KSPG AG (旧 Kolbenschmidt Pierburg AG) 2014年12月期の動向

業績

(単位:百万ユーロ)
2014年
12月期
2013年
12月期
増減率 (%) 要因
Rheinmetall Automotive
売上高 2,448 2,262 8.2 -
営業利益 184 158 16.5 -
部門別売上高
Mechatronics部門 1,322 1,171 12.9 1)
Hardparts部門 934 889 5.1 2)



要因
1) Mechatronics部門
-同部門の2014年売上高は前年比12.9%増の1,322百万ユーロ。自動車メーカーからのCO2および排ガス削減ソリューションに対する需要がグローバルに高まり、ライトビークルの世界生産台数の伸び率3%を上回る好業績となった。

-乗用車向けの排ガス再循環製品の中で、とくに排ガスフラップが著しく伸びている。商用車向け製品の売り上げも好調で、とくに排ガス再循環バルブや排ガスフラップが伸びている。

-ソレノイドバルブの売り上げ増加は、主にディバートエアバルブ(divert-air valves)や空気圧コンバーター(pneumatic converters)によるもの。インテークマニホールド製品群は、計画通り廃止する過程にある。

-ポンプ事業はCO2排出削減ニーズの高まりに合わせて、電気モーター駆動製品の需要が引き続き伸びている。とくに、可変オイルポンプ、電動水循環ポンプ、電動ウォーターポンプの売上高は前年比で急増している。

2) Hardparts部門
-同部門の2014年売上高は前年比5.1%増の934百万ユーロ。ピストン事業は小径ピストンおよび大径ピストンとも前年比で増収。

-メキシコおよびチェコでの新製品立ち上げにより、ブラジルにおけるピストン事業の低迷を大きくカバーした。大径ピストンでは、北米における需要増と中国での新会社立ち上げがプラス要因となった。

-欧州および北米で、メンテナンスフリーの非電動プレーンベアリング (Permaglide) の販売が好調、前年比で増収となった。

2015年12月期の見通し
-2015年の世界自動車生産台数は2.7%増との予測をベースに、同社の2015年12月期売上高は、25-26億ユーロ水準と予測している。

ドイツ新工場

-Pierburgは2014年春に、ドイツNeussに新たに建設したLower Rhine工場への移転を行ったと発表した。新工場へは総額50百万ユーロを投資。NeussおよびNettetalにある既存の2拠点から、Lower Rhineへ工場や設備を移転した。まず、ソレノイドバルブの生産とEGRクーラーの組み立てを行う。新工場にはNeussの旧工場の全従業員と Nettetal工場の100名が異動し、合わせて520名の従業員が勤務している。Nettetal拠点では、2014年11月に始まる鋳造工場の移転に伴い、残りの180名も2015年半ばまでに新拠点へ異動する予定。(2014年11月13日付プレスリリースより)

中国事業

-2014年7月に華域汽車系統 (HASCO) との間で合意したKS Aluminium-Technologieの合弁会社化に関して、ドイツのカルテル庁より承認を取得。これにより両社は現在、KS Aluminium-Technologieおよび傘下のWerkzeugbau Walldurnの株式50%をそれぞれ保有している。また、KSPGの合弁会社KS ATAG TRIMET Gussの株式50%も両社で保有する。KSPGはドイツ国内の自動車用アルミ合金鋳造業務をKS Aluminium-Technologie GmbHに統合。KS Aluminium-Technologie GmbHの中核事業は自動車エンジンアルミシリンダーブロック。ドイツ国内に3つの生産拠点を有しVW、Porsche、Volvo、Daimler、BMW、Peugeotなどに製品を供給している。(2014年12月12日付および7月22日付プレスリリースより)

受注

-Pierburgは、欧州および北米の複数の自動車メーカーより、新開発の小型 EGRバルブを受注した。受注総額は250百万ユーロ。このバルブは、欧州排出ガス基準「Euro 6」に準拠するエンジン向けで、すでにドイツ自動車メーカーの高級モデルにも標準搭載されている。2014年から2015年にかけて、その他の自動車メー カーの欧州・米国拠点で生産されるエンジンに搭載される予定。現在、PierburgのEGRバルブおよびモジュールの年産能力は600万ユニット程度。 ドイツ以外に、チェコ、スペイン、米国、インド、中国の拠点でも生産を行っている。(2014年2月26日付プレスリリースより)

-「Ward's 10 Best Engines」に選出されたエンジンのうち7つに同社の部品が採用されたと発表した。対象となるエンジンとKSPGの製品は以下の通り。(2014年1月16日付プレスリリースより)

メーカー/モデル エンジン 供給製品
Audi 「S5」 3.0L TFSI スーパーチャージャーDOHC V型6気筒 エンジンブロック、セカンダリーオイルポンプ、セカンダリーエアバルブ、ソレノイドバルブ、スラストワッシャー
BMW 「535d」 3.0L ターボディーゼル DOHC 直列6気筒 電気的スイッチングバルブ、コントロールバルブ
GM 「Chevrolet Cruze」 2.0L ターボディーゼル DOHC 直列4気筒 EVRバルブ、TCバルブ、EDCモーター駆動のスロットルボディ
Fiat 「500e」 83kW電気モーター Pierburg Pump Technology製の冷却ポンプ「CWA 50」および「CWA 100」
Ford 「Fiesta」 1.0L EcoBoost DOHC 直列3気筒 ピストン、バキューム調整バルブ、スロットルボディ
Porsche 「Cayman」 2.7L DOHC 水平対向6気筒 エンジンブロック、ソレノイドバルブ、スラストワッシャー
Volkswagen 「Jetta」 1.8L ターボチャージャー DOHC 直列4気筒 ピストン、セカンダリーエアポンプ、セカンダリーエアバルブ、ソレノイドバルブ、スラストワッシャー、クランクシャフトベアリング、コンロッドベアリング

受賞

-ドイツのザクセン州HarthaにあるPierburgのポンプ工場が、Fordの品質認証「Ford Q1」を受賞したと発表した。(2014年11月20日付プレスリリースより)

中期戦略プログラム

-2013年から実施している戦略プログラム 「Rheinmetall 2015」 は、グローバル化、製品イノベーション、コスト効率に焦点を当てている。自動車部門は2015年以降に売上高の3分の1以上を欧州以外で占める計画とし、とくに中国およびインド市場に重点を置く。

グローバル化

  • 成長市場である中国およびインドに重点を置く
  • 欧州以外でMechatronics部門の事業を拡大する

製品イノベーション

  • ガソリンターボエンジン関連製品など、Mechatronics部門の潜在的成長力が高い製品を実現化していく

コスト効率

  • コスト構造の改善により、Hardparts部門の競争力を強化する
  • 国内および海外拠点の最適化

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
Rheinmetall Automotive 2014年12月期 2013年12月期 2012年12月期
合計 149 145 147

研究開発人員

Rheinmetall Automotive 2014年12月期 2013年12月期 2012年12月期
合計 988 992 N.A.

新製品

-電気自動車向けの加熱/冷却モジュール: ヒートロスの大部分を乗員室の暖房/空調に利用するエネルギー効率の高いシステム。電気自動車に使用した場合、電気モードでの航続距離を延長することができる。Rheinmetall Automotiveが独自開発するレンジエクステンダー車もさらに最適化される。

-Plasma Transferred Wire Arcコーティングプロセス:
自動車分野の主要顧客と初期プロトタイプのエンジンテストが成功、
2015年から量産導入する予定。

-フレックスバルブシステム: ディーゼルエンジンに搭載。生産最適化の課題に取り組んでおり、量産化に向けた準備段階。

-電動クーラントポンプ: 将来的な48V電源に合わせて改良され、ハイブリッド車などの代替燃料車に使用される見通し。

-タンデムポンプモジュール制御式オイルポンプに加えて、真空ポンプを装備。Mechatronics部門は現在、主要顧客向けプロジェクトの一環として、同技術の生産立ち上げ準備中。

-ディーゼルエンジン用スチールピストンHardparts部門が開発した乗用車向けスチールピストンは、2014年から大手ドイツ自動車メーカー向けに量産化された。用途に応じてピストンの設計を改良、摩擦ロスが大きく低減され、燃料消費量が最大4%削減される。

-LITEKSピストン: 従来型ピストンと比べて約14%軽量化。新開発の高機能合金 「KS 309」 によるもの。

-新開発ベアリング: Hardparts部門は 「KS S203D」 ガルバニベアリングと 「KS S203W」 スパッターベアリングを提供。両ベアリングとも新開発されたスチールとブロンズの複合材をベースとしている。

設備投資額

(単位:百万ユーロ)
Rheinmetall Automotive 2014年12月期 2013年12月期 2012年12月期
合計 158 142 148


Mechatronics部門
-Mechatronics部門の2014年設備投資額は89百万ユーロで、2013年の93百万ユーロより減額。このうちドイツNeussに設立するLower Rhine新工場への投資額は、2014年が18百万ユーロ、2013年が32百万ユーロ。同工場はすでに完工。

工場 投資内容
Neuss, ドイツ Lower Rhine新工場の建屋
Berlin, ドイツ
Ustí, チェコ
排ガスフラップポンプの製造施設および設備
Abadiano, スペイン
Neuss, ドイツ
排ガス再循環モジュールの製造施設および設備
Thionville, フランス 可変オイルポンプの製造施設および設備
Celaya, メキシコ タンデムポンプの製造施設および設備


Hardparts部門
-Hardparts部門の2014年設備投資額は64百万ユーロで、前年の46百万ユーロから標準レベルに回復。

-主にピストン分野で増額、ドイツおよびメキシコでのスチールピストン拡張投資、フランス、チェコ、日本での設備更新および拡張投資など。

-鋳造分野では、とくにダイカスト製造拠点において、設備更新や新製品(構造部品を含む)への対応に向けて投資。

-ベアリング分野では、メキシコでの焼結ラインプロジェクトが決定し、Papenburg工場の鋳造能力を拡張。さらに、同地域で特有の小規模な設備更新と合理化策を幅広く実施。

工場 投資内容
Neckarsulm, ドイツ 乗用車・トラック用スチールピストンの生産ライン (生産能力拡大)
Neckarsulm, ドイツ エンジンブロック製造用ダイカスト設備 (代替品の調達)
Neckarsulm, ドイツ 構造部品製造用の加工機械 (新製品)
Thionville, フランス 設備の交換・更新 (リストラ)
Ustí, チェコ 大型乗用車用のピストン製造ライン (新プロジェクト)
広島, 日本 乗用車用ピストンの加工ライン (生産能力拡大)
昆山 (Kunshan), 中国江蘇省 中国における大径ピストン製造拠点の拡充 (第2段階)