Faurecia S.A. 2010年12月期の動向

ハイライト

業績 (単位:百万ユーロ)
  2010年
12月期
2009年
12月期
増減率
(%)
要因
売上高 13,795.9 9,292.2 16.4 1)
営業利益 455.6 (91.7) - -

要因
1)
-2010年の全社売上高は13,795.9百万ユーロで、前年の9,292.2百万ユーロから大幅な増加となった。2010年の売上には、2010年1月に連結対象となった米Emcon Technologies社の売上(2,416.1百万ユーロ)とPlastal社のドイツおよびスペイン法人の売上(計386.5百万ユーロ)とが含まれている。同社の2010年連結売上高は前年比48.5%増となり、買収案件を除いた場合は、前年比17.9%増(上期26.9%増、下期10%増)となった。

-Volkswagenグループへの売上高は、前年比20.5%の増加の2,595.7百万ユーロで、全社の製品売上高の24.3%を占めた。北米地域は同27.0%の成長、南米地域同20.4%、アジア地域は前年比57.3%に急増した。これは、ゴルフおよびティグアンのプラットフォームの成功によるもの。

-PSA Peugeot Citroenグループへの売上高は、前年比10.4%増の1,950.2百万ユーロとなり、全社製品売上高の18.2%を占めた。主な要因として、アジア地域(シトロエンC4が好調で前年比59.6%増)、南米地域(プジョー207および商用車のBerlingo/Partnerが好調で前年比55.5%増)の大幅な成長を上げている。欧州地域は前年比5.7%増となった。

-ルノー・日産グループへの売上高は、全社売上高の11.9%を占めた。前年比19.1%増の1,274.7百万ユーロとなり、欧州で12.4%増、南米27.2%増(Renault Logan/Sandero)、アジア63.2%増となった。

-BMWグループへの売上高は、前年比8.2%増の982.0百万ユーロ(全社製品売上の9.2%)となった。欧州は同3.3%の増加となったが、北米地域が好調(同17.8%増、X5の販売量が回復)であった。

-Fordグループへの売上高は、1,179.5百万ユーロで、全社製品売上高の11.0%を占める(期中に中国Geelyに売却されたVolvoは除く)。

-General Motorsグループへの売上高は、前年比44.0%増の1,053.2百万ユーロとなった(全社製品売上高の9.8%)。

-Daimlerグループへの売上高は、前年比38.8%増の456.6百万ユーロ(全社製品売上高の4.3%)。

-2010年のFiat/Chrysler、Hyundai/Kiaへの売上高は、それぞれ前年比55.0%、同25.6%の増加。トヨタ自動車への売上高は、12.0%の減少となった。

シート部門
-シート部門の売上高は、前期比14.5%増(合併後の事業規模比)、12.0%増(合併前換算)の4,571.3百万ユーロに増加。

<欧州>
-欧州での売上高は、3,063.0百万ユーロと5.3%、5.1%(合併前換算)の増加。

<アジア>
-アジアは、前年比71.0%増(合弁後の事業規模比)の427.3百万ユーロ。2010年下期は前年同期比59.0%増となった。合併前の同事業のみで比較すると、前年比61.0%増(2010年下期で前年同期比43.1%増)。

<北米>
-北米では売上高は前年比51.5%増(決算レポートベース、既存事業比で41.7%増)の635.8百万ユーロ。2010下期は、前年同期比21.3%増(既存事業比8.9%増)。

<南米>
-南米の売上高は、前年比68.2%増(決算レポートベース、既存事業比で46.7%増)の201.1百万ユーロ。2010年下期は、前年同期比59.6%増(決算レポートベース、既存事業比で41.6%増)。

内装システム部門
-内装システム部門の売上高は、3,092.6百万ユーロ、18.4%の増加 (決算レポートベース、既存事業比で14.9%増)。

<欧州>
-欧州での売上高は、前年比11.3%増(2009年の既存事業比10.7%増)の1,804.1百万ユーロ。

<北米>
-北米の売上高は、479.1百万ユーロ、62.6%の増加(既存事業比51.3%増)。

<アジア>
-アジアでは、138.2百万ユーロ、57.7%(既存事業比46.2%増)の増加。

<南米>
-南米の売上高は、163.5百万ユーロと49.8%(既存事業比29.6%増)の増加。

排気システム部門
-排気システム部門の売上高は前年比161.8%増(既存事業比28.6%増)の4,781.4百万ユーロ。触媒コンバーターモノリス分を除くと30.2%の増。

-地域ごとでは、触媒コンバーターモノリスを除く売上高は、欧州で100.0%増(既存事業比19.2%増)、北米で315.9%増(既存事業比53.4%増)、アジア地域が101.3%増(既存事業比42.0%増)。

-2010年下期の売上高は、欧州で前年同期比95.0%の増加(既存事業比15.3%増)、北米で259.4%増(既存事業比32.4%増)、アジア地域で94.9%増(既存事業比32.5%増)となった。

外装システム部門
-外装システム部門の売上高は、1,350.7百万ユーロと56.4%の増加 (既存事業比11.5%増)。

受賞

-同社は、ベストグローバルサプライヤーとして「Volkswagen Group Award 2010」を受賞したと発表。(2010年6月21日付プレスリリースより)

受注

-同社はインストルメントパネルをCitroen「DS3」向けに供給すると発表。この車両は2010年ジュネーブモーターショーで発表された新型車。(2010年3月15日付プレスリリースより)

事業提携

-同社は、中国の吉利汽車(Geely)、利民集団(Limin Group)と戦略的提携契約を締結した。3社は共同で内外装部品の開発・生産を行い、吉利の中国モデル全車種に供給する。国内5ヵ所で建設中の吉利の新 工場に納入する予定。利民は浙江省台州(Taizhou)に本拠を置くサプライヤーで、吉利に内外装部品を納入している。3社は今回の合意に基づき、合弁 で複数の新会社を設立する計画。(2010年7月7日付プレスリリースより)

企業買収

-同社は、金属製内装部品メーカーのAngell-Demmel Europeを約12百万ユーロで買収。Angell-DemmelはドイツのLindauを本拠とする。Angell-Demmel Europe の2010年1-9月期の売上高は55百万ユーロで、そのうち90%をAudi、BMW、Daimler、Porsche、Volkswagen向けが占 める。LindauとオーストリアKennelbach に生産2拠点、Lindauに設計・開発・試作センター1拠点を保有。その3拠点の従業員数は約800人。買収手続きは2011年1月1日までに完了する 見込みで、その後Angell-DemmelはFaurecia Interior Systems business groupに加わることになる。(2010年11月23日付プレスリリースより)

-同社は、Hoerbiger Automotive Komfortsysteme GmbHからシートコンフォート事業を買収すると発表した。この事業部門は、空圧式シートコンフォートシステムの開発・生産を行っている。2009年に 20百万ユーロの売上を記録、主にAudi、BMW、Mercedes-Benzを顧客としている。Hoerbigerは事業売却を契機に、コンバーチブ ルトップシステムや空圧式ギアシフトシステムに中核能力を集中させる計画。なお、今回の買収手続きは2010年末までに完了する見込み。(2010年10月26日付プレスリリースより)

-同社はスウェーデンの樹脂製外装部品メーカーPlastal Industri ABのスペイン事業、Plastal Spain S.A.を買収すると発表した。3月に完了した同社ドイツ事業の買収に続くもので、欧州における外装部品事業の基盤を強化する。Plastalはバルセロナ、 バレンシアなどスペインに4生産拠点を持ち、120万ユニットのバンパーを供給している。売上高は1億3500万ユーロ、従業員は700人(2009年実績)。(2010年7月7日付日刊自動車新聞より)

-同社は、スウェーデンの樹脂製外装部品メーカーPlastal Industri ABのドイツ事業を33百万ユーロで買収した。同事業は国内に生産6拠点と研究開発拠点を保有、2009年には408百万ユーロの売上を記録した。主な 納入先はAudi、BMW、Daimler、Ford、Porsche、Volkswagenなど。(2010年3月31日付プレスリリースより)

-同社は、インド合弁会社Taco Faurecia Design Center (TFDC)の全株式を取得し、完全子会社とした。同社は2004年、Tata Auto Comp System Ltd. (TACO)との折半出資によりTFDCを設立。この会社は主に、同社の内装部品事業の研究・開発機能を担っている。TFDCは既に Manesar工場でシートを生産しているが、さらに同国での新たなシート工場建設を計画中。(2010年1月5日付プレスリリースより)

開発動向

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
  2010年12月期 2009年12月期 2008年12月期

合計

689.1 493.2 613.0

研究開発体制

-3,500名のエンジニア・技術者が在籍。R&Dならびに設計開発センターは28ヶ所。

設備投資

セグメント別設備投資額

(単位:百万ユーロ)
  2010年12月期 2009年12月期 2008年12月期
内装モジュール 172.5 114.6 253.7
その他モジュール 124.4 45.9 63.1
その他 7.4 8.6 11.9
合計 304.3 169.1 328.7

国・地域別設備投資額

(単位:百万ユーロ)
  2010年12月期 2009年12月期 2008年12月期
フランス 63.2 68.7 102.9
ドイツ 27.1 18.0 15.7
その他欧州諸国 52.6 43.4 97.3
北米 72.4 23.2 32.0
南米 23.2 10.0 32.4
アジア 42.6 15.6 39.5
その他 23.3 11.2 10.4
合計 304.4 190.1 330.2

合弁事業

-同社は中国吉林省の長春市人民政府から、旭陽集団(Xuyang Group)の株式18.75%を取得することで合意した。現在は、同政府が旭陽の過半数株式を保有している。旭陽は第一汽車(FAW Group)や一汽VW(FAW-VW)等のサプライヤー。同社は旭陽への資本参加に伴い、中国事業の拡大を図る。旭陽とは既に合弁(出資比率同社60%、旭陽40%)で長春佛吉亜旭陽汽車座椅有限公司(Changchun Faurecia Xuyang Automotive Seat Co. Ltd:CFXAS)を運営中。CFXASは現在シートフレームを生産しているが、取扱品目をシート一式に拡大する。同社と旭陽は合弁出資に より、2社を新規設立する。まず、インテリアシステムの生産拠点を同社60%、旭陽40%の出資により設立。これは同社の長春工 場を利用する。また、アコースティックモジュールおよびインテリアトリムの生産法人を新設。出資比率は同社40%、旭陽60%。同拠点は旭陽 の工場を引き継ぐ形となる。(2010年6月30日付プレスリリースより)