MICHELIN (Compagnie Generale des Establissements Michelin S.C.A.) 2017年12月期の動向
業績 |
(単位:百万ユーロ) |
2017年12月期 | 2016年12月期 | 増減率 (%) | 要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 21,960 | 20,907 | 5.0 | 1) |
営業利益* | 2,742 | 2,692 | 1.9 | 2) |
乗用車・小型トラックタイヤ部門 | ||||
売上高 | 12,479 | 12,105 | 3.1 | 3) |
営業利益* | 1,552 | 1,585 | (2.1) | |
トラックタイヤ部門 | ||||
売上高 | 6,123 | 5,966 | 2.6 | 4) |
営業利益* | 497 | 580 | (14.3) |
*特別損益算入前
要因
1) 全社売上高
-2017年12月期の売上高は前年比5.0%増の21,960百万ユーロ。販売本数の伸びにより543百万ユーロの増収、また価格ミックスの影響で668百万ユーロ増、さらに買収効果が同社売上に103百万ユーロ貢献した。一方為替の影響で261百万ユーロ減収。
2) 営業利益
-2017年12月期の営業利益は前年比1.9%増の2,742百万ユーロ。販売本数の伸びと価格ミックスの好転による増収分が、マイナスの為替の影響、製造コストやオーバーヘッドの増加等により一部相殺された。
3) 乗用車・小型トラックタイヤ部門
-2017年12月期の乗用車・小型トラック用タイヤ部門および物流事業の売上高は、前年比3.1%増の12,479百万ユーロ。アジア市場全体での販売本数の増加や欧州市場でのOE部門の伸びが貢献した。
4) トラックタイヤ部門
-2017年12月期のトラックタイヤ部門および関連事業の売上高は、前年比2.6%増の6,123百万ユーロ。ほとんどの地域での販売本数の減少にもかかわらず、高価格製品や改良製品ミックスにより売上は増加した。
事業再編
-同社は、中国の合弁会社である双銭集団(安徽)回力輪胎の株式40%を華誼集団に売却することで合意したと発表した。双銭集団(安徽)回力輪胎は、2011年に同社が双銭集団および上海華誼集団とともに安徽省蕪湖市に設立した合弁会社。各社の主要事業およびブランド強化と個々の戦略に注力するため、今回の取引合意に至ったという。(2017年11月20日付プレスリリースより)
買収
-同社は、商用車トラック向けにテレマティクスサービスを提供している米NexTraqを買収すると発表した。米国での車両運行管理サービス事業を拡大し、戦略分野に位置付けるテレマティクスサービスを強化するのが目的。買収手続きが完了後、北米ミシュランの傘下に入る。NexTraqは燃料カードや給与支払いサービスを展開する米フリートコア・テクノロジーズの子会社で、50台以下の小型商用トラックをGPSで管理する運行管理ソリューションを展開している。(2017年8月25日付日刊自動車新聞より)
最近の動向
-Siam Michelinは、タイ経済の失速により、輸送会社各社が低・中品質のタイヤへシフトしていると報じた。低品質のタイヤ市場は前年比20パーセント伸び、中・高品質のタイヤ市場はそれぞれ40パーセントとなった。タイヤの再利用が10パーセントにとどまるため、古いタイヤの溝を成形して再利用することをタイ政府が推進していることが背景にある。 (2017年7月19日付Post Todayより)
業務提携
-現代自動車は、同社とEVおよび高級車用次世代タイヤ開発で技術提携を結んだと発表した。同社の次世代素材と構造技術の活用により、現代の車両の効率と性能の最適化を図り、EV用オールシーズンタイヤを共同開発する。また同社は、Genesisの高級セダン「G80」の純正タイヤも開発予定。両社はNurburgringサーキットで高速時のタイヤ振動特性のテスト・分析を行うという。(2017年11月15日付プレスリリースより)
受注
-同社は、インドChennai工場に、同国市場専用に開発したトラック用ラジアルタイヤ「Michelin X-Guard」の新生産ラインを開設したと発表した。インドのOEMやアフターマーケット市場からの需要増加に対応し、2018年までに同工場の生産能力倍増を目指す。同社はまた、Ashok Leylandの商用車「Captain 3718 PLUS」に「Michelin X-Guard」を供給することで合意したと発表した。(2017年10月11日付プレスリリースより)
-日本ミシュランタイヤは、「ミシュラン プライマシー3」がトヨタ自動車の新型「カムリ」の新車装着用タイヤに採用されたと発表した。プライマシー3は、快適性と高速安定性の両立を目指したタイヤ。接地面形状を最適化することで走行安定性を確保したほか、フルシリカコンパウンドの採用で転がり抵抗を犠牲にすることなく、ウェット性能の向上を図った。(2017年9月1日付日刊自動車新聞より)
-同社は、提携ブランドのHarley-Davidson向けタイヤMichelin Scorcher 11とScorcher 31をインドで取り扱うと発表した。Scorcher 11とScorcher 31は、Harley-Davidsonの二輪車 「Sportster」、「Dyna」、「V-Rod」、「Harley-Davidson Street」の新車装着用タイヤ。同社とHarley-Davidsonが両社の正規ディーラーで同タイヤを販売することを認めるグローバル合意に基づく措置。Harley-Davidsonは2008年以降同社のグローバルパートナー。Scorcher 31は「Harley-Davidson Touring」の純正タイヤでもあり、トレッドパターンは、走行の安定性や水をはじく機能が向上するようデザインされている。Scorcher 11は、接地面が最大になるようトレッドはややなめらかにデザインされている。遠心力への抵抗力を備える一方、アラミド製で軽量化されている。 (2017年4月18日付プレスリリースより)
2018年12月期の見通し
-2018年12月期は、各市場の成長幅に応じて販売量が拡大すると期待。営業利益は為替レート変動による影響を除き2017年12月期実績と同水準またはそれ以上になると予測している。
-2015~2020年の期間にタイヤ部門の売上高20%増を目指す。
研究開発費 |
(単位:百万ユーロ) |
2017年12月期 | 2016年12月期 | 2015年12月期 | |
合計 | 641* | 718 | 689 |
*: 純売上高の2.9%。
研究開発体制
-2017年12月期、研究開発人員は約6,000名。
-同社の研究開発戦略として下記3分野に焦点を当てている。
- 未来の車両: 燃料電池や自律走行車プロジェクトなど
- 未来のモビリティ: 高度道路交通システム (ITS) や相乗り、カーシェアリングなど、新たな利用トレンド支援とタイヤソリューションの統合
- 都市部のモビリティ改革
研究開発拠点
- リサーチセンター: Ladoux (フランス)、群馬県太田市 (日本)、Greenville (米国)、Manesar (India)
- 試験場: Almeria (スペイン)
-2017年、Clermont-Ferrand(フランス)の技術部門の再編を継続した。
-同社は、インドのハリヤナ州マネサールに研究開発ラボを新設したと発表した。広さ3,800平方メートルで、グルガオンのMichelin Technology Centerをサポートする。新センターはラジアルトラックおよびバス用タイヤの研究開発と、Chennai、中国およびタイの生産施設の技術サポートを行う。同社の研究開発予算は年間700百万ユーロ超、欧州、北米およびアジアの技術センターで6,000名超の従業員が研究、開発、エンジニアリングに従事する。(2017年6月13日付フランス大使館プレスリリースより)
製品開発
LTX SUV タイヤ
-同社は、インドでSUV用オールテレインタイヤ「MICHELIN LTX Force」を市場投入したと発表した。「MICHELIN LTX Force」はコンパクトトレッド技術採用し、耐久性とグリップに優れている。トレッドパターンは、耐久性とトラクションを支える高いトレッドブロックにより、接触面積が広くなるように設計されている。またアスファルトの道路では、雨天時に通常の製品よりブレーキ距離が2メートル短くなり、安全面を最大に引き出す。(2017年6月6日付プレスリリースより)
特許
-2017年12月末時点、2,000件以上の特許を保有している。
設備投資費 |
(単位:百万ユーロ) |
2017年12月期 | 2016年12月期 | 2015年12月期 | |
乗用車・小型トラックタイヤ | 1,080 | 1,080 | 1,077 |
トラックタイヤ | 476 | 520 | 487 |
特殊事業 | 215 | 211 | 239 |
合計 | 1,771 | 1,811 | 1,804 |
-2017年12月期の設備投資プロジェクトは以下の通り。
- 生産能力拡大、生産性向上、乗用車・小型トラック向けタイヤ製品ラインナップの刷新 (メキシコLeon、フランスRoanne、中国瀋陽、セルビアPirot)。
- 生産能力拡大、生産性向上、乗用車・小型トラック向けタイヤ製品ラインナップの刷新 (ルーマニア、タイ、フランス、ポーランド、インド)。
-2017年は3つの新工場での生産能力拡大。2020年までに下記3工場の合計年間生産量は400,000トンに達する見通し。
- Itatiaia (ブラジル) 乗用車・小型トラックタイヤ
- Chennai (インド) トラックタイヤ
- 瀋陽第2工場 (中国) 現地での乗用車・トラックタイヤ生産能力の大幅な拡充
-2017年は、2015年に開始した欧州事業の再編計画を継続。265百万ユーロを投資し、英国、イタリアの製造施設とサプライチェーンのアップグレードを行い、ドイツのPneu Laruent工場を閉鎖した。
-2018年までに主要な乗用車・トラックタイヤ工場の年間生産能力を平均96,000トンに引き上げる見通し。
国内投資
-90百万ユーロ投資し、フランスCatarouz, La Combaude工場とGravanches工場に最先端設備およびプロセスを導入している。
海外投資
<インド>
-同社は、インドChennai工場に、同国市場専用に開発したトラック用ラジアルタイヤ「Michelin X-Guard」の新生産ラインを開設したと発表した。インドのOEMやアフターマーケット市場からの需要増加に対応し、2018年までに同工場の生産能力倍増を目指す。同社はまた、Ashok Leylandの商用車「Captain 3718 PLUS」に「Michelin X-Guard」を供給することで合意したと発表した。(2017年10月11日付プレスリリースより)
<メキシコ>
-同社は、メキシコGuanajuato工場の第2フェーズの建設を3月末までに開始すると発表した。投資額は510百万ドルで、2019年の稼働を予定。現在はプラットフォームを構築中。(2017年3月20日付 Mexico-Nowより)