
バルブ製品事業
売上高 31,000 27,087 14.4 -バルブ関連製品やTPMS製品の販売が海外を中心に順調に推移。また、円安による為替影響も加わった。
営業利益 5,387 4,177 29.0 -物量増加や原価改善に加えて、円安による為替差益等が寄与。

中期経営計画 OCEAN-18

OCEAN-18 数値計画 2018年度
(目標)
売上高 1,100億円
経常利益率 8%台
海外売上高比率 50%以上
総資産回転率 1.05回転以上


-中期経営目標を達成するための主な施策は以下の通り:
(1) 超ハイテン材加工能力の拡充
-車体プレス部品事業を拡充すると発表した。1180メガパスカル級の超高張力鋼板を冷間プレスで加工する工法を確立し、日本、米国、中国で生産体制を整える。総投資額は34億円。今年1月に中国工場、2月に九州工場に大型のプレスマシンを設置した。10月には東大垣工場、来年12月には米国工場にも導入。順次、生産を開始する。また1470メガパスカル級の強度が実現できる熱間プレス工法も確立。養老工場で5月から生産を開始したとしている。(2018年度売上高増加見込み:約65億円)

(2) 北米プレス事業の強化
-2014年6月をめどに米テネシー州に生産子会社Pacific Manufacturing Tennessee, Inc.を新設すると発表。18億円を投じ新工場を建設し、2015年8月からプレス部品と樹脂部品の生産を開始する。主にトヨタ自動車向けに供給する。北米で2カ所目の生産拠点として活用し、現地の供給体制を効率化する。(2018年度売上高増加見込み:約40億円)

(3) 中国プレス事業の強化
-中国でハイブリッド車(HV)向けバッテリーケースの生産を現地化する方針を明らかにした。主要納入先のトヨタ自動車が中国で基幹部品を現地調達してコスト競争力を高めようとしていることに対応し、最適な供給基盤を構築する。従来、HVの基幹部品の構成品となるバッテリーケースは、日本の中部、東北地区のみで手がけていた。湖南省長沙市に設置している長沙太平洋半谷汽車部件 [Changsha Pacific Hanya Auto Parts Co., Ltd.] で生産する。生産開始は、トヨタが新型HVを立ち上げる15年頃になる模様。(2018年度売上高増加見込み:約15億円)

(4) 樹脂事業の拡充
-タイ子会社に第2工場を建設し、樹脂製品の生産を開始。主要製品のホイールキャップは、技術・デザイン・コスト競争力が評価され、日系自動車メーカー7社から受注獲得。(2018年度売上高増加見込み:約10億円)

(5) 高精度プレス事業の拡充
-エンジン・トランスミッションの高精度部品をネットシェイプによりプレス加工で製造。生産能力増強、新技術と顧客多角化により、2018年度までに50%の売上拡大を目指す。(2018年度売上高増加見込み:約10億円)

(6) ダイカスト事業の拡充
-韓国の太平洋エアコントロール工業 [Pacific Air Controls Co., Ltd.] でアルミダイカスト事業を拡充。カーエアコン用コンプレッサーのケーシング部品をダイカストから切削加工まで一貫生産。(2018年度売上高増加見込み:約10億円)

(7) TPMS事業の拡充
-2016年春をめどに中国でタイヤ空気圧モニタリングシステム(TPMS)の現地生産を開始すると発表した。14年7月に江蘇省常熟に新会社太平洋汽車部件科技(常熟)[Pacific Auto Parts Technology (Changshu) Co., Ltd.] を設立し、新工場の建設を始める。年300万個の生産能力を確保する。投資額は約30億円。15年から16年頃にかけて中国でTPMSの装着が法制化されることを見込んで、現地に供給体制を構築する。同製品で中国に進出するのは初めて。これにより、日米中の3極でTPMSを生産する体制が整うことになる。(2018年度売上高増加見込み:約15億円)

2016年3月期の見通し

(単位:百万円)
  2016年3月期
(予測)
2015年3月期
(実績)
増減
(%)
売上高 102,000 99,952 2.0
営業利益 7,000 6,962 0.5
経常利益 8,200 8,691 (5.6)
当期純利益 6,000 6,714 (10.6)

 

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

研究開発費

(単位:百万円)
  2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
全社 905 735 647
-プレス・樹脂製品事業 162 176 133
-バルブ製品事業 618 479 447
-全社共通 120 71 58

研究開発体制

-研究開発を行う各事業部の技術部門・生産技術部門と、将来を見据えた研究開発を行う技術企画センターで構成。
-社内関連部門間の相互連携を図り、 専門メーカー・大学・研究機関など産学官を含めた開発体制により、新製品開発および競争力向上のための新材料、新工法の開発を進めるとともに、開発スピードの向上を図っている。
-ソフトウェアの研究開発は、子会社のピーアイシステム株式会社が実施。

研究開発活動

事業セグメント 担当部門 研究開発内容
プレス・樹脂製品 -技術企画センターの技術開発部およびプレス樹脂事業部のプレス技術部と樹脂技術部 -プレス製品では、超ハイテン材を強化する冷間プレス加工技術やホットスタンプ等の新設備導入、新工法の研究開発を実施。
-樹脂製品では、軽量化、遮音、遮熱のための成形技術等の研究開発を実施し、燃費向上を目指した超軽量・発泡成形エンジンカバーを開発。
バルブ製品 -バルブ・TPMS事業部の開発部、技術部および生産技術部 -タイヤバルブ・TPMS製品では、従来のタイヤバルブ同様にゴムの反発力でタイヤリムに固定・密着するスナップインタイプTPMSを開発。
-カーエアコン用バルブ製品では、燃料自動車 (FCV) 用リリーフバルブの開発を実施。
-高精度プレス製品では、センサープレート等の量産化により部品用途の拡大を図った。
全社共通 -技術企画センター -複合材料の研究開発。
-金属塑性加工技術、接合技術の研究開発。
-TPMS応用製品の開発。
-環境負荷物質削減および使用材料低減による環境にやさしい製品の開発。

製品開発

防爆バルブ
-燃料電池車 (FCV) の高圧水素タンクに搭載して安全を確保する新製品「防爆バルブ」を開発した。万一、タンクの圧力が異常レベルまで上昇した場合、気体を外に逃がして危険を回避する。タイヤバルブやタイヤ空気圧モニタリングシステム (TPMS) のノウハウを駆使し、製品化した。トヨタ自動車が15日発売する新型FCV「MIRAI」向けに受注した。北大垣工場 (岐阜県神戸町) で製造し、愛知県内のトヨタの生産拠点に納入する。同社がFCVの基幹ユニット向けに部品を受注するのは初めて。(2014年12月9日付日刊自動車新聞より)

設備投資額

(単位:百万円)
  2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
プレス・樹脂製品事業 12,876 8,100 4,209
-国内 6,284 4,356 2,012
-海外 6,592 3,744 2,197
バルブ製品事業 2,529 3,013 3,610
-国内 1,443 1,406 987
-海外 1,085 1,606 2,623
その他 63 103 30
消去 (80) (49) (29)
合計 15,390 11,168 7,820

 

<プレス・樹脂製品>
-国内では、栗原工場における建屋増築とプレス設備導入、東大垣工場における超ハイテン材対応を目的としたプレス設備導入、自動車の新型モデル用金型等の新製品対応・増産を中心に投資。
-海外では、米国・テネシー州、中国・長沙における工場新設およびプレス設備導入を中心に投資。

<バルブ製品>
-国内では、TPMS本体組立ラインの増設やバルブ関連製品の増産対応を中心に投資。
-海外では、韓国におけるアルミダイカスト工場の増築およびバルブ関連製品の増産対応を中心に投資。

-2016年3月期の設備投資額は13,850百万円を計画。

設備の新設計画

(2015年3月31日現在)
会社名・
事業所名
(所在地)
事業
セグメント
設備の
内容・目的
投資
予定額
(百万円)
着手 完了
予定
完成後の
増加能力
西大垣工場
(岐阜県大垣市)
プレス・樹脂製品 新製品対応等 5,481 2014年
8月
2017年
2月
-
東大垣工場
(岐阜県大垣市)
プレス・樹脂製品 新製品対応等 1,163 2014年
8月
2017年
2月
-
養老工場
(岐阜県養老郡)
プレス・樹脂製品およびバルブ製品 新製品対応等 793 2012年
6月
2017年
5月
-
栗原工場、若柳工場
(宮城県栗原市)
プレス・樹脂製品 新製品対応等 1,315 2013年
8月
2016年
5月
プレス製品生産設備の導入。 (前年からの継続)
九州工場
(福岡県鞍手郡)
プレス・樹脂製品 新製品対応等 814 2014年
7月
2016年
8月
-
北大垣工場
(岐阜県安八郡)
バルブ製品 新製品対応等 2,007 2013年
9月
2017年
5月
-
美濃工場
(岐阜県美濃市)
バルブ製品 増産等 380 2015年
1月
2016年
8月
-
同社
本社等
(岐阜県大垣市)
全社 研究開発等 330 2015年
1月
2016年
6月
-
Pacific Manufacturing Ohio, Inc.
(米国 オハイオ州)
プレス・樹脂製品およびバルブ製品 維持更新等 1,432 2015年
4月
2016年
3月
-
Pacific Manufacturing Tennessee, Inc.
(米国 テネシー州)
プレス・樹脂製品 新製品対応等 4,161 2014年
6月
2016年
3月
工場を新築およびプレス製品生産設備の導入。
太平洋汽門工業股份有限公司
[Pacific Valve (Taiwan) Co., Ltd.]
(台湾 台中市)
プレス・樹脂製品およびバルブ製品 維持更新等 384 2015年
1月
2017年
12月
-
太平洋バルブ工業株式会社
[Pacific Valve Industrial Co., Ltd.]
(韓国 梁山市)
バルブ製品 維持更新等 280 2015年
1月
2015年
12月
-
太平洋エアコントロール工業株式会社
[Pacific Air Controls Co., Ltd.]
(韓国 牙山市)
バルブ製品 維持更新等 542 2015年
1月
2015年
12月
-
Pacific Industries (Thailand) Co., Ltd.
(タイ チャチョンサオ県)
プレス・樹脂製品およびバルブ製品 新製品対応等 1,002 2015年
4月
2016年
3月
樹脂製品生産設備の導入。 (前年からの継続)
天津太平洋汽車部件有限公司
[Tianjin Pacific Auto Parts Co., Ltd.]
(中国 天津市)
プレス・樹脂製品 維持更新等 399 2015年
1月
2015年
12月
-
長沙太平洋半谷汽車部件有限公司
[Changsha Pacific Hanya Auto Parts Co., Ltd.]
(中国 長沙市)
プレス・樹脂製品 維持更新等 445 2015年
1月
2015年
12月
-
太平洋汽車部件科技 (常熟) 有限公司
[Pacific Auto Parts Technology (Changshu) Co., Ltd.]
(中国 常熟市)
バルブ製品 新製品対応等 1,873 2014年
7月
2016年
3月
工場新設およびTPMS製品生産設備の導入。