パナソニック (株) 2010年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2010年
3月期
2009年
3月期
増減率(%) 要因
全社
売上高 7,417,980 7,765,507 (4.5) -
営業利益 190,453 72,873 161.3 -
当期純利益 (103,465) (378,961) - -
デジタルAVCネットワーク (*)
売上高 3,409,501 3,748,957 (9.1) -
営業利益 87,289 3,176 2648.4 -
三洋電機
売上高 404,841 - - -
営業利益 (730) - - -
*2009年3月期より、「AVCネットワーク」セグメントを「デジタルAVCネットワーク」セグメントに名称変更。

受注

-マツダのアイドリングストップ機構「i―stop(アイ・ストップ)」にアイドリングストップ車用のバッテリーを納入。採用されたバッテリー「N―55」は、パナソニックのストレージバッテリー社(静岡県湖西市)とエナジー社(大阪府守口市)が新開発した。マツダの新型「アクセラ」(2・0L、DISIエンジン車)と「ビアンテ」(20Sグレード2WD車)に採用された。(2009年7月18日付日刊自動車新聞より)

-カーナビゲーションが好調な売れ行き。トヨタ自動車の新型プリウスにOEM(相手方ブランド製造)とディーラーオプションの両面からナビを供給。カーナビは収益性が高く、同社で自動車分野を手掛けているオートモーティブシステムズ社の収益を支える屋台骨だけに、今後もエコカーなど量販が見込める新型車への拡販を推進。(2009年9月30日付日刊自動車新聞より)

事業提携

-米国の電気自動車メーカーTesla MotorsとEV用電池開発で提携。パナソニックのニッケルベースのリチウムイオン電池セルが、TeslaのEV用電池パックに採用された。供給は現行・新型モデルの両方が対象。 (2010年1月7日付プレスリリースより)

事業計画

-2015年までにカーエレクトロニクス分野の売上高を1兆円規模に拡大することを目指す。経営計画では事業の柱を五つ打ち出しているが、その一つにカーエレ分野を位置づける。カーエレ分野に関しては、オートモーティブシステムズ社(横浜市都筑区)を中心にカーナビゲーションや車載用電装品を手掛ける。カーエレ分野に限った具体的な数字は公表していないが、OEM(相手方ブランド製造)も多数取り扱っており、車載用電池などの成長分野も保有している。(2009年4月24日付日刊自動車新聞より)

-トヨタ自動車と共同出資するパナソニックEVエナジー(PEVE、静岡県湖西市)は、ハイブリッド車(HV)用ニッケル水素電池の2009年度の生産量を、前年度比7割増の75万台分に引き上げる。国内で新型「プリウス」の受注が好調なことに対応するため、本社地区の新ラインの稼働を1カ月前倒しする検討も始めた。(2009年5月21日付日刊自動車新聞より)

-リチウムイオン電池の研究・開発ならび製造拠点に今後3年間で総額10億ドルを投資する計画を進めている。それに伴う新規プロジェクトの第一弾として、住之江工場(大阪市)が2010年4月から稼働を開始する予定。 (2010年1月7日付プレスリリースより)

>>>次年度業績予想(売上、営業利益等)

2010年度経営方針

-新パナソニックグループとして、車載用、家庭用市場へのリチウム二次電池事業の拡大(2015年度には売上高 1兆円以上、シェア 40%以上)を目指す。
-エコカー市場では、技術革新ニーズの高い電池、熱システム、電源システムの3つを重点分野として事業展開を加速。
-主な取り組みは、「EV用電池の高性能・低価格化」、「ヒートポンプ技術を使った冷暖房の省電力化」、「低損失パワー制御技術による簡単・安全な急速充電の実現」など。

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2010年3月期 2009年3月期 2008年3月期
全社 476,903 517,913 554,538
デジタルAVCネットワーク 247,069 274,708 295,542
三洋電機 16,779 - -

研究開発体制(オートモーティブシステムズ社)

会社名または拠点名 所在地
日本
-カーエレクトロニクス開発センター
-オートモーティブ開発室
パナソニック(株)
-
-事業開発センター
-技術統括センターオートモーティブシステムズ社
神奈川県横浜市
パナソニックITS(株) 神奈川県横浜市
海外
パナソニックASアメリカ社
[Panasonic Automotive Systems Company of America]
米国ジョージア州
パナソニックASヨーロッパ(有)
[Automotive Systems Europe Panasonic GmbH]
ドイツ ランゲン
パナソニックAS開発天津(有)
[Panasonic Automotive Systems Development Tianjin Co., Ltd.]
中国天津市
パナソニックASアジアパシフィック(株)
[Panasonic Automotive Systems Asia Pacific Co., Ltd.]
タイ サムットプラカーン

研究開発活動

-トヨタ自動車、日立製作所など民間12社と京都大学、国などによる電池の研究開発プロジェクトが始動。最先端の解析施設などを使い、未解明のリチウムイオン挙動などを調べて電池の長寿命・高性能化につなげるほか、2015年度には1回の充電で300キロメートル走れる高性能リチウムイオン車載電池の開発にメドをつける。プロジェクトの正式名称は「革新型蓄電池先端科学基礎研究事業」。参画するのは京大など7大学のほかトヨタや日産自動車、ホンダ、三菱自動車、ジーエス・ユアサコーポレーション、パナソニック、日立製作所、新神戸電機、三菱重工など。当初は50人規模の研究者で開発作業をスタートさせる。(2009年6月13日付日刊自動車新聞より)

-パナソニックは、ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)用の二次電池周辺部品の開発を加速。家電製品など民生用機器に活用している技術を車載用製品に応用する。車載用電池の周辺部品であるコンバーターやインバーター、モーターなどを開発中で、電池とこれら周辺機器をパッケージ化して提供することにより電力の効率的な利用に寄与する。(2009年10月7日付日刊自動車新聞より)

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2010年3月期 2009年3月期 2008年3月期
全社 385,489 494,368 449,348
デジタルAVCネットワーク 199,956 243,074 209,663
三洋電機 31,174 - -

国内投資

-パナソニックEVエナジー(PEVE、静岡県湖西市)は、2010年1月から生産を開始した宮城工場(宮城県大和町)の竣工式を行った。新工場ではハイブリッド車用ニッケル水素電池を年産10万台分の規模で生産する。順次生産能力を高め2010年9月には年間30万台分の能力に引き上げる。同社のニッケル水素電池工場は湖西市内の境宿工場、大森工場に続き宮城工場が3カ所目となる。宮城が30万台分の能力になる9月以降は境宿の 40万台、大森の40万台と合わせ年間110万台分の能力になる。ほとんどをトヨタ自動車向けに生産する。(2010年1月23日付日刊自動車新聞より)

-リチウム電池の主力生産拠点として昨年10月に稼働を開始した住之江工場で2010年4月から電池セルの量産を開始。生産能力は初年度1千万個で、順次ラインを設置。住之江工場は2009年10月から極板(源泉工程)製造工程を稼働。第1期では月産2500万個(年産3億個)を予定、市場の状況を考慮しながら2期工事の着工を決める。(2010年3月26日付日刊自動車新聞より)

 

海外投資

-日本クライメートシステムズ(JCS)の中国子会社である杰希思(南京)汽車空調有限公司(JCS南京)は、江蘇省南京市に新工場を開設。この工場には68百万人民元が初期投資され、熱交換部品の生産を行う。現地のマツダや中国メーカーからの需要増に対応する目的。年産能力はエバポレーターが80万個、コンデンサーとヒーターコアが各30万個。中国市場に加えて日本やASEAN諸国等に輸出する計画。JCSはVisteon、マツダ、パナソニックによる合弁会社。(2009年6月19日付プレスリリースより)

設備の新設計画(2011年3月期)

(単位:百万円)
  計画金額 主な内容・目的
全社 480,000 -
デジタルAVCネットワーク 190,000 PDP、液晶パネル増産
三洋電機 126,500 太陽電池や二次電池、電子デバイス等の新製品生産及び合理化