Fiat Chrysler (FCA) の中国新戦略: 2018年販売目標は85万台

2018年までに 8車種を投入、年産 77.5万台体制へ

2014/11/20

要 約

Fiat Chrysler (FCA) の中国販売 新生「Fiat Chrysler Automobiles NV」(略称"FCA") は 2014年5月、中国事業を含むグループの新しいグローバル5カ年事業計画 (2014~2018年) を発表した。本レポートは、中国における FCA の2018年までの 5カ年計画を踏まえて、その販売戦略、モデル計画および生産体制拡張計画など、FCA の新しい中国事業計画について報告する。

2018年の中国での乗用車販売目標は 85万台

 FCA は中国での2018年の乗用車販売を、2013年実績 12.9万台の5.6倍増となる85万台に設定した。中国生産のFiat車に加え、同じく中国での生産を計画する Jeep ブランドでの大幅な拡販を見込んでいる。

広州分工場建設など、乗用車年産体制 77.5万台へ

 この野心的な乗用車販売目標を実現するため、広東省の広州市に新しい分工場を建設して、現行の長沙本工場 (湖南省) の更なる拡張と合わせて2018年までに77.5万台の現地生産体制に拡張する。

 併せて、パワートレインの現地生産体制も増強し、2018年までに年産能力をエンジン82万基、変速機 70万基に拡大する。

乗用車モデル導入は、輸入車を含む市販車 19車種のラインナップへ

 モデル計画について、販売目標実現に大きな貢献を期待するJeepブランド車の生産を早ければ2015年に再開。現地生産車種は現行2車種から、2018年まで8車種にラインナップを増やす。また、ドイツの高級車に対抗してAlfa Romeo車の輸入販売も開始する。



関連レポート
 ・フィアット・クライスラーの新5カ年計画:2018年に世界販売700万台へ (2014年5月掲載)
 ・FCAの2014年北京モーターショーでの展示概要 (2014年5月掲載)



FCAの中国販売戦略: 2018年85万台販売へ

FCA の新しい中国販売戦略・計画 (2014~2018年)

中国販売方針 ・中国における、FCA のブランド力向上/ラインナップ拡充に注力。
・主力モデルの現地生産化を推し進め、価格競争力を強化する (高関税回避)。
・広汽Fiat を通した広州汽車との提携に止まらず、広州汽車の自主ブランド乗用車子会社「広汽乗用車」への資本参加・資本提携も今後検討。
・2018年までに、合弁ブランドを除き、輸入車11車種以上を含む、合計19車種の市販車ラインナップを整備。
・販売チャンネル (販売代理店/販売網) を強化する。
販売目標 <2014年>
 23.5万台 (2013年実績 12.9万台)
 *注: 輸入車/輸出を含む、FCA (グループ) の中国における市販ブランド合計台数。以下同。

▽現地製乗用車販売 10万台
 (2013年実績 4.78万台。2014年もFiatブランドのみ)
▽輸入車販売13.5万台
 (参考) 2013年の輸入車販売実績
 ① Chrysler/Jeep/Dodge等のChryslerグループ: 前年比78%増の8.9万台 (輸入販売のみ)
 ② Ferrari: 中国本土で458台 (前年454台。)
 ③ Maserati:前年比334%増の3,800台 (米国に続いて世界第2位)
<~2018年>
 85万台 (うち、Jeep ブランド 50万台) なお、中国/インドを含むアジア太平洋地域全体での販売目標は110万台 (2013年実績の5倍相当)
販売体制 ▽販売代理店 (販売網) 増設計画
 2013年末 396店舗 (内訳: Fiat 系 208店舗、Chrysler系 188店舗)
  ⇒ 2014年末 648店舗
  ⇒ 2016年末 n.a. (うち、Chrysler系 360店舗)
(参考)
中国でのFCA
主な組織体制
・「広汽Fiat」(広汽菲亜特汽車有限公司: GAC Fiat Automobiles): 長沙本社/本工場 (エンジン生産ライン併設、稼働済み)、広州分工場 (乗用車生産のみ、建設中で2016年稼働予定)。
・「FCA APAC Headquarters」: FCAのアジア太平洋地域事業本社。2013年末時点の従業員数は377名。
・「FCA China Sales」: FCA の中国販売統括会社。同141名。
・「APAC Engineering Center」: FCA のアジア太平洋地域開発センター。同311名。
・「APAC Manufacturing & Powertrain」: FCAのアジア太平洋地域のパワートレインセンター工場。同210名。 尚、中国での完成車/エンジン/変速機生産拠点は、後出表をご参照ください。

資料: FCA プレスリリース、各種報道など

 

新しい販売チャンネルとして、FCA現地製モデル2車種のインターネット販売を開始

 新たな販売チャンネル創出で、2014年9月、広汽Fiatは中国合弁工場製2車種のネット販売を開始した。「天猫」(Tianmao) というインターネットウェブサイトに、販売店 (URL: http://gacfiat.tmall.com) を運営し、広汽Fiat製乗用車「Viaggio (菲翔)」中級セダン、「Ottimo (致悦)」ハッチバック)の乗用車2車種の販売を開始した。

 

 



モデル計画: 輸入車11車種を含む、19車種以上のラインナップを整備へ

 FCAは、2018年までに、中国現地生産車種をFiat/Jeepの2ブランドで合計8車種以上、輸入車は11車種以上 (Maserati /Ferrariを含まない) の、中国市販車 (乗用車) のラインナップを構築する計画を発表している (2014年11月時点)。


 新型車の搭載パワートレインについては、省燃費の新型ガソリンエンジンを導入するとともに、変速機に関しては CVT 搭載を中止し、多段化した ATや DDCT (Dual Dry Clutch Transmission) を普及させる計画である。

 

モデル戦略 ・中国生産の Fiat/Jeep/Chrysler ブランド車は、中国販売目標達成の貢献車種と期待されている。 うち、新型Jeepブランド車の中国市場導入は今後、米国市場導入と合わせる (2013年1月に広州汽車グループと Chrysler との契約により)。
<Fiat>
 中国生産車種を、2014年11月時点の2車種から、2018年までに5車種以上に増やす。
<Jeep>
 2015年以降には中国生産を再開し、2018年までに3車種の現地生産車種のラインナップを構築。 (早ければ2015年12月から、広汽Fiatの長沙本工場での生産を開始すると観測。)
<Chrysler>
 輸入販売強化に加えて、2018年までに、中国現地生産の再開を検討中。
・FCA 全体のモデル計画/拡販方針の一環として、高級ブランド車の世界販売増の目標も掲げており、米国と並ぶ高級車の大市場の中国で、Alfa Romeo/Maserati など高級ブランド車の拡販も狙う。
<Alfa Romeo>
 2018年までに、中国での輸入販売を開始へ。
・新エネルギー車 (EV/PHV等) /中国合弁会社ブランド車について、 詳細は明らかにされていないが、広州汽車グループとは2014年6月、そのモデルなどの開発で提携すると表明した (馮興亜広州汽車グループ常務副総経理兼広汽Fiat 理事長のインタービューより)。
▽中国市販車パワートレイン戦略 (アジア太平洋 APAC地域において)
動力システム搭載改良計画(抜粋) ▽アジア太平洋地域での市販車搭載変速機:AT 多段化/DDCT 普及/CVT 中止へ
 中国が主としたアジア太平洋地域工場における、自社全体での機種別搭載変速機シェア計画の詳細は以下の通り (項目順は、"機種: 2013年シェア ⇒ 2018年シェア (動向)")。
 ① 8/9速AT:  2013年 8%  ⇒ 2018年 46% (大幅増)
 ② 5/6速AT:  同47%     ⇒ 同 1% (大幅減)
 ③ DDCT:    同 18%    ⇒ 同 33% (大幅増)
 ④ CVT:     同 9%      ⇒ 同 0% (搭載中止に)
 ⑤ 5/6速MT:  同 18%     ⇒ 同 20% (小幅増)
▽新開発の小型ガソリンエンジン: 2015年からグローバル展開
 FCA はアイドリングストップやターボチャージャーを装備した省燃費の小型ガソリンエンジンを開発中であり、2015年にはこの新型エンジンをグローバルに導入を開始する計画。

資料: FCA プレスリリース、各種報道など

 

 



現地製モデル導入: 長沙本工場5車種/広州分工場3車種のラインナップへ

 FCAは、中国現地生産車ラインナップ構築について、ブランド別では Fiat ブランド 5車種、Chrysler Group LLC のJeep ブランド3車種を、2018年までに整える計画を2014年5月に発表した。これに加えて、Chrysler ブランド車の現地生産再開も、市場状況を見極めて判断する方針を表明している。

 また、工場別での現地生産車の生産体制は下記の通りである。

<広汽Fiatの長沙本工場>

 2015年までに合計4車種 (内訳: Fiatブランド3車種、Jeepブランド1車種) の現地製モデルラインナップ、更に2016年にFiat ブランド (D セグメントセダン) 1車種を追加導入して、総合計5車種の乗用車ラインナップを整える。

<広汽Fiatの広州分工場>

 2016年に稼働を予定。2016年に2車種の Jeep ブランド車生産を開始。更に、2018年に Fiatブランド1車種を追加投入して、合計3車種生産のモデル体制を整える計画としている。

 

中国工場別FCAモデル導入状況

注: 生産開始早い順、後出表も同じ。
▽広汽Fiat --長沙本工場 (湖南省)
モデル 発売時期
(予定)
詳細
Fiat菲翔
(Viaggio)
2012年  Fiat が旧・南京汽車との合弁事業を解消して中国生産を中止した後、新たに広州汽車集団との合弁提携をはじめたが、その最初の現地合弁生産の Fiat ブランド車 (セダン、Fiatの中国生産再開の初モデルでもある)。2014年11月時点の標準販売価格は10.88万元から。
 2015年にマイナーチェンジを計画している。
Fiat致悦
(Ottimo)
2014年3月~  Fiatブランドのハッチバックで、長沙市合弁工場に導入した 2車種目。標準販売価格は5タイプで10.88万~15.88万元。 (なお、Fiatのモデル計画では、2017年にマイナーチェンジを計画している。)
 「CUSW」(Compact US Wide) と称するプラットフォームを採用。動力システムは排気量1.4Lの「1.4T-JET」ターボエンジンと、5速MTまたは7速DCT を組み合わせる。
 発売から1か月後の4月に、スポーツ仕様を追加導入 (標準販売価格は14.88万/16.28万元)。17インチの個性的なホイールのほか、内外装にクロムメッキの装飾を多く施しているスポーティなデザインが特徴である。
Fiat Ottimo
Crossroad
(2015年3月前後)  現行の中国現地生産ハッチバック 「Fiat 致悦」(Ottimo)のクロスオーバー仕様の新型車 (CセグメントSUV)。
Jeep
Cherokee
(2015年中旬~)  Jeepブランド車の中国生産再開の初モデルになる、D セグメントのJeep SUV。2013年後半から中国で輸入販売を開始した「Cherokee」(自由光) を中国生産。
(仮称)
Fiat D-Sedan
(2016年9月前後)  中国生産を予定するDセグメントのFiatブランドの新型セダン。
▽広汽Fiat --広州分工場 (広東省、2016年に稼働予定)
モデル 発売時期
(予定)
詳細
Jeep新型Renegade
(自由侠)
(2016年前半)  Jeep ブランド2車種目の SUV 。新型 Renegadeは、Bセグメント のSUV でクラストップのオフロード能力、9速ATや先進安全技術をアピールする。
 Jeep Renegade はグローバル小型SUVで、2014年末イタリアの Melfi 工場で生産開始後、中国、ブラジルでも生産される計画。
Jeep小型 SUV
(正式名称未定)
(2016年以降)  C セグメントのコンパクト新型 SUV (製品コード"551")。中国生産再開後、3車種目となる予定。Jeep ブランドが広州汽車と中国市場の特化デザインを共同開発すると合意したとされるモデル。
 この新型車は、2015年末に中国で輸入販売を打ち切ると予定される現行市販SUV 2車種「Compass(指南車)」「Patriot(自由客)」(共にCセグメントSUV) の後継モデルになる。
Fiat新型 500X (2018年前半~)  現行「500X」の完全改良モデル (Fiat ブランドの B セグメント SUV)。2018年前半に現地生産を開始。新型の中国生産に先立ち、その前モデルとなる現行モデルの輸入販売を、2015年前半から開始する。
 Jeep 新型 「Renegade」と同一のプラットフォームを採用。

資料: FCAプレスリリースなど

 

輸入販売モデル導入: 2018年までに11車種以上のラインナップへ

 FCA の中国における輸入販売について、Alfa Romeo ブランド車も初導入などで、Maserati/Ferrari 等を除き、Fiat/Alfa Romeo/Jeep/Chrysler/Dodge の 5ブランドを合わせて合計11車種以上の輸入車ラインナップを2018年までに構築していく。ブランド別の内訳は、Fiat 4車種、Jeep 3車種、Chrysler 2車種、Dodge/Alfa Romeo 各1車種以上である。

モデル 発売時期
(予定)
詳細
Fiat 500/500C 2013年3月~  A セグメントのFiat ブランドの小型乗用車。2018年まで輸入販売を継続する予定。2014年11月時点の標準販売価格は、「500」が16.98万元~、「500C」は20.98万元~。
Fiat Freemont
(菲躍)
2013年3月~
2016年8月頃
 D セグメントのFiatブランドクロスオーバーSUV。Dodge Journey のリバッジモデル。標準販売価格は 24.98万元~。2016年8月前後までに中国での輸入販売を打ち切る予定。
Fiat 500X (2015年前半~
2018年前半)
 Fiat ブランドのBセグメント SUV (Jeep Renegade の姉妹車)。2018年前半に、新型車の中国現地における生産・販売を開始するに先立って、中国で輸入販売する。
Dodge Journey (~2016年
5月前後)
 2016年前半に中国で輸入販売を打ち切る予定の、D セグメントの Dodge ブランドクロスオーバーSUV。
Chrysler Grand Voyager
(大捷龍)
(2016年
中旬前後~)
 Chrysler E セグメント MPV (ミニバン)。2016年にモデルチェンジの予定。
Jeep 新型Wrangler
(通称"牧馬人")
(2017年
中旬前後~)
 現行の輸入販売モデル。「Wrangler」の最新型 (D セグメント SUV) は2017年モデルチェンジ予定。詳細は明らかにされていない。
Jeep 新型 Grand Cherokee
(大切諾基)
(2017年後半~)  完全モデル改良を行った、Jeep ブランドのE セグメント SUV。
Jeep Grand Wagoneer
(大瓦格尼)
(2018年中旬~)  Jeep ブランドの新しい3列座席仕様の大型高級 SUV。詳細は明らかにされていないが、「Grand Cherokee」よりハイエンドであるセグメントの位置付け。
Chrysler 300 (2018年後半~)  Chrysler ブランド上級セダン。2018年後半にモデルチェンジを計画。中国市場状況を見極めて現地生産を検討するとの方針もある。
 2015年にはマイナーチェンジを行う。ロサンゼルス・モーターショーでマイナーチェンジ車を展示した。
Alfa Romeo ブランド車 (~2018年)  投入時期やモデルなどの詳細は不明であるが、FCAの高級車拡販戦略の一環として、中国での輸入販売を開始する予定。

資料: FCA プレスリリース、各種報道など

 

中国で独占禁止法違反に認定され、Chryslerは3,168.20万元罰金支払いへ

 中国政府は2014年9月、Chrysler の上海販売会社「克莱斯勒(中国)汽車銷售有限公司」(Chrysler (China) Auto Sales Co., Ltd.) が、独禁止法違反に違反したとして、合計3,168.20万元罰金 (Chrysler 2013暦年中国での売上高の3%相当) を科したと発表した。これに加えて、同販売会社傘下の上海地域の大手ディーラー 3社にも同じ違反により合計214.21万元 (うち、中心となった1社は同期売上高の6%相当、そのほかの2社は同4%相当)を科した。

 

 



中国生産体制:2018年に、乗用車77.5万台/エンジン82万基/変速機70万基体制構築へ

FCAの中国生産推移
FCAの中国工場別生産

 FCA は、2018年に中国で乗用車85万台の販売目標実現に向けて、広州汽車グループとの合弁生産会社「広汽Fiat」の長沙乗用車本工場 (湖南省) の拡張に加えて、広東省の広州市に分工場を建設して、中国における乗用車の年産能力を、2014年11月時点の19.5万台から、2018年までに77.5万台以上に拡大する。


 うち、広州新工場の年産能力は、2016年に16万台、更に2018年までに 27.5万台に増強する。一方、現行長沙本工場は、中期的に 25万~30万台に引上げ、2018年までは最終的に 50万台体制に増強する。


 これに併せて、FCAは、現地のパワートレインの生産体制も拡張している。広汽Fiat長沙本工場の併設エンジン生産ラインの年産能力も、現行の14万基から2018年までに 82万基に拡充。また、浙江省杭州市の変速機合弁生産会社「杭州依維柯汽車変速機」(HAVECO) で、生産ライン拡張によって、変速機の年産能力を現行の18万基から70万基に引上げる計画である。























乗用車の生産体制: 現行の19.5万台から2018年に77.5万台に拡張へ

単位:1,000台
<乗用車生産>
合弁会社 工場 生産モデル
(*注)
生産実績 (暦年別) 年産能力
2010 2011 2012 2013 2013年
末時点
拡充後
(計画年)
広汽Fiat
(Fiatと広州汽車が折半出資)
長沙市本工場(湖南省) Viaggio(菲翔) - - 13.51 47.83 195
(2直)
250~300 (中期に)
⇒ 500 (~2018年)
Ottimo(致悦) (2014年発売済み)
Cherokee(自由光) (早ければ2015年末に追加導入へ)
広州市分工場(広東省) Renegade (自由侠)/Jeep小型 SUV
(製品コード "551")
(2014年6月に工場建設着工で、2016年第1四半期に稼働の予定。当初はJeepブランド車のみを生産と報道される。) - 160(2016年~)
⇒ 275以上(~2018年)
東南汽車 福州市工場(福建省) Chrysler Grand
Voyager (大捷龍)
0.13 0.23 0.04 (委託生産中止)
Dodge Caravan (凱領) 1.01 0.01 (委託生産中止)
合計 1.14 0.24 13.55 47.83 195 300以上(2016年3月~)
⇒ 410~460(中期に)
⇒ 775以上(~2018年)

注. FCA の2014年の中国販売目標 (輸出、輸入販売を含む) は、Fiat/Jeep/Chryslerブランド合計で 22万台超 (前年同期実績13.7万台超)。うち、中国現地 (広汽 Fiat)製 Fiat ブランド車のみは10万台 (4.8万台)。

 

▽2016年稼働予定の「広汽Fiat」の広州分工場を建設、広州市で年産 27.5万台体制構築へ
 Fiatと広州汽車グループが折半出資する合弁会社、「広汽Fiat」(本社・本工場:湖南省の長沙市) は2014年6月、広州市 (番禺区)に、広汽Fiatの分工場 (広汽Fiat 広州分公司:第2乗用車工場) として、新工場の建設に着工した。2016年第1四半期 (1~3月) に稼働する予定。
 同広州分工場は、稼働当初の2016年から、同一プラットフォームを搭載する、Jeepブランドの 「Renegade」(自由侠)、新しい小型 SUV (製品コード"551") を順次導入。2018年前半には、「Renegade」と同じのプラットフォームを採用するFiat ブランドの「Fiat 500X」を追加導入する。
 同工場建設への投資総額は42.3億元。第1期工場建設はプレス/溶接/塗装/組立生産ラインを含む。乗用車年間16万台の生産体制を構築。今後、2期建設を経て年産27.5万台体制に拡大する予定。
 エンジン生産ラインは当面併設せず、長沙本工場の併設エンジン工場からエンジンを調達。同新工場に隣接する広州汽車グループの自主ブランド乗用車工場「広汽乗用車」とは、部品調達や物流および生産検査・測定などのリソースを共有して生産コストダウンを狙う。

 

パワートレイン生産体制: 2018年までに、エンジン 82万基/変速機 70万基に拡大へ

 FCAの中国における乗用車用エンジンの現地生産体制について、「広汽Fiat」の長沙本工場の併設エンジン工場の年産体制を現行の14万基から2018年までに82万基に拡張する。これに併せて、生産エンジン機種は、現行の1機種から2018年までに5機種に追加導入する計画になっている。

 なお、FCAは、長沙本工場の併設エンジン生産ラインの拡張以外、2014年5月時点、そのほかの新規建設の計画はないとの方針を示している。


 また、中国での変速機生産体制について、現行の杭州市 (浙江省) 工場を拡張し、年産能力を現行2機種18万基体制から、2018年までに3機種70万基体制に拡大すると2014年5月に発表している。

 

FCAの中国におけるパワートレインの生産体制 (工場別生産能力を含む)

(単位:1,000基)
合弁会社 工場 生産モデル 従業員
数(名)
生産実績 (暦年) 年産能力
2011 2012 2013 2014年
5月時点
拡充後
(計画年)
▽乗用車載エンジン
広汽Fiat 長沙市併設
エンジン工場
排気量1.4L「1.4T-JET」ターボエンジン(2018年までに合計5機種へ) 2,821 - (2012年生産
開始。生産
実績は未公開)
140 220~370
⇒ 820
(~2018年)
広州市分工場 - (2018年までのFCA5カ年計画に、併設エンジン生産ライン建設の計画は
示されていないが、今後は追加建設の可能性が残っている)
▽車載変速機
杭州依維柯汽車変速機(HAVECO) 杭州市本工場
(浙江省)
5速MT「5MTX」、AMT 774 54.8 61.6 57 180 (2013年
末時点)
⇒ 330
700
(~2018年)
7速DCT「7DDCT」 n.a.

 

 



(付録) FCA の中国生産状況

単位:台

2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年
総合計 (FCA中国関連) 46,600 37,242 26,742 12,230 1,305 1,131 248 13,546 47,828
▽ブランド別集計
2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年
ブランド
別内訳
Fiat 32,787 31,400 16,083 - - - - 13,505 47,828
Jeep 13,813 3,364 18 - - - - - -
Chrysler - 2,478 10,641 11,585 1,267 126 234 41 -
Dodge - - - 645 38 1,005 14 - -
▽生産会社別モデル別集計
2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年
広汽Fiat Viaggio (菲翔) (Fiatブランド車の中国現地生産を
2008年中止し、2012年に再開。)
13,505 47,828
Ottimo (致悦) (2014年から
生産開始。)
合計 13,505 47,828
2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年
東南汽車 Chrysler
Grand Voyager
(大捷龍)
(2007年からChrysler/Dodgeモデルの委託生産を開始。) 1,588 2,169 277 126 234 41 (同委託生産がすべて中止に)
Dodge Caravan
(凱領)
0 645 38 1,005 14 -
合計 1,588 2,814 315 1,131 248 41
2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年
旧・北京Jeep/
北京DCX
Cherokee
(切諾基)
13,813 3,364 18 - 0 (北京Benz の母体になると共に、
現地生産を中止した。)
Grand Cherokee
(大切諾基)
-
Chrysler 300C - 2,478 9,004 822 17
Sebring (鉑鋭) - - 49 8,594 973
合計 13,813 5,842 9,071 9,416 990
2005年 2006年 2007年 (旧・南京Fiatは解散され、
跡地は上海VWの南京乗用車
分工場として継承されている。)
旧・南京Fiat Palio(派里奥) 18,219 15,238 7,835
Palio Weekend
(派里奥週末風)
4,430 4,476 2,105
Perla (派朗) - 2,534 3,061
Siena(西耶耶) 10,138 8,684 2,755
Unique(優尼柯) 0 468 327
合計 32,787 31,400 16,083

(注) DCXは、旧・DaimlerChrysler グループの略称。

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>