ASEAN:カーボンニュートラル達成に向けEVの普及・生産を促進

タイはEV向けの優遇措置を導入、インドネシアではLGやCATLがバッテリー工場を建設

2022/07/05

要約

 ASEAN市場では最近、各国ともカーボンニュートラル達成に向けて各種施策を推進しており、その対策の大きな柱として自動車の電動化を加速させている。タイとインドネシアはASEAN地域での電気自動車(EV)生産ハブを目指すとともに、EV用バッテリーの国内生産を拡大している。タイは2030年までに国内で生産される自動車の30%をEVとする目標を掲げ、EVの普及と生産を促進するための優遇措置を実施。インドネシアはEV用バッテリーメーカーと協力し、国内に豊富にあるニッケル鉱石を利用してバッテリーの一貫生産体制を構築している。マレーシアは2030年までに自動車販売の15%をEVにすることを目指す。フィリピンは2022年にEV産業育成法を導入。ベトナムは電動化ロードマップを発表し、EVの登録料を3年間免除する。シンガポールは2040年までに内燃エンジン車を廃止する計画。

 ASEAN主要4カ国の2021年の生産台数は前年比26.5%増の335万台、2022年1-4月は前年同期比14.7%増の129万台。コロナ禍からの世界的な経済回復の中で生産は拡大しているが、半導体不足は続いており、生産台数はコロナ前の水準には戻っていない。生産関連の動きでは、タイで長城汽車が2021年6月に新工場での生産を開始。インドネシアでは現代自動車が2022年3月に新工場の稼働を開始した。

 ASEAN主要6カ国の2021年の新車販売は前年比13.2%増の273万台、2022年1-4月は前年同期比14.8%増の111万台。新型コロナウイルスの感染状況が改善し、新車販売は回復しつつあるが、一部の国では半導体不足・サプライチェーンの混乱等の影響が見られる。2019年1-4月比では3.2%減で、コロナ前の水準を下回る。販売促進の動きでは、インドネシアで新車購入時の奢侈品販売税が2022年9月まで段階的に軽減される。マレーシアでは国内生産車に対する売上税減免措置が2022年6月30日まで延長された。ベトナムでは2022年5月31日まで登録料を半額に引き下げた。

VinFast VF 8 トヨタ bZ4X
VinFastのEVのミッドサイズSUV VF 8(2022年5月にベトナムで生産開始)
(出典:VinFast)
トヨタブランド初の本格量産EV bZ4X(2022年にタイで発売予定)
(出典:トヨタ)

 

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