GM: 2014年はリコール対応に追われる中、新事業戦略を発表

リコール台数3,000万台超、中国販売は500万台目標、ブランド別ではキャデラックに注力

2014/11/07

要 約

GM Sales Forecast GMは2014年に強化された商品ラインナップで攻勢をかけるはずであったが、2月にイグニッションスイッチのリコール問題が発生し、この対応に追われた年になった。10月まで累計リコール件数は75件、対象台数は3,000万台を超えている。イグニッションスイッチのリコールに関しては、司法省、FBI、SEC、48州の検事総長とカナダの安全規制当局が調査をしており、前途多難である。

 GMのトップマネージメントは、2014年1月15日からAkerson CEOから自動車業界初の女性社長であるBarra CEOにバトンタッチされた。Barra CEOは就任早々リコール対応で議会に召喚され激しく非難されるなど厳しい船出となったが、これまでのところ堅実に対応してきている。

 Barra CEOは10月1日、新経営陣による初めての戦略計画を発表、最も評価される自動車会社になるために顧客を中心に置いた5つの事業戦略を推進すると発表した。その第一は商品開発と技術戦略でリードすること。2015年に18カ月以内に新型になった車のグローバル販売における比率が約27%になると予想している。グローバル販売における新しいモデルの比率を2016年と2017年には38%まで高め、2019年には47%にすることを目指す。


% of Global New/Refreshed vehicle


 GMの2014年1~9月期の販売台数は中国のSGMW車の販売を含めて、前年同期比1.7%増の737.2万台、世界シェアは0.1%ポイント減の11.5%だった。2013年世界販売台数は971.5万台(中国の関係会社SGMWの台数を含む)で前年比4.5%増となったが、トヨタの998万台とVWの972.8万台に及ばず、世界第3位となった。2013年世界シェアは11.5%で前年と同じだった。

 2014年1~9月期の売上高は前年同期比1.2%増だったが、純利益はリコール問題や新興市場の不振で前年同期比54.4%減の19.6億ドルになっている。2013年の売上高は前年比2.1%増、純利益は13.6%減の53.5億ドルであった。

 
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2014年1~10月でリコール台数は3,000万台超へ

イグニッションスイッチのリコールが大問題化

 GMは2月に、生産を終了している古い2003~2007年型車162万台をイグニッションスイッチの不具合でリコールすると発表した。イグニッションスイッチのトルク性能不足でスイッチが「run」ポジションから外れて、スイッチが切れてエンジンがストップし、ステアリングが重くなり、エアバッグが作動しなくなるという。問題となったのは、GMの担当エンジニアがこの不具合を知っていてリコールをしなかったこと、この不具合による前面衝突事故は31件になる上に乗員の死亡者数も13人になると判明したことであった。担当エンジニアはイグニッションスイッチ事故の裁判でも偽証していたことが判明、組織ぐるみの隠蔽ではないかと疑念を持たれた。

 

議会とNHTSAから叱責、GMの対応

 3月にGMは、議会と監督官庁の運輸省NHTSAから情報提供を求められ、司法省も刑事訴追の初期捜査を開始した。折しも、3月には米国司法省がトヨタに対してリコールの情報提供に問題があったという刑事訴追で、12億ドルの支払いを命じられるとともに3年間の監視期間を設定、自動車業界を震撼させた。GMは自社の対応として、リーマン・ブラザーズの捜査を主導した元連邦検事のValukas弁護士による社内調査を開始、さらにリコール対策の安全担当を新設する組織変更を行った。4月には被害者に対する補償ファンドを設立して高名なFeinberg弁護士に委託、GMとは独立して補償を判断する権限を与えた。一方、議会は就任して日が浅いBarra CEOを公聴会に招集し厳しく追及した。6月にはGMはValukasレポートを提出するとともに、15名を解雇処分にした。

 

課題は残るが、リコール対応は一段落

 8月からはイグニッションスイッチの被害者から補償ファンドが請求を受け付け始め、順調に審査が進んでいる。10月27日時点で補償ファンドは30人の死亡者を認定しており、当初のGMの説明をすでに大きく上回っている。一方で、リコールはその後の社内プロセス見直しで増え続け、10月24日時点で75件、対象台数はグローバルベースで3,000万台を超えた。

 イグニッションスイッチのリコールに関しては、司法省、FBI、SEC、48州の検事総長とカナダの安全規制当局が調査をしており、前途多難である。

 

GMの主なリコール

78万台をイグニッションスイッチの不具合でリコール(2月) ・GMは2月13日、イグニッションスイッチの不具合で合計78万台をリコールすると発表した。対象となるのは、2005~2007年型シボレー「Cobalt」と2007年型ポンティアック「G5」の2車種。
・GMは5つの前面衝突事故でエアバッグが作動せずに6人が死亡していたこと、また、17件の前面衝突事故でエアバッグが作動せず乗員がけがをしたことを知っていたという。今回、原因が究明されたことでリコールに踏み切った。
・対策としては、イグニッションスイッチをディーラーで交換することになるが、GMはそれまでの間キーリングに余計なものをつけないよう警告している。
イグニッションスイッチのリコールを拡大、162万台をリコール(2月) ・GMは2月25日、イグニッションスイッチ不具合の対象車を拡大し、グローバルで162万台をリコールすると発表した。調査を進める中で対象車を追加したもの。
・GMはイグニッションスイッチが「run」ポジションから外れてエアバッグが作動しなかった前面衝突事故は31件になるとし、乗員の死亡者数も13人になると報告を修正した。
新たに3件のリコールを発表、170万台規模、第1四半期に3億ドルのワランティ費用を計上(3月) ・GMは社内で過去の不具合情報の見直しを進めているが3月17日、3つの新しいリコールを発表した。対象台数はグローバルで172万台に達する規模となる。
・Barra CEOは、イグニッションスイッチと新しい3件のリコールで、3億ドルのワランティ費用を第1四半期に計上すると発表した。
イグニッションスイッチのリコール適用を拡大、97.1万台(3月) ・GMは3月28日、イグニッションスイッチ不具合の対象車をさらに拡大すると発表した。グローバルで対象車は97.1万台増加し、イグニッションスイッチ不具合のリコール台数は約259万台となる。
新たにパワステのリコールを発表、151万台規模(3月) ・GMは3月31日、パワーステアリングに不具合があるとして、グローバルで7車種、151万台のリコールを発表した。
・GMは第1四半期で計上するワランティ費用を、3月17日に3億ドルと発表していたが、これを見直して7億5,000万ドルへ引き上げると発表した。
ロックシリンダーの不具合で約260万台リコール、第1四半期のリコール費用13億ドルへ増額(4月) ・GMは4月10日、ロックシリンダーの不具合で約260万台(米国で約220万台)をリコールすると発表した。
・GMは第1四半期のリコールの追加費用を7.5億ドルから、13億ドルへ上方修正する。
5つの不具合で約300万台をリコール、2億ドルの費用を計上(5月) ・GMは5月15日、5つの不具合により、グローバルで299万台(米国で約270万台)をリコール、その費用として第2四半期に2億ドルを計上すると発表した。
4つの不具合で259万台をリコール、2Qの費用を4億ドルに増額(5月) ・GMは5月20日、4つの不具合により、グローバルで259万台(米国で242万台)をリコールすると発表した。今回のリコールに伴う費用として第2四半期のリコール費用の上積みを2億ドルから4億ドルに増額することも発表した。
4つの不具合で58万台をリコール(6月) ・GMは6月13日、2010~2014年型シボレー「Camaro」をリコールすると発表した。ドライバーの膝がキーフォブに当たってイグニッションの位置が「run」からずれ、パワーステアリングが効かなくなる不具合。GMでは3件の衝突事故と4件の軽傷の報告を受けているという。対象台数はグローバルで51万1,528台。このほか、GMは3件のリコールを11日にNHTSAに届け出たと発表した。3件の対象台数はグローバルで6万9,839台。
新たに6件、355万台のリコールを発表、2Qのリコール費用を4億ドルから7億ドルへ増額(6月) ・GMは6月16日、新たに6件、グローバル合計で355万4,135台のリコールを発表した。このうち、336万555台がイグニッションスイッチのリコールで、2月にリコールを発表したシボレー「Cobalt」の不具合と同じように衝撃があったりすると「run」ポジションからずれてパワーステアリングが効かなくなる恐れがある。
・GMは第2四半期にすでに4億ドルをリコール費用として追加計上していたが、今回のリコールでリコール費用の追加計上額を7億ドルへ増額すると発表した。第1四半期に計上した13億ドルと合わせると、2014年上半期でリコールの追加費用は合計20億ドルとなる。
6件の不具合で845万台をリコール、2Qのリコール費用を7億ドルから12億ドルへ増額(6月) ・GMは6月30日、新たに6件のリコールを発表した。対象台数は米国だけで約760万台、グローバルでは約845万台になる。
・今回のリコール台数約845万台のうち、約823万台がイグニッションスイッチの不具合で、対象車種は1997年型から2014年型までの合計9車種。
・GMは第2四半期の追加リコール費用を、6月16日に発表した7億ドルから12億ドルへ変更することも併せて発表した。
6件の不具合で82万台をリコール(7月) ・GMは7月23日、新たに6件のリコールを発表した。対象台数は米国で71万7,949台、グローバルで82万2,685台になる。
2014年のリコールの累計件数は75件、グローバル台数は3,001万台(10月) ・GMは10月24日、2014年のリコールリストを更新して発表した。リコール件数は75件、対象台数はグローバルで3,001万台となった。

 

議会・運輸省・司法省の動きとGMの対応

下院議会がGMと道路交通安全局(NHTSA)に情報提供を求めた(3月)NHTSAもGMに情報提供を求めた(3月) ・GMのイグニッションスイッチのリコールについて、下院議会のエネルギー商業委員会は3月10日書面でGMと運輸省道路交通安全局(NHTSA)に対して、3月25日までに情報を提供することを求めた。
・NHTSAは、2004年まで遡ってGMが消費者の不満や不具合の有無についてどのような調査をしてきたかに焦点を当てて、27ページにわたる質問に対して4月3日までに回答するようにGMに求めた。
・NHTSA自身も、何故GMのリコールを求めなかったのかについて、下院議会のエネルギー商業委員会の査問の対象になっている。
Anton Valukas弁護士を起用し、社内調査を開始(3月) ・GMは3月10日、社内調査のために2008年にリーマン・ブラザーズ・ホールディングス破綻の調査を主導した元連邦検事のAnton Valukas弁護士を起用した。
司法省も刑事訴追の初期調査を開始(3月) ・司法省も3月10日からニューヨーク南部地区連邦検事局が主導して、死亡事故も起きた162万台のリコールをGMがどのように取り扱ったか、そこに刑事上、または民事上の法律違反がなかったかについて、初期調査を始めたと報道された。
リコール対策として安全担当VPポストを新設、ジェフ・ボイヤー(Jeff Boyer)を任命(3月) ・GMは3月18日、Barra CEOがリコール対策としてVice President, Global Vehicle Safetyというポストを新設し、即日付でJeff Boyerを任命したと発表した。Boyer副社長は、定期的にBarra CEO、取締役会メンバーなどの幹部に車両の安全についての情報を報告する。
Feinberg弁護士をリコール補償担当に採用(4月) ・GMは4月1日、Kenneth Feinberg弁護士を、イグニッションスイッチ不具合に関する事故被害者への補償問題の担当として採用したと発表した。
・Feinberg弁護士は、2001年9月11日のテロ攻撃被害者への補償、2010年のBPによるメキシコ湾原油流失事故補償、ボストンマラソン爆弾事件補償などの大きな補償問題で実績を上げてきた高名な弁護士である。
バーラCEOが議会公聴会で証言(4月) ・GMのBarra CEOは、4月1日は下院議会の公聴会で、2日は上院議会の公聴会で、イグニッションスイッチ不具合に関するリコールについて証言した。
・司法省の刑事訴追調査に直面しているために、Barra CEOの回答は慎重で新たな情報提供はなく、厳しく追及された。
NHTSA、GMのリコール問題について証言(4月) ・NHTSAはGMのイグニッションスイッチ不具合に関するリコールについて、4月1日は下院議会の公聴会で、2日は上院議会の公聴会で証言した。
・下院の公聴会では、2007年と2010年の2回、イグニッションスイッチのリコール調査を実施する機会があったにもかかわらず、調査しなかったことについて、意思決定プロセスに問題があると追及を受けた。
・2日目の上院の公聴会では、NHTSAの不具合調査のスタッフは51人、予算は101万ドルであることが取り上げられ、体制が不十分であると追及された。
エンジニア2名を停職処分(4月) ・GMは4月10日、上院議会の公聴会で偽証していると批判されたことに関連して、独立して社内調査を担当しているAnton Valukas弁護士のブリーフィングに従って、イグニッションスイッチのエンジニア2名を停職処分にすると発表した。
リコール訴訟の免責を破産裁判所へ申請(4月) ・GMは4月22日、2009年に倒産したことを理由に旧GMの負債から救済されるべきとして、破産裁判所にイグニッションリコール不具合の経済的損失の訴訟からの免責を申請した。
・なお、GMは実際に不具合による事故で傷害を受けた被害者には補償するとしている。
・破産裁判所がGMの申請を認め、イグニッションスイッチに関する経済的な損失の訴訟から免責されれば、収益面では大きな助けになる。しかしながら、過去の清算をしないで逃げたというイメージ上の汚点を残すことになる。
・連邦破産裁判所は決定を2015年に延期した。
NHTSA、GMにリコール報告遅れで3,500万ドルの罰金、業務プロセス改善も命令(5月) ・GMは5月16日、イグニッションスイッチ不具合をタイムリーに報告しなかったことに関して、3,500万ドルを支払うことにNHTSAと合意したと発表した。 
・米国運輸省のFoxx長官は「本件に関する今後のGMの努力を厳しくモニターするが、運輸省として議会が罰金を3,500万ドルから3億ドルに増額する「GROW AMERICA ACT」法案を支持してほしい」と呼びかけた。
・罰金のほかに、NHTSAはGMに対して広範囲の内部プロセスの改善も命じているという。
内部調査結果であるValukasレポートを発表、15名を解雇処分(6月) ・GMは6月5日、イグニッションスイッチ・リコールに関して、外部のJenner&Block法律事務所のAnton Valukas弁護士に依頼していた内部調査結果を発表した。Valukasレポートによれば、会社ぐるみの隠蔽はなく、管理者の能力不足と判断ミスが重なった結果としている。
・内部調査の結果に基づき、Barra CEOは15名を解雇、5名を懲戒処分にした。
・GMは、イグニッションスイッチ不具合による被害者に対する補償プログラムは、補償問題のエキスパートであるファインバーグ弁護士に任せることも発表した。
NHTSA、GMへの1日7,000ドルの罰金停止(6月) ・NHTSAは6月10日、GMに対してイグニッションスイッチ・リコールに関する情報提供が不十分であるとして4月4日から1日当たり7,000ドルの罰金を科していたが、6月4日に詳細な内部調査資料のValukasレポートを受領したことで罰金の課金を停止した。
・GMはこの情報提供遅延罰金42万ドルとは別に、イグニッションスイッチ不具合をタイムリーに報告しなかったことに関して、3,500万ドルの罰金を支払うことでNHTSAと合意した。3,500万ドルの支払いは6月13日。
イグニッションスイッチ被害者への補償ファンドの受け付け開始(8月) ・GMに委任されて独立して補償ファンドを管理するケネス・ファインバーグ弁護士は、8月1日から12月31日までイグニッションスイッチによる損害求償の受け付けを開始した。
・補償ファンドは死亡者には少なくとも一人当たり100万ドル、残された配偶者や子供には30万ドルが支払われる。さらに、死亡者の経済的な価値も補償金額に加算される。
・GMはこれまでイグニッションスイッチ・リコールによる死亡者は13件と報告していた。なお、GMは補償請求に4億ドルの資金を引当てているが、6億ドルに達するかもしれないと予測されている。
補償ファンドの支払い開始(9月から) ・GMに委任されている補償ファンドは10月27日、8月1日から10月24日までに1,580件の請求を受け付けたと発表した。そのうち、193件が死亡事故の請求。補償ファンドはこれまでに30件の死亡事故を承認したという。
・イグニッションスイッチのリコールに関しては、司法省、FBI、SEC、48州の検事総長とカナダの安全規制当局が調査をしている。

出所:GM広報資料

 

 



新経営陣によるGMの事業戦略

 GMは10月1日、投資家向けの説明会で、バーラCEO率いる経営チームは最も評価される自動車会社になるための顧客を中心に置いた事業戦略を推進すると発表した。事業戦略を実行することによって、EBIT(金利税引前利益)ベースで2014年第3四半期では5.8%の利益率を、2020年代初めに9~10%まで改善できるだろうとしている。

GMの事業戦略

1. 商品開発と技術戦略でリードする
 2015年には18カ月以内に発売した新型車、またはマイナーチェンジしたモデルのグローバル販売における比率が約27%になると予想している。グローバル販売における新しいモデルの比率を2016年と2017年には38%まで高め、2019年には47%にすることを目指す。GMは軽量化のために特許を取得した溶接技術を使う革新的な「Mixed Material Body Structure」を開発した。さらに、自動運転技術の開発にも力を入れる。
2. キャデラック事業を成長させる
 2015年には北米で最近発表した旗艦モデル「CT6」を含めて4つの新モデルを投入する。さらに、2010年代末には世界最大の高級車市場になると思われる中国で現地生産を開始する。中国市場には、5年間で9つの新モデルを投入し、2014年の販売見込みである7万台から2018年には16万台を狙う。
3. 中国事業の成長を持続させる
 2014年から2018年までに中国の合弁会社は140億ドルを投資して、年間500万台近くの販売をサポートする5つの車両製造工場と2つのパワートレイン工場を建設する。この期間には9つのSUVモデルを含む60の新型車を投入する予定である。
4. GM Financialの成長を持続させる
 GMの販売をサポートするために、GM Financialは投資を継続する。2014年末には、成長する中国市場に参入する予定。
5. 中核事業の効率化を図る
 サプライヤーとの協力体制を強化し、プラットフォームを削減してグローバルベースでの規模の経済を追求し、事業コストを下げる。2015年に世界生産の75%が中核のプラットフォームベースになる予定だが、2020年には世界生産の99%を中核のプラットフォームベースにまで引き上げる。

 

 



2014年販売は、欧州と南米の不振を米国と中国でカバーして微増

 2013年の世界販売は中国と北米市場での販売増が貢献して、4.5%増の971.5万台(中国の関係会社SGMWの台数を含む)を達成した。世界シェアは11.5%で、2012年と同じであった。北米では主力車種である大型ピックアップシボレー「Silverado」とGMC「Sierra」がモデルチェンジしたが、シェアを上げることができなかった。ただし、新型車の評価は高く、商品競争力は改善しつつある。

 2014年1~9月期のGMの世界販売は前年同期比では1.7%増となったが、マーケットシェアは11.5%と2013年と同じになった。特に南米と欧州でのシェア減少が大きいが、主力市場の北米や中国でシェアをわずかながら上昇させた。

 北米市場では2013年に18の新型車またはマイナーチェンジ車を投入してラインナップの70%を刷新、2014年は強化された商品ラインナップで攻勢をかけるはずであった。しかしながら、2月にイグニッションスイッチのリコール問題が発生し、大きな問題としてマスコミをにぎわしたためにイメージの低下による販売減が懸念されたが、これまでのところリコールによる大きなダメージは受けていない。大量にリコールしているのは、倒産した旧GMの車で、新生GMの新型車は性能が格段に良くなっているというコミュニケーションが成功しているともいえる。

GMの2011-13年および2014年1~9月期の世界販売台数とシェア

(単位:1,000台)
地域 2011年 2012年 2013年 2013年1~9月 2014年1~9月
販売台数 シェア 販売台数 シェア 販売台数 シェア 販売台数 シェア 販売台数 シェア
北米(GMNA) 2,925 18.4% 3,019 16.9% 3,234 16.9% 2,449 16.7% 2,559 16.8%
欧州(GME) 1,751 8.7% 1,611 8.5% 1,557 8.3% 1,058 7.8% 958 6.5%
南米(GMSA) 1,066 18.8% 1,051 18.0% 1,037 17.5% 770 17.7% 642 16.4%
その他地域(GMIO) 3,281 9.5% 3,616 9.5% 3,886 9.5% 2,974 9.9% 3,213 10.4%
うち中国 2,542 n.a. 2,832 n.a. 3,156 n.a. 745 13.9% 850 13.6%
全世界合計 9,024 11.9% 9,297 11.5% 9,715 11.5% 7,251 11.6% 7,372 11.5%

出所:2014年2月6日付、2013年2月14日付、2014年10月23日付GM発表より抜粋

 

 



2014年1~9月期の利益はリコール費用で激減、2013年純利益は13.6%減

 2013年の純利益は、前年比で13.6%のマイナスになったが、売上高は2.1%増、EBIT(金利税引前利益)は9.1%増となっており、収益力は低下していない。

 2014年1~9月期は、売上高は1.2%増だったが、リコール費用を第1四半期に13億ドル追加、第2四半期にも12億ドル追加、合計で25億ドルの費用を積み増した。2014年のリコール台数は10月にはグローバルベースの累計で3,000万台を超えており、収益へのダメージは極めて大きいものになっている。さらに、ウクライナ危機でロシアの収益が悪化、アルゼンチンとブラジルも経済不振で収益が悪化、ベネズエラ通貨下落による為替差損、2014年の利益は2013年比で大幅減となることは必至である。しかしながら、一時的な要因を除けば、北米の収益力は堅固であり、また、好調なGM中国の持分利益も拡大している。

GMの2011-13年および2014年1~9月決算

(単位:100万ドル)
  2011年 2012年 2013年 13/12比   2013年
1-9月
2014年
1-9月
14/13比
売上高 150,276 152,256 155,427 2.1% 114,942 116,312 1.2%
自動車部門 148,869 150,293 152,100 1.2% 112,712 112,776 0.1%
 北米(GMNA) 90,233 89,910 95,099 5.8% 69,982 75,891 8.4%
 欧州(GME) 26,757 20,689 20,110 -2.8% 16,254 16,820 3.5%
 南米(GMSA) 16,877 16,700 16,478 -1.3% 12,380 9,404 -24.0%
 その他地域(GMIO) 24,761 22,954 20,263 -11.7% 13,982 10,548 -24.6%
EBIT 8,307 7,859 8,578 9.1% 6,271 1,958 -68.8%
 北米(GMNA) 7,194 6,470 7,461 15.3% 5,577 4,394 -21.2%

出所:2014年2月6日付、2013年2月14日付、2014年10月23日付GM発表より抜粋

 

 



GMの最近の北米モデル計画

 GMは2013年に18の新型車を市場に投入し、ラインナップの70%を刷新した。新型車の商品力は格段に向上し、高級車のCadillac CTSが米国カーオブザイヤー(モータートレンド誌選定)、スポーツカーのCorvette Stingrayが北米カーオブザイヤー(北米自動車ジャーナリスト選定)、大型ピックアップのChevrolet Silveradoが北米トラックオブザイヤーを受賞するなど、ジャーナリストから高い評価を受けている。また、大型セダンのChevrolet Impalaはコンシューマーレポートから大絶賛を受けた。

 2014年も続々と新型車が投入されており、中でも10月から販売が開始された中型ピックアップのChevrolet ColoradoとGMC Canyonは燃費も良く、新型Ford F-150への対抗にもなると期待されている。また、春に販売が開始されたピックアップトラックベースの大型SUVは販売が好調で利幅も大きいために収益に大きく貢献している。

 

GMの新型車は評価が高い

 GMは2013年には18の新型車を投入したが、これらの新型車は自動車ジャーナリストから動力性能や乗り心地などでは高い評価を受けている。

・Cadillac CTSが米国カーオブザイヤー(Agility, fun to drive, styling, safety features)

・Corvette Stingrayが北米カーオブザイヤー(Acceleration, handling, braking, controls, performance for the price)

・Chevrolet Silveradoが北米トラックオブザイヤー(Fuel economy, handling, access, towing/payload capacity)

・Chevrolet Impalaがコンシューマーレポートから大絶賛(Ride, handling, braking, quietness, spacious cabin/trunk)

 

直近のモデル計画

発売年 モデル 新型車の概要
2013 Chevrolet Corvette Stingray ・7世代目となる新型スポーツカーの2014年型「Corvette Stingray」の販売を2013年9月から開始した。GMではアルミボディを初めて自社生産している。
Cadillac CTS ・中型ラグジュアリーカー。ミシガン州Lansing Grand River工場で生産。セダンの新型は2013年秋に2014年型として発売。米国カーオブザイヤーを獲得した。
Chevrolet SS ・RWDのフルサイズ セダン。GMの豪州子会社 ホールデンが開発した新型コモドアのリバッジモデル。豪州からの輸入。2013年末に2014年型として発売。6.2L V8エンジンを搭載。2017年に豪州工場が閉鎖されるため、同年に販売を終了する。
Chevrolet Impala ・フルサイズセダン。新型は2013年4月に2014年型として発売。エンジンは2.5L 4気筒、3.6L V6の2種類で、2013年末にeアシスト搭載の2.4L 4気筒を追加。カナダOshawa工場に加え、新型よりミシガン州Detroit-Hamtramck工場でも生産。コンシューマーレポートの初期評価で乗り心地やハンドリングが大絶賛された。
Chevrolet Silverado、GMC Sierra ・フルサイズピックアップ。ライトデューティ(LD)の1500、ヘビーデューティ(HD)の2500/3500、トラック・シャシーがある。SilveradoとSierraは姉妹車。Chevrolet Silveradoが北米トラックオブザイヤーに選ばれた。
2014 Cadillac ELR ・高級クーペの新型PHV「Cadillac ELR」を2014年1月から販売開始。2014年型車の価格は輸送費込みで7万5,995ドルからだが、連邦政府のタックスクレジット7,500ドルが適用されると、6万8,495ドルになる。テスラ「Model S」(85kWhタイプ)の6万9,900ドルを意識した価格設定をしている。
Chevrolet Tahoe、
Chevrolet Suburban、
GMC Yukon、
GMC Yukon XL、
GMC Yukon Denali、
Cadillac Escalade
・大型ピックアップトラックベースの新しい大型SUV車は2014年春から販売開始された。標準サイズとロングホイールベースの2種類がある。
Cadillac ATS Coupe ・若い顧客をキャデラックに取り込む狙いで、小型ラグジュアリーセダン「Cadillac ATS」のクーペを2014年夏から販売開始。
Chevrolet City Express ・日産からOEM供給を受けるシボレーの小型バン。メキシコの日産Cuernavaca工場で生産後、GMのRamos Arizpe工場で改修され出荷される。販売は2014年秋。
Chevrolet Colorado、GMC Canyon ・新型ミッドサイズピックアップで、ミズーリ州のWentzville工場で生産される。2015年型モデルとして2014年秋に発売。
2015 Chevrolet Trax ・サブコンパクト車ベースの小型SUVで、2013年から販売されている「Buick Encore」の姉妹車。2015年初め頃から販売が開始される。
Chevrolet Cruze ・コンパクトセダンのグローバルカー「Cruze」の新型車は2015年末に2016年型車として投入される予定。
Chevrolet Spark ・4人乗りサブコンパクトのエントリーモデル。韓国からの輸入。新型は2015年末に2016年型として発売する予定。エンジンは1.2L 4気筒から1.0L 3気筒にダウンサイジングする模様。
Chevrolet Volt ・PHV専用のコンパクトカー。ミシガン州Detroit-Hamtramck工場で生産。新型は2015年後半に2016年型として発売する。
Chevrolet Camaro ・クーペタイプのスポーツカー。FordのMustangやFCAのDodge Challengerと競合する。2015年末に発売する新型車より、カナダOshawa工場からミシガン州Lansing Grand River工場に生産移管される。
Cadillac CT6 ・キャデラックの旗艦車としてRWDのフルサイズセダンが2015年末または2016年初頭に2016年型として投入される。ミシガン州Detroit-Hamtramck工場で生産される。GMは2014年9月、キャデラックの新たなネーミング戦略として、CT6以降に発売する新型乗用車の車名を「CT+数字」にすると発表した。
Buick Midsize SUV ・Buick EncoreとEnclaveの中間に位置する中型クロスオーバーSUV。Chevrolet Equinox、GMC Terrainの姉妹車。中国では上海GMが2014年末にBuick Envisionとして発売する。米国では2015年後半に2016年型として発売する見通し。エンジンは2.5L 4気筒および2.0L 4気筒ターボを設定する模様。

 

 



LMC Automotive 販売予測:GMのグローバル販売は2017年に830万台へ拡大

(LMC Automotive社、2014年第3四半期予測)

 LMC Automotiveは、GMの2014年グローバル販売(主要54カ国)は前年よりも少し減少して760万台になると予測している。理由は欧州でのシボレー・ブランドを廃止することによる販売減、ロシアとブラジル市場の不振、米国でのリコールの影響があること。(LMC Automotive の販売予測には、中国の上海GM五菱の五菱/宝駿ブランドは含まない。)

 LMC Automotiveの予測によれば、GMは欧州事業での課題は現在も解消できていないが、それでも世界中で販売を拡大していくという。GMはオペル事業のリストラ計画を進めており、オペル・ブランドを援助するために、2015年末までにシボレー・ブランドを欧州地域から撤退させることを決定した。

 2014 年の販売に北米での多数のリコールの影響が暗い影を投げかけている。特に、260万台のリコールにつながったイグニッションスイッチの不具合は、リコールを実施するのに何故11年もかかったのかという点について、米国司法省、証券取引所が調査を行っている。

 長期的にはLMC Automotiveは、グローバル販売は2013年から2017年までに7.1%増加して830万台になると予測する。大半の販売増加は、燃費基準が厳しくなっていくためにコンパクト車セグメントになるだろう。GMのトラックも、フォードとクライスラーのラムとの激しい競争に直面しながらも、モデルライフサイクルを短縮して競争力を維持し、拡販できると予想する。

GMのブランド別国別の販売実績と予測 (トップ 10カ国)

(主要54カ国の販売予測データはこちらからダウンロード可能です。)
  GLOBAL MAKE 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017
GM by Brands Chevrolet 4,791,783 5,047,982 5,185,913 4,984,266 4,986,165 5,193,462 5,251,384
Opel 1,348,802 1,177,505 1,120,512 1,134,877 1,114,144 1,163,310 1,232,317
Buick 455,058 450,061 535,738 602,004 679,288 748,172 810,570
GMC 475,787 486,589 527,691 551,284 566,168 568,143 565,295
Cadillac 193,658 191,301 243,357 253,105 285,854 302,533 338,878
Holden 55,100 45,154 39,298 43,890 35,171 36,320 36,729
Others 128,869 127,459 108,214 68,507 67,561 71,142 74,544
GM Total  7,449,057 7,526,051 7,760,723 7,637,933 7,734,351 8,083,082 8,309,717
USA Chevrolet 1,774,922 1,847,912 1,942,808 2,021,335 2,023,235 2,103,041 2,086,420
GMC 397,973 413,881 450,901 475,996 488,481 493,267 492,526
Buick 177,633 180,408 205,509 218,337 207,748 239,789 247,634
Cadillac 152,390 149,782 182,543 167,645 183,976 189,813 210,311
Holden 880 3,734 4,317 6,729 6,810 6,454 6,087
Opel 0 0 0 0 3,246 6,742 5,352
USA sub-total  2,503,798 2,595,717 2,786,078 2,890,042 2,913,496 3,039,106 3,048,330
China Chevrolet 880,991 970,794 1,014,792 1,067,449 1,094,674 1,083,308 1,076,478
Buick 254,312 248,455 309,679 358,836 444,586 482,437 532,957
Opel 135,403 173,537 204,515 259,214 258,283 271,415 280,388
Cadillac 27,197 29,128 46,385 70,145 84,487 93,929 107,284
Holden 2,207 1,501 161 22 0 0 0
GMC 401 0 0 0 0 0 0
Others 365 0 58 9 0 0 0
China sub-total  1,300,876 1,423,415 1,575,590 1,755,675 1,882,030 1,931,089 1,997,107
Brazil Chevrolet 624,386 638,293 649,714 547,069 539,563 599,652 615,776
Cadillac 0 0 26 233 612 686 806
Opel 7,745 4,280 18 2 0 0 0
Others 24 4 5 1 0 0 0
Brazil sub-total  632,155 642,577 649,763 547,305 540,175 600,338 616,582
UK Opel 264,365 247,202 263,576 262,980 245,912 254,773 246,003
Chevrolet 13,759 22,332 34,014 36,007 28,603 42,744 41,213
Cadillac 0 0 0 73 196 144 139
Others 2,668 2,782 3,373 3,326 2,952 2,737 3,122
UK sub-total  280,792 272,316 300,963 302,386 277,663 300,398 290,477
Canada Chevrolet 150,623 138,990 139,245 140,955 145,145 150,373 152,391
GMC 73,009 68,123 71,781 69,104 70,431 67,432 64,836
Buick 11,652 13,068 14,310 16,430 17,738 18,072 18,751
Cadillac 7,577 6,644 9,608 9,813 10,904 12,606 13,929
Holden 5 0 0 0 95 98 100
Opel 0 0 0 0 447 615 572
Others 41 0 0 0 0 0 0
Canada sub-total  242,907 226,825 234,944 236,302 244,760 249,196 250,579
Germany Opel 262,483 214,972 193,300 184,142 164,115 162,998 172,273
Chevrolet 31,627 34,716 44,701 38,659 35,967 38,627 36,733
Cadillac 182 171 124 146 211 149 155
Others 3,887 3,789 3,899 3,948 3,257 2,963 3,369
Germany sub-total  298,179 253,648 242,024 226,895 203,550 204,737 212,530
Russia Chevrolet 214,092 243,959 226,669 174,877 143,210 162,144 175,814
Opel 64,887 75,496 61,334 37,409 34,797 38,492 51,845
Cadillac 2,226 2,026 1,510 1,287 1,091 742 1,384
Others 54,835 55,035 28,921 11,059 10,712 9,508 2,236
Russia sub-total  336,040 376,516 318,434 224,632 189,810 210,886 231,279
Mexico Chevrolet 161,511 179,420 193,072 198,130 187,261 203,896 214,413
GMC 4,404 4,585 5,009 6,184 7,256 7,444 7,933
Buick 1,103 1,122 2,319 2,621 2,911 3,143 3,359
Cadillac 1,414 1,398 1,204 1,352 1,520 1,760 1,974
Others 5 0 0 0 0 0 0
Mexico sub-total  168,437 186,525 201,604 208,287 198,948 216,243 227,679
Korea Chevrolet 130,389 139,001 147,119 138,323 139,794 132,680 117,338
Buick 10,294 7,008 3,921 5,003 5,011 3,288 6,176
Cadillac 752 475 300 386 714 719 767
Holden 8 1 0 0 0 0 0
Korea sub-total  141,443 146,485 151,340 143,712 145,519 136,687 124,281
Australia Chevrolet 73,691 74,433 77,225 72,195 77,018 77,896 78,038
Holden 52,000 39,918 34,820 37,139 28,266 29,768 30,542
Buick 0 0 0 777 1,294 1,443 1,693
Opel 404 314 14 369 583 614 631
Others 3 0 0 0 0 0 0
Australia sub-total  126,098 114,665 112,059 110,480 107,161 109,721 110,904
資料:LMC Automotive "Global Automotive Sales Forecast" (Quarter 3, 2014)
(注) 1. データは、小型車(乗用車 + 車両総重量6t以下の小型商用車)の数値。
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