(株) ブリヂストン 2019年12月期の動向

業績

(単位:百万円)

  2019年12月期 2018年12月期 増減率 (%) 要因
売上高 3,525,600 3,650,111 (3.4) -
営業利益 326,098 402,732 (19.0) -
経常利益 316,823 381,132 (16.9) -
当期純利益 292,598 291,642 0.3 -
タイヤ部門
売上高 2,944,119 3,041,099 (3.2) 下記要因
営業利益 325,875 393,954 (17.3)

要因
タイヤ部門
-日本では、乗用車及び小型トラック用タイヤ、並びにトラック・バス用タイヤの販売本数は前年並に推移。その一方、北米や欧州、中国・アジア・大洋州では、乗用車及び小型トラック用タイヤ、並びにトラック・バス用タイヤの販売本数は前年を下回った。

 

TomTom Telematics(現Webfleet Solutions)の買収

-TomTomは、テレマティクス事業をBridgestone Europeに910百万ユーロで売却すると発表した。売却により、TomTomは高精度マップ、ナビゲーションソフトウェアおよびリアルタイム交通情報サービス事業に注力する。また、ブリヂストンはデジタル技術事業の強化を図るという。(2019年1月22日付プレスリリースより)

-Bridgestone Europeは、910百万ユーロでTomTom Telematics(TomTom)の買収が完了したと発表した。デジタル技術事業を強化させ、モビリティソリューションでのビジネスパートナーとしての地位を築くねらいだ。TomTomは、ブリヂストンの下で同社が持つブランド力、顧客ベース、グローバル販売網を有効活用しながら独立した事業を展開し、ヨーロッパおよびその他地域での拡大を目指す。(2019年4月1日付プレスリリースより)

-Bridgestone Europeは、2019年4月に買収したTomTom Telematicsの社名を2019年10月1日からWebfleet Solutionsに変更すると発表した。新会社はフリートソリューションの欧州最大のプロバイダーで120万台超の車両にモビリティサブスクリプションとフリートソリューションを提供している。TomTom Telematicsの買収により、ブリヂストンはフリートソリューション事業を強化しており、Webfleet Solutionsによって更なるプレゼンス強化を図るという。(2019年9月9日付プレスリリースより)

-津谷正明会長は本社で開いた記者会見で、ソリューションサービスを拡大する方針を示した。製品の性能やメンテナンスにはデジタル技術などを活用して付加価値をつける。こうしたソリューションサービスをグローバルネットワークで展開し、モビリティを支える「移動ソリューション・コントリビューター」への変革を急ぐ。同社は4月にフリートマネジメントを手がけるオランダのトムトムテレマティクスを買収し、10月には「ウェブフリート・ソリューションズ」に社名変更した。(2019年12月2日付日刊自動車新聞より)

 

受注

-2019年12月期の主な受注

製品名 搭載モデル
ECOPIA EP150 ダイハツ「Rocky」トヨタ「Raize」
E-Miler Super A (EMSA)
M840
三菱ふそう「Fighter」
ECOPIA EP150
TURANZA T002
トヨタ「Corolla」「Corolla Touring」
TURANZA T005A マツダ「CX-30」
ECOPIA EP150 日産「Serena e-POWER」
Alenza001
Alenza Sport A/S
BMW「X5」「X7」
Alenza001 トヨタ「RAV4」
R268 Mercedes-Benz「Atego」「Axor」「Actros」
M729 Mercedes-Benz「Axor」「Actros」
M840S
L320
Mercedes-Benz「Axor 6x4」
M814 Mercedes-Benz「Accelo」
Alenzaシリーズ
Blizzakシリーズ
Audi「e-tron」

※各種リリースによる

受賞

-マツダから「取引成績優秀賞」を受賞したと発表した。新車開発に伴う量産化立ち上げ・増産や購買活動への貢献が評価され、タイヤメーカーとしては唯一の受賞となったという。(2019年4月9日付プレスリリースより)

 

事業提携

-Bridgestone EuropeとIris Capitalは、欧州、中東、アフリカ市場向けの新モビリティサービス供給、インダストリー4.0対応およびデジタル化で提携すると発表した。提携により、ブリヂストンはOrange、Publicis、ValeoとともにIrisNextのスポンサーに加わることとなる。同社の自動車業界における専門知識とIris CapitalのCareem、Mojio、Mister Autoなどの新興企業への資金提供の経験を生かし、新モビリティとデジタル化の推進を図るという。(2019年1月17日付プレスリリースより)

 

研究開発費

(単位:百万円)
  2019年12月期 2018年12月期 2017年12月期
全社 105,283 103,500 99,700
-タイヤ部門 87,800 86,700 83,200

研究開発拠点数

(単位:ヵ所)

  米州 欧州・中近東・
アフリカ・ロシア
中国・アジア・
大洋州
日本 合計
技術センター 1 1 2 2 6
プルービング
グラウンド
4 1 3 2 10

国内研究開発施設

名称 所在地
技術センター 東京都小平市
化工品技術センター 神奈川県横浜市
ブリヂストンプルービンググラウンド 栃木県那須塩原市
北海道プルービンググラウンド 北海道士別市

 

海外研究開発拠点

国名 所在地
技術センター
アメリカ オハイオ州Akron
イタリア ローマ
中国 無錫 (Wuxi)
タイ Pathumthani
プルービンググラウンド
アメリカ テキサス州Fort Stockton
オハイオ州Columbiana
メキシコ Acuna
ブラジル San Pedro
イタリア Aprilia
タイ アユタヤ県Nong Khae
インドネシア Karawang
中国 宜興 (Yixing)

 

研究開発活動

タイヤ軽量化の新技術「Enliten (エンライトン) 」
-3次元形状革新サイプによるパターンブロック挙動の最適化と最新のシミュレーション技術を活用した接地形状の最適化で、摩耗性能などを維持したまま、タイヤに使用する部材を削減して乗用車用タイヤで従来比約2割の軽量化と、転がり抵抗で同じく約3割低減できる。ガソリンエンジン車走行時のタイヤに起因する二酸化炭素 (CO2) 排出量は約30%削減し、電気自動車の航続距離を延ばす効果もある。 (2019年9月5日付日刊自動車新聞より)

 

製品開発

CES 2020での展示(エアフリーコンセプトタイヤ等)
-自動運転の実現に向け、先進的な技術を通じてモビリティの進化、安全性、効率性を支える様々なモビリティソリューションを展示。空気充填やメンテナンスが不要で、パンクの危険性やダウンタイムを削減できる「エアフリーコンセプト」タイヤなど様々な用途に向けた空気を使わないタイヤや、タイヤのひずみを感知することで、タイヤの荷重や摩耗状況を測定できるセンサー、テレマティクス技術・データを活用し、顧客企業の車両の生産性、安全性、コスト効率向上を実現するためのソリューションプラットフォームなどを出展。(2019年12月19日付プレスリリースより)

スマートストレインセンサー
-タイヤの荷重と摩耗状態を推定するセンシング技術「スマートストレインセンサー」を開発したと発表した。このセンサーは、一般的なタイヤ空気圧監視システム (TPMS) センサーの機能であるタイヤの空気圧や温度を測定するだけではなく、タイヤが路面に接触している部分のひずみを測定する。そのひずみデータを独自のアルゴリズムによって、荷重 / 摩耗情報へ変換する。また、速度に依存しない計測により、極低速度域での信頼性の高いデータ取得を可能にしたという。(2019年12月18日付プレスリリースより)

再生カーボンブラック使用タイヤ
-米国子会社ブリヂストンアメリカス・インク(BSAM)は、タイヤの原料のカーボンブラックを、廃タイヤを熱分解して回収した再生カーボンブラック(RCB)で代替したタイヤを商用化した。BSAMでは2020年までに乗用車用の廃タイヤ約200万本分に相当する約6800トンのRCBを使用し、約1万900トンの二酸化炭素(CO2)排出量削減を目指す。販売している一部のタイヤには、BSAMと提携しているデルタエナジーグループ・エルエルシー社製のRCBが使用されている。(2019年11月26日付日刊自動車新聞より)

IAA2019での展示
-タイヤ、ブレーキ、バッテリーなどの主要部品をリアルタイムで監視する予知保全ソリューション「Bridgestone Connect」やタイヤのサブスクリプションサービス「MOBOX」のほか、2019年4月のTomTom Telematics買収によりポートフォリオに組み込まれた「NEXTFLEET」、「WEBFLEET」などの管理ソリューションを披露。タイヤ技術に関しては、新軽量タイヤ技術「Enliten」をはじめ車内の騒音を大幅に低減する「B-Silent」技術などを出展する。これらの技術はアウディ、BMW、メルセデス・ベンツなどの様々なプレミアムブランドに採用されるOEタイヤに活用されている。同社はまた、「Blizzak LM005」などの新製品も展示。(2019年8月12日付プレスリリースより)

2019上海モーターショーでの展示
-新開発材である、天然ゴムの性能を上回るポリマー「High Strength Rubber」や次世代低燃費タイヤなどを始めとした製品を展示。(2019年4月11日付プレスリリースより)

新型冬用スタッドレスタイヤ「Blizzak ICE」
-雪氷面での優れた性能や乗り心地、大幅に延びた耐用年数などが特徴。また、特許取得済みのマルチセル技術を採用した新たなトレッドコンパウンドで設計されており、氷上での停止距離を改善する。同社のマルチセル技術は、グリップを強化するために、水を引きつけて氷の表面から引き離す親水性の特性を持つように製造されており、氷上での制動距離を8%短縮する一方で、従来と比較して摩耗寿命を25%改善しているという。(2019年5月3日付プレスリリースより)

 

設備投資額

(単位:百万円)

  2019年12月期
(実績)
2018年12月期
(実績)
2017年12月期
(実績)
全社 289,200 268,400 234,800
-タイヤ部門 261,000 236,500 214,900

 

国内投資

<日本>
-北九州工場 (北九州市若松区) の隣接地、約14万平方メートルの土地を約24億円で取得すると発表した。取得地はタイヤ生産などに活用する見込みだが、具体的な計画は今後詰める。3月29日に北九州市と市有財産売買の仮契約を結び、6月の同市議会で可決されたのちに本契約となる。(2019年5月22日付日刊自動車新聞より)

 

海外投資

<タイ>
-現地法人Bridgestone Specialty Tire Manufacturing (Thailand)は、建設・鉱山車両用ラジアルタイヤ新工場の開所式を開催したと発表した。ラヨーン県Amata City工業団地に建設された870,000平方メートルの新工場の生産能力は、日産約35トン。新工場は、日本を除くアジアで初めての建設・鉱山車両用ラジアルタイヤ工場で、グローバル供給拠点のひとつとして位置づけられる。新工場開設により、中長期的な需要の変化に柔軟に対応する生産供給体制の構築が可能となるという。(2019年10月25日付プレスリリースより)

<トルコ>
-Lassa Tyresは、Sabanci Holdingとブリヂストンが300百万ドルを共同投資するトルコの合弁会社Brisa Bridgestone Sabanci Tyre のAksaray工場が、フル稼働時に420万本のタイヤを生産すると発表した。Lassa Tyresは合弁工場のタイヤ販売を担当している。インダストリー4.0対応の同工場は、世界56カ国にタイヤを輸出しており、サイバープラットフォームや拡張現実などを通じて自動タイヤ移送システム、同時タイヤ追跡などの付加価値生産アプリケーションで競争力を高めている。サイバー環境でのデジタルツインのセットアップにより、オペレーターはタイヤをリモート技術でフォローアップし、2分で問題に対応する。タイヤは工場で欠陥なく生産され、エネルギー消費量を30%削減することで環境にも価値をもたらすという。工場では原材料が閉鎖循環式で移送され、管理棟に設置されたソーラーパネルでは発電も行うとともに、すべての雨水と排水がシステムにフィードバックされる。(2019年10月25日付プレスリリースより)

<ハンガリー>
ハンガリー投資促進公社(HIPA)は、ブリヂストンのTatabanya工場の拡張を発表した。生産能力拡大のため、Tatabanya工場は29.5百万ユーロの投資の第2段階として、タイヤの保管能力を1.5倍となる60万本に増強した。また92億フォリント(約33億円)を投じたプロジェクトで人工知能ベースのEXAMATIONデジタル生産技術を導入、現在は製品の60%がこの技術で生産されている。拡張により、タイヤ生産量は2020年までに年間720万本に達する見込み。(2019年9月3日付HIPAプレスリリースより)