Freudenberg & Co. KG 2016年12月期の動向

業績

(単位:百万ユーロ)
2016年
12月期
2015年
12月期
増減率 (%) 要因
売上高 7,900.1 6,410.9 23.2 1)
税引前利益 1,265.1 667.6 89.5 2)

要因

1) 売上高
-2016年12月期の売上高は、前年比23.2%増の7,900.1百万ユーロ。為替のマイナス影響はあったものの、日本バイリーンおよびVibracoustic Groupの買収および子会社化に加えて、同社の全事業分野で増収を記録したことが売上増につながった。


2) 税引前利益
-2016年12月期の税引前利益は、前年比89.5%増の1,265.1百万ユーロ。日本バイリーンおよびVibracoustic Groupの買収が主に貢献した。



Vibracoustic買収に関する経緯

-Trelleborgは、同社が保有するTrelleborgVibracousticの株式50%全てを合弁相手のFreudenbergへ売却することで合意したと発表した。TrelleborgVibracousticは、両社の折半出資による合弁会社として2012年7月に設立された。今回の売却手続きは2016年第2四半期に完了する見込みで、効力発生日は2016年1月1日に遡る。TrelleborgVibracousticの企業価値は18億ユーロ。今回の取引により、Trelleborgは株主価値の68億スウェーデンクローナ相当と2015年12月の配当の14億スウェーデンクローナをあわせて、82億スウェーデンクローナを受け取る予定。合弁解消に伴い、TrelleborgVibracousticは2016年4月4日付で社名を「Vibracoustic GmbH」に変更した。(2016年4月7日付プレスリリースより)

-Trelleborgと同社は、Trelleborgが保有するVibracoustic GmbHの株式50%を同社へ売却する手続きが完了したと発表した。売却金額は約68億スウェーデンクローナ。Vibracousticは、Trelleborgと同社が2012年7月に折半出資により設立した合弁会社。2015年度の売上高は約20億ユーロで、従業員数は約9,400名となる。(2016年7月5日付プレスリリースより)



買収

-2016年4月、同社は日本バイリーンを買収し、経営権を取得した。日本バイリーンは同社の不織布・フィルター部門の傘下となる。日本バイリーンに対する持分比率は同社75%、東レ25%。



事業再編

-ドイツWeinheimを本拠とするenmech GmbH & Co. KGおよびハンガリーPecelを本拠とするenmech Hungary Bt.の持分50%を、2016年はじめに合弁相手のNOKに譲渡したと発表した。enmechは、2002年にFreudenbergとNOKの合弁会社となった。株式譲渡後は、NOKの子会社でフレキシブルプリント基板 (FPC) メーカーの日本メクトロンと、欧州子会社Mektec Europeに統合される。enmechは近年、FPC技術を体系的に開発し、自動車市場向けにメカトロニクス製品の供給を行っている。コネクターを含む大型のフレキシブル回路基板をベースとしたメカトロニクス製品を開発・生産している。enmech GmbHおよびenmech Hungaryの従業員数は合わせて約500名、ドイツのWeinheimおよびBerlin、ハンガリーのPecelに拠点を持つ。この2社はMektec Europeの傘下となり、それぞれ独立した会社として運営される予定。(2016年1月11日付プレスリリースより)

-2016年12月1日、Vibracousticは6つの部門を統合し、シャシーおよびパワートレインの2事業ユニットとして再編成した。シャシー事業ユニットは、シャシーマウント、マイクロセルウレタン、エアスプリング部門で構成。一方のパワートレイン事業ユニットは、エンジンマウント、トーショナルバイブレーションダンパー、アイソレーター&ダンパー部門からなる。



受注

-コードで強化したタイプのエラストマーカップリング「NRG Disc」を開発した。四輪駆動の量産セダン向けで、新型「BMW ALPINA B7 Bi-Turbo」に初採用される。(2016年7月7日付プレスリリースより)



受賞

-NOK-Freudenberg China (NFC) 傘下のWuxi NOK-Freudenberg Oil Seal (WNF) は、一汽トヨタから「Excellent Quality Award」を受賞した。WNFは、エンジン、トランスミッション、ステアリングシステム、エアコンシステム、振動制御システムなどの製品向けのさまざまなシールを一汽トヨタに納入している。また、Getragと江鈴汽車集団の合弁会社Getrag (Jiangxi) Transmissionからは、NFCの優れた物流サービスが評価され表彰された。さらに、NFCは江准汽車 (JAC) より「Quality Contribution Award」を受賞した。NFCがこの賞を受賞するのは2度目となる。JACには2008年からエンジンおよびトランスミッション用シールを納入していた。現在は、摩擦低減製品に注力している。(2016年8月9日付プレスリリースより)

-NOK-Freudenberg China (NFC) は、広西汽車より「品質優秀賞」を受賞したと発表した。NFCは、2001年に広西汽車にオイルシールの納入を開始し、それ以降エンジンやアクスルなどさまざまな部品向けに取引を拡大している。(2016年4月28日付プレスリリースより)



研究開発費

(単位:百万ユーロ)
2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
全社 335.1 252.7 213.7



研究開発体制

-2016年末現在、研究開発関連の従業員数は2,751名。



製品開発

Levitasトランスミッションシールリング
-Freudenberg Sealing Technologiesは、第15回国際CTIシンポジウムにて次世代の低摩擦トランスミッションシールを発表した。Levitasシールリングの採用により、同社のトランスミッション・シールへのアプローチは全く新しいものになるという。Levitasシールリングは、特殊なシールデザインによりシールリングとその相方の表面との間に流体力学的な油膜を形成する特徴があり、これはあらゆる形状のオートマチックトランスミッションに採用することができる。作動中にシールはそれ自体が作り出す油膜の上に浮く形になる。リングシールの全周囲に微小なポケットが設けられており、シャフトが回転を始めると、ポケットの中の動圧力が軸方向の力を生み出しそれが油膜を形成する。シャフトとシールリングの間の物理的な接点を無くし、液体摩擦のみにすることにより摩擦トルクを最大70%減らすことができる。Levitasトランスミッションシールは2017年から量産を開始する。エンジン用のLevitexシールも同じ原理によるものだが、潤滑剤としてオイルではなく大気を使うことにより摩擦トルクをほぼゼロにまで抑制する。Levitexエンジンシールの欧州向け量産も2017年に開始する予定。(2016年12月7日付プレスリリースより)

コードで強化したタイプのエラストマーカップリング「NRG Disc」
-コードで強化したタイプのエラストマーカップリング「NRG Disc」を開発した。四輪駆動の量産セダン向けで、新型「BMW ALPINA B7 Bi-Turbo」に初採用される。BMWと共同開発したこのカップリングは優れた耐久性を有しており、市販の既存製品に比べて32%の軽量化と大幅な小型化を実現した。(2016年7月7日付プレスリリースより)

低温用ショックアブソーバー
-Freudenberg Sealing Technologies (FST) は、新たな高機能材料を用いたショックアブソーバーが、-40℃の極低温下でもその機能を果たすことを明らかにした。この混合材料は乗用車および商用車向けダンパーシールに使用されており、従来の材料に比べて高い耐摩耗性を持つ。FSTは、2016年春にこのシールの量産を開始する予定。ある欧州自動車メーカーはすでにこの材料を使ったシールを採用しており、SUV向けのモノチューブショックアブソーバーに使用している。(2016年2月23日付プレスリリースより)

フルイドトーショナルバイブレーションダンパー
-Vibracousticは、フルイドトーショナルバイブレーションダンパー (フルイドTVD) の開発および生産を開始した。フルイドTVDは、ハウジングとフライホイールリングの隙間に生じた高粘性シリコンオイルの特徴を弱めることにより、クランクシャフトのねじり振動を減衰させる。また、様々な周波数帯で振動を抑え、エラストマーTVDに比べて優れた性能を発揮する。



設備投資額

(単位:百万ユーロ)
2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
全社 407.1 302.5 271.6



国内投資

-特殊用品部門(Freudenberg Chemical Specialities business group)が、ドイツ南部Maisachの拠点を拡張。40百万ユーロを投じてKluber Lubricationの物流センター建設、Chem-Trendのテクニカルセンター建設、Chem-TrendおよびOKSのオフィス拡張を行った。これら3社はFreudenberg Chemical Specialitiesの子会社。同拠点の広さは約19,000平方メートル。物流センターとテクニカルセンターは2017年後半に完成予定。(2016年6月16日付プレスリリースより)

-Freudenberg Sealing Technologiesは、約10百万ユーロを投じてドイツのOberwihl拠点を拡張したと発表した。同拠点は60年以上前に操業を開始しており、主に産業・自動車向けのOリングを生産している。今回、新たな生産棟により生産スペースを約1,000平方メートル拡張したほか、生産設備のアップグレード、インフラの全面的な改修を行った。今後、設備の追加に向けてさらに数百万ユーロを投じる計画。(2016年3月21日付プレスリリースより)



海外投資

<中国>
-中国江蘇省の蘇州 (Suzhou) 拠点に自動車用ヘッドライナー工場を新設したと発表した。これにより、同工場を運営する日本バイリーンとの合弁会社Freudenberg & Vilene Nonwovensは、アジアにおける高品質のルーフライニングやプリント生地製品の需要増に対応する。同社のヘッドライナーは不織布を使用しており、さまざまな方法で機能性を追加することができる。優れた耐摩耗性や防音特性を備え、汚れの付きにくさも改善されているほか、他の車載部品と組み合わせると大幅な軽量化を実現するという。なお、Freudenbergは過去10年間で25億元 (300百万ユーロ) 超を中国に投じている。(2016年9月13日付プレスリリースより)

<トルコ>
-Freudenberg Sealing TechnologiesはトルコBursaに10百万ユーロを投資するとともに、HOYAB工業団地に新工場を開設した。新工場の敷地面積は14,000平方メートル。自動車、農業、エネルギー、エンジニアリング分野向けにさまざまなシール製品を供給する。これに伴い、2004年に操業開始した同社のBursa工場は新工場に統合された。新工場の従業員数は約220名で、エンジンおよびトランスミション用のエンコーダー、ベアリングシール、ラジアルシャフトシールリング、カセットシールなどの製品を生産する。(2016年6月3日プレスリリースより)

<ハンガリー>
-Freudenberg Sealing Technologies (FST) は現在、ハンガリーにあるKecskemet工場の拡張工事を行っていると発表した。2016年7月1日に稼働する予定。同拠点では、将来的にトランスミッションシールの月産能力を最大850万ユニットまで引き上げ、欧州での需要に対応する。なお、FSTは2010年から2018年の間に、ハンガリーに総額25百万ユーロを投資する計画で、これまでに約3分の2が投じられた。(2016年4月6日付プレスリリースより)

<米国>
-フィルター部門において数百万ドルを投資し、ケンタッキー州Hopkinsville拠点においてキャビンエアフィルターの新生産ラインを追加した。
-テネシー州Manchesterに位置するVIAM Manufacturing Inc.において、日本バイリーンは全天候型フロアマット用の射出成型ラインを新設した。

<メキシコ>
-2016年、日本バイリーンはAguacalientesに生産会社Vitechmex Nonwovens S.A. de C.V. を新設した。主に日系企業向けにヘッドライナーを供給する計画。
-2016年、日本バイリーンはAguacalientesにおいて、自動車内装用不織布を生産する新拠点の建設を開始した。