(株) 小糸製作所 2013年3月期の動向

ハイライト

業績

 (単位:百万円)
  2013年
3月期
2012年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 472,843 430,929 9.7 -国内自動車生産は震災復興需要およびエコカー補助金等により前年に比べ増加。欧州が需要減退により減産となる中、北米、タイ、インドネシア等新興国での生産が拡大。
営業利益 37,668 31,725 18.7 -国内外における自動車生産の増加に伴う大幅増収、海外新工場の稼働、原価低減諸施策の推進が寄与。
経常利益 40,007 31,496 27.0 -
当期純利益 16,625 13,391 24.1 -

事業概況

<日本>
-自動車生産が、震災の復興需要およびエコカー補助金等により大幅増産となったことから、売上高は前年比2.7%増加の2,615億円。

<北米>
-自動車需要の回復に伴う生産増加や、現地自動車メーカー向けの受注拡大等により、売上高は前年比54.5%増加の628億円。

<中国>
-経済成長鈍化により自動車需要が伸び悩むなか、日中関係の悪化により日本車の生産が減少したものの、現地自動車メーカー向けの受注活動強化や拡販に努めた結果、売上高は前年比7.5%増加の940億円。

<アジア>
-タイにおける自動車生産が大幅に増加するとともに、インドネシアでの二輪車・四輪車生産が順調に推移し、売上高は前年比29.5%増加の427億円。

<欧州>
-欧州経済の低迷、域内自動車販売の不振等により生産量が減少し、売上高は前年比22.8%減少の115億円。

海外事業

<米国>
-2012年1月に米国North American Lighting, Inc.のアラバマ第2工場、3月に金型工場 (インディアナ州) が稼働。

<タイ>
-2012年4月にThai Koito Company Limited.のパチンブリ (Prachinburi) 工場 (第4工場) および技術センターが稼働。

<インド>
-2013年3月にIndia Japan Lighting Private Limitedのチェンナイ (Chennai) 第2工場が稼働。これにより、チェンナイ工場のヘッドランプの生産能力は1.5倍に増強された。インド南部では日系自動車メーカーの生産が拡大しており、現地での受注増に対応して生産を拡大する。 (2012年12月26日付日刊自動車新聞より)

<メキシコ>
-メキシコ中部のサンルイスポトシ市 (サンルイスポトシ州) に生産子会社を設立すると発表。現地に工場を建設し2014年7月から自動車用ヘッドランプ、標識灯をそれぞれ年間50万台分生産する。メキシコに工場を設けるのは初めて。新会社「ノース・アメリカンライティング・メキシコ」は資本金1億5千万ペソ (約10億円) で12月に設立する。コリナス・デ・サンルイス工業団地に10万9千平方メートルの工場用地を確保し、建屋面積2万7千平方メートルの工場を建設する。工場建設のための投資額は50億円。14年末に300人の従業員を雇用する。 (2012年11月28日付日刊自動車新聞より)

中期経営計画

-2013~15年度の中期経営計画を策定して発表。日本では、LED (発光ダイオード) ヘッドランプを始めとする高機能と軽量化を両立する新製品開発や高効率生産ラインを全拠点に展開する。海外では、メキシコの新工場稼働や米国と中国で生産 能力増強を図ることに加え、タイでは現地開発体制を拡充する。グローバルで受注拡大に向けた活動を展開することで、15年度の売上高は12年度実績から 26.9%増の6千億円へ引き上げを目指す。 (2013年5月10日付日刊自動車新聞より)

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

開発動向

研究開発費

 (単位:百万円)
  2013年3月期 2012年3月期 2011年3月期
全社 20,000 17,600 17,177

-研究開発費の総額は20,000百万円であり、セグメント別の研究開発費は、日本11,900百万円、北米3,300百万円、中国2,600百万円、アジア1,800百万円、欧州300百万円。

研究開発体制

-日本では同社の技術本部および研究所を中心に、米国ではNorth American Lighting, Inc. 「技術センター」、中国では上海小糸車灯有限公司「技術センター」、欧州ではベルギーにおけるKoito Europe NV 「技術セクション」、2012年4月に開設したThai Koito Company Limited技術センターの世界5極で実施しており、多極化するグローバル自動車メーカーへの開発対応を進めている。研究開発スタッフは、グループ全体で2,316名。

-タイの開発要員を2015年までに現状の2割増にあたる120人に増員する。現地開発ニーズが高まっているアジア向けの量産開発をタイで強化し、自動車需要の拡大が見込まれる新興市場での事業拡大につなげる。自動車メーカーは開発を効率化するため、開発業務の現地化を推進している。メーカーの動向に対応して日本、米国、欧州、中国、アジアの5極で開発のレベルアップを図り、メーカー各社による投入が拡がるグローバル車向けの受注を一段と強化する。 (2013年4月3日付日刊自動車新聞より)

研究開発活動

<日本>
-自動車照明器のコア技術(光学、電子、機構、構造等)の開発
-生産技術の開発
-シミュレーション技術の開発
-鉄道車両関連電装品の開発
-ITS関連機材としてのシステム開発
-インターネットを応用したシステム開発
-照明器以外の自動車部品
-航空機部品の開発
-新規事業分野の新商品開発等

<北米、中国、アジアおよび欧州>
-自動車照明器のコア技術(光学、電子等)の開発
-生産技術の開発

-東京工業大学、名古屋大学と共同で、屋内照明に適した白色LED(発光ダイオード)を可能にする新しい蛍光体を開発したと発表した。従来の白色LEDが 点状の光源であるのに対し、新蛍光体を使った白色LEDは従来の10倍の発光面積を確保することが可能で、眩しさを10分の1以下に低減できる。同社は自 動車用としては室内照明用への適用が考えられるとしている。ヘッドランプ用は現在主流の青色チップを使った高輝度LEDが最も適しているが、新蛍光体を 使ったヘッドランプ用LEDの開発も視野に入れていく。 (2012年10月17日付日刊自動車新聞より)

製品開発

次世代ヘッドランプシステム
-LEDを使った配光可変ヘッドランプ (ADB) を開発する。ADBはハイビームで走行中、対向車や前走車が現れた際、その範囲を遮光し、相手ドライバーの眩惑を防ぐシステム。欧州車や国内の一部モデルに採用されている現行システムはシェードで機械的に光源を遮る方式になっている。複数のLEDを点灯・消灯する方式で同じ機能を実現する。同社のLEDヘッドランプは今年以降、軽自動車への採用も始まり、生産量の増加により低コスト化が進む見通し。今後はLEDを活用してヘッドランプの機能を拡げ、車の安全性向上と省エネルギーに寄与する。 (2013年3月7日付日刊自動車新聞より)

技術供与契約

 (2013年3月31日現在)
相手方の名称 契約内容 契約期間
Hella Automotive Mexico S.A. de C.V.
(メキシコ)
技術情報の提携
製造、販売権の許諾
1992年4月22日から22年間
Industrias Arteb S.A
(ブラジル)
技術情報の提供
製造、販売権の許諾
2006年12月12日から10年間
Farba Otomotiv Aydinlatma ve Plastik Fabrikalari A.S.
(トルコ)
技術情報の提供
製造、販売権の許諾
1997年10月24日から15年間
Automotive Lighting UK Ltd.
(英国)
技術情報の提供
製造、販売権の許諾
1993年2月24日から21年間
Hella Australia Pty Ltd.
(豪州)
技術情報の提供
製造、販売権の許諾
1994年5月1日から20年間
Lumotech (Pty.) Ltd.
(南アフリカ)
技術情報の提供
製造、販売権の許諾
2006年5月4日から10年間
EP Polymers (M) Sdn. Bhd.
(マレーシア)
技術情報の提供
製造、販売権の許諾
1995年4月29日から20年間
AuVitronics Ltd.
(パキスタン)
技術情報の提供
製造、販売権の許諾
2005年3月7日から10年間
AMS Co., Ltd.
(韓国)
技術情報の提携
製造、販売権の許諾
2013年1月16日から7年間
AVTOSVET Limited Liability Company
(ロシア)
技術情報の提携
製造、販売権の許諾
2013年3月21日から5年間

設備投資

設備投資額

 (単位:百万円)
  2013年3月期 2012年3月期 2011年3月期
全社 22,200 21,400 16,400

-生産の合理化並びに更新、製品の高品質化、原価低減などを目的として日本を中心に22,200百万円の設備投資を実施。日本は8,300百万円、北米3,600百万円、中国では2,200百万円、アジア7,200百万円、欧州では800百万円の設備投資を実施した。

-2013年度の設備投資計画を前期比76.1%増の391億円に設定。主に北米と中国で増え海外向けが倍増となる。国内も新型車向けの専用投資が増加し、前期に比べ37.3%増加する。同社の設備投資額は、平均で年間300億円程度だが、今期は米国での受注増への対応、中国新工場計画の再開により高水準の投資になる。13年度の設備投資は、国内が前期の83億円から31億円増え114億円に、海外が139億円から138億円増え277億円になる。国内では新製品用の金型投資などが増え、海外は生産能力増強のための投資が増える。 (2013年4月30日付日刊自動車新聞より)

主な設備の新設計画

 (2013年3月31日現在)
会社/事業所 設備の内容 投資予定
総額
(百万円)
着手 完了
静岡工場
(静岡県静岡市)
自動車照明器製造設備他 3,876 2013年
4月
2014年
3月
榛原工場
(静岡県牧之原市)
自動車照明器製造設備他 1,474 2013年
4月
2014年
3月
小糸九州 (株)
(佐賀県佐賀市)
自動車照明器製造設備他 3,190 2013年
3月
2014年
3月
North American Lighting, Inc.
(米国イリノイ州)
自動車照明器製造設備他 10,216 2013年
3月
2014年
3月
North American Lighting Mexico, S.A. de C.V.(Mexico)
(メキシコ サンルイスポトシ州)
自動車照明器製造設備他 2,569 2013年
3月
2014年
3月
広州小糸車灯有限公司
[Guangzhou Koito Automotive Lamp Co., Ltd.]
(中国広州市)
自動車照明器製造設備他 7,795 2013年
3月
2014年
3月
Thai Koito Co., Ltd.
(タイ サムットプラカン県)
自動車照明器製造設備他 2,323 2013年
3月
2014年
3月