愛三工業 2009年3月期の動向

ハイライト

業績 (単位:百万円)
2009年
3月期
2008年
3月期
増減率(%) 要因
全社
売上高 158,583 189,589 (16.4) -フューエルポンプモジュール、スロットルボデー、キャニスタの主力3製品の売上が減少。
営業利益 1,382 9,211 (85.0) -売上高の減少、為替変動の影響。
経常利益 (1,888) 8,243 - -外貨建借入金の為替差損。
当期純利益 (5,723) (5,310) - -同社および海外子会社の製品保証費用を特別損失に計上。
自動車部品
売上高 152,145 182,041 (16.4) -

地域別売上高 (単位:百万円)
2009年
3月期
2008年
3月期
増減率(%) 要因
日本 105,087 132,889 (20.9) -スロットルボデーやキャニスタの減少。
アジア 28,762 26,740 7.6 -フューエルポンプモジュールやスロットルボデーの増加。
北米 21,917 27,916 (21.5) -フューエルポンプモジュールやスロットルボデーの減少。
欧州 13,196 16,645 (20.7) -フューエルポンプモジュールやスロットルボデーの減少。

受注
-クリーンディーゼル用部品でホンダと取引を開始した。納入を始めたのは、EGRガスの温度を調整するEGRクーラーバイパスバルブ。ホンダの欧州向け「アコード」ディーゼル車に採用された。同社がホンダに製品を納入するのは、すべての製品を通じてこれが初めて。同製品の納入先としては、乗用車メーカーではトヨタ自動車に次いでホンダが2社目となる。同社は、クリーンディーゼルエンジン用部品を新規事業分野と位置付けており、トヨタ自動車向けを中心に販売を拡大していく計画。同部品のホンダ向け売り上げは2008年度に2億円、2011年度に7億円を見込んでいる。トヨタ向けを含めた全体売上高は、2010年度に40億円を計画している。生産は愛知県大府市の本社工場で行っているが、2010年までにインドネシアの子会社での生産も開始する計画。ASEAN地域での需要拡大にも対応していく。(2008年7月17日付日刊自動車新聞より)

-フランスの生産子会社「Aisan Industry France S.A.」がPeugeotから初受注。燃料ポンプモジュールを供給する。

デンソーとの協業
-同社とデンソーは、燃料系部品のフューエルポンプモジュールについて、設計や仕様を両社で共通化する方向で検討を始めた。同製品の開発は現在、両社がそれぞれの設計に基づいて行っている。協業体制の推進に向け設計を共通化し、両社で開発を効率化していく方針。早ければ次期製品から、共通化方針に基づいた製品開発に着手する方向だ。両社は、フューエルポンプモジュールのほか、インジェクター、スロットルボディーの3製品で、事業効率化に向けた協業の推進を図っている。ECU(電子コントロールユニット)による制御が開発の中心になるインジェクターはデンソーが、吸気系部品のスロットルボディーは同社が、それぞれ主体的に担っていく方向で大筋合意している。フューエルポンプモジュールについては、まず設計・仕様を両社製品の間で共通化し、同じ品質の製品を、それぞれの営業網と生産拠点網により供給する体制とする方向で検討を始めた。(2008年4月25日付日刊自動車新聞より)


長野鍛工との協業

-エンジンバルブ、ターボ部品などを生産する長野鍛工(長野県長野市)へのエンジンバルブの生産委託を拡大する。愛知県に生産が一極集中するリスクを回避するとともに、本社地区(愛知県大府市)の再編に合わせて工場スペースを確保する。現在、月間6万本の委託量を、2010年までに生産量全体の13%に当たる同100万本へ段階的に引き上げる。将来の出資を前提に、エンジンバルブ以外の品目でも生産委託を検討していく。(2008年5月14日付日刊自動車新聞より)


会社設立
-熊本県玉名市に燃料系部品の生産子会社を全額出資で設立する。新会社は「愛三熊本」で2008年7月の設立を予定。キャニスター、フューエルポンプモジュールなどの工場で、稼働は2010年1月、投資は2012年までに10億円をそれぞれ計画する。九州で増産に取り組む自動車メーカーの新規ニーズを吸収し、2012年度には50億円の売上高を見込む。新工場の操業に合わせて、既存工場の一部業務を新工場に移管するなど国内生産を再編成、最適化する。(2008年5月15日付日刊自動車新聞より)

開発動向

研究開発費 (単位:百万円)
2009年3月期 2008年3月期 2007年3月期
金額 7,491 7,208 6,592
*上記金額は全て自動車部品に関わる。


研究開発活動 (2009年3月期)
-アルコール燃料の今後の需要拡大に対応し、アルコールの混合割合など燃料の性状を見極める車載センサーを開発する。ガソリンとアルコールの混合燃料が使われる地域では、燃料の組成が想定から微妙に異なると、エンジンなどの性能を十分に出せなくなる可能性がある。センサーで検知することで、燃料の性状に合わせエンジンを最適制御できるようにする。(2009年2月24日付日刊自動車新聞より)

-トヨタの超小型車「iQ」向けに、車両全長の短縮と居住空間の確保に貢献する「超フラットタンク対応ポンプモジュール」を開発。

-新型クリーンディーゼルエンジンに適用可能なDCモータ式ディーゼルスロットルなどを製品化。

-エネルギー多様化対応として、2008年3月期に製品化したLPG燃料噴射システムをタクシーに展開。また、標準化と低コスト化を進めたキャニスタを製品化。

-電子スロットルボデー、フューエルポンプモジュールなど主力製品に関して、消費電力低減、軽量化、制御性向上、バイオ燃料対応など、環境を意識した開発活動を行った。

-環境対応技術では、(1)全部品のダウンサイジング、(2)アルコール燃料・ガス燃料など燃料多様化への対応、(3)ハイブリッド・電気・燃料電池など、動力源多様化への対応、の3テーマを重点に研究開発を推進している。

-新興国市場対応では、小型で経済的な環境対応車やエントリーカーをターゲットに、軽自動車をベースにして機能を絞り込んだ製品開発も推進している。

設備投資

地域別売上高 (単位:百万円)
2009年3月期 2008年3月期 2007年3月期
全社 10,920 10,890 13,674

製品別・子会社別(2009年3月期)
製品 会社名 国名 設備
投資額
(百万円)
主力3製品
-フューエルポンプモジュール
-スロットルボデー
-キャニスタ
同社 日本 1,932
玄潭産業(株)
[Hyundam Industrial Co., Ltd.]
韓国 301
Franklin Precision Industry, Inc.
米国 465
愛三(天津)汽車部件有限公司
[Aisan (Tianjin) Auto Parts Co., Ltd.]
中国 411
その他 859
合計 3,968
エンジンバルブ 同社
日本 253
愛三(佛山)汽車部件有限公司
[Aisan (Foshan) Auto parts Co., Ltd.]
中国 230
合計 483

地域別(2009年3月期)
設備投資内容
日本 -燃費・排出ガス規制に対応するため、EGRバルブ、ハイブリッド車両用キャニスタなどの新製品対応。

-主力製品であるフューエルポンプモジュール、スロットルボデー、エンジンバルブの設備増強。

-エネルギーの効率化を目的とした施設の更新
欧州 -ダイカスト事業強化のための設備増強。
中国 -フューエルポンプモジュール、スロットルボデー、エンジンバルブ拡販のための設備増強。
韓国 -フューエルポンプモジュールの設備増強。

主な設備の新設計画

事業所名
(所在地)
設備の内容 投資予定
総額
(百万円)
着工 完了
予定
同社 本社工場
(愛知県大府市)
適合受託設備
(建屋、設備増強)
1,436 2008年
5月
2010年
3月
EGRバルブ製造設備
279 2008年
10月
2010年
3月
同社 安城工場
(愛知県安城市)
キャニスタ製造設備 340 2009年
3月
2010年
3月
スロットルボデー製造設備 209 2008年
9月
2010年
3月
同社 豊田工場
(愛知県豊田市)
フューエルポンプモジュール製造設備
173 2008年
8月
2010年
3月
P.T. Aisan Nasmoco Industri
(インドネシア 西ジャワ州)
フューエルポンプモジュール製造設備 274 2008年
6月
2009年
12月