Rheinmetall Automotive AG (旧 KSPG AG) 2016年12月期の動向

業績

(単位:百万ユーロ)
2016年
12月期
2015年
12月期
増減率 (%) 要因
Rheinmetall Automotive
売上高 2,656 2,592 2.5 1)
営業利益 216 216 0.0 -
部門別売上高
Mechatronics部門 1,527 1,450 5.3 2)
Hardparts部門 921 952 (3.3) 3)



要因
1) 全社売上高
-2016年12月期の全社売上高は前年比2.5%増の2,656百万ユーロ。為替差益を除くと約3%の伸長。

2) Mechatronics部門
-同部門の2016年12月期の売上高は前年比5.3%増の1,527百万ユーロ。自動車排気システム事業では、ラジエーターモジュールは減収となったものの、排気ガスフラップおよびガス循環バルブの売上が増加し、好調を維持した。転換エアバルブ、電空式バルブ、各種ポンプの売上も増加した。

3) Hardparts部門
-同部門の2016年12月期売上高は前年比3.3%減の921百万ユーロ。ほとんどの事業ユニットで減収となったが、大型エンジンの需要減に伴い、特に大径ピストンの減収が大きかった。小径ピストンとベアリングも若干の減収となった。

合弁事業

-同社傘下のPierburg と浙江銀輪機械有限公司 [Zhejiang Yinlun Machinery Co., Ltd.] は上海に合弁会社を設立することで合意した。合弁会社の社名は「皮爾博格銀輪排放技術(上海)有限公司 [Pierburg Yinlun Emission Technology (Shanghai) Co., Ltd.]。持ち株比率はPierburg 51%、銀輪49%。上海奉賢区(Fengxian District, Shanghai)の銀輪生産拠点内に工場を建設し、2018年の稼働開始を目指す。中国市場向けEGR冷却モジュールを生産する。工場にはまず生産ライン1本と測定設備を導入し、その他の生産ラインは2018年から2020年までに完成させる予定。(2016年12月9日付け各種リリースより)

-完全子会社であるKolbenschmidtとリケンの中国合弁会社が操業を開始したと発表した。同合弁会社は湖北省に位置し、ピストンリングの生産を行う。Kolbenschmidtは今回、理研汽車配件 (武漢) 有限公司 [Riken Automobile Parts (Wuhan) Co. Ltd.] の株式30%を取得し、合弁会社化した。リケンが2004年に武漢 (Wuhan) 市で設立したこの理研汽車配件 (武漢) は、12,000平方メートルの生産工場を保有しており、従業員数は300名。中国に拠点を持つ自動車関連の顧客向けに納入する。(2016年3月21日付プレスリリースより)

-同社傘下のKS HUAYU AluTechは、ドイツLangenhagenを本拠とするAlbert Hackerodt Maschinen- und Werkzeugbauの主要な資産を取得すると発表した。買収にはこのアルミ加工部品メーカーの従業員113名のほか、全ての工場と設備が含まれる。また、KS HUAYU AluTechは、Hackerodtが持つ既存の供給契約に関しても、自動車関連の顧客と契約を締結する意向。Hackerodtの中核製品は、エンジンブロック、シリンダーヘッド、トランスミッションおよび各種エンジン部品。Volkswagen、Audi、Bentley、Bugatti、BMWなどを顧客に持つ。過去にKS Aluminium-Technologieの名称でKSPG子会社として経営されていたKS HUAYU AluTechは、2014年にKSPGと華域汽車系統 (HASCO) の間で合弁会社化された。(2016年2月22日付プレスリリースより)

事業再編

-グループの統合について発表した。同グループの自動車部門と防衛部門を統合する包括的戦略プログラムを打ち立て、事業を最適化することによって市場シェアの拡大と成長を図る。今回の再編によって自動車部門のKSPGは、Rheinmetall Automotiveに名称変更される。(2016年9月1日付プレスリリースより)

業務提携

-リケンは、海外で展開している独コルベンシュミット(KS)との合弁事業を強化し、2020年度までにKS製パワーシリンダーユニット向けピストンリングの供給量を2倍以上に増やす。現在はKSが調達するピストンリングの1割強をリケンが占めているが、4、5年後をめどに25%にまで引き上げる。(2016年9月13日付日刊自動車新聞より)

受注

-同社傘下のKS Kolbenschmidtは、乗用車ディーゼルエンジン用スチールピストンを受注したと発表した。受注額は45百万ユーロ超。2019年から6年間にわたってチェコのUsti nad Labem工場で生産が行われる。このスチールピストンは、高級車メーカーの次期6気筒ディーゼルエンジンに搭載される。(2016年11月29日付プレスリリースより)

-ZFより契約期間5年、総額約66百万ユーロの受注を獲得したと発表した。トランスミッション、ブレーキ、ショックアブソーバー、シャシーシステム、ダンパー付フライホイールなどに使用するスラストワッシャーやブッシュを納入する。今回の受注により、KSPGの子会社KS Gleitlagerは、ZFの6速、8速、9速オートマチックトランスミッション向けにベアリングを納入する単独サプライヤーとなる。金属製および金属/樹脂製のPermaglideブランドのベアリングが対象となる。これらの部品は、ドイツのSt. Leon-Rot工場とメキシコのCelaya工場で生産される予定。(2016年5月25日付プレスリリースより)

-自動車エンジン用スチールピストンを受注したと発表した。約118百万ユーロの売上高に相当する。この契約には、ピストンピンおよびピストンリングも含まれ、ピストンASSYを供給することになる。チェコのUsti nad Labem工場で、2018年はじめに量産を開始する予定。このピストンASSYは、高級自動車メーカーの4気筒および6気筒ディーゼルエンジン向けとなる。(2016年4月20日付プレスリリースより)

-同社傘下のPierburgは、中国自動車メーカーよりコントロールバルブ、インテークマニホールド向けアクチュエーター、電動切り替えバルブを受注したと発表した。受注総額は約85百万ユーロ。これらの部品は、SUVやピックアップトラック、配達用バンなどに搭載される2Lディーゼルエンジン向けとなる。中国の江蘇省昆山 (Kunshan) にあるPierburgの工場で2018年よりバルブの一部を生産し、それ以外はドイツのベルリン工場で生産を行う予定。(2016年4月6日付プレスリリースより)

-子会社のKS Kolbenschmidtが大手米国自動車メーカーよりピストンモジュールを受注したと発表した。受注総額は約32.5百万ユーロ。このピストンモジュールは、同自動車メーカーが複数の欧州拠点で生産する3気筒ディーゼルエンジンに採用される予定。KS Kolbenschmidtは、2019年よりチェコのUsti nad Labem工場でこの製品の生産を開始する計画。(2016年3月22日付プレスリリースより)

-米国自動車メーカーの2L 4気筒ガソリンエンジン向けにピストンを追加受注したと発表した。受注額は170百万ユーロ超。この部品は、メキシコCelayaにあるKolbenschmidtの工場で生産され、2017年より同自動車メーカーの北米・欧州の拠点向けに納入が開始される予定。今回受注したアルミ製ピストンは、KSPGの「Liteks」シリーズ。従来の内燃エンジン向けに加え、この米国の自動車メーカーは、ハイブリッド駆動システム向けにもKS Kolbenschmidt製のピストンを採用している。(2016年2月17日付プレスリリースより)

-インドメーカーより数千万ユーロ規模の大口受注を獲得したと発表した。2016年12月よりミッドサイズの商用車用エンジン向けに、電動EGRシステムを納入する。これらのエンジンは、「Euro 4」に相当するインドの排出ガス基準「BS-4」に対応している。(2016年2月3日付プレスリリースより)

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
合計 184 167 149


-燃焼エンジンおよび電動ドライブの進化を通じて、排ガス低減および燃費向上に注力する研究開発活動を行っている。

研究開発人員

2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
合計 1,091 1,035 988



製品開発

NAIAS 2017展示製品
-NAIAS 2017で軽量、低摩擦、かつ頑丈なガソリンエンジン向けLiteksピストンシリーズを展示すると発表した。リケンと共同開発したピストンリングも併せて展示。また、コンパクトな排出ガス再循環バルブも同時に展示される。自然吸気エンジンやターボチャージャー付きエンジンの燃料節約を補助する機能を持ち、米国では既に生産が開始されている。 (20161216日付プレスリリースより)

EGRフラップバルブ「FlexVent」
-同社子会社のPierburgが、商用車向け大容量ディーゼルエンジン用のセンサー付きEGRフラップバルブ「FlexVent」を開発。高い測定精度をもつセンサーによって、特定のガスを制御して排ガスと燃料消費の削減を達成。初期調査によると、このバルブによって1%の燃料消費を削減できる。なお、現在は試作段階で引き続きテストを継続中。

電動バキュームポンプ
-NEDC (新欧州ドライビングサイクル) ベースで、既存製品に比べてCO2排出量を1g-CO2/km低減する電動バキュームポンプを新開発した。このポンプは必要な時のみ作動することで排出削減を実現し、エンジン潤滑システムの使用負荷も低減する。


電動燃料蒸気ポンプ
-電動ポンプの新製品を開発した。ガスタンクから燃料蒸気を抽出した後、ターボチャージャー付きガソリンエンジンにガスを送り、より多くの燃料が燃焼されるようにする。また、このポンプは不燃焼炭化水素の排出低減にも貢献する。

可変バルブコントロールシステム「UpValve」
-同社子会社のPierburgは、可変バルブコントロールシステムの新製品「UpValve」を開発した。高速性能および反応性能が最適化されており、必要に応じてシリンダーの休止が可能。試験データでは、ターボチャージャー付きガソリンエンジンで5%の燃費節約を実現する。「UpValve」は現在試験中で、2019年に生産開始の予定。

設備投資額

(単位:百万ユーロ)
Rheinmetall Automotive 2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
合計 149 167 158

-全社設備投資額のうち、ドイツでの投資が約45%、その他が約55%を占める。


Mechatronics部門
-2016年の設備投資額は前年から横ばいの82百万ユーロ。主に、新規顧客プロジェクト対応の生産能力拡大、新製品の産業化のための投資を行った。

Location 投資内容
Neuss, ドイツ キャスティングセルの調達およびオーバーホール
Thionville, フランス 各種ウォーターポンプの生産ラインおよびツールの拡張
Abadiano, スペイン 排ガス再循環バルブのアッセンブリーラインおよびツールの整備
Usti, チェコ 排ガスフラップの生産およびアッセンブリー用システムおよびツールの取得
Fountain Inn, SC, 米国 排ガス再循環バルブのアッセンブリーラインおよびツールの整備
Celaya, メキシコ 各種オイルポンプの生産ラインおよびツールの拡張
Shanghai, 中国 コイル生産のシステムおよびツールの取得


Hardparts部門
-Hardparts部門の2016年12月期における設備投資額は56百万ユーロで、前年度から16百万ユーロの減少。部門内の全ビジネスユニットで投資が減少したが、とりわけ大径ピストン及び小径ピストンの投資減が大きかった。

工場 投資内容
Neckarsulm, ドイツ 乗用車用スチールピストン生産ラインの整備
Ustí, チェコ 乗用車用スチールピストン生産ラインの整備
アルミピストン生産の建物およびシステムの拡張
Marinette, WI, 米国 アルミピストン生産ラインの最新化
Supa, インド 滑り軸受用主要材料生産の準備および拡張

国内投資

-同社とHUAYU Automotive Systemsの合弁会社で、ドイツのNeckarsulmに拠点を置くKS HUAYU AluTechは、新規事業が順調に成長していると発表した。アルミダイキャスト部品の受注増加に伴い、同社では工場の拡張を予定している。3,400平方メートルの新工場建設と既存のピストン工場の改修を含む、合計5,000平方メートルの拡張を行う計画。新工場の着工は2017年初めを予定しており、生産開始は20187月になる。さらに同社では新たなダイキャスティング設備などの導入も計画し、アルミニウムの製錬能力は日産で最大100トンを見込む。(2016128日付プレスリリースより)

-2016年、Niederrheinに位置する鋳物工場の拡張を完了した。

海外投資

-チェコ子会社のKolbenschmidt Czech RepublicがUsti nad Labem近くに第4工場を開設したと発表した。新工場は2階建てで総面積は約8,000平方メートル。既存の機能を備えるほか、商用車用アルミピストンやプロトタイプの製造に向けた鋳造能力拡大にも貢献する。現在、ドイツの大手顧客向けの大型プロジェクトが進められている。これにより新工場の従業員数は、現在の80名から約120名まで増員される見込み。(2016年10月20日付プレスリリースより)