クラリオン (株) 2014年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2014年
3月期
2013年
3月期
増減率 (%) 要因
全社
売上高 191,337 177,288 7.9 -国内自動車市場における消費税増税前の駆け込み需要、円安基調継続による増収影響。
営業利益 5,231 3,210 63.0 -高収益商品の販売拡大や固定費削減が寄与。
経常利益 4,441 3,326 33.5 -
当期純利益 3,342 1,358 146.1 -

中期経営計画

-2013~15年度の中期経営計画を策定。2016年3月期 (2015年度) の売上高を2013年3月期比で29.7%増の2,300億円、営業利益率は同3.2ポイント増の5.0%を目指す。重点分野は以下の通り:
1. クラウド情報サービス「スマートアクセス」を軸とする車載機器と外部との接続機能拡充やセンシングカメラの分野の強化
クラウド、画像認識分野の強化
-成長分野と位置付けるクラウドや画像認識の技術系経験者の中途採用を2014年度から始める。技術の発展が速い通信や安全といった分野の開発で出遅れないため、即戦力の人材を増やして対応する。同社は中期成長戦略として、情報の収集・提供にクラウドを活用したサービス「スマートアクセス」や、カメラによるセンシング、制御技術の開発を強化している。製品構成の中心を、従来のカーナビ、オーディオからクラウド型の車載情報端末や画像認識を用いた安全運転支援分野に移行する。中長期的には、ナビとメーター、オーディオ、車載カメラなどを統合する情報管理システムへの参入も目指す。(2014年1月17日付日刊自動車新聞より)

2. 伸長する新興国市場での事業拡大
海外売上高比率の引き上げ
-海外売上高比率を2015年度に現在の45%から60%へ引き上げる。自動車市場が拡大する新興国で、現地法人を通じた営業展開や市場ニーズに沿った製品の市場投入により、カーナビゲーションシステムとカーオーディオの受注拡大を図る。タイの製造拠点では生産能力を増強するなど、需要増に対応する供給体制を構築している。同社は、2013~15年度の中期経営計画で、15年度の売上高を12年度実績から約3割増となる2,300億円へ増やす計画を打ち出している。新興国市場での最適な製品開発と提案により海外売上高を増やし、中計目標の達成につなげる。(2013年6月5日付日刊自動車新聞より)

生産動向

国内市場向け製品、海外から日本への生産移管
-国内市場向け製品の生産を海外から日本へ移管する検討を始める。為替が大幅に円安に推移していることにより、海外から調達している日本向けの製品や部品の輸入コストが上昇しているため。海外に移管した生産の一部を日本に戻すことで、収益の改善を図る。同社は6カ国8拠点で生産しており、日本市場向けの製品や部品は約5割を中国から調達している。輸入が多く、ドルに対して1円円安になると年間の利益ベースで1億円のマイナスとなるため、円安基調が収益を圧迫している。円安の影響を低減し、収益体質を強化する。(2013年11月6日付日刊自動車新聞より)

トレーサビリティーシステムの導入
-2014年度中に国内生産拠点へトレーサビリティー (履歴追跡) システムを導入する。カーナビゲーションなどの製品で、基板の実装から最終検査までの各工程における監視体制を強化し、品質管理に万全を期すのが狙い。欧州自動車メーカーはトレーサビリティーに対する意識が高く、品質管理体制を強化することで欧州メーカーからの新規受注を目指すとともに、既存納入先との取引拡大にもつなげる。生産子会社クラリオンマニュファクチャリングアンドサービス (CMS、福島県郡山市) に導入する。CMSは、カーナビのほか車載用カメラ、コントローラーやチューナーなどの生産を手がけ、国内外の自動車メーカーや市販向けに製品を供給している(2013年4月10日付日刊自動車新聞より)

2015年3月期の見通し

(単位:百万円)
2015年3月期
(予測)
2014年3月期
(実績)
増減 (%)
売上高 200,000 191,337 4.5
営業利益 7,000 5,231 33.8
経常利益 6,300 4,441 41.9
当期純利益 4,700 3,342 40.6

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

受賞

-2014年3月期の主な受賞:
 授与社
ダイハツ 商品力向上賞
日産 Global Innovation Award
三菱ふそうトラック・バス Fuso Supplier Award 2013 (電子/電機部門)
ホンダアクセス 優良感謝賞 (開発部門)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2014年3月期 2013年3月期 2012年3月期
全社 166 15 14

研究開発活動

(1) 自動車向けクラウド型テレマティクスサービス「Smart Access」の拡充
-Googleの音声認識技術やGoogleローカル検索を活用し、同社独自開発の自動車向けクラウド技術を組み合わせることで、車載環境においてもモバイル端末や家庭と同じサービスの利用を可能にしたクラウド型ITサービス「Intelligent Voice」を2014年3月期より提供開始。

(2) 車載カメラを使用した画像認識技術の応用拡大による運転支援への取り組み
-2014年3月期は、高速運転の負担軽減に寄与するフロントカメラ開発および車載用無線カメラ開発、「SurroundEye」 (全周囲俯瞰モニターシステム) を応用した駐車時におけるステアリング操作の自動化に寄与するシステムを開発した。
-従来の画像認識技術をブラッシュアップした空間認識技術に挑戦することで、障害物の検知レベルを向上させ、ステアリングやブレーキ等の操作が不要となる自動駐車システムの実験に成功した。

(3) 多様化する車室内音響技術への取り組み
-2014年3月期は車室内に臨場感豊かなサラウンド空間を創出する新機能を製品化した。

(4)フルデジタルスピーカーの開発
-2014年3月期は住宅の天井や浴室に設置可能な天井埋め込み型フルデジタルスピーカーを製品化した。

技術提携

-米グーグルと音声認識と検索技術に関する契約を締結したと発表した。カーナビゲーションシステムの検索機能について、クラリオンのクラウド情報ネットワークサービス「スマートアクセス」を経由して、グーグルがグローバルに持つ施設や位置情報などを提供する。カーナビに内蔵している情報と比べて、常に最新で膨大な情報量を提供することが可能となる。今年中に新製品を市場投入する予定で、自動車メーカーや市販市場向けにグローバルで売り上げの拡大に結び付ける。カーナビメーカーがグーグルと契約を結ぶのはクラリオンが初めて。(2013年5月11日付日刊自動車新聞より)

技術導入契約

(2014年3月31日現在)
相手先 国名 内容 契約期間
ディスコビジョン・アソシエイト
(Discovision Associates)
米国 光学系ディスクプレーヤーの製造技術

1994年12月01日-
許諾特許権満了日

一般財団法人道路交通情報通信システムセンター 日本 VICS技術情報の使用に関する契約 1995年11月28日-
両当事者での
終了確認日
Google Inc. 米国 音声認識および検索技術の使用に関する契約 2013年04月30日-
2016年08月31日

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2014年3月期 2013年3月期 2012年3月期
全社 2,888 4,298 3,361

国内投資

-生産設備ならびに金型等に457百万円の設備投資を実施。

海外投資

<米州>
-Electronica Clarion, S.A. de C.V.のEMS事業 (電子機器受託製造サービス) の設備投資更新等に、411百万円の設備投資を実施。

<欧州>
-生産設備等に327百万円の設備投資を実施。

<アジア・豪州>
-中国工場の生産設備更新、新機種生産のための金型等、Clarion Asia (Thailand) Co., Ltd.の設備拡張に1,692百万円の設備投資を実施。