Magna International Inc. 2013年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ドル)
2013年
12月期
2012年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 34,835 30,837 13.0 1)
営業利益 1,905 1,750 8.9 -
地域別売上高
北米 17,859 16,241 10.0 2)
欧州 14,525 12,563 15.6 3)
アジア 1,539 1,188 29.5 4)
その他地域 889 822 8.2 5)

要因

1) 全社
-2013年12月期の売上高は、前年比13.0%増。工具やその他の販売部門を含めた、全ての事業領域で売上が増加したことが寄与。さらに、完成車組立事業は前年比で20%増と大幅な成長を見せた。

2) 北米
-2013年の売上高は前年比10.0%増。主な増加要因は以下の通り:
  • Ford 「Fusion」、Chrysler 「Jeep Cherokee」、ホンダ 「Accord」、Tesla 「Model S」向けの新規事業の開始
  • 既存製品の生産量増加
  • STT Technologiesを含む2012年に完了した買収案件が寄与 (155百万ドル)
  • GM 「Buick Enclave」、「GMC Acadia」、Chrysler 「Jeep Grand Cherokee」向けの追加製品供給
-上記要因による売上高増加は、下記の要因により一部相殺:
  • 2012年中、またそれ以降の既存事業の終了
  • カナダドルの対米ドル安
  • Chrysler 「Jeep Patriot」、「Jeep Compus」向けの製品供給の減少
  • 2012年以降の値引き要請
3) 欧州
-2013年の売上高は前年比で15.6%増。主な増加要因は以下の通り:
  • Mercedes-Benz 「A-Class」、「MINI Paceman」、Ford 「Kuga」、Scoda 「Rapid」向けの新規事業の開始
  • ixetic および BDW technologies groupの買収効果 (466百万ドル)
  • ユーロの対米ドル高が奏功 (233百万ドル)
-上記要因による売上高増加は、下記の要因により一部相殺:
  • 一部製品の生産量の減少
  • 2012年中、またそれ以降の既存事業の終了
  • 2012年以降の値引き要請
4) アジア
-2013年の売上高は、前年比で29.5%の増加。主な増加要因は以下の通り:
  • 既存事業における生産量の増加
  • 新規事業の開始 (主に中国)
  • 米ドル安による為替差益 (25百万ドル)
  • ixeticの買収効果 (18百万ドル)
-上記要因による売上高増加は、2012年以降の値引き要請により一部相殺。

5) その他地域
-2013年の売上高は、前年比8.2%の増加。主な増加要因は以下の通り:
  • 新規事業の開始 (主にアルゼンチンおよびブラジル)
  • 既存事業における生産量の増加
  • 2012年以降の製品価格の上昇
-上記要因による売上高増加は、対米ドル関連通貨安による影響 (106百万ドル)、2012年中、またそれ以降の既存事業終了の影響により一部相殺。

企業買収

-2013年11月、ドイツの繊維工場「Textile Competence Centre Kft」の残りの株式49%を9百万ドルで取得。

受注

-Magna SeatingがGM 「Chevrolet Equinox」および「GMC Terrain」向けに、シートシステム一式を納入していると発表。両モデル向けのシートシステムは、カナダのオンタリオ州Londonと米国のテネシー州Columbiaの拠点で生産を行っている。(2013年8月21日付プレスリリースより)

受賞

-ドイツTiengenにあるMagna Electronicsの生産拠点が「Volvo Cars Quality Excellence (VQE) Award」を受賞。Volvo向けにフロント/サイド用の180度メガピクセルカメラを、その他の自動車メーカー向けにエンジン用電子部品を生産している。(2014年1月29日付プレスリリースより)

-同社の11拠点がGMより「Supplier Quality Excellence Award」を受賞。受賞した拠点は以下の通り:
  • Estampados –メキシコ・コアウイラ州Ramos Arizpe
  • Karmax Heavy Stamping – カナダ・オンタリオ州Milton
  • Magna Electronics Zhangjiagang – 中国・江蘇省張家港市
  • Maple Stamping – カナダ・オンタリオ州Concord
  • Montezuma Manufacturing – 米国・アイオワ州Montezuma
  • MPT Lansing – 米国・ミシガン州Lansing
  • MPT Muncie – 米国・インディアナ州Muncie
  • MSM South – カナダ・オンタリオ州Woodbridge
  • Pullmatic Manufacturing – カナダ・オンタリオ州Unionville
  • Venest Industries – カナダ・オンタリオ州St. Catharines
  • Victor Manufacturing – 米国・アイオワ州Victor
(2013年10月30日付プレスリリースより)

-Volkswagen Groupより新興国市場における同社のサポートに対し、「Global Champion」賞を受賞。同社は、Volkswagenに、開発知識、品質、競争力およびプロジェクトマネージメントの観点において優秀と認められた21社のうちの1社となった。今回の受賞は特にロシアVolkswagenに対して迅速かつ柔軟なサポートを実施し、欧州圏外の市場に対して高品質の技術を移転した功績によるもの。(2013年7月3日付プレスリリースより)

-Cosma InternationalがBMWより「Supplier Innovation Award」を受賞。軽量構造部門において、アルミダイカスト製の軽量型高電圧バッテリーハウジングが評価されたもの。このハウジングの生産は、Cosmaのドイツ拠点Magna BDW technologiesで行っている。(2013年5月14日付プレスリリースより)

-Magna SeatingがGMより2012年度「Supplier of the Year」を受賞。(2013年3月18日付プレスリリースより)

開発動向

研究開発費

-同社は、税引前利益の最低7%を年間の研究開発費として投資する方針。

技術提携

サトウダイコン由来プラスチック
-同社とイタリアの知的財産保有会社bio-onは、2013年12月に自動車向けバイオプラスチックに関して共同研究を行うことで合意。bio-onは、サトウダイコンの副産物から自然発生するバクテリアを利用して、新たなバイオプラスチックの開発に成功している。Magna Interiorsは、自社の自動車技術のノウハウとbio-onの化学的専門知識を組み合わせ、この天然ポリエステル製品をコスト面も含めた量産化につなげる研究を行う計画。今後、両社は熱成形など一般的な工業プロセスにおいて、bio-onのバイオプラスチックがどのように機能するかを試験・評価していく。この共同試験は、Magna Interiorsのチェコ・Liberec拠点で行う予定。(2014年2月7日付プレスリリースより)

炭素繊維シートモールディングコンパウンド
-Magna Exteriors and Interiorsは、米国の商業用炭素繊維メーカーZoltek Companies, Inc.と低コストの炭素繊維シートモールディングコンパウンド (SMC) を開発。新材料「EpicBlendSMC EB CFS-Z」には、Zoltekの炭素繊維「Panex 35」とMagnaのSMC材料「EpicBlendSMC」を使用しており、乗用車・商用トラック市場の様々な軽量部品およびサブシステム向けに供給される計画。さらに、新材料はMagna Exteriors and Interiorsを通じて、成形メーカーに販売される。

木質繊維の自動車部品への適用
-Center for Research in the Bio-Economy (CRIBE) と共同で、Alberta Innovates Bio Solutionsとのプロジェクトである、木質繊維の自動車部品への適用に関する研究開発を実施している。部品やサブシステム向けにガラス繊維を木質繊維に代替できないかに着目しており、適用部品によっては木質繊維は強度を保持しつつガラス繊維より安価に、また軽量化を実現すると見られている。CRIBEは林業と自動車業界の発展に資するべく、同プロジェクトに1.3百万カナダドルを投じている。

バイオ複合材
-カナダ国立研究評議会 (NRC) と自動車業界向けバイオ複合材に関する共同研究を実施している。同提携は2009年に開始しており、2010年には研究中核拠点「Magna-NRC Composites Center of Excellence」を開設。両社は同拠点において、長繊維強化熱可塑性樹脂やシートモールディングコンパウンドの研究を実施。

製品開発

トップスライドルーフシステム
-Magna Steyrは、2013年ジュネーブモーターショーで新型ルーフシステムを発表する。2012年の同ショーで展示したコンセプトカー「MILA Coupic」に続き、今回は新たにルーフシステム「View Top」を公開する予定。このシステムは、スライド式折り畳みルーフにガラス部分を組み込んだもので、ルーフを開けても閉めても開放感を味わうことができる。Magna Steyrは今回、Peugeotの量産スポーツカー「RCZ」のコンセプトをクーペへ変更した車両に「View Top」を搭載して展示する。(2013年2月27日付プレスリリースより)

オレフィン系樹脂製リフトゲート
-熱可塑性ポリオレフィン素材製アウターパネルと、ポリプロピレン製インナーパネルを組み合わせた、軽量リフトゲートを開発。日産 「Rogue」に採用されている。鋼板プレス製と比較した際の同部品の特徴は以下の通り:
  • 30%の軽量化
  • 柔軟性に富んだ性質を持つことによる、造形自由度の高さ
  • 製造過程における必要部品点数が少ないこと
一体成形熱間鍛造パネル補強材
-ホンダおよびArcelorMittalと共同で、業界初の一体成形熱間鍛造サイドオープニングパネル補強材を開発。レーザー溶接で一体成形することで荷重の伝達が滑らかになるため、従来のマルチスポット溶接より、継ぎ目強度を改善。また、軽量化にも資するという。ホンダ 「Acura MDX」の2014年モデルに採用されている。

設備投資

設備投資額

(単位:百万ドル)
  2013年12月期 2012年12月期 2011年12月期
全社 1,169 1,274 1,236

海外投資

<トルコ>
-東欧地域の事業拡大に向けてトルコのKocaeliに新工場を開設したと発表。Magna Exteriors and Interiors、Magna Mirrors、Magna Closuresが入居し、納入先はFord、Fiat、Renaultなど。工場面積は10,300平方メートルで、ジャストインシークエンス方式で生産を行う。フル稼働時には従業員約200名を雇用する計画。まず、フェイシアやアウトサイドミラーを生産し、Ford 「Transit」に納入する。このほかに、フロントエンドモジュール用キャリア、ランニングボード、ガラス製品なども生産する計画。(2013年10月8日付プレスリリースより)

<セルビア>
-Magna Seatingは、セルビアのOdzaciにおいて同国初の生産拠点となるシート部品工場「Magna Seating d.o.o.」の開所式を行ったと発表。Smart、Renault、Fordなどの自動車メーカーに供給する。従業員数は約300名で、生産エリアは4,300平方メートル。(2013年10月2日付プレスリリースより)

<メキシコ>
-メキシコに2つの自動車部品工場を開設したと発表:
  • ArteagaにMagna Interiorsの工場を開設。建物面積が14.8万平方フィートで、フル稼働時には約345名の従業員を雇用する予定。まず、ヘッドライナー、オーバーヘッドシステム一式、コンソールを生産し、複数の自動車メーカーに納入する。
  • Ramos ArizpeにCosma Internationalの新工場「CIMS」を開設。面積12万平方メートルでフル稼働時の従業員数は約180名。2次元・3次元CADを用いた組立加工、3次元CADを用いた組立ライン一式の設計など、エンジニアリングおよび設計に注力する。
<中国>
-Magna Powertrainが中国の天津空港経済区に新工場を開設したと発表。同拠点はドライブライン製品の中核拠点となる。面積は約13,500平方メートル。フル稼働時には従業員約400名を雇用する計画。まず、リアアクスルドライブモジュールおよびパワーテイクオフユニットを生産し、同国で生産されるVolkswagenやAudiのモデル向けに納入する。(2013年8月27日付プレスリリースより)

-Magna Steyrが中国の遼寧省瀋陽市鉄西新区に新エンジニアリングセンターを開設すると発表。新エンジニアリングセンターの敷地面積は1,050平方メートルで、最大100人のエンジニアを収容できる。同社は、今回の新設拠点において自動車メーカーのエンジニアリングプロジェクトをサポートでき、開発スピードと効率性を上げることができるようになるとしている。(2013年6月25日付プレスリリースより)

-Magna Electronicsが中国の江蘇省張家港 (Zhangjiagang) 拠点で新型車載カメラ「ReversAid」の生産ラインの稼動を開始したと発表。このカメラは、車がバックする際に歪みのない後方映像を提供するもの。また、同工場は2013年内に前方画像処理モジュールの生産ラインも追加する予定。この製品は、特定の運転状況に自動で反応することで運転をサポートする。両製品ともに、Magna Electronicsの運転支援システムのグローバル製品ライン「EYERISTM」に含まれる。同工場Magna Electronics (Zhangjiagang) は現在、従業員約100名を雇用しており、Ford、GM、ホンダ、Fiat、吉利汽車、長城汽車などに納入している。(2013年3月21日付プレスリリースより)

<ドイツ>
-Magna Exteriors and Interiors (MEI) が欧州での事業拡大に向けて、ドイツのMeeraneに新工場を開設したと発表。新工場「MEI Meerane」は、MoselにあるVolkswagen Sachsenの近郊に位置し、ジャストインタイム生産システムで外装樹脂部品を納入する。生産エリアは15,000平方メートルで、現在の従業員数は140名。射出成形、塗装、組立などさまざまな工程を備える。新工場はまず、Volkswagen 「Golf VII」向けにフロントバンパーおよびリアバンパーを納入し、2014年下半期には次世代の「Passat」向けに、ロッカーパネルの生産を開始する予定。(2013年4月24日付プレスリリースより)