Webasto SE 2013年12月期の動向

ハイライト

近年の動向

業績

-2013年12月期の売上高は2,486百万ユーロであり、前年比2%の増加。
 売上の事業内訳は、
  • サンルーフ/サンルーフ部品 (スライド/パノラマルーフ): 69%
  • サーモ/コンフォート (ヒーター、エアコン): 20%
  • コンバーチブルルーフ: 11%
-2013年12月期において、スライドルーフおよびパノラマルーフを、初めて10百万台以上売り上げた。

-2013年12月期のEBITマージンは5.1%の126百万ユーロであり、前年比ほぼ横ばい。

-2014年12月期の売上高は4.0%増加する見通し。

受注

-2013年12月、ドイツのSchierling工場で中国市場向けのポリカーボネート (PC) パネルの生産を開始したと発表した。このパネルは、Volkswagen 「Golf 7」 向けパノラマルーフの生産拠点である中国・広州 (Guangzhou) 工場に出荷される。同工場で生産したルーフは、一汽大衆 (FAW-VW) の仏山 (Foshan) 工場に供給され、中国で販売される車両に使用されている。

-2013年10月、2015年よりVolvoに高電圧ヒーター (HVH) を納入すると発表。このヒーターは、車室内暖房用でエンジンから廃熱が十分に発生しないHVやEV向けとなる。

-2013年9月、コンバーチブル部門Webasto-Edschaは、Jaguarの2人乗りスポーツカー 「F-Type」 向けにソフトトップを開発し、生産を開始していると発表。時速50km以下の走行で、12秒以内に完全自動でソフトトップが開く。ルーフの開閉にかかわらず、トランクの容量は196L。このモデルに採用されたコンバーチブルルーフは2013年5月に発売され、ドイツHengersbergにあるWebasto-Edschaの本社で開発された。組み立ては英国のCoventry拠点で行っている。

-2013年3月、コンバーチブル部門Webasto-Edschaは、2013年春に欧州市場で発売されるVolkswagen 「Beetle Convertible」 向けに、ソフトトップを開発し生産を行っていると発表。ボタンを押すとルーフは9.5秒以内に開き、時速50kmまでこの操作が可能になる。従来の油圧駆動式に対して同モデルのソフトトップは電気駆動式で、ルーフシステム内にコンパクトに格納されている。また、従来の油圧式ルーフに比べて20%超の軽量化を実現した。


企業買収

-2013年10月、トルコ子会社のWebasto SPMがGaspa Otomotiv Sogutmaを買収することで合意したと発表した。Gaspaは、クーリングシステム事業でトルコにおけるWebasto Diaviaの提携先。買収手続きは、今後数カ月以内に完了する見込み。今回の買収により、顧客はさまざまなヒーティングシステムおよびクーリングシステムを1つの企業から調達できるようになるという。主な市場は小型・中型バス、オフハイウェイ車、特殊車両など。

開発動向

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
  2013年12月期 2012年12月期 2011年12月期
合計 191 175 182
総売上高に対する割合 (%) 7.7 7.2 7.9

研究開発拠点

-2013年7月、ドイツのHengersbergにおいて、管理部門および開発部門が入居する新建屋の上棟式を行った。コンバーチブルルーフのより効率的な開発を実現するため、既存拠点に隣接する建物に移転する。これにより、開発・試作品製作・試験が1つの拠点で行われることになる。新建屋は2013年末に完成し、従業員約350名が異動する予定。

製品開発

電気自動車のための暖房用ヒーター
-2013年7月、ベバスト サーモアンドコンフォート ジャパンは、電気自動車 (EV) など、電動車のための暖房用ヒーターの市場に参入すると発表。独ベバスト サーモアンドコンフォートが開発した高効率タイプのヒーターを日本の自動車メーカーに売り込み、2016~17年の採用を目指す。電動車は冬期の暖房の電力を駆動用電池から得ており、ヒーターの効率を高めることが、航続距離の延長につながる。開発した高電圧温水式ヒーター (HVH) は、250~450ボルトの高電圧によって、厚さ1ミリメートル以下のフィルム状の発熱素子で暖房用の水を加熱する。独では15年に量産を開始し、欧州自動車メーカーに納入する。日系自動車メーカー向けには16~17年モデルに向けて提案活動を推進する。対象はEVのほか、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車。今後の電動化が見込まれるバス・トラックなどの商用車や、燃費向上の効果が見込まれるガソリンエンジン車用にも受注活動を広げる。将来は日系メーカー向けの製品設計を日本で行うことも検討する。

設備投資

設備投資額

(単位:百万ユーロ)
  2013年12月期 2012年12月期 2011年12月期
合計 155 136 81
売上高に対する割合 (%) 6.2 5.6 3.5

国内投資

-2013年12月、ポリカーボネート部品事業の拡大に向けて45百万ユーロ (約61百万ドル) を投じたと発表。ドイツのSchierling拠点に約4,500平方メートルの生産工場を建設しており、年産能力は100万ユニットに増加。また、同拠点ではSmart向けに固定式ルーフ部品を納入しているほか、さまざまな自動車メーカー向けにパネルを生産している。これらの軽量パネルは、スライディングルーフやパノラマルーフの前面および側面に使用が可能。なお、ルーフシステム用部品の生産は、Schierling拠点のPlastics Competence Centerのみで行っている。

海外投資

<中国>
-2013年11月、中国の重慶 (Chongqing) 拠点において、パノラマルーフおよびサンルーフの生産工場を開設したと発表。面積は約16,000平方メートルで、総投資額は6.4百万ユーロ (8.7百万ドル超)。2016年までに、重慶拠点でサンルーフの年産能力を最大70万ユニットにする計画。また、同社は2014年までに湖北省武漢 (Wuhan) および遼寧省瀋陽 (Shenyang) にそれぞれ新工場を開設する予定。これにより、同社の中国におけるサンルーフ工場は10カ所となる。