VW:1000万台販売に向けて、ドイツ/中国/北米で積極投資

独商用車メーカーMANを子会社化し、Scaniaを含めた統合へ

2011/07/20

要 約

 VWは、中期計画 Strategy2018で年間販売目標 1,000万台を掲げ、業績面/環境面でのリーダーになることを目指している。そのため、ドイツ/中国/北米などに2015年までの5年間に600億ドルを超える投資を行い、中国での年産300万台体制、米国での100万台販売を目標としている。同時に、電動車の開発/投入にも投資を行う。

 さらに、商用車事業では、独商用車メーカーMANを2010年7月に子会社化し、傘下のScaniaを含めて統合を図る。また、日本の商用車メーカーいすゞとも提携交渉を進めている。一方で、ポルシェとの統合は2011年の予定より遅れる可能性があり、19.9%出資するスズキとの提携の具体化も遅れている。

 2011年1-3月期の、世界販売台数は前年同期比14.0%増の198.8万台、売上高は同30.8%増の374.7億ユーロ、営業利益は3.5倍の29.1億ユーロ。全て、過去最高を記録した2010年の同期の水準を大幅に超えている。



Strategy 2018:800万台販売の中間目標を2011年に達成の可能性も

 VW は、2007年に発表した事業戦略 Strategy 2018 で、台数面で世界一の自動車メーカーになるだけでなく品質・環境・利益面のリーダーになることを目標としている。2010年の好調な業績で、目標は達成可能としている。

 販売台数の中間目標は800万台で、2018年に1000万台を目指している。2010年は720万台を販売し、2011年上半期の販売は409万台。同様のペースで後半も販売を続けることが出来れば、2011年にも販売の中間目標800万台を達成すると見られている。

 また、利益面での目標を達成するため、3種類の柔軟なプラットフォームを様々なモデル/ブランドで共有し、コスト削減を進めている。モジュラーツールキット戦略と呼称。

Strategy 2018の目標と実績

2010年実績 中間目標 2018年目標
Group 販売台数 720万台 800万台 1,000万台
自動車部門の売上高 EBIT率 7.1% 5%以上 8%以上
自動車部門の売上高 capex率 5.0% 6% 6%
自動車部門の投資収益率 13.5% 16%以上
資料:VW Annual Report 2010、VW Press Release 2010/2/2、2011/7/7、7/15、2011/7/12、Presentation Material 2010/2/3

(注)1.

Strategy 2018 の中間目標は2010年 2月に発表 (達成目標時期は明言していない)。

2.

 

2011年上半期のVW乗用車ブランドの販売台数は約253万台と前年同期比11.8%増。Audi ブランドの同期間の販売台数は同17.7%増の約65万台。他ブランドも合わせた、2011年上半期のVW グループ全体の販売台数は409万台。
3. EBITは利払い/税引前利益(Earnings before Interest and Taxes)の、capexは資本支出(Capital Expenditure)の略。

 

VWのプラットフォーム戦略:モジュラーツールキット

VWは、足回りやプラットパネルを初め、各種部品、エンジン/変速機/エアコンなどのモジュール化を図り、ブランド、セグメント越えて利用していく。これらは、モジュラーツールキット戦略と呼ばれ、モジュール化された各部品を様々に組み合わせることで、様々な車種に対応できる柔軟なプラットフォームを作り上げる。異なるモデル間で60~70%のモジュールを共有しながら、外観などの差別化は図りやすくする。VWは、この柔軟なプラットフォーム3種類を用意し、2018年までに1000万台の販売を目指す。
MLB MLB (Modularer Langsbaukasten/ modular longitudinal toolkit)はエンジン縦置き車向けのプラットフォーム。2007年に発売されたAudi A5から採用され、A8、A7、A6、A4、Q5と幅広いモデルに用いられている。
MQB MQB (Modularer Querbaukasten/ modular transversal toolkit)はエンジン横置き車向けプラットフォーム。2012年より、Audi A3、VW Golf、Skoda Octavia、SEAT Leonに採用していく。MQBの導入により、一台当りのコストを最大20%、モデル当りの開発期間を最大30%短縮していく計画。
NSF NSF (New Small Family) は小型車向けのプラットフォーム。2011年から生産される コンセプトカーUp! をベースとした小型車 に採用され、VW、SEAT、Skoda の3つのブランドから発売される予定。

資料:VW "Driving Forward" Presentation Material 2011/5/19、Automotive News Europe 2010/9/1

 



中国:3年間で22モデルを投入、106億ユーロを投資し年産300万台体制を構築

 VWは、中国で中期的に販売台数200万台以上、中国でのEBIT比率を6%以上、ROI(Return on Investment) の20%以上を目標に掲げ、2011~2015年の間に106億ユーロを投資していく。2010年のVWの販売台数は、グループで前年比37.4%増の192.5万台(2011年1-6月は前年同期比16.4%増の110.7万台)。

 販売を伸ばしていくために、2011~13年の3年間で、VWブランドで12モデル、Audi ブランドとSkodaブランドでは5モデルずつ、合計22モデルを投入していく。

 また、江蘇省儀征市と広東省仏山市にそれぞれ年産30万台規模の工場を建設するなど、中国での生産体制を強化しており、中期的には年産300万台体制を構築する(2010年の生産台数は191.4万台)。そして、ドイツ国外では初めてとなる、デュアルクラッチトランスミッションの生産を大連で2010年5月に開始した。

 一方、販売面を支えるため、中国での販売網を約2倍に強化する方針も立てている。

VWグループの中国でのモデル投入計画

2010年
(参考)
2011年 2012年 2013年 2011年~
2013年合計
VW 6 4 5 3 12
Audi 0 1 2 2 5
Skoda 1 1 1 3 5
合計 7 6 8 8 22
資料:Volkswagen in China 2011/5/26
(注)1.

2010年に発売したのはVWブランドでGolf GTI、VW CC、Tiguan LWB、Polo G HB、Jetta A2 FL、Touran FL、SkodaブランドでOctavia FL。

2.
Skodaは、コンパクトセダンを合弁相手上海汽車と共同開発し、2013年より生産予定。まず中国市場に投入し、輸出も行う計画。

中国の生産能力を300万台体制へ

VWは中国での年産能力を、中期的に300万台に引き上げる計画。そのため、2011年から2015年にかけて106億ユーロを中国に投資する。具体的には、江蘇省儀征市(上海汽車との合弁)と広東省仏山市(第一汽車との合弁)に、それぞれ年産30万台規模の新工場を建設(2011年6月に中国当局の承認を得た)。また、南京(上海汽車との合弁)と成都(第一汽車との合弁)の工場の年産能力もそれぞれ30万台から35万台に引き上げる予定。
資料:VW Press Release 2011/6/28、Volkswagen in China 2011/5/26、Automotive News Europe 2011/4/25
(注)1.

2010年のVWの中国での生産実績は191.4万台。通常の生産体制(稼働日:年間250日)での年産能力は140万台程度であるが、稼働日の増加と効率化によって35%程度の増産を行っている。

2.
VWは、2018年までに年産400万台体制に拡大する計画があるとされる。上記の儀征市と仏山市の新工場も、それぞれ年産60万台まで拡大できるように設計されており、さらに中国南部での工場建設も検討していると報道されている。

中国でデュアルクラッチトランスミッション生産開始

大衆汽車自動変速器大連有限公司(Volkswagen Automatic Transmission Dalian Co. Ltd)は2010年5月に、7速デュアルクラッチトランスミッション(DSG: Direct Shift Gearbox)の生産を開始した。DSGの生産はドイツKassel 工場に次いで2番目。年産能力は30万基。徐々に年産60万基まで拡張する予定。

資料:VW Press Release 2010/5/11

中国の販売店舗数の強化

2010年 中期目標
VW 945 1,600以上
Audi 170 500以上
Skoda 190 400以上
合計 1,305 2,500以上

資料:Volkswagen in China 2011/5/26

 



投資計画:5年間で516億ユーロを、ドイツ/北米を中心に投資

 VWは、2011年から5年間に、総額516億ユーロを投資する計画を2010年11月に発表。設備投資に413億ユーロ、研究開発に103億ユーロ投じる。設備投資の413億ユーロの57%はドイツ国内で投資する予定。

 また米国を重要市場と位置づけ、2010年には30万台規模であった販売を、2018年までに100万台の3倍にする計画。そのため、米国では10億ドル投じてTennessee州 Chattanoogaに工場を建設し、2011年5月より稼働。隣国、メキシコのPuebla工場も2010年7月に、年産能力を52.5万台規模に増強。

2011年から5年間で516億ユーロを投資

VWは2011年から5年間で総額516億ユーロを投資する計画を2010年11月に発表した。設備投資には413億ユーロを投じ、57%をドイツ国内に投資する。工場などの設備、新型車の開発、ハイブリッド車・モーターの開発に277億ユーロが充てられ、136億ユーロは品質保証、部品供給、IT分野に投資される。また、研究開発にも103億ユーロが投じられる。
資料:VW Press Release 2010/11/19
(注)

上記の投資額には、同じ期間で計画されている、中国での投資106億ユーロは含まれない。

米国100万台販売に向け、北米での生産体制拡大

米国 Chattanooga 工場 VWは、Tennessee州 Chattanoogaに10億ドルを投じて建設していた米国工場を、2011年5月に稼働させた。年産能力は15万台。米国向けの中型セダンPassatを生産する。部品の約85%は現地調達する。VW は2018年までに米国おける、グループの年間販売を100万台にすることと、シェアを6%とすることを目標としている。
メキシコ工場 VWは、メキシコのPuebla 工場に、製造ラインを新設して生産能力を拡大し、年産能力を52.5万台へ2010年7月に高めた。新しい製造ラインではJettaを生産する。新型Beetleの生産を含めて、メキシコには2011年から2013年にかけて10億ドル投資する予定。
メキシコ
新エンジン工場
VWは、メキシコ Guanajuato州 Silao に新エンジン工場を建設すると2010年9月に発表した。2013年から生産を開始し、年産能力は33万基の予定。メキシコのPuebla 工場、米国の Chattanooga 工場へ供給する。投資額は5.5億ドル。
資料:VW 2011 Annual General Meeting Presentation Material Part3, VW Press Release 2010/9/22、2011/5/24, Automotive News 2011/7/1, 11, Audi USA Press Release 2011/6/30
(注)1.

VWブランドの2011年上半期の米国での販売台数は15.4万台と前年同期比22%増。Passat Sedan、Beetle、Jettaが好調。2011年の同ブランドの販売見通しは30万台(近年の最高は2003年の30.3万台)。また、Audi ブランドの同期間の販売台数は5.6万台で15%増。

2. Audiは北米に車両組み立て工場、エンジン工場、変速機工場を建設することを検討中とされる(2011年7月現在)。

南アフリカ工場の生産能力を12万台に倍増

VWは、5000万ユーロを投じて、南アフリカのUitenhage工場のプレス部品製造ラインの生産能力を拡大すると2010年6月に発表した。同時に、2300万ユーロを投資して、Centurionに配送センターを建設する。
同工場には既に5億ユーロを投資して、2010年に年産能力を12万台に倍増させた。Polo、Polo Vivo、Cross Poloなどを生産しており、Poloの輸出台数は、2009年の3万台から、7.5万台へ増やす予定。

資料:VW Press Release 2010/6/17

 



他メーカーとの提携:MANを子会社化しScaniaを含めて統合へ、いすゞとも提携交渉開始

 VWは、商用車部門の強化にも動いている。まず、独商用車メーカーMANを2010年7月に子会社化し、既に子会社のスウェーデン商用車メーカーScania も含めて商用車事業の統合を進める。さらに、アジアの商用車事業開拓に向けて、いすゞとも提携交渉を進めている。

 一方、19.9%出資するスズキとの提携の具体化が遅れており、スズキ側は2、3年かけて慎重に行うとしている。

 ロシアのGAZと、2019年までの年産11万台の生産委託契約を2011年6月に締結した。ロシアでは、2018年までに販売を、2010年の3倍弱の36万台まで引き上げる計画。

ドイツ商用車メーカーMANを傘下に収め、Scania、VWと統合を進める

VWは、ドイツ商用車メーカーMANの株式の買収提案の結果、議決権ベースで55.9%の出資比率を獲得したと、2011年7月4日に発表した。これにより、VWは同じく傘下のスウェーデン商用車メーカーScania (議決権ベースで71.8%保有)を含めた3社の統合を進めていくことになる。調達/開発/生産での統合効果を狙う。
VWは、同年5月9日、MANへの議決権ベースの出資比率を29.9%から30.47%に引き上げていた。ドイツの国内法で30%以上の議決権を得た場合は、株式の公開買い付けを義務づけられており、5月31日から6月29日までを買い付け期間としていた。
資料:VW Press Release 2011/5/9, 7/4
(注)
MAN は Scaniaに対して2007年1月に敵対的買収を持ちかけた経緯で、議決権ベースで17.37%出資している(この買収は同月中に取り下げられた)。

いすゞとの提携交渉を開始

VWは、日本の商用車メーカーいすゞとの提携に関して交渉を進めていることを、2011年第1四半期の決算会見時に認めた。いすゞ側も、大型トラック、ピックアップトラック、ディーゼルエンジン等での提携を交渉していることを認めている。一部で報道されている、VWによるいすゞへの出資は両社とも現時点での交渉を否定。
いすゞには、GMが30年にわたり出資をしていたが、2006年4月に解消。2006年11月にトヨタが5.89%出資し、小型ディーゼルエンジンの共同開発などに取り組んでいたが、共同開発は2008年12月から一時凍結されている。

資料:日本経済新聞 2011/4/28、5/12

19.9%出資するスズキとの提携の具体化に遅れ

VWは、19.9%出資するスズキとの提携の具体化が想定より遅れていることを 2011年5月に開いた株主総会で認めた。VWとスズキは2009年12月に包括的提携を結んでいる。VWは、スズキと、インドの小型車市場での提携、調達、パワートレイン、電動車両の分野での協業を想定している。
一方、スズキ側は、2011年6月に開催された同社の株主総会で鈴木修会長兼社長がVWとの提携について、「2、3年かけて慎重に行う」、「独立企業同士のイコールパートナーという関係をまず明確にしたい」と述べた(注1)。また同7月に会見した、原山副社長は「イコールパートナーであることが明確にならない限り、提携を前に進めることはできない」と話した。
資料:Prof. Dr. Martin Winterkorn Speech at the Annual General Meeting
on May 3, 2011、VW Press Release 2010/8/9、スズキ プレスリリース 2011/6/26、日刊工業新聞 2011/2/15、7/19、日韓自動車新聞 2011/7/20、日本経済新聞 2011/6/30
(注)1.
この背景には、VWが2010年の年次報告書で、スズキを「重要なグループ会社(Significant Group Companies)」と位置づけたことがある。2009年12月の包括的提携の基本合意書には、「両社はお互いの経営の自主性を尊重しながら協力関係を構築し」とあり、スズキ側の反発を招いている。
2. VWは、工業デザイン会社 Italdesign Giugiaro S.p.A.の買収を2010年8月に完了。同社はスズキ向けのデザインも行っている。今後はVWブランド専業になる。他社の継続中の案件は依頼主の判断によると言う。
3. スズキはフィアットより1.6Lのディーゼルエンジンの供給を受けると2011年6月に発表。ハンガリーで2013年より生産する新型車に搭載予定。両社は2006年より、ディーゼルエンジンで提携関係にある。

ロシアGAZグループへ生産委託

VWはロシアのGAZグループと生産委託契約を2011年6月に結んだ。契約期間は2019年まで。GAZグループは、ロシア市場向けにVW Jetta、Skoda Octavia、Skoda Yeti をNizhny Novgorod工場で生産する。最初にYetiを2012年末までに生産開始する。年産は11万台の予定で、VWは2億ユーロを生産体制強化のため投資する。
VWは、ロシアをStrategy2018の中核の一つに位置づけており、VWはVW Polo Sedan 等を生産するKaluga工場(年産能力15万台)も拡大予定。2018年までにロシアでの販売を36万台にまで引き上げる目標(2010年は13.4万台:前年比40.2%増)。

資料:VW Press Release 2011/6/14、 Financial Times 2010/10/19

 



ポルシェとの統合を2011年以降に延期も

 VWとポルシェの持ち株会社 Porsche SEのCEOを兼ねるWinterkorn氏は、2011年3月の記者会見でVWとポルシェの統合には、税務上と法務上の問題が残っており、独米での訴訟もあり、当初の予定通り(2011年内の統合)進まない可能性があると言及した(2010年10月にも同様の言及あり)。一方で、VWグループのパワートレイン開発責任者がPorsche AG(自動車事業会社)の研究開発担当役員を兼ねるなど、実務面での統合は進んでいる。

ポルシェとの統合効果

統合による成長機会 ・ポルシェブランドの販売を、今の10万台規模から、中期的に15万台、2018年までに20万台に伸ばす。
・ポルシェブランドのラインアップを拡大する。
・高級ブランド向けの「モジュラー化されたプラットフォーム」を開発する。
・VWグループの高級ブランドの販売にポルシェの販売網を活用する。
統合による将来的な可能性 ・長期的に、営業利益を年間約7億ユーロの改善。
・ポルシェブランド車の販売にVWの販売網を活用。

資料:VW "Driving Forward" Presentation Material 2011/5/19

統合行程表

第1フェーズ
2009年まで
2009年11月:VW主導で、ポルシェとの統合を進める契約を締結。
2009年12月:VWが、Porsche AG(自動車事業会社)の株式49.9%を39億ユーロで取得。
完了
第2フェーズ
2010-2011年
2010年3月:VWは6,500万株の優先株を発行して約41億ユーロを調達。前年12月に2014年までに1億3,500万株の優先株の発行を株主総会で承認されていた。
完了
2011年3月1日:VWは、自動車販売会社Porsche Holding Salzburgを33億ユーロで買収。
2011年3月29日:Porsche SEは普通株と優先株を発行し、48.9億ユーロを調達。これにより、2009年1月のVW株の買収にともなって膨らんでいた純債務を15億ユーロまで削減できる。
第3フェーズ
2011年~
VWとPorscheの合併。
2011年以降
合併が実現しなかった場合、Porsche SEの保有するPorsche AG株式に対してのプットオプション(売る権利)をPorsche SEが、または、VWがコールオプション(買う権利)を実行する。
2012年11月~2015年1月
の間に可能
資料:VW Press Release 2010/3/26、VW Annual Report 2010、Porsche SE Speech on 17 March 2011、Bloomberg 2011/2/24
(注)
持ち株会社 Porsche SEはVWに50.7%(議決権ベース)を出資している。また、VWとPorsche SEは自動車事業会社Porsche AGに対して、中間的な持ち株会社Porsche Zwischenholding を通じて、それぞれ49.9%、50.1%を出資している。最終的には一つの持ち株会社の元でVWとPorscheは合併される予定。



電動車両の開発/投入を推進

 VWは、今後、電動車両の開発/投入を積極的に進めていく方針。HEV は2010年に VW Touareg Hybrid を初めて投入し、Audi Q5 HEV、 Audi A8 HEVなど大型モデルが続いた。2012年以降はJetta、Golf、Passatなどの小型中型モデルのHEV版が投入される予定。

 EV に関しては、2013年にもUp! Blue-e-motion を発売する予定で、2011年からは、複数のブランドで実証走行を行う。PHEVについては、1リッターカーXL1 コンセプト(燃費 0.9L/100km) を 2011年1月のカタールモーターショーで披露し、また、実証試験車 Golf Variant twinDrive を用いてドイツ国内で実証走行を行っている。

VWのHEV・EV投入計画


2010年 2011年 2012年 2013年 2014年以降
HEV Touareg HEV A8 HEV
Q5 HEV
Jetta HEV Golf HEV
Passat HEV
EV up! Blue-e-motion
Golf blue-e-motion
Jetta blue-e-motion
Lavida blue-e-motion
資料:VW "Driving Forward" Presentation Material 2011/5/19、"The Future of Cars and Powertrains" 2011/6/8
(注)1.
Up! Blue-e-motion のコンセプト車 E-Up! のモーターは最高出力 60 kW、最大トルク210 Nmの性能を持ち、容量18kWhのリチウムイオン電池を搭載し、航続距離は130km。
2. Golf blue-e-motion の実証車のモーターは最高出力 85 kW、最大トルク270 Nmの性能を持ち、容量26.5kWhのリチウムイオン電池を搭載し、航続距離は150km。

1リッターカーXL1 コンセプトとPHEV実証車

XL1 Concept 2011年1月のカタールモーターショーで披露された、1リッターカーの3代目コンセプトPHEV。100km当りのガソリン消費量は0.9L(欧州複合モード)。2013年から量産される可能性。
2気筒の0.8L 直噴ターボディーゼル(TDI) エンジンとモーター、7速DSG、リチウムイオン電池を搭載するPHEV。空力性能が高い(Cd値=0.186)、カーボンファイバー強化プラスチック製軽量ボディを持つ。
Golf Variant twinDrive ドイツ環境省などと取り組んでいる実証実験(2012年6月まで)に20台提供されているPHEV。VWは、PHEVを2013年から14年に発売予定。Golf Variant twinDrive は最大57kmのEV走行が可能で、ガソリンエンジンを含めた航続距離は900km。
20台の内、10台は独米の合弁会社GAIA社のリチウムイオン電池(容量11.2 kWh)を搭載し、残りの10台はボッシュとサムソンの合弁会社 SB LiMotive社のリチウムイオン電池(容量 13.2 kWh)を搭載している。

資料: VW Press Release 2011/1/26、6/28

 



2011年1-3月までの販売台数と業績:引き続き、過去最高水準

 2010 年のVWの販売台数は過去最高の720.3万台(13.7%増)。 また、売上高も20.6%増の1,268.7億ユーロ、営業利益も約4倍の71.4億ユーロとそれぞれ過去最高を記録した。

 2011年の業績目標として、販売台数、売上高、営業利益それぞれが (過去最高の) 2010年の水準を超えることを目指す。

 2011年1-3月期の、世界販売台数は前年同期比14.0%増の198.8万台、売上高は同30.8%増の374.7億ユーロ、営業利益は3.5倍の29.1億ユーロ。全て、過去最高を記録した2010年の同期の水準を大幅に超えている。

VW の地域別世界販売台数

(千台)

2007年 2008年 2009年 2010年 1-3月
2010年 2011年
世界販売 6,190 6,257 6,336 7,203 1,744 1,988
西欧 3,112 2,989 2,918 2,903 758 807
中東欧 497 560 385 429 85 112
北米 531 503 468 550 122 144
南米 744 803 826 908 219 225
アジア/大洋州 142 148 150 221 49 74
中国 910 1,024 1,401 1,925 457 549
その他地域 254 228 189 268 54 78
資料:VW Annual Report 2010, Interim Report Q1 2011

VW Group の連結業績

(100万ユーロ)

2007年 2008年 2009年 2010年 1-3月
2010年 2011年
生産台数 (1,000 台) 6,213 6,347 6,055 7,358 1,744 1,988
Sales Revenue 108,897 113,808 105,187 126,875 28,647 37,470
Operating Profit 6,151 6,333 1,855 7,141 848 2,912
Profit before tax 6,543 6,608 1,261 8,994 703 2,223
Profit after tax 4,122 4,688 911 7,226 473 1,712
資料:VW Annual Report 2010, Interim Report Q1 2011
(注)
Revenue と Profit には、Financial Service 部門を含む。

VWのブランド別実績

(千台、100万ユーロ)

VW
ブランド
Audi
ブランド
Skoda
ブランド
SEAT
ブランド
Bentley
ブランド
商用車 Scania China その他 合計
販売台数 2007年 3,664 1,200 620 411 10 427 930 (1,070) 6,192
2008年 3,648 1,275 626 375 8 439 31 989 (1,119) 6,272
2009年 3,459 1,183 552 319 4 275 43 1,397 (923) 6,310
2010年 3,863 1,321 585 349 5 349 64 1,871 (1,128) 7,278
2010年1-3月 945 316 142 91 1 73 12 409 (288) 1,703
2011年1-3月 1,077 374 181 93 1 108 19 512 (335) 2,031
売上高 2007年 73,944 33,617 8,004 5,899 1,376 9,297 (33,385) 98,752
2008年 72,928 34,196 8,039 5,196 1,084 9,607 3,865 (32,036) 102,879
2009年 65,368 29,840 7,100 4,561 571 5,294 6,385 (25,592) 93,527
2010年 80,251 35,441 8,692 5,038 721 7,392 8,462 (32,709) 113,288
2010年1-3月 18,631 8,260 2,028 1,307 161 1,581 1,723 (8,124) 25,567
2011年1-3月 23,042 10,514 2,691 1,382 197 2,145 2,414 (8,589) 33,796
営業利益 2007年 1,940 2,705 712 8 155 305 (631) 5,194
2008年 2,715 2,772 565 (78) 10 375 417 (1,336) 5,440
2009年 561 1,604 203 (339) (194) 313 236 (1,135) 1,249
2010年 2,173 3,340 447 (311) (245) 232 1,342 (769) 6,209
2010年1-3月 416 478 100 (110) (36) (16) 214 (366) 680
2011年1-3月 1,060 1,115 187 (12) (25) 92 376 (169) 2,624
資料:VW Annual Report 2010, Interim Report Q1 2011
(注)1.
販売台数は卸売り。VW ブランドは VW passenger car。商用車 は Commercial Vehicles。China は中国事業。その他欄 は、主にグループ内会社間取引を調整した数値。
2. Scania 欄は、連結対象になった2008年 7月22日以降の実績。Scaniaの金融部門を含む。
3. その他には、2011年3月1日よりPorsche Holding Salzburgが含まれている。
4. 中国の合弁 2社の 持分利益は、07年は 294百万Euro、08年は 395百万Euro、09年 は 981百万Euro 、10年 は 1,907百万Euro。

 

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