旭硝子株式会社 2008年度の動向

ハイライト

業績
(単位:百万円) 2008年12月期 2007年12月期 増減率 (%)
全社
売上高 1,444,317 1,681,238 (14.1)
営業利益 154,013 197,452 (22.0)
経常利益 109,756 187,878 (41.6)
当期純利益 39,178 69,634 (43.7)
ガラス事業
売上高 741,297 866,031 (14.4)
営業利益 18,678 63,663 (70.7)
ガラス事業構成比
売上高 51.3% 51.5% -
営業利益 12.1% 32.2% -

主な要因
全社
-フラットパネルディスプレイ(FPD)用ガラス基板の市況は中間期まで好調に推移したが、第3四半期よりパネルメーカーの稼動調整が影響。板ガラスの市況は、日本及び北米では引き続き低調に推移し、欧州においては軟化。化学製品の市況は堅調だったが、第4四半期に入り軟化した。

ガラス事業
-自動車ガラス部門(2008年度売上:ガラス事業全体の39%)では、自動車生産台数が北米で期を通じて減少。第3四半期には欧州が減少し始め、第4四半期には北米・欧州・日本・アジア全ての地域において大きく減少した影響を受け、減収。


リストラクチュアリング
<北米>
-北米板ガラス事業を再編すると発表。2008年4月から12月にかけてフロートガラスの生産拠点3工場と2工場の建築向けコーティングラインの生産を停止するとともに、建築用加工ガラス事業の売却を決定。今後は、高成長が期待される太陽電池用ガラスや自動車用ガラス素板、建築用の付加価値製品に経営資源を集中するとしている。(2008年4月17日付プレスリリースより)

-2008年後半にも、自動車用ガラスの減産を北米で加速すると発表。米新車市場の低迷を受け年初から約10%規模の生産調整に入ったが、主要顧客となる日米の自動車メーカーの減産が予想以上のレベルで推移しており、2008年下期にはさらに15%の減産に踏み切る。非正社員を中心に人員を削減するほか、稼働するライン数を縮小し1ライン当たりの生産性を高める。下期の減産を計画している米国工場は板ガラスを自動車用に加工するAGCオートモーティブ・アメリカ(ケンタッキー州ヘブロン)とベルテック(オハイオ州ベルフォンテン)。いずれも強化ガラス(サイド・リア)、合わせガラス(フロント)合計で年200万台分ずつの生産能力があり、フル操業に近かった。(2008年8月21日付日刊自動車新聞より)

<タイ>
-生産体制再編の一環としてタイの板ガラス製造・販売子会社を解散すると発表。解散するバンコクフロートグラス社(タイチョンブリ、BFG社)は、同社の全額出資子会社。2009年上期内に清算する予定。(2008年7月16日付日刊自動車新聞より)

開発動向

研究開発費
(単位:百万円) 2008年12月期 2007年12月期 2006年12月期
グループ全体 37,700 33,943 30,781
-ガラス事業 9,160 9,728 7,419
比率(%) 24.3 28.7 24.1


研究開発体制
-下記に重点を置いた体制作り。
①研究開発の日米欧の連携強化
②太陽電池関連技術開発のグローバルでの積極的推進
③革新的省エネ型ガラス溶解成形技術開発の加速
④ガラスの組成設計から加工技術までの革新的技術開発の推進

研究開発組織 概要
中央研究所 中長期的・基礎的な研究開発や技術プラットフォームを強化するための研究開発ならびに現行事業領域に属さない新規事業創出のための研究開発などを担当。
エンジニアリングセンター 生産技術と量産のための設備開発を担当。
事業部研究開発部署 現行事業およびその周辺における新商品・新品種開発、生産技術改良、顧客への技術サービスなどを担当。
生産技術開発センター 革新的ガラス生産技術開発を担当。
技術企画室 研究部署を統括。長期的マクロトレンドと技術動向予測情報(Technology Outlook)をベースとした技術ロードマップを作成し、グループ全体の技術の進むべき方向性を策定して、各部署間のテーマ設定を調整。
グローバル技術推進統括プロジェクト 大型テーマのグローバル最適配分の策定ならびに大型プロジェクトの執行機関。


研究開発活動
ガラス部門
-板ガラスや自動車ガラスに関する新商品・新技術開発、板ガラスの生産性向上、各種自動車ガラス製品の設計・生産に関するコンピュータシミュレーション技術開発、生産技術開発などを実施。
-太陽電池ガラス生産技術、導電膜、低反射膜などの技術開発を開始。
-ガラス生産過程で発生する炭酸ガスの削減技術、革新的ガラス生産技術の開発にも注力。

-ガラス本体の改良によって自動車ガラスの高機能化を実現する独自技術にめどをつけた。遮熱性、遮音性といった付加機能は従来、合わせガラスの中間膜の特性調整によって確保してきた。こうした付加機能を中間膜なしで、ガラス本体のみで実現できるようにして、生産の効率化などにつなげる。第1弾として、着色の自由度を高める技術を応用した製品を開発、2010年度までに商品化する計画。(2008年2月18日付日刊自動車新聞より)

設備投資

設備投資額
(単位:百万円) 2008年12月期 2007年12月期 2006年12月期

グループ全体

252,147 231,131 252,700

-ガラス事業

102,957 98,266 79,600
ガラス事業構成比 40.9% 42.5% 31.5%

ガラス事業
-ロシアでの板ガラス設備の新設などに投資。


海外投資
-子会社AGC Flat Glass Europeは、チェコのRetenice工場に第3フロートラインを新設。この第3ラインはグループ全体では17本目のフロートラインで、中欧において引き続き好調な板ガラス需要を背景に、主に自動車用ガラスを生産する。この新規ラインへの投資額は約100百万ユーロ。超幅広サイズのガラスの生産機能を備えたフロートラインがAGC Flat Glass Europe工場に初めて導入されたことになる。(2008年9月16日付プレスリリースより)

-世界四極で自動車ガラスの生産効率を引き上げる。素板の切断と曲げの工程を直結する製造設備を2010年末までに自動車用加工ガラスの全拠点に完全導入する。中間在庫とそのためのスペースを省くとともに、両工程を一体化させ自動化することで固定費を抑える。現在、自動車用加工ガラスでは日本・アジアに12拠点、北米に2拠点、欧州に7拠点の計21拠点を擁するが、こうした最新鋭ラインは約14拠点で導入を済ませた。同社では今後約2年をかけて、残る7拠点で完全導入を目指す。(2008年10月17日付日刊自動車新聞より)