ジュネーブ国際自動車ショー2016 (下)

FIAT, SKODA, SEAT, 英国/フランス/日本メーカーなど

2016/04/11

要 約

世界五大モーターショーの一つであるジュネーブ国際自動車ショー2016の展示取材レポートの第2弾。前回お伝えできなかった日本でおなじみの欧州メーカーはもとより、チェコのSKODA、スペインのSEAT、アストンマーティン、ジャガー/ランドローバーなどの英国メーカー、Renault、PSAのフランスメーカー、そして日本メーカーの展示概要を報告する。

 
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FIAT:TIPOファミリーなどを初披露

 アルファロメオブースに隣接、本国イタリアからの多くの来訪者で賑わいを見せた。 初披露の「TIPO」, 「124スパイーダー」,「新500S」ほか多くの車種を出展した。

TIPO

 

TIPO

 既に発売済みのセダンに加え、ワゴンとハッチバック車を揃え、FIATの中核を成す「TIPOファミリー」として初出展した。

TIPO
TIPO ハッチバック TIPO エステートワゴン

 

TIPO

 セダンは2015年に発表しトルコで生産中。今回はセダンをベースに室内空間拡大し、幅広いパワートレインを備えたハッチバックとエステートワゴンを開発して出展。全長はハッチバック4.37m, ワゴン4.57m, 全幅は1.79m, 全高1.5m。エンジンは5機種を用意しスポーツ, ファミリー,ビジネス等用途に対応させている。FIAT TIPO ・エンジン・ディーゼル1.3L(95ps)~1.6L(120ps), ガソリン 1.4L(95ps)~1.6L(110ps), スポーツ用に1.4Lターボ(118ps 206Nm),ギアボックスは5~6速マニュアル, 6速オートマチック。



SKODA & SEAT:格調高いSUVの出展

 両社ともフォルクスワーゲングループであり「SKODA」はチェコ、「SEAT」はスペインに本社や開発拠点を設置。いずれも個性的なデザインや高い内外装品質をもつ。日本では馴染みがないが欧州や中国のショーでは常連で人気がある。

SKODA(シュコダ):PHV VISION「S」コンセプト プレミア

 VISIONコンセプトは2014年に「C」として初発表後、車両として「S」に進化させた。2016年本国で生産予定とのこと。 「チェコのキュービズムとボヘミアンのクリスタルアートの研ぎ澄まされたデザイン」と高いパフォーマンスを訴求。

SKODA PHV

SKODA PHV

3列シート6人乗車+荷室の広い居住空間と助手席大型ディスプレイを備えるSUV。プラットフォームはVW「MQB」(Tiguan)をベースとしている。全長4.7m, 全幅1.9m, 全高1.68m, WB2.79m。パワートレインはガソリンターボPHV, 1.4L, 直4, 155ps, システム合成225ps, 270Nm, 12.4kWhリチウム電池搭載, モーターのみで50km走行可能, 0-100km/h加速/7.4 S, 燃料消費1.9L/100km, ギアボックスは6速AT, 全輪駆動。16インチ横型タッチパネル大型ディスプレイを助手席に置き、また各シートよりデジタルサービスの授受可能(コンセプト車のみ)。

 

SEAT(セアト) ATECA:セアト初のクロスオーバーSUVの披露

SEAT

 「エキサイティングアーバンエレガンス」をキャッチフレーズに2011年から研究を始めたセアト初のクロスオーバーSUV。「ATECA」はスペイン北部の町の名前から付けたとのこと。車体ベースは先の「SKODA VISION S」と同じようにVWの「MQB」プラットフォーム(Tiguan)を採用している。ボデースタイルテイストは、先の「SKODA VISION S」に似ている。インパネは8インチデジタルタッチモニター装備。

全長 4.3m, 全幅1.84m, 全高1.62m, WB 2.64m,エンジン(VW)ディーゼル1.6L, 直4, 115ps, 2L, 150~190ps, 350Nm, 0-100km/h加速/7.0 S, 全輪駆動はディーゼル車のみ, ギアボックス6速MT&AT, ガソリン 1L, 直3, 115ps, 直4, 1.4L, 150ps, 250Nm, 0-100km/h加速/8.5 S。

SEAT



イギリス車:アストンマーティン, ジャガーほか

 イギリス車の各ブースも高級車への憧憬もあり混んでいた。一方、毎回ジュネーブショーで展示する小企業の「モーガン」も個性的な3輪EVを出展し元気なところを見せていた。 (個人的見解だが)、内外装の品質は高級なイギリス車は手仕事の品質でありそれなりの良さは感じられるがBMWやMercedes-Benzのもつ工業製品の研ぎ澄まされた安定的統一感には及ばないと毎回のショーで感じる。

 

ASTON MARTIN:DB11

 1948年当時のオーナー「デビッド ブラウン」のイニシャルを冠した伝統あるシリーズで現行「DB9」のモデルチェンジ。 J・ボンドカーの「DB5」(写真 奥)とクーペとカブリオレ(コンバーチブル)の2台の「DB11」、およびV12エンジン, カットボデーを展示した。

 アストンマーティン現トップ自ら「103年の歴史の中で最も重要な車」と位置づけ、小規模の会社にとって社運をかけた「DB11」を発表、ボンドカーとしてふさわしい洗練された美しさをアピールしたとのこと。

ASTON MARTIN

 写真上はクーペボデー, 下はカブリオレ(コンバーチブル)、 インパネは1メータ-(プレス資料より)


 3年をかけて開発。 開発陣, 顧客, ジャーナリストなどから様々な意見を全てリストアップして集約。「QHR」(品質履歴レビュー)という車に求めるものにまとめた。

ASTON MARTIN

 高級車, 限られた顧客層, 少量限定生産等、贅沢な条件設定車の一つである。

 ボデーシェルは高剛性、軽量化を狙い総アルミニウム製、CFRP(カーボン)は一部分のみ。電気系統は「BENZ」製, インタークーラーターボは「三菱重工」製、エンジン 5.2L, V12 ツインスクロール・ターボ 2基で過給, 608ps, 713Nm。0-100km/h加速/3.9 S, 最高速322km/h, ギアボックス8速AT,全長 4.74m, 全幅 1.94m, 全高 1.28m, WB 2.8m。

 

JAUGAR F-TYPE 新型プレミア, F-PACE など

 インド・タタ・モータース傘下のジャガーブースは、かつての親会社フォードの隣に位置し、初披露の「F-Type SVR」をはじめ、新型XF, F-Type, F-pace, 同カットモデルを並べて狭い場所ながら活況を呈した。

JAUGAR

 

新型 F-Type SVR 4x4 のプレミア

 かつての名車「E-Type」の伝統を継承している現行「F-Type R」の更に上を行くトップモデルの「F-Type SVR」を出展した。プレスデイとは異なり、より力強くスポーティーな印象のリアウイング付きのカブリオレ(コンバーチブル)が展示されていた。

F-Type SVR

 「SVR」はジャガー・ランドローバーの特殊車両事業部で開発、生産される初の量産車と言われている。

F-Type SVR

 高いパフォーマンスを実現させるため足回りなどで50kgの軽量化を実施。ボデーシェルはアルミニウム製、
 全長 4.5m, 全幅 1.92m, 全高1.3m, WB 2.6m、 エンジン 5.0L, V8ツインスーパーチャージャー 575ps, 700Nm,
 0-100km/h加速/3.7 S, ギアボックス8速AT, 全輪駆動, 最高速322km/h。

 

F-PACE JAGUAR初のSUV

F-PACE

 2015年のフランクフルトショーで発表されたFシリーズスポーツカーの血統を受け継ぐ5人乗り高級クロスオーバーSUV。成長が期待される欧州中型SUV市場へジャガーのブランド力で参入し、同社の経営的に重要な戦略車としている。

F-PACE

 カットモデルによるとXE, XFと同じモジュラー型アルミプラットホームで構成され、ボデーシェルを含め約80%がアルミニウム製とのこと。なお81%がSUV固有部品で構成。エンジン ディーゼル2~3LV6,180~300ps, 700Nm,0-100km/h加速/5.8 S, ガソリン 3L V6, 375ps, 450Nm,0-100km/h加速/5.1 S,ギアボックス6速MT~8速AT, V6車のみ全輪駆動、全長 4.73m, 全幅 2.0m, 全高 1.65m, WB 2.8m。

 

BENTLEY BENTAYGA SUV

 VWグループの強みを生かした「ベントレー」初の高級SUV。販売面では「ベントレー」のブランド力に期待している。2012年のジュネーブショーでコンセプトカーを発表、その後VWとの開発連携を強化し2015年生産車を発表した。難しい車名「BENTAYGA」は昨年決定。VWのエンジン縦置きモジュール「MLB」プラットフォーム(Touareg)で構成。

BENTLEY BENTAYGA

 全長5.14m, 全幅2m, 全高1.74m, WB 3m、4人乗車、エンジン(VW) ガソリン, 6L, W12(V6x2)ツインターボチャージャー, 600ps,900Nm,0-100km/h加速/5 S, ギアボックス8速AT, 全輪駆動。

 ジャガーもベントレーもSUVはそのブランドとプレステージ力が強みであり、ジャガー「F-PACE」もベントレー「BENTAYGA」もフロント周りのデザインを除いて車両は同じようなスタイルである。両社のブランド力を活かした「新SUV」の市場評価が待たれる。(取材者)

 

LAND ROVER・RANGE ROVER:EVOQUEカブリオレ(コンバーチブル)

 「イヴォーグ」はコンセプトモデルを経て創立40周年を記念してフランスファッション誌「ヴォーグ」とのタイアップで生産モデルとして名付けられた。「カブリオレ」は2015年のロサンゼルスショーで初公開後、当ショーで欧州初公開となった。

EVOQUE

 走破性, スポーティーなファッション性を狙ったクロスオーバーSUV, 欧州は当然だが北米を狙っているとのこと、また特に女性需要を狙っている。(ショー関係者談) 全長 4.3m, 全幅 1.9m, 全高1.6m(屋根付時),WB 2.66m, エンジン ガソリン2L, 直4, 240ps, 340Nm, 0-100km/h加速/7.6 S. 他にディーゼル有り、ギアボックス9速AT, 全輪駆動。

 

MORGAN:EV 3 CONCEPT プレミア

 クラッシックスタイルのスポーツカーを小規模生産するイギリスの家族経営のモーガン社。愛好者も多く、大規模な国際ショーであるフランクフルトや当ショーの常連である。

MORGAN

 販売済みのクラッシック3輪車をEV化し葉巻型の流線型スタイルに近代化した。車両右側に乗車、左側は荷物スペース。62PSの液冷式モーター, 20kWhのリチウム電池を搭載、1回充電で240km走行可能とのこと。木製フレームにCFRPとアルミでボデーを500kg以下にした。



VOLVO: V90 WAGON (PHV) 最上級車の初披露

 1998年に生産停止した先代V90の後継車。最新車XC90(SUV), S90(セダン)に採用したVOLVO-SPAプラットフォームで構成、エンジン,ボデー部品などを共用している。

V90 WAGON

 全長4.93m, 全幅1.9m, 全高1.47m, WB 2.94m, 当然先代より長く, 広く,低くなっている。エンジン ガソリン2L,直4ターボ,251~320ps, ディーゼル187~232psが基本機種。最上位機種としてPHVを用意し、システム合成407ps,650Nm, 9.2kWhのリチウムイオン電池。



フランス車:Renault, PSAの初披露モデル

 スイスはフランス語圏が主でフランスからの来訪も多いが、ルノーやPSAのブースは、比較的閑散としていた。

フランス車

 

RENAULT: New SCENIC MPV プレミア

 1996年発売の「メガーヌ・セニック」は欧州初の小型MPV(多用途車)として人気となり、20周年を迎えた今年、フルモデルチェンジした4世代目を当ショーで初披露した。

RENAULT

RENAULT

フォード~マツダ~ルノーと転身したデザイン部長は「ルーフを含めた開放的なガラスエリアと躍動感のあるボデーライン」で新「セニック」をまとめた。スポーティーさの創出と燃費低減を得るため20インチの細幅タイヤも採用した。

 5人乗りで、8.7インチマルチメディアタブレットを中心にしたインパネは外形に似合わず機能的で操作しやすい。

 エンジンは2L,直4ターボを主に、ディーゼル6機種(94~158ps),ガソリン2機種(113~128ps)を揃え、ハイブリッドも設定。全長4.4m,全幅1.8m、全高1.6m,WB 2.7m。

PEUGEOT: 2008 SUV フェイスリフト プレミア

PEUGEOT

PEUGEOT

 2013年発売以来世界で50万台を販売した現モデルをフェイスリフトし初披露。フロント周りを立体的に力強く変更、プジョーの他のSUV/ミニバン等と外観イメージを統一した。インパネは7インチデジタルタッチパネルを設ける等立派である。エンジン,ガソリン1.2L,直3,ターボ82~130ps, ディーゼル,1.6L,直4,75~120ps、全長4.16m,全幅1.74m,全高1.57m,WB 2.54m。

 

CITROEN: E-MEHARI(EV) プレミア

 1968年導入のシトロエン「メアリ」の後継車、当ショーで生産モデルを初出展した。同時にホワイト色の限定車も展示。カブリオレで内外板樹脂製のしっかりしたEV。

CITROEN

 駆動用モーター50kW(67ps), 30kWhリチウム金属ポリマー電池, 1充電で200km走行可能, フル充電8h, 最高速110km/h、全長 3.8m, 全幅 1.87m, 全高 1.65m, 4人乗車。

 

TOYOTA・PEUGEOT・CITROEN MPV(ミニバン) プレミア

 トヨタとPSAの共同開発車で、トヨタにとっては、欧州向け現行プロエース(2013年PSAからの OEM車)のフルモデルチェンジとなる。各車、フロント周りを固有に変更した以外は、ボデー全般は全車共通。欧州生産はフランス。乗用車と商用車の2種類の設定があり、ショーでは各社とも乗用車モデル(ワゴン)を展示。

トヨタ「プロエース・ヴァーソ」 プジョー「トラベラー」(現行エキスパート後継)
MPV プレミア

 

シトロエン「スペースツアラー」(現行ジャンビー) インパネ, 内装全般は全車共通
MPV プレミア

 ボデー全長は各車とも4.6~4.95~5.3mの3種類を揃える。ワゴンは最大9人乗車。全長 前述, 全幅1.9m, 全高1.92~2.2m, WB2.9~3.2m, 全高1.92~2.27m。エンジン(Toyota PROACE) ディーゼル, 1.6L, 直4ターボ95~113ps, 2L, 120~148ps。ギアボックス 5~6MT/AT, 全輪駆動も用意。

 

プジョー「トラベラー」6人乗車VIP仕様

PEUGEOT

PEUGEOT 左写真はシトロエン「ハイフン」コンセプト車(全輪駆動)

フランスのロックグループ「ハイフン」とのコラボによる内外装スポーツ仕様。

 

ショーにはなくてはならない「ブガッティ」と「ランボールギーニ」

 「ブガッティ:8.0L, W16, 1500PS,1600Nm」「ランボールギーニ6.5L,V12,770ps,690Nm」

ランボールギーニ

ランボールギーニ



主な日本車のプレミア:トヨタ/ホンダ/スバルなど

「ホンダシビック・ハッチバック」 「スズキ・バレーノ」
ホンダ/スズキ
 プロトタイプを世界初公開。英国Swindon工場で生産され、
2017年初めに販売開始となる予定。
 前回のジュネーブショーで披露されたコンセプトカー「iK-2」をベースとした量産モデル。インドで生産され、欧州では2016年春から販売開始。

 

「スバル・XVコンセプト」 「日産・キャッシュカイプレミアム コンセプト」
スバル/日産
スバルが掲げる次世代デザインフィロソフィー「DYNAMIC X SOLID」を表現したコンセプトカーを初披露。次期XVのデザインの方向性を提示。  キャッシュカイの特別仕様モデルを披露。

 

「トヨタ・C-HR」 「マツダ・RX VISIONコンセプト」
トヨタ/マツダ
新型のCセグメントクロスオーバー「C-HR」を初公開。
トルコで生産され、欧州では2017年初旬に発売予定。
2015年の東京モーターショーで
世界初披露したロータリースポーツコンセプト。

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>