トヨタ:モビリティカンパニーへの変革を加速

ソフトバンクとの共同会社でモビリティAI革命を牽引、国内販売店でカーシェアリングを開始

2018/11/28

要約

トヨタとソフトバンクが「MONET Technologies」を設立

トヨタとソフトバンクが「MONET Technologies」を設立
(資料:トヨタ)

  トヨタの豊田社長は、2018年1月のCES 2018において、トヨタを、クルマをつくる会社からモビリティに関わるあらゆるサービスを提供する会社、「モビリティカンパニー」に変革すると発表した。その後、下表のように毎月何らかの進展を発表するなどモビリティ戦略を加速させている。

  本レポートは、ソフトバンクと共同で設立した次世代の移動サービスを手掛ける新会社「MONET Technologies(モネ テクノロジーズ)株式会社」の狙いと計画、Uber社とGrab社への出資と協業、および日本の販売ネットワークの変革について報告する。

  新会社モネ・テクノロジーズ(MONET Technologies)は、2018年度内に過疎地などでの「地域連携型オンデマンド交通」や「企業向けシャトルサービス」などを展開し、2020年代半ばまでには、トヨタのモビリティサービス専用次世代電気自動車(EV)「e-Palette」によるAutono-MaaS(注)事業を展開する。世界トップクラスの自動車メーカーであるトヨタとAIに注力しているソフトバンクが協力して、全く新しいモビリティを創出する(モビリティAI革命と呼んでいる)。

  ライドシェア事業者との提携では、トヨタはUber社へ5億ドル出資し、ミニバンSiennaベースの自動運転モビリティ車を共同開発し、2021年にUberのライドシェアネットワークに導入する計画。Grab社へは10億ドル出資し役員等2名を派遣して協業を深化させる。

  国内販売網については、販売店によるカーシェアリング事業を開始し、数年かけて全車種全販売店併売体制としていく。国内販売台数は今後更に減少し、トヨタ単体の販売台数が現在の160万台レベルから2025年には120万台に落ち込むシナリオも見込み、カーシェアリングの強化などで国内販売150万台を維持する方針。


(注)Autonomous Vehicle(自動運転車)とMaaS(Mobility-as-a-Service)を融合させた、トヨタによる自動運転車を利用したモビリティサービスを示す造語。Uberと共同開発するSiennaベース車が第1号車となる。

 


関連レポート:

トヨタのモビリティ戦略:DCM標準搭載車の投入を開始(2018年8月)
トヨタの自動運転:2つのアプローチ「ガーディアン」と「ショーファー」(2018年2月)



トヨタ:モビリティ推進の布石を打つ

  トヨタの豊田社長は、2018年1月のCES 2018において、トヨタを、クルマをつくる会社からモビリティに関わるあらゆるサービスを提供する会社、「モビリティカンパニー」に変革すると発表した。それ以降、下表のように毎月何らかの進展を発表するなどモビリティ戦略を加速させている。

 

トヨタ:モビリティ推進の布石を打つ(2018年1月~)

1月  CES 2018で、トヨタをクルマをつくる会社から「モビリティカンパニー」に変革すると発表。
 同CESで、モビリティサービス専用EV "e-Palette Concept"を発表。アライアンスの初期メンバーとして、Amazon、滴滴出行(DiDi)、マツダ、Pizza HutおよびUberと提携。
 国内販売事業本部をチャネル制から地域制に再編し、より地域に密着した施策を実行する。
3月  日本最大のタクシーアプリ「全国タクシー」を運営するIT企業JapanTaxi、KDDI、アクセンチュアの3社とともに、タクシー需要予測を配信する「配車支援システム」を開発し、東京都内で試験導入を開始。
 米国のレンタカー事業者のAvis Budget Group(ABG)と提携。ABGは、トヨタ車10,000台を導入し、トヨタのモビリティサービスプラットフォーム(MSPF)を活用する(MSPFについては次項参照方)。
4月  パーク24と、カーシェアリングサービスについて業務提携した。トライアルとして、トヨタの通信型ドライブレコーダー「TransLog」や両社のカーシェア機器を搭載するトヨタC-HR 60台を利用して走行データを収集する。

 中国のライドシェア大手滴滴出行(DiDi)が設立した、カーシェアリングの世界的な普及を目指す企業連合に参加した。

6月  東南アジアにおける配車サービス大手Grab社と、モビリティサービス(MaaS)領域の協業深化に合意するとともに、トヨタがGrab社に10億ドル出資すると発表。取締役等2名を派遣する。
 車載通信機(DCM)を全グレードに標準搭載したコネクティッドカー、新型クラウン、新型車カローラ スポーツを日本国内で発売。
7月  米国ハワイ州の大手トヨタ販売店Servcoが、モビリティサービス・プラットフォーム(MSPF)を活用したカーシェアサービスを開始した。
8月  Uber社と、自動運転技術を活用したライドシェアサービスの開発促進および市場への投入を目指し、両社の協業を拡大することに合意。両社の自動運転技術を搭載したライドシェア専用車両を、トヨタSiennaベースで開発し、Uber社のライドシェアネットワークに導入する。加えて、トヨタはUber社に対し5億ドルを追加出資する。
10月  新モビリティサービスの構築に向けて、ソフトバンクと共同出資会社(MONET Technologies)を設立すると発表。
11月  全販売店全車種併売化、カーシェアリングの開始、月額定額サービス「KINTO」のスタートなどの一連の販売ネットワーク変革を実施すると発表。
 西日本鉄道と協力し、福岡市においてマルチモーダルモビリティサービス「my route」の実証実験を開始。「目的地までの複数の移動手段をまとめて検索し」「店舗・イベント情報の提供」から実際の「移動手段の予約・決済」まで、移動に関する一連の機能をアプリでサポートする。

資料:トヨタのプレスリリース



ソフトバンクと共同出資会社を設立し、モビリティAI革命を牽引

  トヨタは、Uber他の多くのモビリティ事業者と提携を進めているが、Autono-MaaS事業の普及に向けて、サービス企画、営業、運営代行などを担当する第三の事業体の必要性が浮かび上がった。ソフトバンクと共同で、新会社「MONET Technologies(モネ テクノロジーズ)株式会社」(以下「MONET」)を設立して、2018年度内をめどに事業を開始する。発足時の資本金は20億円で、トヨタが49.75%、ソフトバンクが50.25%出資し、社長はソフトバンクが派遣する。

  MONETは、トヨタが構築したコネクティッドカーの情報基盤である「モビリティサービスプラットフォーム(MSPF)」と、スマートフォンやセンサーデバイスなどからのデータを収集・分析して新しい価値を生み出すソフトバンクの「IoTプラットフォーム」を連携させ、移動における社会課題の解決や新たな価値創造を可能にする未来のMaaS事業を開始する。

2018年度から既存の車種での配車サービスを開始、2020年代半ばまでにe-Paletteの活用へ

  MONETでは、まず利用者の需要に合わせてジャスト・イン・タイムに配車が行える「地域連携型オンデマンド交通」や「シャトルサービス」などを、全国の自治体、交通事業者やその他の企業向けに展開する。交通弱者/買い物困難者、地方交通の課題解決に貢献していく。戦略特区の設置等による導入も進め、全国100地区への展開を目指す。

  2020年代半ばまでには、移動、物流、物販など多目的に活用できるトヨタのモビリティサービス専用次世代電気自動車(EV)「e-Palette」によるAutono-MaaS事業を展開する。例えば、移動中に料理を作って宅配するサービスや、移動中に診察を行う病院送迎サービス、移動型オフィスなどのサービスを、需要に応じてジャスト・イン・タイムに届ける。また、将来はグローバル市場への提供も視野に入れて事業を展開する。

MONET Technologiesの設立 サービス展開構想 全国100地区への導入を目指す
MONET Technologiesの設立
(資料:トヨタ)
サービス展開構想
(資料:ソフトバンク)
全国100地区への導入を目指す
(資料:ソフトバンク)
e-Paletteを活用したサービス Use case:移動コンビニ Use case:移動オフィス
e-Paletteを活用したサービス
(資料:ソフトバンク)
Use case:移動コンビニ
(資料:ソフトバンク)
Use case:移動型オフィス
(資料:ソフトバンク)


今回の提携が生まれた時代の流れ:両社社長のスピーチから

  MONET Technologies設立の発表会の席上、豊田社長と孫社長のスピーチと対談があった。この提携が生まれた背景を以下のように説明した。

<豊田社長のスピーチ> CASEと呼ばれる新技術の登場により、クルマの概念が大きく変わり、競争の相手も競争のルールも大きく変化している。モビリティサービスを提供していくには新しい仲間とのアライアンス強化が必要であり、既に多くのモビリティ事業者に出資しているソフトバンクが必要不可欠な提携相手として浮かび上がった。

<孫社長のスピーチ> 人類最大の革命ともいえるAIの出現により、すべての産業が再定義される。両社の提携が、「モビリティAI革命」を牽引する。ライドシェアについては、ソフトバンクはUber、Grab、DiDi、Ola各社の筆頭株主である。4社の世界シェア(乗車回数で)は90%程度あり、合計総取扱高は2015年の1.4兆円から2018年には10兆円に拡大する見込み。

  自動運転車はスーパーコンピューターの塊であり、発売当初は数千万円すると見込まれる。購入できるのは、個人オーナーではなく稼働率の高いライドシェアなどの事業者になる。世界トップクラスの自動車メーカーであるトヨタとAIに注力してきたソフトバンクが協力して、全く新しいモビリティを創出する。

 現在は、Googleなどインターネット企業全盛の時代だが、AIによるサービスそのものをメインにしている大手企業は存在しない。今から10年後には、(MONETのような)AIを中核に据えた企業が世界を動かしていると考える。AIの活用により、人間が十分解決できていない事故や渋滞の問題も解決されていく。

<この提携に至った時代の流れ> トヨタは自動車業界のリアルな世界をリードしてきたが、自動車業界は100年に一度の大変革期を迎えている。ソフトバンクは、半導体→PC→モバイルフォン→インターネット→AIと追求してきた。異なる分野で活動する両社が、今日自然な時代の流れとして交わることとなった。ソフトバンクは数多くのモビリティ事業者に出資しており、両社は期せずして共通のビジョンを持っていた。今日をスタートに、この提携を進化・発展させていきたいとのこと。

e-Paletteを発表 モビリティAI革命を牽引 ソフトバンクはライドシェア大手4社の筆頭株主
モビリティカンパニーへの変革~e-Paletteを発表(資料:トヨタ) 両社の提携が、モビリティAI革命を牽引する(資料:ソフトバンク) ソフトバンクはライドシェア大手4社の筆頭株主(資料:ソフトバンク)


Uberと共同で自動運転のライドシェア専用車両を開発

  2018年8月、トヨタはUberに5億ドル出資するとともに、共同で自動運転技術を搭載したライドシェア専用車両を開発し、2021年にUberのライドシェアネットワークに導入すると発表した(トヨタは既に2016年に、金融子会社などを通じてUberに出資しているが金額は未公表)。

  専用車両は、トヨタが北米で生産するミニバンSiennaベースで開発し、Uberの自動運転キットとトヨタの高度安全運転支援「ガーディアンシステム」を搭載する。ガーディアンシステムは、ドライバーと自動運転キットを監視し、運転アシストおよび乗員保護をするよう設計されている。トヨタは、同車がトヨタの自動運転モビリティサービス車「Autono-MaaS」第1号車となる予定であり、「トヨタがモビリティカンパニーに変革していく上で、重要なマイルストーンになる」としている。

  (ガーディアンについては、2018年2月掲載のMLレポート「トヨタの自動運転:2つのアプローチ、ガーディアンとショーファー」を参照方)。

  Uberはe-Paletteのアライアンスメンバーの一員であり、e-Paletteの活用も検討する。

東南アジア配車サービス大手のGrab社に10億ドルを出資

  2018年6月、トヨタは東南アジア配車サービス大手Grab社に10億ドルを出資し、取締役1名、執行役員1名を派遣すると発表した。将来の新しいモビリティサービスやMaaS車両の開発も検討する。

  Grab社とは、2017年8月から、トヨタの通信型ドライブレコーダーTransLogをGrab車に搭載しデータを収集するなど協力してきた。今後協業を本格的な普及フェーズに移行させ、共同でより効率的な配車ビジネスを実現するとともに、将来の新たなモビリティサービスやMaaS車両の開発も検討する。

Uber社との提携 Grab社との提携
Uber社との提携 Grab社との提携

資料:トヨタ



未来のモビリティ社会に向け、日本の販売ネットワークを変革

  トヨタは、「クルマをつくる会社」からモビリティに関するあらゆるサービスを提供する会社、「モビリティカンパニー」への変革を目指している。「モビリティカンパニー」への変革を進める中で、大きな鍵を握るのが、販売ネットワークの変革だとしている。

  具体的には、東京の直営店はチャネルを廃止し、「一つのトヨタ」とし、一連の販売ネットワーク変革を先行実施する。全国の販売店でも2019年内にカーシェアリングを本格的に立ち上げ、月額定額サービスを開始し、同時に数年かけて全販売店全車種併売化を進める。

日本国内の販売ネットワークを改革

全販売店全車種併売化  2022~2025年を目途に、原則、全販売店全車種併売化を実施する(レクサスブランドは除く)。
東京で改革を先行実施  2019年4月より、東京のメーカー直営販売店4社を融合して新会社「トヨタモビリティ東京」を立ち上げ、全車種併売やカーシェアリング事業を先行実施する。東京以外の地域では、チャネル制は存続する。
カーシェアリング事業を開始  2019年内の本格立ち上げを目指す。トヨタはシェアリングアプリ、通信型ドライブレコーダー、トヨタファイナンスの決済システムを提供する。
月額定額サービス  2019年初めをめどに、個人向けの月額定額サービス「KINTO」を開始する。

資料:トヨタプレスリリース 2018.11.1

全販売店全車種併売の背景と国内販売車種の削減

  日産、ホンダがチャネルを1本化し全車種販売体制とした後も、トヨタは4チャネルを維持してきたが、既に2018年1月に、国内販売事業本部をチャネル制から地域制に変更し、数年かけて全販売店全車種販売とする方針。

  その背景としては、トヨタ単体の国内販売台数が、ピークであった1990年の250万台から2017年は163万台に減少したことがある(同時期に国内全体需要は778万台から523万台に減少)。

  厳しいシナリオでは、2025年にはトヨタの国内販売は120万台になるとし、4つのチャネルごとに専売車種をそろえることは難しくなった。トヨタは、2020年代半ばをめどに国内で販売する車種数を約30程度に半減させる計画。

  全販売店全車種併売になれば、店舗間の競争は激しくなり、また店舗のスペースから全車種を扱えない店もあるなど困難も予想されるが、今決断しないと手遅れになるとの判断とされる。

  今後、全国一律のチャネル制から、地域を軸としたサービス体制に転換し「町一番のお店づくり」を目指す。都市部・過疎地など地域による車のニーズや利用方法の違いをくみ取り、商品やサービスの開発に反映させる。

国内販売店でカーシェアリング事業を開始

  一般家庭の持つオーナーカーは、1日の平均95%は駐車したままとの調査結果もあり、必要なときに必要なだけ車を使うカーシェアリングが拡大している。トヨタグループには、1,200店舗を有するトヨタレンタリースがあり、事業の棲み分け上、販売店はレンタカーやカーシェアに取り組んでこなかったが、トヨタはこの方針を転換した。

  2019年4月より東京のメーカー直営4社が融合する新会社「トヨタモビリティ東京」で先行実施、順次地域を拡大し、2019年内の本格立ち上げを目指す。レンタリース店を含め全国6,000店を、カーシェアリングなど新サービスの拠点としてフル活用する。

  トヨタの販売店は地場独立資本が多いため、販売会社オーナーの積極的参画が重要となる。そこで、世界的な変化を感じ取ってもらうため、海外のカーシェアサービスの視察ツアーを行っている。

  新車販売が落ちるリスクはあるが、シェアリング用車両はオーナーカーに比べ稼働率が高く、代替時期が早まるというメーカー・販売店にとってのメリットがある。カーシェアリングをきっかけに車を利用するようになり、さらに購入する場合もあるという。また、カーシェアリング市場には多くの事業者が参入してきており、拡大する需要をトヨタグループ内に確保しようとする狙いもある。

  カーシェアリングに加えて、地域毎のニーズに対応する各販売店主導でのモビリティサービスの取り組みも積極展開する(過疎地域でのライドシェアなども想定される)。

  こうしたモビリティ需要を取り込むことにより、今後もトヨタ単体で国内販売150万台(2017年度実績160万台)、国内生産300万台(2017年度実績320万台)を維持する方針。

個人向け月額定額サービス「KINTO」を2019年初めから実施

  クルマが所有から利活用にシフトしていくなかで、好きなクルマ・乗りたいクルマを自由に選び、気軽に楽しみたいというニーズが高まってきているという。

  トヨタは、毎月一定額の料金で車を乗り換えられるサービス「KINTO」を、2019年初めをめどに開始する。「KINTO」は、必要な時にすぐに現れ、思いのままに移動でき、環境にも優しい「筋斗雲」をイメージしたサービス名称。対象車種や料金は検討中。定額料金には、税金、保険料、メンテナンス費用も含める。詳細は別途発表する。

  日本自動車メーカーによる本格的な定額サービスは初めて。同様のサービスは、既にBMW、Daimler、Audi、Porscheなどの高級ブランドが開始している。Daimlerの場合、米国PhiladelphiaとNashvilleで、月額1,095ドルから2,995ドルの3つの価格帯から選択し、選択した価格帯に設定した範囲内で好きなだけ車を乗り換えることができる。



2018年度業績は好調だが、新分野への投資に備え収益改善活動を推進

  トヨタの2018年度4~9月期決算では、売上高は前年同期比3.4%増、営業利益は15.1%増。年度後半の業績はやや慎重に見ているが、2018年度通期の売上高は過去最高の29兆5,000億円(0.4%増)、営業利益は前年度並みの2兆4,000億円と好調を維持すると見込んでいる。

  しかし、トヨタの2大市場である米国と中国は、楽観できない状況が続いている。かつて最大の収益市場であった北米は、2016年度に営業利益でアジアに抜かれ、その後も減益が続いている。2018年度4~9月期も為替、インセンティブの増加、貿易摩擦による鉄鋼など資材高騰が響き、前年同期比23.3%減の1,109億円、営業利益率2.0%(連結営業利益率は8.6%、アジアは10.8%)と苦しい。トヨタは、2017年にテキサス州に新しい北米本社を稼働させ、分散していた北米本社機能を統合した。業務の重複を見直し、人員削減などコスト削減を進めている。

  米国の2018年1~10月期全メーカーの累計販売台数は前年比0.2%増、トヨタの販売は0.1%減。高水準を維持しているが、拡大ペースは鈍化している。

  トヨタの中国での販売は、2014年度に100万台を超え2017年度実績は132万台、2018年度は140万台以上を目指している。しかし、中国全体の工場出荷台数は7月以降前年割れが続き、9、10月は二桁のマイナス。2018年1~10月累計も0.1%の微減となった。

  トヨタは、「ONE TOYOTA」と呼ぶ収益改善活動を推進、固定費削減、インセンティブ管理、事業改廃を進めている。トヨタの強みは、トヨタ生産方式、TPSに基づく「現場の力」であり、原価低減力に磨きをかけて稼ぐ力を強化し、新技術や新分野への投資を拡大していくとしている。

トヨタの連結決算

(100万円)

2014年度 2015年度 2016年度 2017年度 2018年度
予想
2017年度
4~9月期
2018年度
4~9月期
売上高 27,234,521 28,403,118 27,597,193 29,379,510 29,500,000 14,191,207 14,674,006
営業利益 2,750,564 2,853,971 1,994,372 2,399,862 2,400,000 1,096,541 1,261,845
税引前利益 2,829,828 2,983,381 2,193,825 2,620,429 2,720,000 1,252,173 1,548,809
当期純利益 2,173,338 2,312,694 1,831,109 2,493,983 2,300,000 1,071,328 1,242,392
研究開発費 10,045 10,556 1,037,500 1,064,200 1,080,000 550,600 527,100
設備投資 1,177,400 12,925 1,211,800 1,302,700 1,380,000 490,900 619,500
減価償却費 806,200 885,100 893,200 964,400 1,000,000 455,300 473,100
国内
シェア
除軽(トヨタ) 46.0% 44.9% 47.8% 46.9% 46%程度 47.1% 45.7%
含軽(含ダイ
ハツ・日野)
41.8% 43.2% 45.0% 44.4% - 44.7% 43.2%
為替
レート
円/米ドル 110 120 108 111 110 111 110
円/ユーロ 139 133 119 130 130 126 130

(1,000台)

連結販売台数 8,972 8,681 8,971 8,964 8,900 4,389 4,419
グループ総販売台数(小売) 10,094 10,251 10,441 10,500 5,216 5,293

資料:トヨタの決算短信



LMC Automotive生産予測:トヨタグループの2021年の生産は1,080万台

Toyota Group's Production Forecast

  LMC Automotive社生産予測(2018年10月)によると、トヨタグループのLight Vehicle(ダイハツ、日野、インドで生産するスズキ車を含む)生産台数は、2017~2021年の間着実に増加し、2021年には1,080万台(2017年比5.0%増)に達する。LMC Automotive社によると、「トヨタは、アジアや南米などの新興国市場に継続して手頃な価格のモデルを投入し、一方、環境に優しい車への要望に応えて、ハイブリッド車のラインアップを拡充していく。」

  日本での2018年の生産は、2017年比1.6%減の400.2万台で、2021年の375.2万台にまで徐々に減少していく見込み。LMC Automotive社は、米国LMC Automotiveのアナリストが、Toyota 4Runnerの生産が日本の田原工場から米国へ移管されると予測したことを織り込んでいる。

  中国での2018年の生産は、2017年比10.9%増加して126.4万台となり、初めて米国での生産を超える。2017~2021年の間中国での生産は顕著に拡大し、2021年には158.2万台で2017年比38.9%の大幅増となる見込み。LMC Automotive社によると、「トヨタは、中国での世界で最も厳しい環境対応車生産割り当てに、前例のないやり方で対応する。ショールームで販売するEVは、楕円形を3つ重ねたトヨタのロゴマークを付けない。その代わりに、広汽トヨタ(GAC)のエンブレムを付け、GACの低コスト技術で生産する。中国政府の、2019年に生産台数の10%をEVにするという要求に当を得た方策で対応する。トヨタは、GAC Toyota ix4を2018年中に発売すると発表した。」

  米国での生産は、2018年に0.8%減少し125.4万台となるが、2019年に拡大し2021年には134.5万台(2017年比6.4%増)の見込み。USMCA(新NAFTA)の他の2カ国については、2021年のカナダでの生産は55.6万台(2017年比2.7%減)、メキシコでの生産は21万台(2017年比41.0%増)と見込んでいる。

トヨタグループ2021年のLight vehicle生産台数は1,080万台(LMC Automotive生産予測)

COUNTRY GLOBAL MAKE 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021
Toyota Group Toyota 8,259,620 8,421,518 8,612,123 8,576,336 8,785,032 8,993,446 9,076,300
Daihatsu 866,590 874,130 950,887 950,510 930,440 836,788 854,376
Lexus 642,357 657,858 660,692 699,497 766,252 746,404 797,612
Hino 65,282 66,988 75,394 78,263 79,404 79,330 53,126
Suzuki 0 0 0 0 3,254 18,346 32,911
Scion 42,044 18,055 0 0 0 0 0
Total 9,875,893 10,038,549 10,299,096 10,304,606 10,564,382 10,674,314 10,814,325
Japan Toyota 2,608,101 2,713,213 2,852,352 2,737,451 2,639,750 2,402,718 2,484,581
Lexus 542,633 500,452 505,206 561,170 628,281 619,298 676,819
Daihatsu 631,905 576,802 645,980 641,605 633,165 551,671 548,069
Hino 55,423 55,359 62,817 61,863 53,609 52,870 42,994
Scion 28,455 5,504 0 0 0 0 0
Japan sub-total 3,866,517 3,851,330 4,066,355 4,002,089 3,954,805 3,626,557 3,752,463
China Toyota 1,007,253 1,072,802 1,139,131 1,263,843 1,391,472 1,526,325 1,582,374
China sub-total 1,007,253 1,072,802 1,139,131 1,263,843 1,391,472 1,526,325 1,582,374
USA Toyota 1,332,166 1,338,729 1,221,926 1,210,937 1,293,876 1,296,665 1,304,860
Lexus 4,088 43,588 41,657 42,647 46,870 42,839 39,777
USA sub-total 1,336,254 1,382,317 1,263,583 1,253,584 1,340,746 1,339,504 1,344,637
Indonesia Toyota 394,584 423,223 430,296 387,311 390,660 466,856 455,873
Daihatsu 234,615 297,328 304,907 308,905 297,275 285,117 306,307
Hino 1,610 3,340 3,857 6,900 14,610 15,046 3,580
Indonesia sub-total 630,809 723,891 739,060 703,116 702,545 767,019 765,760
Thailand Toyota 632,887 555,907 531,937 610,940 662,201 660,530 666,569
Hino 255 1,618 1,893 1,587 1,782 1,530 1,511
Thailand sub-total 633,142 557,525 533,830 612,527 663,983 662,060 668,080
Canada Toyota 492,845 487,901 457,708 414,221 364,911 481,333 474,970
Lexus 95,636 113,818 113,829 95,680 91,101 84,267 81,016
Canada sub-total 588,481 601,719 571,537 509,901 456,012 565,600 555,986
France Toyota 219,015 248,176 250,691 246,407 234,559 254,031 268,086
France sub-total 219,015 248,176 250,691 246,407 234,559 254,031 268,086
Turkey Toyota 115,893 151,236 279,902 264,055 260,874 259,139 252,908
Turkey sub-total 115,893 151,236 279,902 264,055 260,874 259,139 252,908
Brazil Toyota 168,055 175,695 196,067 207,134 208,231 234,267 229,013
Brazil sub-total 168,055 175,695 196,067 207,134 208,231 234,267 229,013
Mexico Toyota 93,654 128,093 148,642 188,940 181,996 208,114 209,594
Scion 13,589 12,551 0 0 0 0 0
Mexico sub-total 107,243 140,644 148,642 188,940 181,996 208,114 209,594
India Toyota 158,709 146,371 153,527 161,721 170,160 207,127 169,431
Suzuki 0 0 0 0 3,254 18,346 32,911
India sub-total 158,709 146,371 153,527 161,721 173,414 225,473 202,342
Taiwan Toyota 180,138 142,770 124,046 119,550 167,064 165,790 165,462
Hino 3,084 2,944 3,189 3,343 3,127 3,316 3,066
Taiwan sub-total 183,222 145,714 127,235 122,893 170,191 169,106 168,528
UK Toyota 190,161 180,425 144,077 123,072 169,830 172,927 163,996
UK sub-total 190,161 180,425 144,077 123,072 169,830 172,927 163,996
South Africa Toyota 125,088 115,443 116,722 128,465 140,220 143,556 148,573
South Africa sub-total 125,088 115,443 116,722 128,465 140,220 143,556 148,573
Argentina Toyota 77,170 101,164 126,557 133,176 116,458 114,917 111,798
Argentina sub-total 77,170 101,164 126,557 133,176 116,458 114,917 111,798
Russia Toyota 40,859 39,061 66,684 72,320 75,736 75,774 74,727
Russia sub-total 40,859 39,061 66,684 72,320 75,736 75,774 74,727
Pakistan Toyota 64,141 62,618 61,451 61,621 61,435 62,168 67,944
Pakistan sub-total 64,141 62,618 61,451 61,621 61,435 62,168 67,944
Czech Republic Toyota 91,199 88,505 85,473 93,481 75,955 69,406 66,930
Czech Republic sub-total 91,199 88,505 85,473 93,481 75,955 69,406 66,930
Malaysia Toyota 79,459 56,954 57,520 55,228 68,342 75,830 64,637
Hino 3,724 3,114 2,976 3,706 4,245 4,439 1,023
Malaysia sub-total 83,183 60,068 60,496 58,934 72,587 80,269 65,660
Vietnam Toyota 44,406 50,471 41,424 52,447 43,842 48,049 50,109
Hino 442 459 517 236 479 534 534
Vietnam sub-total 44,848 50,930 41,941 52,683 44,321 48,583 50,643
Philippines Toyota 52,908 55,317 63,210 39,821 49,446 48,815 46,308
Hino 744 154 145 628 1,552 1,595 418
Philippines sub-total 53,652 55,471 63,355 40,449 50,998 50,410 46,726
Austria Toyota 0 0 0 433 14,114 15,375 12,965
Austria sub-total 0 0 0 433 14,114 15,375 12,965
Venezuela Toyota 3,370 430 1,361 1,773 2,109 1,935 2,805
Daihatsu 70 0 0 0 0 0 0
Venezuela sub-total 3,440 430 1,361 1,773 2,109 1,935 2,805
Portugal Toyota 1,589 1,823 1,913 1,989 1,791 1,799 1,787
Portugal sub-total 1,589 1,823 1,913 1,989 1,791 1,799 1,787
Kazakhstan Toyota 330 15 0 0 0 0 0
Kazakhstan sub-total 330 15 0 0 0 0 0
Australia Toyota 85,640 85,176 59,506 0 0 0 0
Australiasub-total 85,640 85,176 59,506 0 0 0 0

資料:LMC Automotive "Global Automotive Production Forecast (October 2018)"
(注) 1. データは、小型車(乗用車+車両総重量6t以下の小型商用車)の数値。
2. 本表の無断転載を禁じます。転載にはLMC Automotive社の許諾が必要になります。
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トヨタ、モビリティカンパニー、ソフトバンク、モビリティAI革命、MONET、Uber、Grab、全車種併売、カーシェアリング

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