Linamar 2008年12月期の動向

ハイライト

業績
(単位:百万カナダドル) 2008年12月期 2007年12月期 増減率(%) 要因
全社
売上高 2,257.0 2,313.6 (2.4) -
営業利益 103.6 172.2 (39.8) -
パワートレーン/ドライブライン事業部
売上高 1,813.4 1,795.9 1.0 1)
営業利益 67.3 105.1 (36.0) 2)

1)
・2008年度第4四半期におけるパワートレーン/ドライブライン部門の売上は対前年同期比で6百万ドルないし1.4%減少。北米OEMメーカー、特にGM、Chrysler と Fordの生産台数が激減したことが売上減少の要因。一方、下記プラス要因にて売上減を相殺:
-08年度第3四半期にVisteonから買収した Swanseaのドライブライン生産工場(英国Wales)の効果。
-07年度に立ち上げた新型4気筒エンジンと6速トランスミッションなどの主要製品の生産が軌道に乗ったこと。
-欧州市場での売上げ伸張。
-アジアでの好調が継続。

・年間売上げは前年度と比べ17.5百万ドルの増収。増収の要因は売上増によるもので、第4四半期の売上減による影響分を軽減した。
・2007年に買収したメキシコのドライブトレイン工場から出荷した製品が2008年度を通して販売されたことも売上増に寄与。
・第4四半期に発生した北米のOEMメーカーによる生産台数減の影響は否めないが、こうしたプラス要因の効果もありダメージは比較的小幅に収まった。

2)
・第4四半期の営業利益は前年同期比で23.8百万ドルの減少ないしはマイナス140.8%。年度全体では同じく37.8百万ドルの減少となりマイナス36%の落ち込みとなった。

・2008年度第4四半期におけるおもな収益改善内容:
-生産立ち上げ段階を終了した主要製品の利益率改善。
-原価低減に注力したことで利益率が改善できた。
-販売好調に支えられたアジアの営業実績の好調。
-2007年には同部門のハンガリーフォリントの為替差損分がエスクローとして第三者に預託されたこと。

・マイナス要因は以下の通り:
-北米OEMメーカー、特にGM、ChryslerとFordの極端な生産台数削減により発生した固定費の吸収不足。
-出荷量は、2009年度も短中期的にみて低水準で継続すると考えられる。こうした状況に対応した生産計画の一部見直しにより発生した固定資産の減損処理。
-従業員数を販売量に見合ったレベルに調整する為のリストラコスト。
-金属市場サーチャージなどの物価高騰による原材料費の上昇。
-ドライブラインシステムエンジニアリング・グループの追加によるエンジニアリング費用の上昇。

・第4四半期に影響を及ぼした事象に加え、前年度と比較した2008年度内に発生したプラス要因は:
-オンタリオ州の資本税が廃止されたこと。
-エスクローとして第三者{だいさんしゃ}に預託されていたハンガリーフォリントが償還されたことによる為替差益があった。
一方、前述の通り、2008年度第1四半期に一部の固定資産を減損処理したことはマイナス要因となっている。


受注

-Fordがキーサプライヤーとの協力体制強化のため新たに認定したアラインド・ビジネス・サプライヤー(戦略サプライヤー)7社のうちの1社に選ばれた。(2008年8月15日付プレスリリースより)


企業買収

-Visteon社のスウォンジー工場(英国ウェールズ)を買収。近く設備更新などを完了し、カムシャフトなどのエンジン主要部品の生産を開始する。同社が英国に生産拠点を持つのは初めてで、欧州工場としては5拠点目となる。これにより欧州におけるエンジン部品の供給能力を拡充し、現地事業の強化に結びつける。当面はカムシャフトとともにフライホイール、コンロッドを生産する計画。これらの生産が軌道に乗り次第、生産品目の拡充を検討する。スウォンジー工場の400人の従業員は、同社に移籍する予定。Visteon社の生産拠点買収は、メキシコに続くものとなる。(2008年8月14日付日刊自動車新聞より)

開発動向

研究開発体制
-2003年に買収したMcLaren Performance Technologies(MPT)はLinamar社の事業部内に組み込まれ、先進技術と生産技術の研究開発のサポートをしてきた。2005年にはMPT部門に新しい課題としてそれぞれの事業部の 戦略を側面からサポートして革新的な費用効果のある商品の開発をすることになった。2006年1月には、MPTがデトロイトを拠点とする販売チームと共同でLinamar Automotive Customer Centerの設立を発表。MPTは2006年度を通じてエンジン、トランスミッション、シャーシシステムなどの設計、実験、分析の担当となり最新技術を駆使したサポート活動を行うこととなった。