Huawei Technologies Co., Ltd.[華為技術有限公司] 2021年12月期の動向
業績 |
(単位:百万元) |
2021年12月期 | 2020年12月期 | 増減率 (%) | 要因 | |
売上高 | 636,807 | 891,368 | (28.56) |
-消費者向けサービスにおいて大幅な売上減となり、全社で前年比減。 |
営業利益 | 121,412 | 72,501 | 67.46 | |
純利益 | 113,718 | 64,649 | 75.90 |
-2021年、Huaweiは、上海モーターショーで出展されたARCFOX (極狐)「αS」を皮切りに、「HI (Huawei Inside)」と呼ばれるHuaweiのソリューションを搭載した独自のブランドの展開を進めた。同モデルARCFOXの「αS」は、通常のモデルとは別にHIモデルと呼ばれるバージョンを設定し、HuaweiのHarmony OS、高度自動運転システムを搭載している。
-長安汽車などが出資する阿維塔科技(重慶)有限公司(Avatr Technology)の「アバター11 (Avatr 11、阿維塔11)」においても「HI」のロゴを配した。Huaweiのソリューションをフルスタックで搭載しており、スマートドライブ、スマートコックピット、スマート車両コントロールの3つのコンピューティングプラットフォームとAOS (スマートドライブOS)、HOS (コックピットOS)、VOS (車両コントロールOS)の3つのOSを搭載している。この「アバター11」は2022年第3四半期に量産を開始する。
-また、2022年3月に納車を開始したと発表された、重慶金康賽力斯 (SERES) のSUVである「問界(Wenjie) M5」にもHuaweiはHarmony OS インテリジェントコックピットを搭載しており、インテリジェントカーに向けたソリューションの提供を強化している。
OEMとの提携・受注
サプライヤーとの提携
提携先 | 内容 |
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星宇股份 (Xingyu Lighting) |
星宇股份とスマート車載用ランプ事業で提携 常州星宇車灯股份有限公司 [Changzhou Xingyu Automotive Lighting Systems Co., Ltd.] とスマート車載ランプ事業について提携を行う。両社は共同でスマートランプの設計から製造、供給までを行い、競争力を高め、事業提携を包括的に行っていく。(2022年2月17日付星宇股份の公式Wechatに基づく) |
均勝電子 (Joyson Electronic) |
均勝電子傘下のJOYNEXTと提携 スマートコックピットで協業 寧波均勝電子股份有限公司[Ningbo Joyson Electronic Corporation](均勝電子)の子会社である寧波均聯智行科技股份有限公司[Ningbo Joynext Technology Co., Ltd.](JOYNEXT)と提携協定書を締結した。両社は経営資源を生かし、スマートコックピット分野で研究と革新に向けた取り組みを行い、スマートコックピット用ソフト・ハードウエア製品およびサービスを開発し、ユーザーとコックピット間のインタラクションエクスペリエンスの向上に注力する。共同開発した製品には、ファーウェイのスマートコックピットコアモジュール、鴻蒙OS (HarmonyOS)、HMS-Aコアプラットフォームおよび鴻蒙アプリケーションエコシステムが搭載されるという。JOYNEXTはドメインコントローラー、オペレーティングシステムからアプリケーションに至るまでの、ファーウェイプラットフォームをベースとしたソフトおよびハードウェア・スマートコックピットのコンプリートソリューションを提供する。関連製品はすでに中国内の主要OEMから複数モデル向け、受注を獲得している。今後、両社は提携範囲を広げ、OEMにファーウェイプログラムをベースにしたスマートコックピットソリューションを展開する計画だという。(2021年8月23日付複数メディア報道より) |
徳賽西威 (Desay SV) |
徳賽西威とフルシナリオ・スマートモビリティ・エコロジーソリューションで提携 恵州市徳賽西威汽車電子股份有限公司[Huizhou Desay SV Automotive Co., Ltd.] (徳賽西威) は、ファーウェイ子会社華為終端有限公司[Huawei Device Co., Ltd.](ファーウェイ)とフルシナリオ・スマートモビリティ・エコソリューションに関する提携合意書に署名したと発表した。双方はHiCarソリューションプラットフォームでの協力、テスト機能の構築、車載エコロジーイノベーションなどの分野で提携を深める。徳賽西威の車載プラットフォームがHUAWEI HiCarを統合するという。両社はファーウェイのフルシナリオ・スマートモビリティ・エコリューションをベースに共同開発を行い、イノベーションラボを共同で立ち上げ、包括的なHUAWEI HiCarテストソリューションを構築する。これによりスマートコックピット製品とソリューション提供を目指すという。(2021年4月26日付プレスリリースより) |
TomTom | TomTom、ファーウェイの地図アプリに技術を供給 TomTomは10月22日、ファーウェイ(Huawei、華為)が地図アプリのサプライヤーとしてTomTomを選定したと発表した。ファーウェイのPetal MapsにTomTomの技術が採用される。Petal Mapsは地図、ターンバイターン方式のナビゲーション、交通情報、場所検索などを提供するツール。このアプリはHUAWEI Mate 40シリーズに付属している。HUAWEI AppGalleryからダウンロードすることができ、140を超える国と地域で利用可能。(2020年10月26日付プレスリリースより) |
ECARX | 吉利傘下のECARX、ファーウェイスマートモビリティとスマートコックピットで提携 両社はスマートコックピットと消費者エコロジカルサービスの領域で提携する。具体的には、華為HiCar、スマホデジタルキー、HMS for Carなどのソリューションを運用し、自動車ユーザーにより良い車内のインタラクティブ・エクスペリエンスを提供する。ECARXの車載インターネットサービスプラットフォームにより華為HiCarとスマホデジタルキーは吉利グループのモデルに搭載される予定。(2020年9月17日付プレスリリースより) |
特来電 (TELD New Energy) |
新エネルギー車充電の分野で提携合意 中国で電気自動車(EV)用充電ネットワークを展開する特来電新能源有限公司 [TELD New Energy Co., Ltd.] (TELD、以下、特来電)と深圳で全面的提携の合意書に調印したと発表した。両社はインテリジェント充電、4G/5G通信、ファーウェイクラウド、充電網標準などの分野で提携する。特来電は中国最大の充電サービス運営会社。全国334都市で270万余りのEVユーザーにサービスを提供している。(2020年5月22日付プレスリリースより) |
中国政府機関との提携
提携先 | 内容 |
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中国工業情報化部(MIIT)装置産業発展センター | コネクテッドカー産業発展に向けて中国工業情報化部の直轄機関と提携 中国工業情報化部の直轄機関(中国工業情報化部(MIIT)装置産業発展センター[Equipment Industry Development Center (EIDC)])と戦略的提携を締結したと発表した。双方はコネクテッドカー産業発展に向けて、産業政策と規制、技術標準、測定評価システム、プラットフォーム構築などの領域で協業する。EIDCは工業情報化部の直轄機関で、機器産業での経営支援や政策提言などを行っているほか、コネクテッドカーへのアクセスに関する規制などの検討を行っている。(2021年9月25日付プレスリリースより) |
武漢開発区 | コネクテッドカー産業に関する協定書締結 武漢経済技術開発区政府とスマート・コネクテッドカー産業提携協定書に調印したと発表した。今後、車百智能網聯研究院(武漢)有限公司などと協力して、武漢の国家インテリジェントネットワークのモデルエリアで、スマートカーとスマートシティの協調に関する技術革新と標準の構築を行い、世界レベルのコネクテッドカー産業イノベーション拠点を作る計画。ファーウェイは武漢経済開発区に「華為(武漢)智能網聯産業創新中心」を設立し、モデルエリアに自動運転車開発オープンプラットフォームサービスを提供する。(2021年1月29日付プレスリリースより) |
製品開発/技術
製品名 | 内容 |
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HUAWEI HiCar | Huawei HiCarは、人・車・家をつなぐHuaweiのコネクテッドソリューション。 2021年までに、Huawei HiCarは100以上のモデル、1,000万台の車両に搭載される。 また、さまざまな企業と協力し、車にクラウドサービスを予めインストールしたHMSforCarを通じて、ユーザーに車載サービスを提供する。 |
HMS for Car | HMS for Carは、Huawei Terminal Cloud Servicesが構築したスマートカークラウドサービスソリューション。 HMS(Huawei Mobile Services)をベースに、Huawei Smart Assistant、Huawei Music、Huawei Video、My Car、Huawei App Market、Huawei Quick App Centerなどのアプリを含む。 HMS for Carは、2021年12月現在、すでにVolvoなど自動車メーカーと提携しており、今後は提携先の拡大を目指す。 |
4Dイメージングレーダー | 従来のミリ波レーダーのアンテナ構成(3T4R)の24倍となる12T24R(送信12チャンネル、受信24チャンネル)の大型アンテナアレイを採用。従来のミリ波レーダーの測距・測速に加えて、光や雨に左右されず、視覚的に距離が不明瞭なターゲットを検知する独自の機能を備えており、大幅な性能向上を実現。 また、LIDARのように4次元の高密度な点群を進化させることで、環境マッピング、合成、位置決めなどの豊富な感覚拡張アプリケーションにつながる。また、複数のレーダーを点群レベルで融合させることで、車両周辺の360°検知をより効果的に実現し、フルターゲット、フルカバレッジ、マルチコンディション、全天候型のセンシング要件を満たすことが可能。(2021年4月18日付プレスリリースより) |
インテリジェントドライブ・コンピューティングプラットフォーム MDC810 |
高密度計算能力400TOPS、ASIL D機能安全要求を確保し、インテリジェントドライブ・プラットフォームソフトウェアMDC Coreを搭載。また、トラフィックジャムパイロット (TJP)、ハイウェイパイロット (HWP)、自動バレーパーキング (AVP) などの自動運転機能を可能にする。 |
AR-HUD | 体積10Lの小型設計で、ドライバーの目の位置に投影区域を調節できるほか、広い視野角で多くのコンテンツの表示も可能。7.5メートル前方に70インチの大画面を虚像として投影する。 |
自動運転オープンプラットフォーム「八爪魚」 (Huawei Octopus) |
自動運転コアハードウェアであるデータ、高精度地図、アルゴリズムをベースにオープンプラットフォームを構築し、完成車メーカーが自動運転技術の開発効率を上げることに貢献する。 |
統合型サーマルマネジメントシステム(TMS) | フレーム、構成部品、制御システムなどを一体化し、ポンプの作動温度を業界で一般的なマイナス10℃からマイナス18℃に引き下げ、新エネルギー車の航続距離を20%アップさせる。 |
HarmonyOS 2 |
複数のデバイスをシームレスに連携することで、すべてのものをインターネットでつなぐIoEを実現可能にする。自動車にも搭載することができ、HarmonyOS 2に基づいたファーウェイのインテリジェントコックピットソリューションは全てのシーンの連携や異なるデバイス間の相互接続を実現することができる。(2021年6月2日付複数メディア報道より) |
統合型電気駆動システムDriveONE | MCU、モーター、減速機、DC/DCコンバーター、OBC、PDU、BCUの7つの機械部品と機能部品を統合。このほか、2C急速充電に対応し、10分間の充電で航続200kmを可能にする。従来の方式に比べ、より高い効率 (NEDC効率89%)、より高い精度 (SOC検査精度±3%) を備えている。電力密度は2.1kw/kgに達する。(2020年11月11日付けリリースより) |
自動車用LiDAR製品 | ファーウェイはLiDARの開発を2016年に開始している。LiDARが対応するシーンを分析した後、ファーウェイはスキャンライン数96の中長距離LiDARを設計、開発した。この製品は歩行者や車両の検知に加え、高速車両の検知能力も備えることで、中国の道路状況に適応している。120°×25°の広い視野をもち、市街地や高速道路において、人や車両との距離を測定が可能。また、視野全体にわたり光束が水平、垂直に均一に分布しているほか、コンパクト設計による量産車への搭載性も高めている。(2020年12月22日付プレスリリースより) |
MDC車載コンピューティングプラットフォーム白書 | MDCとは、インテリジェントドライブ向けコンピューティングプラットフォームを指す。標準化したハードウェア製品シリーズ、インテリジェントドライブ・オペレーティングシステムのAOS、VOS、MDC Coreに加え、付属ツールチェーンや路車協調サービスから構成される。また、部品のサービス事業化、インターフェイスの標準化、開発のツール化をサポートすると同時に、自動車業界の安全要件も満たしている。このMDCプラットフォームはハードウェアとソフトウェアのデカップリングに対応し、ソフトウェアアーキテクチャ、異なるハードウェア構成、標準化した外形寸法と物理特性、前方互換性により自動運転レベル2+から5までのスムーズな進化を促す。現在、ファーウェイMDCはインテリジェントドライブの領域で、20社近くの主要OEMやTier 1と提携に向けたモデル運用を進めており、乗用車、商用車、作業用特殊車両など様々なインテリジェントドライブに活用している。(2020年10月28日付プレスリリースより) |
自動運転クラウドサービス | 自動運転クラウドサービスプラットフォームを湖南省湘江新区のインテリジェントネットワーク企業各社向けに運用開始した。自動運転クラウドサービスプラットフォーム「HUAWEI Octopus」は2019年4月に正式に発表された。クラウド+AI、5G、C-V2Xなどの領域での強みを生かし、自動車メーカーや開発者にデータサービス、トレーニングサービス、シミュレーションサービスの3つを提供する。そのうち、シミュレーションサービスでは、プラットフォーム内にインテリジェントドライブ、アクティブセーフティ、危険シーンなど1万を超えるシミュレーションシーンを設けるとともに、道路測定データシーンのシミュレーションシーンへの転換をサポートし、毎日500万kmを超えるバーチャルテストを行う。インテリジェントネットワーク企業はこのプラットフォームを通してスマート駐車、スマート公共交通、スマート物流、ロボタクシー(Robotaxi)などへの導入を強化することができる。(2020年3月23日付プレスリリースより) |
搭載情報
発表年度 | OEM | ブランド/モデル | 使用製品 |
2021年 | 北京汽車 | BEIJING | 鴻蒙OS 2(HarmonyOS 2) |
- | BEIJING X5 | 車載システム | |
- | BEIJING X3 | ファーウェイ鴻蒙エコシステム | |
2021年 | 北汽新能源 | ARCFOX αS ファーウェイHIバージョン | HarmonyOS (鴻蒙OS),高度自動運転ADSシステム |
2021年 | ARCFOX αT | ファーウェイのスマートインターネット、スマートエレクトリック分野技術 | |
2021年 | ARCFOX HBT | LiDAR | |
2021年 | 江淮 | 思皓QX | 鴻蒙OS、スマートアシスタント |
2021年 | 金康新能源 |
AITO 問界M5 | インテリジェントコックピット「HarmonyOS」、10.25インチHD液晶メーター、高出力ワイヤレス充電、NFCキーモジュール |
賽力斯 (SERES) SF5 | 統合型電気駆動システムDriveONE、モーターコントローラー | ||
2021年 | 広汽埃安 (GAC Aion) |
Aion V | 5G対応新世代「バロン5000」チップを採用した自動車用5Gモジュール |
2021年 |
奇瑞汽車 |
捷途X70 Plus |
インテリジェントコネクティビティシステム「Huawei Hicar」 |
2021年 |
捷途X |
レベル3の高度自動運転支援システム、スマートコックピット3.0とウェルネスコックピット4.0 | |
2021年 |
上海汽車 |
EUNIQ 5シリーズ |
MCU (マイクロコントローラユニット)、CDU (3-in-1充配電ユニット) |
2021年 | 栄威MARVEL-R | 5G対応新世代「バロン5000」チップを採用した自動車用5Gモジュール |
研究開発費用 |
(単位:百万元) |
2021年12月期 | 2020年12月期 | 2019年12月期 | ||
研究開発費 | 142,666 | 141,893 | 131,659 | |
売上高に占める比率 (%) | 22.4 | 15.9 | 15.3 |
-2021年、インテリジェントオートモーティブソリューション ビジネスユニット(IAS BU)の研究開発費は10億米ドル、人員は5,000名となった。
認証
-インテリジェントコックピットオペレーティングシステムAOS、インテリジェントビークルコントロールオペレーティングシステムVOS、自動運転計算プラットフォームMDC、自動運転ソリューションADS、センサーフュージョン及びインテリジェントエレクトロニクス製品はAutomotive Safety Integrity Level(自動車安全水準)のDレベルを取得。マップソリューションにおいては、中国国内の地図作成資格を取得したほか、インテリジェントビークルソリューションにおいて自動車ネットワークセキュリティISO/SAE 21434認証を取得。なおクラウドサービスではASPICE認証とVolkswagenグループKGAS監査に合格している。
特許
-同社は申請番号CN112248801Aの出願公開を行ったと報じた。この特許は、減速機、動力システムおよび車両に関するもの。この減速機は、電動車、電気自動車 (EV)、ハイブリッド車 (HV)、レンジエクステンダー付きEV、プラグインハイブリッド車 (PHV)、新エネルギー車などに使用するものだという。(2021年1月25日付複数メディアより)