Behr 2007年の動向

ハイライト

業績(連結決算)
(単位:百万ユーロ) 2007年度 2006年度 増減率 要因
売上高 3,383 3,188 +6.1% -ドイツの売上高は、前年度比10.1%増の1,007百万ユーロで、ドイツを除く欧州の売上高は4.6%増の1,194百万ユーロ。
・東欧での業績は過去最高。
・北米の売上は、ドル安によ り前年比5.3%減の733百万ユーロ。
・アジアでは、安定した増加傾向が持続した結果、前年度より37.9%増加して222百万ユーロを記録。
・ブラジルや南アフリカなどの「その他の地域」でも売上は増加し、15.8%増の227百万ユーロを計上した。

-2007年度は、ブラジル、メキシコ、東欧、インド、中国などの成長市場で売上が15%増加し、
594百万ユーロを計上。
・さらにインド、中国、メキシコおよびチェコの各新工場が操業を開始し、将来のプロジェクトへの布石を打った。
・また、これら6工場の生産用地 の総面積は100,000平方メートルを超え、投資総額は94百万ユーロにのぼる。 詳細については、「設備投資」を参照。
営業利益 40 95 (57.9%)

-税引前利益は、前年度の95百万ユーロから40百万ユーロに減少。
・これは北米および産業部門での不振が主な要因。 これ以外の要因としては、ステンレス鋼などの原材料価格の高騰が挙げられる。

部門別売上高
自動車用エアコン 1,271 1,304 (2.5%) -自動車用エアコン製品部門は、前年をやや下回る1,271百万ユーロの売上を計上。 エアコンシステム搭載車両の台数がピークに達したために市場が飽和状態となり、販売量の伸びが鈍化したことが要因。 この部門では物価圧力も顕著であった。
エンジン冷却システム 1,652 1,463 +12.9% -上記とは対照的に、エンジン冷却システム部門では極めて良好に伸長し、 売上は12.9%増の1,652百万ユーロを記録。
この増加には、主にトラック業界の盛況、新型EGRクーラおよび合弁事業、HBPOのフロントエンドモジュールの売上が寄与。
受注
-「Audi A5」向けに、エアコンシステムモジュールおよびエンジン冷却システムを供給。このエアコンシステムモジュールは、将来的には、他のAudiモデルでも搭載が可能となる見通し。独自に開発したエアコンシステムモジュールは、フルオートマチッククライメートコントロール機能による全自動4ゾーン空調タイプ。運転席、助手席、後席の3つのゾーンで独立した温度/風量管理が可能なエアコンシステムを導入することで、オプショナルリアHVACユニットの搭載が不要となり、運転席と助手席の設定に左右されることなく、独立したかたちで後席の冷・暖房と風量を自動制御することができる。供給するクライメートコントロール機能付エアコンシステムは、独ノイシュタット(Neustadt)工場で生産する。ディーゼル車用には、次世代型PTC補助ヒーター一体化型エアコンシステムを供給する。また、エンジン冷却システムとして、奥行き80mmおよび64mmチャージエアクーラー、ならびにメインラジエーターを供給する。(2007年8月7日付プレスリリースより)

-新型BMW Mini向けのフロントエンドモジュールの生産をHBPOで開始する。HBPOは初めて、開発、輸送計画およびジャストインシーケンス方式のすべてを担当する。Banbury工場(英国)では、31社のサプライヤから納入される最大170点の部品を組み立ててフロントエンドを製造する。

新会社設立
-Behr Korea Behrを設立。これを足がかりとしてアジアにおける 成長を維持する。

開発動向

研究開発費用

(単位:百万ユーロ) 2007年度 2006年度 2005年度 2004年度 2003年度
研究開発費 241 229 215 195 184
売上に対する割合(%) 7.1% 7.2% 7.0% 6.4% 6.1%
研究開発体制
-開発拠点は世界に17カ所。その中でもドイツStuttgartと米国ミシガン州Troyの2カ所には総合開発拠点を保有している。2005年度に同社が取得した特許は233件。この数は、ドイツ国内の特許申請企業50社の中で16位にランキングされる。

-2006年度に同社が投じた研究開発費は前年比で6.5%増加の229百万ユーロで、売上の7.2%に相当。

製品開発
(1) エアコン・システム部門
ノーアイドリングエアコンシステム(No-Idle Air-Conditioning System)
Behr Americaは、米国の主要トラックメーカーと連携し、ノーアイドリングエアコンシステム(No-Idle Air-Conditioning System)の開発にあたっている。2007年内に北米市場での販売開始を目指す。ノーアイドリングエアコンシステムとは、大型トラックでエンジンを切った状態でも車内空調が機能するというもの。米国ではより厳しい排ガス規制基準が敷かれ、ディーゼル燃料の価格高騰もあって、トラックドライバーはエンジンを付けたままにしたがらない。車中で仮眠をとることが多い長距離トラックドライバーにとって、このエアコンシステムは、朗報といえる。この新製品には、快適性に加え、燃費、ガス排出量削減効果もある。トラックメーカーは、このエアコンシステムを設計段階から車両に組み入れることで、高いパフォーマンスと卓越した快適性を実現したい考え。(2007年4月17日付プレスリリースより)

(2) エンジン冷却システム部門
新型EGR
2007年5月、Behr Americaは、性能をアップした新型排気ガスリサーキュレーション(EGR)クーラーを開発した。この新製品は大型トラックに適用される最新の米国排気ガス規制にも適合している。EGRクーラーは、ディーセルエンジン用に同社が開発したEGRシステムのための冷却装置。

新冷媒(R744)
-2007年度は、R744冷媒サイクルの実用化に向けて一歩を踏み出した。新冷媒R744(二酸化炭素)が2011年から欧州に導入される。R744に切り替えることにより、自動車用エアコンから排出されるCO2を全体で30%低減できるとしている。さらに、新システムでは冷房速度が向上するため、車室内の快適性も増す。 自動車業界では過去2年間、R744の代替冷媒として多数の合成冷媒について検討がなされてきた。
集中的に試験を実施した結果、多数の選択肢からこの冷媒に絞られたが、性能および安全性の観点からの欠点も指摘されている。

設備投資

営業利益