Webasto SE 2014年12月期の動向

近年の動向

業績

-2014年12月期の売上高は2,469百万ユーロであり、2013年12月期売上高2,279百万ユーロと比べ8.3%の増加。
 *数字はIFRS11に準拠し、再計算されている。

-2014年12月期売上高の事業内訳は、

  • サンルーフ/サンルーフ部品 (スライド/パノラマルーフ): 68%
  • サーモ/コンフォート (ヒーター、エアコン): 20%
  • コンバーチブルルーフ: 12%

-2014年12月期のEBITマージンは5.5%の136百万ユーロであり、前年比9.7%増。

-2014年12月期売上高の増加要因として、スライド/パノラマルーフ事業の売上高が2桁ポイント増加したことが挙げられる。

受注

-2014年12月期の主な受注

車両 同社製品 特性
BMW 「2 Series Convertible」 コンバーチブルルーフ -油圧式ルーフは20秒以内にリアシートの奥にあるトランクに折り畳んで収納される。
-時速50km以下の走行で開閉操作が可能。
第3世代Audi 「TT Roadster」 ソフトトップ -マグネシウム、アルミニウム、プラスチックなど軽量素材を組み合わせている。
-2個の電気モーターを使って全自動でルーフが開き、10秒以内でソフトトップをアルミ製の独立したコンパートメントに収納できる。
-ルーフの開放には10秒かかるが、時速50km以下なら走行中に操作が可能。
Volvo, PHV 「XC90」 高電圧ヒーター (HVH) -従来型のPTCヒーターなどと比較して大幅に小型・軽量化。エンジンルーム内のデッドスペースを活用して搭載可能。
-加熱用の高電圧電流の制御や車両との連携を行う電子制御ユニットも同社が開発、筐体に納めている。
第3世代のDaimler 「smart fortwo」 固定式パノラマルーフ -大きさ1.2平方メートルの透明なルーフパネルは、Bayer MaterialScience製の軽量ポリカーボネート「Makrolon」を使用。
-プラスチック製パネルの重さはわずか9.8kgで、ガラス素材に比べ最大50%の軽量化。
Opel 「Adam Rocks」 「Swing Top」ファブリックサンルーフ -5秒で電動式ルーフが開閉。
-樹脂製フレームによりルーフ全体の重量は13kg。
第7世代のGM 「Chevrolet Corvette Stingray Convertible」 ソフトトップ -ドイツHengersberg工場と、米国ミシガン州のPlymouth工場のエンジニアリングチームが共同開発。
-ルーフシステムの量産はPlymouth工場で行い、インナーライニングはメキシコPueblaにあるテキスタイル開発センターから調達する。
BMW 「4 Series Convertible」 3分割リトラクタブルハードトップ -最高速度18kmまでの走行において、ボタン操作で23秒以内にトランクに格納できる。
-最終組み立ては、ドイツRegensburgのBMW拠点内に位置するコンバーチブルルーフ工場。
-組立前工程はドイツHengersberg工場。

受賞

-Fordより「World Excellence Award」で金賞を受賞したと発表。ドイツにあるSchierling工場がこの賞を受賞するのは今回で4回目となる。同工場では、これまでFord向けに約450万ユニットのルーフを生産した。現在は、ポリカーボネートパネルおよびルーフ、軽量安全ガラス「Webasto Glas ProTec」、ソーラールーフ、ポリウレタン複合素材製の軽量スライディングヘッドライナーなどを生産している。 (2014年6月12日付プレスリリースより)

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
2014年12月期 2013年12月期 2012年12月期
合計 187 189 174
売上に占める割合 (%) 7.6 8.3 7.7

*数字はIFRS11に準拠し、再計算されている。

研究開発

軽量化への取り組み

  • ポリカーボネート: 軽量 (ガラス比約50%)、耐衝撃性、3Dモールド性
  • ProTecガラス (ガラスとプラスチックの複合体): 軽量 (従来のラミネート安全ガラス比約10-15%)、安全
  • ファイバープラスチック複合材: 軽量 (スチール比約50%)、剛性、3Dモールド性、遮音性、遮熱

製品開発

高電圧ヒーター (HVH)
-独ベバストサーモアンドコンフォートは、プラグインハイブリッド車 (PHV) 向けに電気式補助ヒーターの提案を強化する。同社が開発した高電圧温水ヒーター (HVH) は、従来型のPTCヒーターなどと比較して大幅に小型・軽量化しており、エンジンルーム内のデッドスペースを活用して搭載可能。加熱用の高電圧電流の制御や車両との連携を行う電子制御ユニットも同社が開発、筐体に納めている。スウェーデンのボルボ・カーのPHV 「XC90」 向けに今年半ばからドイツで量産する。14年には日米欧中の複数の自動車メーカーから受注し、2、3年後に供給を開始する計画だ。小型化もしくは高出力化など、自動車メーカーの要求に対応した開発も行う。例えば、米国自動車メーカー向けには冷却水を加熱する発熱素子や基板を見直して出力を従来の5キロワットから7キロワットに向上したものを納入する。 (2015年2月14日付日刊自動車新聞より)

設備投資額

(単位:百万ユーロ)
2014年12月期 2013年12月期 2012年12月期
合計 125 147 121
売上に占める割合 (%) 5.1 6.4 5.4

*数字はIFRS11に準拠し、再計算されている。

-2013年12月期の設備投資金額147百万ユーロのの内45百万ユーロは、ドイツSchierlingのプラスチック工場の拡張に充てられた。

海外投資

<ルーマニア>
-ルーマニアAradにあるサンルーフおよびパノラマルーフの生産拠点を拡張したと発表。同拠点で3番目となる生産棟の面積は約10,000平方メートルで、投資総額は約65百万ユーロ。拡張完了後の総面積は26,000平方メートルとなる。同社は2014年、Arad拠点で50万ユニット超のサンルーフとパノラマルーフを生産した。2015年はBMWやVolkswagen Group向けに、サンルーフとパノラマルーフを約75万ユニット生産する見込み。 (2015年6月11日付プレスリリースより)

<スロバキア>
-Webasto-Edschaは、スロバキアのVelky Meder拠点に新たに工場を開設し、同社のスロバキア拠点におけるコンバーチブルルーフの生産能力を拡大した。今回、Velky Meder拠点では、これまで距離的に離れていたWebasto Groupのコンバーチブルルーフ事業部門の生産2工場を1つに統合。これにより、試作から最終組み立てまでを1カ所で行うことが可能になったという。同拠点全体では従業員約430名を雇用している。今回の拡張に向けた投資額は6百万ユーロ。生産および物流エリアは8,800平方メートル拡張され、生産スペースは16,300平方メートルとなった。 (2014年1月23日付プレスリリースより)

<中国>
-2014年7月、中国で10カ所目となる遼寧省瀋陽 (Shenyang) のルーフシステム工場を開設したと発表。この工場の投資額は約4.4百万ユーロ。2014年のルーフ生産量は130,000セットを見込む。2018年には年産600,000セット規模とする計画。 同社は湖北省武漢 (Wuhan) にもルーフシステム工場を建設しており、2工場への総投資額は6.6百万ユーロ。