旭硝子株式会社 2006年度の動向

ハイライト

業績
単位:
百万円
2006年
12月期
2005年
12月期
増減率 (%)
全社
売上高
1,620,540 1,526,660 6.1
営業利益
136,611 118,194 15.6
ガラス事業
売上高
815,335 758,894 7.4
営業利益 46,485 37,986 22.4
ガラス事業構成比
売上高
50.3% 49.7% -
営業利益 34.0% 32.1% -

2006年度業績の分析
  プラス要因 マイナス要因
全社 -フラットパネルディスプレイ(FPD)用ガラス基板の需要拡大 -ブラウン管(CRT)用ガラスの市況低調
-化学事業の市況低調
ガラス事業
板ガラス部門 -欧州の市況好調
-ロシアほか新興市場への出荷伸長
-重油など原燃材料価格高等
-アジア一部地域で内需落ち込み
自動車ガラス部門 -日系自動車メーカーを中心にグローバルで自動車生産台数が堅調に推移 -アジア一部地域で景気停滞
その他ガラス部門 -ガラス繊維を中心に販売堅調 -原材料価格高騰

中期経営計画 “JIKKO-2007”
2005年1月、新中期経営計画"JIKKO-2007"を発表。

2007年度の売上高1兆7,000億円、営業利益1,800億円、営業利益10%以上を目標とする。
そのうち、ガラス事業の売上目標は8,000億円。

既存事業の更なる成長・収益性の向上に加えて、エレクトロニクス&エネルギー分野において新規事業を本格的に展開。

ガラス事業においては、ロシア・中国といった新興市場で積極的に事業展開を図るとともに、西欧・北米・日本といった成熟市場では高付加価値商品の生産・販売に注力。更に、グローバルに展開する同社グループの各生産拠点をベンチマーキングすることで、最も効率的な手法をグループ全体で共有する。

自動車用ガラス事業における、計画達成に向けた主要施策は以下の通り。

(1)新興市場での生産能力拡大

-ハンガリーで2006年初めより量産開始
-中国第2工場(仏山)で2008年第1四半期に量産開始予定 >>設備投資欄参照

(2)欧米拠点でのビルド&スクラップによる収益改善

(3)北米でのビルド&スクラップおよび生産性向上施策を実施。その一環としてメキシコ工場閉鎖。

-同社のメキシコ子会社、AGCオートモーティブ・メキシコ株式会社(AGC Automotive Mexico S.A. de C.V.)の解散を決議した。北米地域における自動車用ガラス事業の最適化を図るため、AGCオートモーティブ・メキシコ株式会社での生産を停止し、同社を清算する。2007年下期に清算予定。当該子会社の解散にともなう同社連結および単独の業績への影響は軽微。(2007年2月2日付け同社プレスリリースより)

-AFGインダストリー社シナミンソン工場(米国ニュージャージー州)を閉鎖する。北米での需給バランスや生産設備の稼働状況の改善を図るため、特に採算が悪化しており、供給過多の状況にあるフロートガラスを生産しているシナミンソン工場の閉鎖を決定。これにより同社の北米における板ガラス生産能力は約10%削減される。(2007年2月5日付け同社プレスリリースより)

(4)その他

-同社の100%子会社、旭テクノグラス(本社・千葉県船橋市)が、2008年12月末までに中山工場から全面事業撤退する、と発表。旭テクノグラス中山工場は、1996年に自動車ヘッドライト用ガラスの生産を開始して以来、理化学用ガラス製品、耐熱ガラス食器、工業用ガラスチューブなど、幅広い分野へ事業を拡大してきた。コスト・品質面での競争力向上を図るため、中山工場、静岡工場、タイ(タイ・イワキガラス社)の3拠点における生産体制を再編、静岡、タイの両拠点にそれぞれ新鋭炉1基と生産・加工ラインを新設する。総投資額は約40億円。 (2007年3月16日付けプレスリリースより)

開発動向

研究開発費用
単位:百万円 2006年度 2005年度
グループ全体 30,781 31,706
-ガラス事業 7,419 7,039
比率(%) 24.1 22.2

研究開発体制
-グループビジョンとして"Look Beyond"を掲げ、ガラス、化学で培ったコアテクノロジーを深化・革新することにより、既存事業の拡大、高収益化を図っている。また、これらの技術プラットフォームの上に、「情報」、「エレクトロニクス」、「エネルギー・環境」などの次世代リーディングインダストリーに関連した新規事業を創出すべく、研究開発活動を行っている。

研究開発組織 概要
技術企画室 グループ全体の研究開発活動を統括
中央研究所 担当テーマ
(1)中長期的、基礎的なテーマや技術プラットフォームを強化するための研究テーマ
(2)新規事業創出のための研究開発テーマ
各事業部内の研究開発担当部署およびエンジニアリングセンター 担当テーマ
(1)現行事業およびその周辺における新商品、新品種の開発に関するテーマ
(2)量産技術・量産設備の開発に関するテーマを担当

ガラス事業:
-板ガラス及び自動車用ガラスに関する新商品・新技術開発、ガラス槽窯の高効率化やフロートバスの生産性向上、各種ガラス商品の設計に関するコンピュータシミュレーションなどを実施。

技術提携

Research Frontier Inc.が保有するSPD-Smart light control技術パテントの世界規模の非独占的ライセンスを取得した。同社は、この技術をサンルーフ、その他ルーフガラスシステム、窓ガラス等の自動車用ガラス製品に利用する。SPD-Smart技術は手動または自動で硝子やプラスチックを透過する光、グレア、熱を調整することができるもの。見た目を損なうことなく光やグレア調整ができるだけでなく、冷暖房費の低減、内装ファブリックやその他素材の色あせ、ノイズの低減、耐衝撃性の向上など、機能面、審美面でも効果を発揮する。(2006年5月15日付同社プレスリリースより)

設備投資

設備投資費用
単位: 百万円 2006年12月期 2005年12月期

グループ全体

252,700 204,000

-ガラス事業

79,600 73,000
ガラス事業構成比 31.5% 35.8%
ガラス事業:
中国での建築・自動車産業のさらなる拡大を想定し、蘇州にて2006年5月より板ガラス製造設備を稼動。

2007年度の計画
単位: 百万円 設備投資費用

グループ全体

240,000

-ガラス事業

90,000
ガラス事業構成比 37.5%
上記金額は2006年12月末時点での計画金額。

中国広東省仏山市において、中国第2番目の自動車用ガラス工場を新設すると発表。約65億円を投資して当該自動車用ガラス(合わせガラス、強化ガラス)工場を2007年度初頭に着工し、2008年第1四半期には量産開始の予定。今回第2工場(年100万台分の生産能力)を新設することにより河北省秦皇島市にある工場(年約120万台分の生産能力)と合わせて中国全体で年220万台分の供給体制が整った。(2006年10月12日同社プレスリリースより)

2007年度からロシアの加工ガラス工場に10億円強の品質改善投資を行う。トヨタ自動車が来年12月から同国で生産開始する「カムリ」向けガラス全量を受注したことを受け、自動車用ガラスの加工ラインに最新鋭設備を導入する。品質改善投資に着手するのは、97年に資本参加したボー・グラス・ワークス(BGW)。トヨタ向けのガラス生産が始まる2007年秋までに大半の設備刷新を済ませ、2009年までに設備全般を最新鋭に切り替える。投資の大半は、ガラスの切断、着色および曲げなどの前工程における工作機器に投じる。独自開発のロボットを導入した搬送・検査装置も順次導入する。ガラスそのものの量産投資は2005年までに完了しており、今後は老朽化設備の刷新などに重点を置く。(2006年12月18日付日刊自動車新聞より)

ロシアにおいてフロートガラス製造窯を増設すると発表。投資額は約1億3,500万ユーロ(約210億円)。生産能力1日あたり1,000トンを誇る世界最大の製造窯で、旭硝子グループにとってはロシアで4基目の窯。2009年初頭から量産を始める予定。ミラーや高断熱Low-E(低放射)ガラスなど、高付加価値商品への需要増に対応する。同社は、1997年に同社子会社のグラバーベル社(本社:ベルギー)が現地法人のボー グラス社を買収したのを機に、ロシアでの事業を開始した。(2007年3月22日付けプレスリリースより)