旭硝子 (株) 2014年12月期の動向

ハイライト

業績 (国際会計基準)

(単位:百万円)
  2014年
12月期
2013年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 1,348,308 1,320,006 2.1 -
営業利益 62,131 79,894 (22.2) -
税引前利益 41,163 44,381 (7.3) -
当期純利益 15,913 16,139 (1.4) -
ガラス部門
売上高 709,044 664,239 6.7 1)
営業利益 564 (13,068) - -


要因
1) ガラス部門
-2014年12月期の売上高は、前年比6.7%増。自動車用ガラスは、一部の地域で自動車生産台数は減少したものの、全体としては堅調に推移し、出荷が増加。さらに、円安の影響もあり増収。

受注

-外光の透過率を自由に調整できる調光ガラス「ワンダーライト」がメルセデス・ベンツ (MB) の欧米向け新型車 「Sクラスクーペ」 にガラスルーフ用オプションとして採用されたと発表した。同社の調光ガラスが自動車に搭載されるのは初めて。室内の快適化と省エネ化を同時に図れる製品として、今後は他の自動車メーカーに向けても積極的に訴求していく。 (2014年9月30日付日刊自動車新聞より)

エアコン用新冷媒の共同生産

-米ハネウェルとデュポンが共同開発したエアコン新冷媒「HFO-1234yf」の生産を、2015年に始めると発表。千葉県に製造拠点を新設し、独自製法で生産する。旭硝子がガスを生産し、ハネウェルが欧州、米国、アジアの各顧客へ販売する。ハネウェルが保有する米国生産拠点と合わせて、日本を含めた世界的な需要増加に対応する。1234yfは地球温暖化係数 (GWP) が1以下で、二酸化炭素よりGWPが低い新冷媒。欧州カーエアコン指令などの規制対象地域では、新車用として採用が広がっている。日本でも15年に高GWP冷媒への規制が始まる予定だ。同ガスを搭載する自動車は世界に約50万台あり、14年末までに200万台に増える見通し。 (2014年1月24日付日刊自動車新聞より)

2015年12月期の見通し

(単位:億円)
2015年12月期
(予測)
2014年12月期
(実績)
増減
(%)
売上高 14,200 13,483 5.3
営業利益 620 621 (0.2)



中期計画

-2015年~17年度中期経営方針「AGCプラス」を発表した。17年度の営業利益を14年度比で6割増の1千億円に引き上げる。売上高の目標は、同18.6%増の1兆6千億円とした。グループの強みとする「多様性を最大限に活用」し、収益を生み出す新たな製品や技術、市場などを開拓していく。自動車分野では、欧州向けの受注が拡大している調光ガラスを始め、収益性の高い高付加価値ガラスをグローバルに拡販する。また、中東や東南アジアではローカル企業との合弁や提携などを進め、旺盛な市場の新規需要を取り込む。 (2015年2月10日付日刊自動車新聞より)

2017年度財務目標

  • 売上高: 16,000億円
  • 営業利益: 1,000億円以上
  • ROE: 5%以上  (2014年実績: 1.4%)
  • D/E: 0.5以下    (2014年実績: 0.42)

2020年売上比率目標に対する進捗

  • 新興国向け、目標30%  (2014年実績: 24%)
  • 環境関連、  目標30%  (2014年実績: 15%)
  • 新製品、    目標30%  (2014年実績: 12%)

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

研究開発費

(単位:百万円)
  2014年12月期 2013年12月期 2012年12月期
グループ全体 44,758 46,882 48,360
-ガラス部門 8,190 8,529 8,053


-2015年12月期の研究開発費を45,000百万円と見込む。

研究開発体制

-全社の研究開発を統括する「技術本部」の傘下に、以下研究開発組織を保有:

  • 中央研究所:新材料・新商品開発および共通基盤技術開発
  • 生産技術センター:生産技術に関する研究・開発・設備化
  • エンジニアリングセンター:生産設備の建設・既存設備に関わる開発・メンテナンス等
  • 知的財産センター:知的財産の調査・分析・出願・権利化、権利行使化、知財戦略の策定・推進
  • 事業部研究開発部署:現行事業およびその周辺に関わる新商品・新品種開発、生産技術改良等



研究開発拠点

化学品事業
-上海市に化学品事業で中国初となるテクニカルセンターを開設し、10日から営業開始したと発表した。テクニカルセンターでは、フッ素樹脂、フッ素樹脂フィルム、塗料用フッ素樹脂、フッ素ゴム、環境対応型フッ素系撥水・撥油加工剤などのテクニカルサービス、技術開発、分析業務を行う。高耐候、長寿命などの優れた特長を持つフッ素系機能化学品は、自動車、エレクトロニクス向けなどの需要が伸びており、今後も環境関連分野などで高い需要の伸びが見込まれる。(2014年3月15日付日刊自動車新聞より)

技術供与契約

(2014年12月31日現在)
相手先 国名 契約内容 契約期間
PT Asahimas Flat Glass Tbk インドネシア フロート板ガラス製造技術の提供 1993年1月1日より10年間 (以降1年毎に自動延長)



製品開発

調光ガラス
-外光の透過率を自由に調整できる調光ガラス「ワンダーライト」がメルセデス・ベンツ(MB)の欧米向け新型車 「Sクラスクーペ」 にガラスルーフ用オプションとして採用されたと発表した。同社の調光ガラスが自動車に搭載されるのは初めて。室内の快適化と省エネ化を同時に図れる製品として、今後は他の自動車メーカーに向けても積極的に訴求していく。 (2014年9月30日付日刊自動車新聞より)

設備投資額

(単位:百万円)
  2014年12月期 2013年12月期 2012年12月期
グループ全体 118,200 138,500 155,300
-ガラス事業 44,600 73,800 58,400


-2015年12月期の設備投資額を150,000百万円と見込む。

-2015年から2017年の中期計画では、設備投資は減価償却費の範囲内の4,000億円を前提とする。成長分野に集中して実施することにより、総額の配分はガラス事業および電子事業に各35%、化学品事業に30%となると想定。

海外投資

ガラス事業
<インドネシア>
-インドネシア子会社のアサヒマス板硝子 (AMG、ジャカルタ州) にフロートガラスの生産窯を新設すると発表した。約160億円を投じて、現在使用しているジャカルタ工場のフロート窯1基に代わる生産設備を導入する。新設備により、同国でのガラス生産能力は現在の年間57万トンから同63万トンに増える見通し。新設備は、AMGの自動車ガラス加工工場 (チカンペック工場) の近接地に建設を予定している。新窯の生産能力は年間21万トンで、新窯の稼働と同時にジャカルタ工場のフロート窯2基のうちの1基を停止する。2016年後半に量産を開始し、自動車や建築用途向けなどに高品質な板ガラスを供給していく。 (2014年9月4日付日刊自動車新聞より)

<メキシコ>
-メキシコ子会社のAGCオートモーティブ・メキシコが建設する自動車用ガラス工場 (サン・ルイス・ポトシ州) でこのほど起工式を実施したと発表。メキシコの新工場は、AGCグループが経営方針「グロービヨンド」の中で成長戦略の一つとして位置づけているもの。工場建設費を含めて約60億円を投じ、自動車用ガラスの製造と販売を手がける。2016年までに、年間75万台分の生産能力を整える計画。 (2014年6月11日付日刊自動車新聞より)

化学品事業
<ベトナム>
-ベトナム子会社のフーミー・プラスチック・アンド・ケミカルズ (PMPC、本社=バリアーウンタウ省) が塩化ビニル樹脂 (PVC) の生産能力を5割増強すると発表した。東南アジアの旺盛なPVC需要に対応し、域内市場でのシェアを高めるのが狙い。設備増強後の2016年には、同子会社の生産能力が現状の年間10万トンから同15万トンに拡大する。軽量かつ難燃性や電気絶縁性などを特徴とするPVCは、自動車用のアンダーコート材をはじめ、産業分野での幅広い用途に使われている。東南アジアではタイやインドネシアに次ぎ3番目のPVC市場を持つベトナムは、今後も需要の増加が見込まれるため、生産基盤の増強に踏み切る。東南アジア全体でのPVC生産能力は、ベトナムの増強後に年間70万トンとなる。 (2015年3月26日付日刊自動車新聞より)