旭硝子 (株) 2012年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2012年12月期 2011年12月期 増減率 (%) 要因
全社
売上高 1,189,956 1,214,672 (2.0) -
営業利益 92,945 165,663 (43.9) -
経常利益 86,621 166,739 (48.0) -
当期純利益 43,790 95,290 (54.0) -
ガラス事業
売上高 *1 562,140 553,339 1.6 1)
営業利益 (4,000) 9,855 - -

要因
1) ガラス事業
-売上は前期比1.6%増加したものの、営業損益は139億円悪化し、40億円の損失となった。

増収の背景:
-欧州では経済環境悪化の影響を受け自動車生産台数は前期に比べ減少したものの、同社の出荷は前年同水準を維持。
-日本では震災の影響を受けた前年に比べ自動車生産台数は増加した。
-アジア、北米においても自動車生産台数は堅調に推移。

経営計画

-同社は2013年2月に、2015年に12年比で売上高を1.3倍の1兆5,500億円超、営業利益を同1.5倍の約1,400億円とする3カ年の新中期経営計画「グロウ・ビヨンド-2015」を発表した。12年実績で営業利益の7割超を占める電子分野への依存を脱却、ガラスや化学分野での収益力を一層高める。そのため15年までの3年で、成長基盤の強化や生産プロセスの改善を推進し、設備投資としてガラス分野に1,500億円、電子分野で1,400億円など合わせて4,400億円を投じる計画。

新中期経営計画達成のための課題

1. 成長基盤の強化・定着
-成長鈍化が見込まれるフラットパネルディスプレイ (FPD) 事業に代わる収益の柱を確立すること。
-自動車ガラスでは、紫外線や赤外線カットなど、快適な車内空間を実現する高機能自動車用ガラスの販売。
-化学強化特殊ガラスの販売に注力。自動車用としては世界初となる、欧米高級車のインパネへの採用が決定した。
-地域では、高い市場プレゼンスを持つロシアや、事業立ち上げが進むブラジルの他、アジア地域の事業を強化。
-2013年にシンガポールに地域統括拠点を新設し、東南アジア全域における新たな事業機会を探索する。

2. 業績を上昇トレンドに反転
-高機能自動車用ガラスなど高付加価値品の市場投入を加速し、事業全体の収益を高める。
-ドイツのガラスメーカー (Interpane Glas Industrie AG社) との連携強化により、ドイツおよび周辺国での拡販と、コーティング新製品の開発を加速する。

海外事業

-2012年4月、ブラジルサンパウロ州グアラティンゲタ市で現地法人「AGCガラス・ブラジル」の新工場定礎式を開催した。同グループが約400億円を投じて行っているブラジル進出は、主要プロジェクトの一つと位置づける。新工場は2013年に稼働。グローバルで評価の高い技術と品質、サービスの提供をブラジルでも展開し、自動車用と建築用ガラスの拡販につなげる。 (2012年4月20日付日刊自動車新聞より)

受注

-トヨタ自動車が発売した 「ヴィッツ」 の特別仕様車 「F “シエル” / F “スマートストップパッケージ・シエル”」 のフロントドアガラスに、IRカット機能付スーパーUVカットガラスとして「UVベール・プレミアム クールオン」が初採用された。紫外線を約99%カットするうえに、赤外線を7割カットする。 (2012年12月6日付日刊自動車新聞より)

-紫外線 (UV) カット率約99%を実現した自動車フロントドア用UVカット強化ガラス「UVベールプレミアム」がホンダ車に初めて採用されたと発表した。採用車は、先月に一部改良し発売した 「フィット」 のシーズ (She's) /ハイブリッドシーズ/ハイブリッド車 (HV) XHセレクションの3グレード。 (2012年6月9日付日刊自動車新聞)

-「UVベールプレミアム」がトヨタ自動車の新型ハイブリッド車 (HV) 「アクア」 のパッケージオプション 「ビューティーパッケージ」 に採用されたと発表した。 同製品のトヨタ車への採用は今回で5車種目となる。2010年にトヨタ 「ヴィッツ」 に採用されたのが最初。 (2012年1月25日付日刊自動車新聞より)

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2012年12月期 2011年12月期 2010年12月期
グループ全体 48,360 46,442 39,399
ガラス事業 8,053 8,466 8,174
ガラス事業構成比率 (%) 16.7 18.2 20.7

-2013年度-2015年度の研究開発費はグループ全体で約150,000百万円を計画。

研究開発活動

ガラス部門
-環境負荷とコストの同時かつ大幅な削減を目指すガラス溶解技術開発の加速。
-ガラス・化学・セラミックスの技術の融合による高付加価値商品 (ディスプレイ関連部材や省エネ効果の高いガラス等) の開発。

製品開発

化学強化用特殊ガラス
-化学強化用特殊ガラスの自動車用途への拡大に注力する。同社は化学強化用ガラス「ドラゴントレイル」を2011年1月に市場投入。同特殊ガラスは通常のガラス以上の強度と、樹脂では得られない優れた耐傷性に加え、ガラスならではの艶やかさを持つ。すでに、スマートフォンやタブレット型パソコン、液晶TV用途で広く採用されているが、ガラスの薄さや軽量化への寄与などの特性のほか、表面処理による機能の多様化や曲げなどの成形加工技術を使用することで、自動車向けとしての用途拡大を目指す。カーナビ用のカバーガラスとしてのほか、フロントインストルメントパネル前面への装着を提案。 (2012年6月28日付日刊自動車新聞より)

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2012年12月期 2011年12月期 2010年12月期
グループ全体 155,300 152,700 117,400
ガラス事業 58,400 50,400 34,600
ガラス事業構成比率 (%) 37.6 33.0 29.4


-2012年度ガラス部門においては主にブラジルにおける建築用ガラスおよび自動車用ガラス製造設備の新設等。

-2013年度-2015年度の設備投資費はグループ全体で約440,000百万円を計画。