Autoneum Holding Ltd. (旧 Rieter Automotive) 2016年12月期の動向

業績

(単位:百万スイスフラン)
2016年
12月期
2015年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 2,152.6 2,085.9 3.2 1)
純利益 133.8 68.7 94.8 2)


要因
1) 売上高
-2016年12月期、売上高は前年比3.2%増の2,152.6百万スイスフラン。生産性の効率強化とグローバルに多様化した顧客により売上高および収益は過去最高を記録した。特にアジアの好調が成長の主な原因だが、欧州事業も売上増に貢献した。

2) 純利益
-2016年12月期、純利益は前年比94.8%増の133.8百万スイスフラン。Chicago HeightsのUGN事業売却により、純利益が大幅増となった。

事業再編

-同社は、日本特殊塗料との米国合弁会社UGNがイリノイ州Chicago Heightsにある事業を売却したと発表した。売却先は、民間投資会社Angeles Equity Partnersの関連会社。UGNは、1986年よりChicago Heightsの工場で自動車用ダンパーの生産を行っている。米国とメキシコにあるUGNのその他5工場では、引き続き日本の自動車メーカー向けに防音製品およびサーマルマネジメント部品を生産する予定。(2016年2月2日付プレスリリースより)

受賞

自動車メーカー Autoneumの工場 受賞名
GM - Supplier Innovation Award
PSA ポーランド Katowice Best Plant Award
GAC Fiat 中国 太倉市 Excellence Supplier Award
現代 インド Behror Appreciation Award
ホンダ 米国 Monroe Honor of Distinction

見通し

-2017年12月期の売上高は、中期財政目標に沿った前年比4~5%増になると予測。売上高営業利益率は2016年と同レベルになると予想。

-2020年までに売上高を2,600百万スイスフランに引き上げる計画。同時に、新興国の売上高を全体の20%以上に、EBITDAを12%に引き上げることを目指す。

研究開発費

(百万スイスフラン)
2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
全社 64.5 60.7 57.1


-新材料や新製品の開発に加え、吸音による快適性、燃料消費量、排出ガスの目標を達成するため、新たな生産技術に取り組んでいる。特に軽量で防音性の高いエンジンルーム、車内フロア、車体下部、車体関連部品の開発に注力。

研究開発体制

スイス Winterthur (本社) -アコースティックセンター
-研究開発センター
Sevelen -開発センター
フランス Aubergenville -アコースティックセンター
-開発センター
ドイツ Rossdorf-Gundernhausen -アコースティックセンター
ポーランド Katowice -開発センター
米国 ミシガン州Fmarmington Hills -アコースティックセンター
-開発センター
イリノイ州Tinley Park -アコースティックセンター
-開発センター
ブラジル Sao Bernardo do Campo -アコースティックセンター
-開発センター
中国 上海市 -アコースティックセンター
-開発センター
日本 東京都北区
(日本特殊塗料との合弁)
-アコースティックセンター
静岡県
(日本特殊塗料との合弁)
-アコースティックセンター

製品開発

「Ultra-Silent」を使用した軽量アンダーフロア
-テキスタイル素材「Ultra-Silent」を使用したSUV向け軽量アンダーフロアシステムを開発。この製品は、樹脂製の同等部品に比べて最大50%の軽量化を実現。吸音性があり、車のノイズを最大2デシベル軽減するという。さらに、空気抵抗を約8%低減し、空気力学的に優れたSUVの設計を可能にした。これにより、燃費向上およびCO2低減につながる。(2016年5月24日付プレスリリースより)

設備投資額

(単位:百万スイスフラン)

2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
欧州 32.7 27.5 25.3
北米 74.7 61.2 48.2
アジア 19.0 14.4 9.9
南米・中東・アフリカ (SAMEA) 6.5 13.2 13.7
グループ共通 5.5 4.4 4.9
全社 138.4 120.7 101.9

海外投資

<米国>
-同社は、米国サウスカロライナ州のAiken拠点で新たに自動車部品工場の建設を開始したと発表した。投資額は約35百万ドルで、既存の建物を3倍の広さに拡張する。また、従業員約40名を新たに雇用する計画。Autoneumは北米において、自動車の防音・サーマルマネジメント向けに部品およびシステムを開発・生産している。(2016年6月6日付South Carolina Economic Development Partnershipの発表より)

<メキシコ>
-同社は、メキシコのSan Luis Potosiに新工場を開設したと発表した。同社にとってメキシコで3番目の工場となる。2017年はじめよりカーペットシステム、インナーダッシュ、フロア用断熱部品を生産する。面積は27,000平方メートルで、北米市場向けに生産を行っている米国およびドイツの自動車メーカーに製品を納入する。また、AutoneumはSan Luis Potosiの第2工場の定礎式も行った。工場面積は19,000平方メートル。2018年からアンダーボディシステム、カーペット、ヒートシールドを生産し、ドイツ・米国・日本の自動車メーカーに納入する。同社は、2020年までにSan Luis Potosiの2工場であわせて430名の新規雇用を創出するとみられる。(2016年8月31日付プレスリリースより)

<ドイツ>
-同社は、ドイツ・ヘッセン州Gundernhausen工場で半製品素材Ultra-Silentの第3生産ラインの稼動を開始した。Ultra-Silentは、繊維素材でできた軽量アンダーボディ部品で、車両の軽量化と騒音低減に大きく貢献する。車両の空力性能、燃費、CO2排出量の改善にも貢献する。(2016年11月4日付けプレスリリースより)

<中国>
-同社は、中国の煙台(Yantai)に、軽量防音・サーマルマネジメント部品の生産工場を設立すると発表した。中国で7番目の生産工場となる。6,600平方メートルの新工場は、2017年夏から年間約25万台分のインナーダッシュボードおよびカーペットシステムの生産を開始する。新工場では他のAutoneumの工場と同様に、新しい部品の生産にポリエステルや複合繊維をリサイクル・再利用するという製造プロセスを用いる。同社は重慶(Chongqing)、太倉(Taicang)、瀋陽(Shenyang)3工場に加えて、広州(Guangzhou)、天津(Tianjin)、武漢(Wuhan)で日本特殊塗料と生産拠点を共同運営している。(20161212日付プレスリリースより)