Pirelli Tyre S.p.A. 2017年12月期の動向

業績

(単位:百万ユーロ)
2017年12月期 2016年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 5,352.3 4,976.4 7.6 1)
純利益 175.7 147.6 19.0



要因
1) 売上高
-グループの純売上高は5,352.3百万ユーロとなり、有機的には7.6%増、為替レートの影響を除いて(-0.7%)、中国Aeolus Tyreの車両事業連結によってプラス7.6%(+ 0.4%)。第4四半期の有機的成長率は+8.3%となった。

事業再編
-風神輪胎股份有限公司 [Aeolus Tyre Co., Ltd.] は自己資金1億元を投じ、河南省焦作市 (Jiaozuo, Henan) に全額出資子会社 「焦作愛路馳輪胎有限責任公司 [Jiaozuo Ailuchi Tyre Co., Ltd.]」 を設立すると発表した。同社は保有する乗用車用タイヤの資産と関連する負債をこの子会社に移管する計画。その上で同社は親会社中国化工集団が株式を取得したイタリア Pirelly Tyre の中国会社 「倍耐力輪胎有限公司 [Pirelly Tyre Co., Ltd.]」 と事業再編を進める。倍耐力も子会社を設立し、保有する工業用タイヤの資産をすべて子会社に移管する。その後、両子会社の株式を交換し、乗用車用タイヤ資産を放出し、工業用タイヤ資産を取得する。

2018年の見通し

-主な施策:

  • 2017年の5,352.3百万ユーロとなった売上における成長率をさらに6%高い水準で成長させる。
  • 2018年度末において高価値部品の総収益占有率を60%にする。
  • スタートアップ費用を約4,000万ユーロ(2017年は5,000万ユーロ)にさせる。
  • 資本支出を歳入の8%に抑える。(2017年は9.1%)



研究開発費

(単位:百万ユーロ)
2017年12月期 2016年12月期
全社 221..5 228.1
売上に占める割合 (%) 4.1 3.8

研究開発

-イタリアMilanにあるPirelliの研究センターで行われる研究開発プロジェクト「Total Safety System」向けに、1.9百万ユーロの助成金を受けることでロンバルディア州政府と合意したと発表。同社が進めるこのプロジェクトの期間は2年間で、予算は総額5.35百万ユーロ。「トータルセーフティ」のコンセプトに基づいた世代タイヤの開発関連事業の一環として行われる。(2016年2月9日付プレスリリースより)

製品開発

トラック用モニタリングシステム 「サイバーフリート (Cyber Fleet)」
-フリート顧客向けトラック用モニタリングシステム。タイヤに搭載している路面状態を監視するためのマイクロチップを利用した車両モニタリングシステムで、トラックの運行状況をリアルタイムで管理者に報告する。

グアユールゴムを原料としたタイヤ
-天然ゴムであるグアユールゴムを原料とした世界初の高性能タイヤを開発。2年の実験期間を経て、試作タイヤをMaserati Ghibli に装着し性能試験を行ったところ、石油由来原料を使用したタイヤと同じレベルの性能を発揮したという。

「Cinturato」 オールシーズンタイヤ
-2015年に新たな 「Cinturato」 オールシーズンタイヤを発売。従来の冬用タイヤを夏季に使用した場合に見られる性能ロスがないオールシーズンタイヤ。内部シール機能により、パンク時も走行を継続することができる。方向性トレッドパターンを有し、濡れた路面や雪道でも優れた性能を発揮、タイヤノイズも低減。

設備投資額

(単位:百万ユーロ)
2017年12月期 2016年12月期
全社 489.4 372.2
売上に占める割合 (%) 9.1 6.1



-2016年12月期の主な設備投資は欧州、NAFTA地域、中国でプレミアムタイヤの生産能力拡大。

-中期経営計画によると、2017年までにコンシューマータイヤの生産能力を81百万本、産業用タイヤの生産能力を6.8百万本に引き上げる予定。

国外投資

-Prelliは、2018年から2020年にかけて250百万ユーロを投資し、中南米にある工場を刷新すると発表した。インダストリー4.0に対応した生産技術を導入し、工場の生産効率を高め、付加価値の高いタイヤの生産を目指す。Pirelliはアルゼンチンとベネズエラにも生産拠点があるが、今回の投資の大半はブラジル工場向けとなる見通し。ブラジルでは、Iracemapolisで組み立てられるMercedes-BenzGLA」にランフラットタイヤを供給しているほか、AudiFiatJeep、トヨタ、Volkswagenなどにも高機能タイヤを供給している。

<メキシコ>

-同社が乗用車用タイヤ工場を保有するメキシコSilaoに200百万ドルを投じて、新工場を建設すると発表。このプロジェクトは2016年中に開始される予定。同社はこれまで360百万ドルを投じており、2016~2017年の間にさらに50百万ドルの投資が計画されている。2018年末時点で、Silaoの2工場への投資額は総額600百万ドル超となる見込み。新工場は2017年に生産を開始する予定。2012年に建設された既存工場では、高級車市場に注力し、乗用車およびSUV向けの高性能タイヤおよび超高性能タイヤの生産を行ってきた。メキシコをはじめとするNAFTA地域に供給している。Silao拠点の面積は14万平方メートルで、2015年末時点でのタイヤの年間生産量は約300万本。投資計画の第1フェーズが完了すれば、年産能力は500万本に増加する。今回の200百万ドルの投資により、生産量は約250万本増え、2018年末までに同拠点の生産能力は750万本となる見込み。さらに、従業員数は現在1,400名から1,800名超まで増える予定。

<ルーマニア>
-2021年までにルーマニアのSlatina拠点に約200百万ユーロを投じると発表。投資額は累計で約740百万ユーロに達する見込み。これにより約500名の新規雇用を創出するほか、年産能力は現在の1,000万ユニットから最大1,500万ユニットに引き上げられる。工場面積は21万平方メートルから26万平方メートルに拡張される予定。