クラリオン (株) 2015年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2015年
3月期
2014年
3月期
増減率 (%) 要因
全社
売上収益 198,632 191,368 3.8 -欧州や中国におけるOEM市場向け売上の増加、「安心・安全」関連製品の伸び、為替換算による増加。
営業利益 7,386 5,462 35.2 -増収による操業度改善、原価低減。
税引前当期利益 6,131 4,568 34.2 -
親会社株主に帰属する当期利益 4,875 3,985 22.3 -

*2015年3月期より国際会計基準 (IFRS) を適用。比較する2014年3月期の数値もIFRSに準拠して作成。

受注

<Porsche>
-独ポルシェ「Panamera」向けに全周囲俯瞰カメラシステムがライン装着用で採用されたと発表。ポルシェが安全機能に同システムを設定するのは初めて。クラリオンはグローバルで同システムを供給する。これまでポルシェジャパンにはディーラーオプション用カーナビなどを納入していたが、同社にとってポルシェとの取引は初となる。(2014年10月7日付日刊自動車新聞より)

<スバル>
-国内外の市販カーナビで展開しているクラウドサービス基盤がスバルの2015年北米向けモデルに純正装着するインフォテインメントシステムに採用されたと発表。自動車メーカーへの提供は初めて。スマートフォン (スマホ) の通信機能を利用してクラウドに接続して音楽や天候などの情報を得られるシステムを供給する。スバルが北米向けの「Legacy」「Outback」に15年から搭載するインフォテインメントシステム「スバルスターリンク」に、クラリオンのクラウドサービス「スマートアクセス」が採用された。スバルとクラリオンの共同開発となる。(2014年8月8日付日刊自動車新聞より)

中期経営計画

-2017年度までの中期経営計画を発表した。20年を見据えて安心・安全を志向するインテリジェントセーフティー事業と「つながる」を実現するコネクティビティー事業に注力し、最終年度に連結営業利益率で5%以上を目指す。製品戦略では全商品でコスト構造改革を進める。インテリジェントセーフティー製品は近傍視界支援の「サラウンドアイ」や自動駐車で商圏を広げる。ナビゲーション・ディスプレーオーディオではスマートアクセスの進化とHMIでの差別化に取り組む。スマートアクセスでは「より安全、安心につながる重要な情報をユーザーに提供する」 (川本英利社長兼COO) 方針だ。(2015年5月28日付日刊自動車新聞より)

-商用車向けの車載カメラや業務用カーナビの売上高比率を2017年3月期までに14年3月期の4%から8%に引き上げる。海外販売子会社から海外商用車メーカーや卸売り業者への提案を積極化する。現在、同社の商用車向けカメラやカーナビは国内向けの販売がほとんど。海外での売り上げ増加により事業を拡大し、17年3月期の売上高目標2500億円の達成につなげる。15年3月期から3年間の中期経営計画で、売上高を17年3月期に14年3月期の実績から30%増に引き上げる。乗用車向けの製品やクラウドサービスのほか、商用車市場での販売拡大によって計画達成を目指す。(2014年6月12日付日刊自動車新聞より)

生産動向

-カーナビの設計と生産をグローバルで共通化する。国内では昨年から部品や構造を標準化した設計に切り替えており、生産ラインの組立工程を従来の5割から8割に自動化して稼働させた。2年後をめどに海外拠点にも導入し、為替に応じて生産量を拠点間で調整できるようにする。日本では円安により海外から輸入する製品の採算が悪化している。為替変動に強い柔軟な生産体制を整え、日本でも地産地消を進める。(2015年1月22日付日刊自動車新聞より)

2016年3月期の見通し

(単位:百万円)
2016年3月期
(予測)
2015年3月期
(実績)
増減 (%)
売上高 220,000 198,632 10.8
営業利益 11,000 7,386 48.9
税引前利益 10,000 6,131 63.1
親会社株主に帰属する当期利益 7,000 4,875 43.6

*2015年3月期より国際会計基準 (IFRS) を適用。

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

受賞

-日産自動車の「2014年グローバルサプライヤーアワード」で、フロントの単眼カメラを用いた白線検知機能がイノベーション賞を受賞したと発表した。表彰の対象となったのは、時速70キロメートル以上の高速走行時に、車線に合わせてタイヤの角度やステアリングを微調整して操縦安定性を高める「アクティブレーンコントロール」の白線検知技術。同技術は新型「Skyline」に搭載されている。専用の車載カメラの開発で評価された。(2014年9月3日付日刊自動車新聞より)

研究開発費

(単位:百万円)
  2015年3月期 2014年3月期
全社 17,536 16,819

研究開発活動

(1) 自動車向けクラウド型テレマティクスサービス「Smart Access」の拡充
-2015年3月期、車載情報機器の音声操作対応および対応言語の拡大を図り、北米と欧州に対応した。さらに、自動車メーカーに対して次世代インフォテイメントシステムと位置付けた新たなサービス提供を開始。

(2) 車載カメラを使用した画像認識技術の応用拡大による運転支援への取り組み
-2015年3月期、画像処理機能を強化した「SurroundEye」の試作プラットフォーム上に、ブラッシュアップされた静止物体検知と空間検知技術を搭載した実験車を構築。日立オートモティブシステムと共同で、自動駐車の性能を実用レベルまで引き上げることに成功し、現在はビジネスの成立に向けて開発を進めている。

-日立オートモティブシステムと共同で、 ADAS (Advanced Driver Assistance System) の統合制御による先進運転支援システムの開発を加速し、自動車メーカーによる自動運転の実用化を支援していくと発表。両社はこれまで、自動運転技術に向けてクラリオンの画像認識技術と、日立オートモティブシステムズのアクチュエーターや車両制御装置を連携させた自動駐車システムを共同開発している。2018年からの実用化を目指しているという。(2014年6月11日付プレスリリースより)

-2018年以降、機能限定で市場導入されると言われている自動運転に関しては、実用化にあたって求められる画像認識技術、高精度な位置検出技術、通信技術ほかの要素技術開発および高度・高精度化に取り組んでいる。カメラを応用した事業の中期的な拡大を実現するため、日立グループと連携しながら、高度な運転支援システムの商品化に深く貢献する技術開発に引き続き注力していく。

(3) 多様化する車室内音響技術への取り組み
-2015年3月期、従来から開発を進めていた音源のダイナミックレンジ拡張技術を活用し、原音本来の臨場感やビート感あふれるサウンドを提供する新機能「Dynamic Beat Enhancer」を搭載した製品を発売。

(4) Android OSベースの車載用プラットフォーム開発
-Googleのオープン・オートモーティブ・アライアンス (OAA) のメンバーとして参加すると発表。OAAは、Android OSをベースとする車載用プラットフォームの開発を目的としている。同社は2015年の市場導入をめざして製品開発に取り組んでいる。(2014年6月26日付プレスリリースより)

技術導入契約

(2015年3月31日現在)
相手先 国名 内容 契約期間
Discovision Associates 米国 光学系ディスクプレーヤーの製造技術

1994年12月01日-
許諾特許権満了日

一般財団法人道路交通情報通信システムセンター 日本 VICS技術情報の使用に関する契約 1995年11月28日-
両当事者での
終了確認日
Google Inc. 米国 音声認識および検索技術の使用に関する契約 2013年04月30日-
2016年08月31日

設備投資額

(単位:百万円)
  2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
全社 4,999 2,888 4,298

国内投資

-生産設備ならびに金型等に1,319百万円の設備投資を実施。

海外投資

<米州>
-Electronica Clarion, S.A. de C.V.のEMS事業 (電子機器受託製造サービス) の設備投資更新等に、782百万円の設備投資を実施。

<欧州>
-Clarion Hungary Electronics Kft.の生産設備等に151百万円の設備投資を実施。

<アジア・豪州>
-主に中国工場の生産設備更新、新機種生産のための金型等、Clarion Asia (Thailand) Co., Ltd.の設備拡張に2,746百万円の設備投資を実施。