Plastic Omnium 2010年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ユーロ)
  2010年
12月期
2009年
12月期
増減率(%) 要因
全社
売上高 3,249.6 2,458.6 32.2 -Inergy Automotive Systems の買収
-買収したトルコの外装部品メーカー BPO が年間を通して業績に寄与
自動車部品分野
売上高 2,778.0 2,014.5 37.9 1)

 要因(1)
世界戦略車への納入に注力。部門全体に対する地域別の売上高比率は、西欧が44%(2009年は56%)と減少した一方、アジア、南米は21%(2009年は16%)と増加。また、北米地域も26%(2009年は21%)に増加。
比率が増加したアジア・南米地域では、中国、インド、タイ、日本、韓国、ブラジル、アルゼンチンに現在26の工場を保有。2011年にはさらに4つの工場を追加する計画。

企業買収

Inergy Automotive Systemsの完全子会社化
-Inergy Automotive Systemsの完全子会社化について欧州委員会から承認を受け、完全子会社化。同社は2010年6月、合弁パートナーのSolvay S.A(ベルギー)からInergy Automotive Systemsの株式50%を取得する意向を明らかにしていた。買収総額は270百万ユーロ。Inergy Automotive Systemsは世界24拠点(欧州 12、アジア 6、北米 3、南米 2、南ア 1)で自動車用燃料タンクを生産。2010年の売上高は12億ユーロ。

PeguformのRedondela Vigo工場(スペイン)の取得

-2010年9月、外装部門は、Peguform(ドイツ)のスペインにあるVigo工場を26.5百万ユーロで取得。同工場はPSAの工場近隣に位置し、車体部品を製造。2010年の売上高は39百万ユーロ。同工場はこの買収の後に今後立ち上げ予定のCitroen C4 Picasso向けや、PSAの中級モデル向け製品を大口受注し、2014年には100百万ユーロ規模の売上げに成長する見込み。

Automotive Components Holdings LLCの子会社買収
 Inergy Automotive Systemsは、米国ミシガン州Milanを本拠とするFord傘下のAutomotive Components Holdings LLC (ACH)より、樹脂製燃料システム・燃料タンク製造事業を買収すると発表。同拠点は年間1.3百万個の燃料システムを生産。2011年6月1日付けで、買収手続きが完了する見込み。Inergy Automotive Systemsは、北米に3工場(ミシガン州Adrian、サウスカロライナ州Anderson、メキシコRamos)を保有しており、GM、現代、日産、Chryslerを主要納入先としている。今回の買収により、同社は北米生産拠点を強化する。なお、ACHのミシガン州Milan工場における生産は、同州に建設される新工場へ2013年に移管となる予定。Inergy Automotive Systemsは、2012年に燃料システム15百万個超の生産を見込んでいる。(2011年5月19日付プレスリリースより)

新興国動向
2010年度の自動車事業全体に対する中国の売上高は6%。

上海汽車や第一汽車などの中国OEMとの関係深め、マーケットシェアを拡大や事業基盤の強化を推進。外装部門、Auto Inergy部門の2部門あわせて北京(Plastic Omnium Auto Inergy)、南京、成都(2拠点ともYanfeng Plastic Omnium)に新工場を設立。 同社は現在、上海、広東、北京、重慶、武漢といった主要都市に12の工場を保有している。また、新たに研究開発も設立する計画もある。

インドでは、PuneのVarroc工場で2009年末よりGMのBeat用にバンパーを供給、また、Mahindra向けパイプラインで5つのプロジェクトを受注している。
Vellore工場ではInergyがトヨタの低価格車向けに燃料システムを受注し、2010年後半より生産を開始した。
Inergyは2010年1月に、Maruti Suzukiと提携を結び、共同で(Inergyがマジョリティ株式を保有)Swift用燃料タンクを製造する工場を設立中で、2011年から稼動させる予定。

受注

-北京現代のVerna用燃料システム
-Q7等アウディの5つの高級モデル用DINOxエミッションコントロールシステム
-Maruti SuzukiのSwift用燃料タンク ほか

受賞
-
HBPO GmbH(ドイツ)は、Porscheの「Supplier Award 2010」を受賞。新型「Panamera」に採用されたフロントエンドモジュールが評価されたもの。HBPOはHella、Behr、Plastic Omniumの合弁会社。(2010年4月7日付プレスリリースより)

リストラクチュアリング

2010年12月31日時点で、Inergy Automotive Systems Canada Inc のBlenheim工場を売却中
また、2010年中には、Plastic Omnium Automotive LtdのTelford工場及びInergy Automotive Systems SAのNucourt工場を売却した。

開発動向

研究開発費

(単位:百万ユーロ)

2010年12月期 2009年12月期 2008年12月期
合計 144 110 140

研究開発体制
-カーメーカーの近隣に構える世界14の研究開発拠点に約1,000名のエンジニアが従事。

-外装部門では、テイルゲートユニットと、骨格部品ユニットの2ユニットをインターナショナルR&Dセンター Σ-Sigmatechに設置。
今後2020年までにリアオープニングモジュールや、骨格部品のビジネス規模が拡大することを見込んだ動き。この新たな組織によって、マーケットトレンドの把握や、カーメーカーへの技術コンサルタント的なポジションを強化することが狙い。

製品開発
自動車のライフサイクルにおける二酸化炭素排出量の低減に注力。テーマとしては①樹脂、軽量の複合素材,、リサイクル素材やバイオテクノロジーに基づく素材の利用 ②二酸化炭素排出量低減のための機能を統合することで部品の設計を最適化すること ③自動車の耐用年数に達した際に分解やリサイクルがしやすい部品の設計 等が挙げられる。

実例としては、サーモプラスチックやサーモプラスチックとシート成形の複合材によるテイルゲートの開発や、EVバッテリーを搭載できるフロアモジュールの開発 等

SMC
同社は車両重量を50kg 、二酸化炭素排出量を1キロあたり6グラム低減することができる外装部品や、骨格部品を数多く開発。例えば、2010年に開発したSMC(Sheet molding compound: シート成形複合材)による新世代フロアモジュールなどがその一例。

新テイルゲート "Highgate"

外層をサーモプラスチック、骨格をシート成形複合材で構成したハイブリッドテイルゲート"Higate"を開発。この製品は、Peugeot 508 SW と、Range Rover Evoque に搭載されている。 また、全てがサーモプラスチックでできた第二のテイルゲートは小型都市向け車用としてすでに開発。

ハイドロカーボン排出の抑制

Auto Inergy部門は、TBSM や、SCR-DINOx 技術で亜酸化窒素や二酸化炭素等の低減を推進。
TSBM(Twin sheet blow molding)は、燃料タンクを製造したあとに部品を溶接するのではなく、ブロー成形時に燃料タンク内に多くの部品を組み込むことでハイドロカーボン排出を抑制する技術。

設備投資

設備投資額

(単位:百万ユーロ)

 

2010年12月期 2009年12月期 2008年12月期
全社
138 49 96

海外投資

中国
2010年は、南京と成都に、Yanfeng Plastic Omniumの工場を設立。上海VW、一汽VW向けにバンパーを製造する。
インド
-Multi Suzukiとの提携のもと、2010年末にニューデリーに工場を設立。
ブラジル
-2010年末、自動車外装部門は、サンパウロ近郊のSorocaba 工場を設立。トヨタの小型車向けに燃料タンクを製造する。なお、ブラジルにはTaubateにも工場を保有している。
東欧
-自動車外装部門は、ポーランドで初めて工場の建設に着手。東欧には、ポーランド、チェコ、ロシア、ルーマニア、スロバキア(2011年)に合計8つの工場を保有することになり、GM、ルノー、VW、アウディ、スズキ、Skodaへの納入体制を強化する。

モロッコ
Auto Inergy は、ルノーへの納入のためモロッコTangiers に工場を設立。2011年後半に稼動予定。