旭硝子 (株) 2011年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2011年12月期 2010年12月期 増減率 (%) 要因
全社
売上高 1,214,672 1,288,947 (5.8) -
営業利益 165,663 229,205 (27.7) -
経常利益 166,739 226,806 (26.5) -
当期純利益 95,290 123,184 (22.6) -
ガラス事業
売上高 553,339 555,999 (0.5) 1)
営業利益 9,855 18,286 (46.1) -

要因
1)ガラス事業
-自動車用ガラスはロシアや中国での出荷は増加したが、東日本大震災やタイ洪水の影響が大きく出荷は前期に比べて減少した。

経営戦略

・グループ全体で中期経営計画"Grow Beyond-2012"を掲げている。
計画達成のための課題は、1. 既存事業の収益力強化と2. 成長基盤の構築としている。

1. 既存事業の収益力強化
-自動車ガラスでは、省エネ、快適性能を追求した製品の開発加速・提案、生産技術の更なる向上、地域に密着した最適性能の製品提供が課題。
-2011年度、最先端のコーティング技術の活用、ドイツのガラスメーカー(Interpane Glas Industrie AG社)と戦略的提携を行うことを決定。

2. 成長基盤の構築
-自動車ガラスの開発注力分野は、高性能ガラス(遮熱・軽量などエコカー向けガラス・UVカット率99%のフロントドア用強化ガラスなど)の開発。
-地域では、既進出新興地域での更なるプレゼンス強化(ロシア、中国、タイ、インドネシア、インド)と、未進出地域への事業展開の推進(ブラジル)を鍵としている。
-2011年度、ブラジルにおける建築・自動車用ガラス製造設備の投資を決定。

海外動向

-欧州の子会社「AGCガラス・ヨーロッパ」(AGEU)がドイツのガラスメーカー「Interpane Glas Industrie AG」(IP)の株式を51%取得、子会社化することで合意したと発表した。両社は今後、ガラス製造・加工において拠点や製品展開で相互補完する考えで、ドイツ向けの建築/自動車/ソーラー用板ガラスでガラスコーティングなどの新分野を強化する。(2011年12月22日付日刊自動車新聞より)

-モバイル機器や電気自動車(EV)に用いるリチウムイオン電池(LiB)正極材の製造・販売拠点を中国江蘇省無錫市に新設すると発表した。完全子会社のAGCセイミケミカル(神奈川県茅ヶ崎市)が現地のLiB正極材メーカー「無錫通達鋰能科技有限公司」を子会社化、新会社とし2012年4月をめどに生産を開始する。新会社名は「清美通達鋰能科技(無錫)有限公司」。旭ガラスグループでは現在、AGCセイミが鹿島工場でLiB正極材を生産しているが、中国の新会社が加わることで生産能力は倍増する。(2011年12月16日付日刊自動車新聞より)

-ブラジルで自動車用ガラスと建築用ガラス市場に同時参入すると発表した。サンパウロ州に新会社を設立、約400億円を投じて自動車用と建築用ガラス素板を生産するフロート窯と、自動車用合わせガラスと強化ガラス、建築用ガラスの生産設備などを建設する。2013年以降に順次稼働する。16年には自動車用ガラスで年間50万台分の生産を見込む。新会社の「AGCガラス・ブラジル」はサンパウロ州に立地、AGCグループが100%出資する。16年時点に従業員数約500人、フロートガラスの年産能力22万トンを計画している。(2011年4月26日付日刊自動車新聞より)

受注

-富士重工の「Subaru Impreza」に、UV(紫外線)カット強化ガラス「UVベールPremium」がオプション仕様として採用されたと発表した。(2011年11月30日付プレスリリースより)

-スズキ「Alto Lapin」の10周年記念モデル「10th Anniversary Limited Edition」に、UV(紫外線)カット強化ガラス「UVベールPremium」が搭載されたと発表。(2011年11月21日付プレスリリースより)

>>>次年度業績予想(売上、営業利益等)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2011年12月期 2010年12月期 2009年12月期
グループ全体 46,442 39,399 44,958
-ガラス事業 8,466 8,174 9,611
比率(%) 18.2 20.7 21.4

-2012年度の研究開発費はグループ全体で約50,000百万円を計画。

研究開発体制

-自動車ガラスの研究開発拠点は、欧州(ベルギーのJumetおよびFleurus)、日本(相模、愛知、横浜)、米国(ミシガン州デトロイト)の3極体制。

研究開発活動

ガラス部門
-携帯端末のカバーガラスなどに用いられる化学強化用特殊ガラスの開発とディスプレイ以外(エコカーや建築、ソーラー関連など)への用途展開
-環境負荷とコストの同時かつ大幅な削減を目指すガラス溶解成形技術開発
-ガラス・化学・セラミックスの技術の融合による高付加価値商品(ディスプレイ関連部材や省エネ効果の高いガラス等)の開発

製品開発

ガラスとPC樹脂を組み合わせた技術
-自動車軽量化ニーズへの対応として、ガラスとポリカーボネート(PC)樹脂を組み合わせた技術の提案を始めた。厚さ1ミリメートル以下の極薄ガラスとPC樹脂で中間膜を挟んだ、三層構造となる。高コストが難点だが、遮音性が求められる高級車のサイドウインドー用途などへ提案していく。(2011年6月30日付日刊自動車新聞より)

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2011年12月期 2010年12月期 2009年12月期
グループ全体 152,700 117,400 124,900
-ガラス事業 50,400 34,600 45,900
ガラス事業構成比 33.0% 29.4% 36.7%


-2011年度ガラス部門においては主に生産性向上のための設備改修およびコーティング設備の増設等。

-2012年度の設備投資費はグループ全体で約190,000百万円を計画。