Behr 2008年12月期の動向

ハイライト

業績 (単位:百万ユーロ)
2008年
12月期
2007年
12月期
増減率(%) 要因
売上高 3,383 3,188 (1.5) 1)
営業利益 (70) 40 - 2)
部門別売上高
自動車用エアコン 1,271 1,304 (8.1) 3)
エンジン冷却システム 1,652 1,463 1.3 4)

要因
1)
-2008年、売上高は1.5%減の3,332百万ユーロ。為替調整後では0.2%増。
-ドイツ国外の売上比率は前年度ほぼ同じで70%。
-ドイツ国内の売上高は7.1%増の1,078百万ユーロ。
-ドイツを除く欧州の売上高は1.8%減の1,172百万ユーロ。
-北米の売上は急落し11.9%減で前年比87百万ユーロ減少。為替調整後では6%減。
-アジアの売上も減少。売上高は前年比5.9%減の209百万ユーロ。主な要因はインド市場の不振。
-ブラジル、南ア、その他の国での売上高は合計227百万ユーロ。前年とほぼ同レベル。
-ブラジル、メキシコ、東欧、インド、中国では全体として1.9%増の605百万ユーロ。

2)
-減少の原因は複数あるが、主な要因は引き続きの米国市場の不振や第4四半期の欧州市場が急激に悪化したことによる。

3)
-自動車用エアコン製品部門の売上高は8.1%減の1,279百万ユーロ。減少の主たる要因は、北米市場の悪化。また、値下げ要請増加やエアコン装着車の比率が高くなったことなども減少の要因。

4)
-不況にもかかわらず、エンジン冷却システム部門の業績は好調。部門の売上高は1.3%増の1,552百万ユーロ。


受注
-BMW7シリーズのV8ターボガソリンエンジン用にインダイレクト給気クーラーを供給。

-2008年、インドのTata Nano向けにエアコンシステムを供給すると発表。

新型Porsche Panameraに下記製品を供給
-冷媒とヒーター回路(パイプも含む)
-温度・空気流量コントロールを単一ユニットに収めた4ゾーンクライメートコントロールシステム
-キャビンエアダクト(空気分散用エアガイディングエレメントを含む)
-エアコンコントロールシステムとコントロールヘッド(Behr-Hella Thermocontrol (BHTC)社製)
-エンジンとパワートレイン用クーリングモジュール


新会社設立
-2009年はじめ、中国に新会社を設立。大手の大型商用車メーカー向けにエアコン部品、クーリングシステムを納入。

開発動向

研究開発費 (単位:百万ユーロ)
2008年12月期 2007年12月期 2006年12月期
合計 254 241 229
売上に対する割合(%) 7.6% 7.1% 7.2%


研究開発体制
-2008年に同社が投じた研究開発費は前年比で5.4%増加の254百万ユーロで、売上の7.2%に相当。

-同年第4四半期に研究開発費を大幅に削減。


製品開発
インダイレクト・チャージ空気冷却
-同社のインダイレクト・チャージ空気冷却システムを採用したBMWのV8ターボガソリンエンジンの量産が2008年に開始された。このインダイレクト・チャージ・エアクーラーは、エアクールド・チャージのエアクーラーと違ってエンジンに搭載することが可能で、別の低温冷却回路によって冷却される。これは搭載スペースの削減につながるだけでなく、チャージされた空気とクーラーをつなぐダクトも短くなり、その結果、空気のチャージ圧力を高める。また、一定の出力レベルでは、燃費とCO2排出が減少する。

快適通気システム
-同社は2008年、世界で初めて快適通気システムの量産を開始した。このシステムは風量を犠牲にすることなく通気を伴わない換気を実現したもので、高級車種の快適空調に新たな標準を設定したことになる。快適通気システムのおかげで運転者と同乗者は社内に流れる空気の方向だけでなくタイプも選ぶことができる。

バッテリー冷却
-同社はダイムラーと共同でリチウムイオン電池の冷却技術を開発した。電池は車両のエアコン回路によって冷却され、後部エアコンモジュールと同じように直接冷房回路に組み込まれる。冷媒が蒸発する導管をもったアルミ製の冷却プレートとリチウムイオン電池のセルを接触させることによって冷却が行なわれる。

エアコンシステム用の新冷媒
-2011年からEUでは、現在使われているR134a冷媒を新車に使用することが禁止される。代替品とされるものは、R744 (二酸化炭素) または合成R1234yf。どちらもEUのガイドラインに適合し、地球温暖化への寄与は非常に小さい。同社はどちらの冷媒にも対応できる冷却回路とその部品を開発し、両システム導入の準備を整えている。

設備投資

設備投資額 (単位:百万ユーロ)
2008年12月期 2007年12月期 2006年12月期
合計 185 169 150

-2008年の設備投資額は、前年比9.5%増の185百万ユーロ。投資の大半は上期に行い、主に欧州生産拠点の能力強化に投資。


海外投資
<米国>
-2008年7月、Behr-Hella Thermocontrol (BHTC)は、02年米ミシガン州に設立した子会社に5百万ユーロ超の投資を行い、北米市場向けのクライメートコントロールパネルを生産する新工場を建設すると発表。Chrysler、Freightliner、Navistar、Mercedes Benz(Daimler)などからの受注増や09年からのプラットフォーム向け新規受注に対応するため生産能力を増強する。(2008年7月31日付プレスリリースより)

<中国>
-同社は中国でHVAC部品とエンジン冷却システムを中国重型汽車集団(CNHTC)に供給する予定。同社とCNHTCの長期契約の取り決めにより、済南(Jinan)近郊に工場を設立する。CNHTCはインフラ整備や工場建物の建設を行う一方、同社は約4百万ユーロを投じて生産設備を準備する。新工場は2009年末に生産開始予定。