Ningbo Joyson Electronic Corp.[寧波均勝電子股份有限公司] 2022年12月期の動向
業績 |
(単位:百万元) |
2022年12月期 | 2021年12月期 | 増減率(%) | 要因 | |
売上高 | 49,793.35 | 45,670.03 | 9.03 | -マクロサイクルの変動や国際政治的混乱などの不利な要因に積極的に対応するとともに、一部の外部不利な要因が徐々に解消され、自動車業界のインテリジェント電動化の発展傾向を受けて、同社のカーエレクトロニクス事業は、急速な成長を遂げ、自動車安全事業も回復に伴い徐々に増加した。 |
営業利益 | 291.56 | (3,877.94) | - | |
経常利益 | 479.82 | (3,889.27) | - | |
純利益 | 233.26 | (4,535.46) | - |
-このうち、自動車用電子システム売上高は約151億元で、前年同期に比べ約17億4,000万元(約19.0%)の増加、自動車用安全システムは約344億元で、前年同期に比べ約20億元9,000万元(約7%)の増加。2022年12月期において、自動車用電子システムで481億元、自動車用安全システムで282億元など、合計約763億元を新規に受注した。
水素・燃料電池事業開発計画
-中国国内外の先進的な研究開発・生産リソースを統合し、水素エネルギー・燃料電池産業に参入する。機能安全および自動車産業規格に適合した燃料電池制御システムハードウェア、AUTOSAR規格に適合した基盤ソフトウェアおよびアプリケーション層制御ソフトウェア、主要アルゴリズム、また、高効率・軽量・高出力密度・低コストの車両充電・電力変換システムソリューションなどの開発を行う。
生産拠点設立
-均勝電子は、傘下であるJoyson Safety Systemsの合肥工場の建設が開始されたと発表した。工場の敷地面積は8万平方メートルで、生産エリアは2万9,600平方メートル。さらにステアリングホイールやエアバッグの技術開発センターなどを建設する予定。2023年末に生産開始予定で、年産能力はステアリングホイールが400万個、エアバッグが1,000万個の見込み。(2022年7月27日付均勝電子のWechat公式アカウントより)
-均勝電子自動車安全事業部(均勝安全)の合肥市新産業基地プロジェクトが正式に着工。 第1期プロジェクトは2023年末に稼働予定で、研究開発センター、スマートファクトリー、物流施設などが完成し、年間生産額は25億元規模だという。(2022年4月6日付リリースより)
製品技術開発動向
800V高圧プラットフォーム用エネルギー管理システム
-均勝電子は、電気自動車(EV)の800V高圧プラットフォーム用エネルギー管理システムの技術開発を開始すると発表した。この研究開発では、高出力な800Vの急速充電昇圧技術、統合技術、充電制御技術、エネルギー管理システムの開発・検証に焦点を当てる。(2022年12月14日付均勝電子のWechat公式アカウントより)
充電昇圧技術
-均勝電子は、充電昇圧技術を開発したと発表した。この技術は、800Vプラットフォームの電気自動車(EV)を400Vの充電ステーションで充電させることを可能とするもの。これにより、充電スタンドの出力電圧による制限を受けなくなる。同社はすでに複数の自動車メーカーから800V高圧急速充電器を受注しており、受注金額は約90億元に達するという。(2022年8月10日付均勝電子のWechat公式アカウントより)
第4世代V2X製品
-均勝電子は、同社のV2X製品が現在第4世代までアップグレードしていると発表した。製品形態はV2V、V2I規格を満たすDAY1からDAY2+シナリオまでアップグレードされた。また、乗用車から商用車まで使用シナリオを拡大し、将来は5Gネットワークの各項目の性能アップに伴い更新を継続していく計画だという。子会社の均聯智行(JOYNEXT)は、2021年にHiPhi (高合)ブランドの電気SUV「HIPHI X」向けにR15規格をベースにした第3世代V2X製品の量産を開始した。2022年初めには国内の新興カーメーカー向けV2X製品も正式に量産に入った。将来はそのプラットフォーム採用モデルにR16/17規格の5G+C-V2X最新技術を継続的に提供してゆく計画だとしている。(2022年7月13日付均勝電子公式WeChatより)
シミュレーションプラットフォーム「JUN Sim Cloud」
-均勝電子)は、完全子会社である寧波均勝智能汽車技術研究院有限公司[Ningbo Joyson Intelligent Automobile Technology Research Institute Co., Ltd.](Joyson AI)が、シミュレーションプラットフォーム「JUN Sim Cloud」をリリースしたと発表した。「JUN Sim Cloud」は、大規模な分散コンピューティングアーキテクチャに基づく総合クラウドシミュレーションプラットフォーム。OEM、提携パートナー、教育機関、研究所が行う自動運転シミュレーションテストにサービスを提供する。「JUN Sim Cloud」は豊富なシナリオライブラリ、物理センサーシミュレーション、動的シミュレーション、完全なテスト評価システムなどを含む。これにより、物理的な世界の運転環境を模して、コーナーケースをリファクタリングする。テスト実施者は、要求に基づき車両の運動、速度、センサーなどのパラメータを設定し、路面、交通状況、天候、照明環境などの要素をフレキシブルに調整することができる。(2022年5月31日付プレスリリースより)
事業提携
華為(Huawei)
-均勝電子)は、子会社の寧波均聯智行科技股份有限公司(均聯智行)が華為技術有限公司[Huawei Technologies Co., Ltd.](ファーウェイ)傘下の華為終端有限公司と了解覚書(MOU)を締結したと発表した。2021年、均聯智行はファーウェイの自動車部門と提携を開始し、スマートコックピットソリューションを開発した。この新開発のスマートコックピットを搭載するモデルは現在開発中だという。今回のMOUでは、均聯智行はファーウェイとの提携を拡大し、コックピットエコシステムの構築で更なる協力を行う。スマートモビリティ「HiCarプラットフォーム」をベースとした製品の開発や、市場開拓、ブランド確立を通じてコックピットの多様化を図っていくという。(2022年11月7日付均勝電子のWechat公式アカウント)
受注
有名自動車会社に5G+C-V2X製品を提供
-子会社の寧波均聯智行科技股份有限公司(均聯智行)がグローバルの大手自動車メーカーの新エネルギー車(NEV)向けに5G対応C-V2X製品が採用されたと発表した。メーカー名は公開されていない。受注金額は約18億元の見込み。(2023年3月2日付均勝電子のプレスリリースより)
国内外のブランド顧客にアクティブおよびパッシブセーフティの製品とソリューションを提供
-均勝電子は、中国国内メーカー、新興メーカー、海外メーカーからアクティブ/パッシブセーフティ製品及びソリューションを受注したと発表した。供給期間における受注総額は40億元超、2023年から量産を開始する予定。(2022年10月21日付プレスリリースより)
OEM各社の新エネルギー車向け自動車安全製品を提供
-均勝電子は、子会社であるJoyson Safety Systemsが完成車メーカーから新エネルギー車用のセーフティ関連製品を受注したと発表した。受注総額は約115億元。2025年から量産を開始する。(2022年8月10日付均勝電子公式WeChatより)
ヨーロッパの OEM に V2X および 800V BMS を提供
-均勝電子は、子会社がV2Xと800Vのバッテリーマネジメントシステム(BMS)を受注したほか、中国のOEMとドメインコントローラープラットフォームを共同開発すると発表した。V2Xの供給先は欧州系完成車メーカーで、受注総額は約9億元。2024年に量産を開始する。800V BMSは、子会社のPreh GmbHが欧州系完成車メーカーから受注したもの。受注総額は約56億元で、2023年に量産を開始する。(2022年8月2日付均勝電子公式WeChatより)
国内自動車メーカー向けにデュアルOrinシステムアーキテクチャを備えた高演算能力ドメイン制御プラットフォームを提供
-子会社の寧波均勝科技有限公司(均勝科技)は、中国の完成車メーカーと自動運転用のドメインコントローラープラットフォームを共同開発することで合意した。この共同開発において均勝科技は、NVIDIAの車載チップOrinをベースに、Orinシステムアーキテクチャを活用したドメインコントローラープラットフォーム(ADドメインコントローラー)を提供する。L2++高速道路及び都市型自動クルーズアシスト(NOA)、バレーパーキング(AVP)の実現を目指し、2024年に量産を開始する予定。(2022年8月2日付均勝電子公式WeChatより)
スマートファクトリー
-均勝電子傘下の寧波普瑞均勝汽車電子有限公司(均勝普瑞)は、浙江省2022年未来工場パイロットリストに最終候補として選出されているという。この拠点では、射出成形、塗装、電子配置、組立、最終検査など、全工程の90%を自動で行う。将来的には、モジュールの組立や大規模な混合ライン生産も実現するという。(2022年5月10日付けリリースより)
-均勝電子はビッグデータ、AI、ソフトウェアなどを応用して、バッチ生産によって顧客のカスタマイズや個別ニーズに応えながら人件費の削減を目指すと発表した。均勝普瑞は寧波工場をデジタル化し、モジュールの組立及びハイブリッド生産を行う。自動車エレクトロニクス工場は拡張を行っており、8月までに稼動を開始する予定。均勝電子自動車安全事業部(均勝安全)寧波工場では、新たな物流プロジェクトが試験的に運営を開始し、自動倉庫、保管、配送、出荷梱包を行った。さらに、均勝合肥及び湖州工場の第3期工事が進行中で、研究開発センター、スマートファクトリー、物流センターなどのインフラを建設する。(2022年4月13日付けリリースより)
-均勝電子の関連会社である寧波均普智能製造股份有限公司[Ningbo PIA Automation Holding Corp.]は、上海証券取引所のハイテク・新興企業向け株式市場の科創板(STAR market)に上場すると発表した。同社は2017年1月に設立されたスマートマニュファクチュアリング設備のグローバルサプライヤー。自動車産業、産業用メカトロニクス、消耗品、医療用機械などの分野で事業展開し、主に自動車産業のメーカー向けにスマートマニュファクチュアリング・ソリューションを提供している。(2022年3月21日付プレスリリースより)
特許
-均勝電子は傘下の均勝普瑞(Preh)がISO 26262:2018機能安全ASIL D開発プロセス認定書を獲得したことを発表した。(2022年2月23日付リリースより)
-2022年末現在、同社は世界中で4,000 以上のコア特許を保有。
研究開発体制
-均勝電子は、傘下のPrehがメキシコのユカタン州に車載エレクトロニクス開発センターを建設すると発表した。将来的にこのセンターは、人工知能(AI)と車載エレクトロニクス関連製品の設計開発を担い、スマート技術を次世代コックピットに応用することで、顧客の電動化転換ニーズに応えていく。中・短期的には、エンジニアリング技術、ソフトウェア設計及びハードウェア関連の人材を300人募集する計画だという。(2022年5月25日付均勝電子の公式Wechatより)
-2022年内に中国に2つのグローバル研究所を設立する予定。主に新エネルギー車と自動運転技術に関する研究を行う。新エネルギー車では、バッテリーマネジメントシステムやエネルギー貯蔵技術に焦点を当て、自動運転の技術分野では、主にインテリジェントコックピットに焦点が当てられる。(2022年3月15日付プレスリリースより)
-新たにインテリジェント自動車技術研究所を設立。自動車の知能化分野における最先端技術の開発を行い、研究成果を製品化する。特に自動運転向けドメインコントローラー、マシンビジョンシステム、機械学習、AR/VR、マルチモーダルHMI、センシング、車載ソフトウェア、その他に注力する。
研究開発費用 |
(単位:百万元) |
2022年12月期 | 2021年12月期 | 2020年12月期 | |
研究開発費用 | 3,033.87 | 3,088.25 | 3,210.26 |
売上高に占める割合(%) | 6.09 | 6.76 | 6.70 |
-2022年末現在、エンジニアリング技術者と研究開発要員の総数は 4,949 名で、全社数の 11.15% を占める。