日本市場の新型車装備: 減速エネルギー回生、衝突被害軽減ブレーキの設定拡大

軽自動車にも先進的な燃費向上装備、予防安全装備を採用

2013/07/10

要 約

 以下は、日本の自動車メーカーが2012年4月~2013年6月に国内販売した、新型乗用車の主要装備の概要である。本レポートで取り上げた新型乗用車は新モデルとフルモデルチェンジ車 (一部大幅改良車を含む) で、トヨタはToyota ブランド車が4車種、Lexus ブランド車が2車種、日産は5車種、ホンダと三菱自動車は各3車種、スズキと富士重工は各2車種、マツダとダイハツは各1車種で、計23車種 (OEM車は含まない)、うち7車種が軽自動車。

 走行性能 (燃費向上を含む) 装備では、2012年10月に登録車に義務付けられた横滑り防止装置ESC (Electronic Stability Control) の搭載が、軽自動車にも拡大した (軽自動車への搭載義務化は2014年10月から)。燃費向上装備では、キャパシターやリチウムイオン電池を採用した高効率の減速エネルギー回生機構が、幅広く採用された。

 衝突安全装備では、前席サイド/カーテンエアバッグの設定が小型車や軽自動車にも拡大。歩行者との衝突時に衝撃を緩和するポップアップフードは、高級車を中心に採用された。運転支援装備では、衝突の危険を検知すると自動ブレーキにより衝突を回避する衝突被害軽減ブレーキを、スズキ以外の全メーカーが設定。また、車両周囲の状況を上から見下ろしたような俯瞰映像を表示するアラウンドビューモニターが、軽自動車と小型車にも初めて採用された。

 視認性確保では、ハイ/ロービームを自動切替するオートマチックハイビームの設定が拡大。遮光シェードを制御し、先行車や対向車にハイビームを当てないようにするアダプティブハイビームの採用も始まった。快適性装備では、前席シートヒーター/ベンチレーションが高級車を中心に採用。また、紫外線を約99%カットするスーパーUVカットガラスのフロントドアへの設定が拡大した。

関連レポート: 

欧州の新型車装備 (1)(2012年9月掲載)、(2)(2012年10月掲載)、米国の新型車装備 (2012年5月掲載)
現代/起亜の新型車装備 (2012年8月掲載)

 

日本の自動車メーカーが新型車に設定した主な先進装備

(2012年4月~2013年6月に日本で発売した新型車)
装備 設定車種
走行性能
(燃費向上を含む)
ESC (軽自動車) Nissan DAYS, Honda N-ONE, Honda N BOX +, Mitsubishi eK Wagon, Daihatsu Move
減速エネルギー回生 Nissan Latio, Nissan Note, Mazda Atenza, Mitsubishi eK Wagon,
Mitsubishi Mirage, Suzuki Spacia, Suzuki Wagon R
衝突安全 前席サイドエアバッグ/
カーテンエアバッグ
Toyota 全車, Lexus IS, Lexus LS, Nissan Sylphy, Nissan Cima,
Honda Accord, Honda N-ONE, Mazda Atenza,
Mitsubishi Outlander, Mitsubishi Mirage, Subaru Forester, Subaru XV
ポップアップフード Toyota Crown, Lexus IS, Nissan Cima
運転支援 衝突被害軽減ブレーキ Toyota Crown, Lexus IS, Lexus LS, Nissan Cima, Honda Accord,
Mazda Atenza, Mitsubishi Outlander, Daihatsu Move,
Subaru Forester, Subaru XV
アラウンドビューモニター Toyota Crown, Nissan DAYZ, Nissan Note
視認性確保 アダプティブハイビーム Toyota Crown, Lexus LS
オートマチックハイビーム Toyota Auris, Toyota Corolla, Lexus IS, Mazda Atenza
快適性 前席シートヒーター/ベンチレーション Toyota Crown, Lexus IS, Lexus LS, Nissan Cima
スーパーUVカット・フロントドアガラス Nissan DAYZ, Mitsubishi eK Wagon, Subaru XV

(注) 減速エネルギー回生の設定車種については、ガソリン車のみを記載した (HV は除く)。



トヨタ:Lexus LSとCrownにトヨタ初の予防安全装備やアダプティブハイビームを設定

 トヨタは、走行安定性装備で、前後輪に最適なトルク配分をするアクティブトルクコントロール4WDをAuris, Porte, Corollaに設定。運転支援装備では、Toyota CrownとLexusの2モデルに、先進的な予防安全装備を採用。Crownには、アクセルの踏み間違いによる駐車場内の事故を防止するドライブスタートコントロールとインテリジェントクリアランスソナーを、トヨタで初めて搭載した。Lexus LSには、レーダーとステレオカメラを併用し、相対速度40km/h程度まで衝突を回避できる衝突被害軽減ブレーキを設定した。

 視認性確保では、遮光シェードを制御して先行車や対向車にハイビームを当てないようにするアダプティブハイビームを、トヨタで初めてLexus LSとCrownに採用。ハイ/ロービームを自動で切り替えるオートマチックハイビームを、Auris, Corolla, Lexus ISに設定した。

トヨタ:2012年5月~2013年5月に国内発売した Toyota/Lexus ブランド新型乗用車の主要装備

◎は全仕様に標準装備、○は一部仕様に標準装備、△はオプション設定。
モデル Toyota Lexus
Crown Auris Porte Corolla
Axio
IS LS
大型セダン 小型ハッチバック 小型トール
ワゴン
小型セダン スポーツセダン 最上級セダン
発売時期 12年12月 12年8月 12年7月 12年5月 13年5月 12年10月
走行性能
(燃費向上
を含む)
ESC (トヨタはVSCと呼称)
VDIM (EBD+ABS&VSC&TRC&EPS)
VDIM + アクティブステアリング統合制御 ○△
レクサスダイナミックハンドリングシステム
(下表1)
アクティブトルクコントロール4WD
電子制御エアサスペンション
アイドリングストップ機能 ○△
衝突
安全性
運転席・助手席デュアルステージエアバッグ
運転席・助手席サイド/
前後席カーテンシールドエアバッグ
運転席ニーエアバッグ
助手席ニ―エアバッグ
後席サイドエアバッグ ○△
後席シートクッションエアバッグ (後左席)
ポップアップフード
運転・駐車
支援
プリクラッシュセーフティシステム
(ミリ波レーダー方式) (下表2)
○△
プリクラッシュセーフティシステム
(ミリ波レーダー・ステレオカメラ
フュージョン方式) (下表2)
○△
後方プリクラッシュセーフティシステム ○△
レーダークルーズコントロール
(ブレーキ制御付)
○△
ドライブスタートコントロール (下表3)
インテリジェントクリアランスソナー (下表4)
パノラミックビューモニター (下表5)
死角検知/車線変更支援装備 ○△
ドライブモードセレクトスイッチ
視認性
確保
LEDヘッドランプ ○△ ○△
コンライト(オートライト) ○△ ○△
インテリジェントAFS
アダプティブハイビームシステム (下表6)
オートマチックハイビーム ○△
ナイトビュー (歩行者検知機能付)
オートワイパー (雨滴感応式) ○△
自動防眩インナーミラー ○△ ○△
自動防眩ドアミラー ○△
快適性
利便性
左右独立温度調節フルオートエアコン
4席独立温度調整オートエアコン
レクサスクライメイトコンシェルジュ (下表7)
静電式温度調整スイッチ (下表8)
ステアリングヒーター
運転席・助手席シートヒーター/
ベンチレーション
○△ ○△
運転席・助手席コンフォータブルエアシート
運転席シートヒーター/ベンチレーション
運転席快適温熱シート
G-Book mX/mX Pro または
G-Link(テレマティクスサービス)
○△
資料:トヨタ新車発表資料, 2013年6月下旬の Toyota/Lexus Brand On-Line Catalog
(注) 1. Porte は姉妹車 Spade と同時発売された。上表は Porte の装備搭載状況。
2. Corolla にはセダンの Axio とワゴンの Fielder がある。上表はAxio の装備搭載状況。

 

トヨタ:主な先進装備
(1)
レクサスダイナミック
ハンドリングシステム
 Lexus IS のスポーティバージョンに採用。ギヤ比可変ステアリング、電動パワーステアリング、後輪操舵システムを統合制御する。ドライバーの操作に対し、車速やステアリング操作などに基づき、4輪のタイヤ切れ角を最適に制御する。
(2)
プリクラッシュセーフティ
システム
 システムに改良を加え、実際に発生している追突事故の90%以上の相対速度域に対応するよう減速性能を向上させた。自動ブレーキにより衝突を回避できるのは、「ミリ波レーダー方式」は相対速度30km/h以下、「ミリ波レーダー・ステレオカメラフュージョン方式」は相対速度40km/h以下。同方式は歩行者に対する衝突も回避する。
(3)
ドライブスタートコントロール
 (トヨタ初) 駐車場などで後退時に衝突し、慌てたドライバーがアクセルを踏んだままシフトを "R" から "D" へ変更するなど通常とは異なる操作をすると、ディスプレイ上に注意を表示し、エンジン出力を抑えて急発進・急加速を抑制する。
(4)
インテリジェント
クリアランスソナー
 (トヨタ初) アクセル踏み間違いなどによる障害物との衝突被害を軽減する。 例えば、駐車場などでの発進時に、クリアランスソナーが進行方向に障害物を認識した場合、警報に加え、エンジンやモーターの出力を制御。さらに自動的にブレーキをかける。
(5)
パノラミックビューモニター
 運転席からの目視だけでは確認しにくい車両周囲の状況を、車両前後左右に搭載した4台のカメラの映像を合成、シフト操作と連動してナビゲーション画面に表示する
 (トヨタ初の機能追加) 俯瞰映像の一部をタッチにより拡大表示可能。 また、ドアミラー格納時でも両サイドビューを映し出すことが可能。
(6)
アダプティブハイビーム
システム
 (トヨタ初) インナーミラーに搭載した光検出用カメラで、ハイビームの照射範囲内に車両を検知すると、光軸方向を最適に変えながら遮光シェードを制御し、先行車や対向車に直接ハイビームを当てないように部分的に遮光する。前方車両のドライバーに眩惑を与えず、ハイビームを保持したまま走行することで、夜間の優れた視認性を確保する。
(7)
レクサスクライメイト
コンシェルジュ
 最大13個のセンサーにより、4席独立温度調整オートエアコン、コンフォータブルエアシート、ステアリングヒーターの緻密な連携制御を自動的に行う。IRマトリックスセンサー装着車では、後席乗員の体表面温度などを検出し、エアコン、エアシートを制御する。
(8)
静電式温度調整スイッチ
 (レクサス初) タッチパネルの操作と同様に、金属のスイッチ部を指先でスライドするだけでエアコンの設定温度がスムーズに変えられる。上下の矢印をタッチすることでも温度調整が可能。短いタッチで0.5度ずつ、長めのタッチでは連続的に設定温度を設定できる。

 

 



日産:Cimaに先進的な予防安全装備や快適装備を搭載

 日産は、燃費向上に寄与するアイドリングストップをDAYZ, Latio, Noteに 設定。三菱自動車と共同開発した軽自動車DAYZに搭載したシステムは、13km/h以下でエンジンが停止する。

 運転支援装備では、フラッグシップセダンのCima に、追従走行中の先行車に近づきすぎるとアクセルペダルに反力を発生させるインテリジェントペダルや、追突の危険を検知すると自動ブレーキをかけるインテリジェントブレーキアシストなど、多様な予防安全装備を搭載した。

 視認性確保では、薄暗い夕暮れ時や雨天時にワイパーを使用した時にヘッドライトを自動点灯する薄暮れ感知機能付きオートライトシステムを、Sylphy, Note, Cimaに採用。快適性装備では、不快なこもり音を逆位相の制御音で低減するアクティブノイズコントロールをCimaに設定した。

日産:2012年4月~2013年6月に国内発売した新型乗用車の主要装備

◎は全仕様に標準装備、○は一部仕様に標準装備、△はオプション設定。
モデル DAYZ Sylphy Latio Note Cima
小型
セダン
小型
セダン
小型
ハッチ
バック
大型
セダン
発売時期 13年6月 12年12月 12年10月 12年9月 12年4月
走行安定性
(燃費向上を含む)
ESC (日産はVDCと呼称) ○△
4WD (モーターアシスト方式)
アイドリングストップ (下表1)
オルタネータ回生制御技術
コンフォートサスペンション
ダブルピストンショックアブソーバー (下表2)
衝突安全性 運転席・助手席サイドエアバッグシステム
カーテンエアバッグシステム
ポップアップエンジンフード
運転・駐車
支援
アラウンドビューモニター ○△
インテリジェントクルーズコントロール
インテリジェントペダル
(ディスタンスコントロールアシスト) (下表3)
車線逸脱警報/前方車両接近警報
インテリジェントブレーキアシスト
プリクラッシュシートベルト
ヒルスタートアシスト
ドライブモードセレクター
ECOペダル
ECOモードスイッチ
エマージェンシーストップシグナル
視認性確保 アクティブ AFS
オートライトシステム
(ワイパー連動、薄暮れ感知機能付) (下表4)
ヘッドランプオートオフ機能
ディスプレイ付自動防眩ルームミラー
雨滴感知式ワイパー
快適性
利便性
オゾンセーフフルオートエアコン
(左右独立温度調整機能)
フォレストエアコン
オートエアコン (タッチパネル式) (下表5)
前席エアコンディショニングシート ○△
運転席ヒーター付シート ○△
後席ヒーター付シート ○△
アクティブノイズコントロール (下表6)
スーパーUVカット断熱グリーンガラス (フロントドア)
(下表7)
カーウイングスナビゲーションシステム
(テレマティクスサービス対応)

資料:日産新車発表資料, 2013年6月下旬の日産 On-Line Catalog

 

日産:主な先進装備
(1)
アイドリングストップ
 DAYZに搭載したアイドリングストップシステムは、減速時13km/h以下からエンジンをストップする (Latio, Note搭載のシステムは車両停止後にエンジンを停止)。
(2)
ダブルピストン
ショックアブソーバー
 路面からの入力周波数に合わせて、2つのピストンが減衰力を最適にコントロールする。大きな揺れと、背中や足で感じるゴツゴツとした振動の両方をしっかりと抑える。
(3)
インテリジェントペダル
(ディスタンスコントロール
アシスト)
 レーダーセンサーで先行車との距離を検知し、車間距離の維持操作を支援する。先行車が近づきすぎ、ブレーキ操作が必要な場合は、表示と音で警報し、ペダルに反力を発生させ、ブレーキペダルへの踏みかえを促す。
 (機能追加) ナビゲーションから前方のカーブ情報を取得し、カーブに近づいてもアクセルペダルを踏んだままの場合、ペダルに反力を発生させる (日産によると世界初)。
(4)
オートライトシステム
(ワイパー連動、
薄暮れ感知機能付)
 従来のオートライトシステム機能と比較して、周囲が薄暗くなり始めた夕暮れ時および雨天時にフロントワイパーを使用した際に自動的にヘッドライトを点灯。周囲の歩行者やドライバーへの注意を喚起することで、事故低減への効果が期待される。
(5)
オートエアコン
(タッチパネル式)
 (軽自動車初) ピアノブラック調の大面積タッチパネル式のエアコン。大きなタッチスイッチ面と高輝度な白色照明を採用し、直感的なスイッチ操作が可能。
(6)
アクティブノイズ
コントロール
 エンジン回転数に同期して発生する不快なこもり音を、ドアスピーカーとリヤパーセルのウーファーから逆位相の制御音を出力して低減する。加速シーンではリニアで快適な加速音を発生させる。
(7)
スーパーUVカット断熱
グリーンガラス
 フロントドアに採用したガラスは、サイドからのUV対策を強化するため、紫外線を約99% (日産調べ) カットする。肌や髪へのダメージと、衣類やインテリアの色褪せを防ぐ。

 

 



ホンダ:軽自動車のN-ONEとN BOX + にESCを標準装備

 ホンダは走行安定性装備のESCを、軽自動車のN-ONEとN BOX + を含む全車に標準装備。操縦安定性と乗り心地の両立に寄与する振幅感応型ダンパーを、ホンダとして初めてAccordに採用した。

 運転支援装備では、前走車だけでなく対向車に対しても作動する衝突軽減ブレーキやアダプティブ・クルーズ・コントロールをAccordに搭載。視認性確保では、LEDヘッドライトをAccordに標準装備した。

 快適性装備では紫外線を99%カットするスーパーUVカット・フロントドアガラスをN-ONEに設定。バイオファブリックと再生PETを表皮に使用したシートをAccordに採用した。

ホンダ:2012年8月~2013年6月に国内発売した新型乗用車の主要装備

◎は全仕様に標準装備、○は一部仕様に標準装備、△はオプション設定。
モデル Accord Hybrid N-ONE N BOX +
中型セダン
発売時期 13年6月 12年11月 12年8月
走行性能
(燃費向上)
ESC (ホンダはVSAと呼称)
振幅感応型ダンパー (下表1)
電動サーボブレーキシステム (下表2)
アイドリングストップシステム
衝突安全性 運転席 i-SRS エアバッグシステム (連続容量変化タイプ)
前席 i-サイドエアバッグ (容量変化タイプ) ○△
前後席サイドカーテンエアバッグ
運転・駐車
支援
衝突軽減ブレーキ (CMBS) (下表3) + E-プリテンショナー
アダプティブ・クルーズ・コントロール
車線維持支援システム
エマージェンシーストップシグナル (下表4)
ECONスイッチ (ECONモード)
視認性確保 LEDヘッドライト (オートライトコントロール機構付)
アクティブコーナリングライト
親水/ヒーテッドドアミラー + フロントドア撥水ガラス
自動防眩ルームミラー
車速連動間欠/バリアブル間欠フロントワイパー
(ミスト機構付、雨滴検知式)
快適性
利便性
インテリジェント・デュアル・フルオートエアコンディショナー
(左右独立温度/GPS制御偏日射コントロール式)
リアベンチレーション
アレルクリーンシート (下表5)
高熱線吸収/スーパーUVカット・フロントドアガラス (下表6)
アクティブサウンドコントロール (ノイズキャンセリング機能)
バイオPET表皮シート (下表7)
インターナビ + リンクアップフリー (テレマティクスサービス)

資料:ホンダの新車発表資料、2013年6月下旬のホンダ On-Line Catalog

 

ホンダ:主な先進装備
(1)
振幅感応型ダンパー
 フロントとリアに採用。内部のピストンに、動く幅が小さい時にのみ開くサブバルブを設置。小さな動きの時は減衰力の発生を低く抑える構造で、大きな揺れには強い減衰力で安定した姿勢を保ち、小さな揺れのときには弱い減衰力で振動を吸収。操縦安定性と乗り心地の両立に寄与。ホンダとして初採用。
(2)
電動サーボブレーキ
システム
 Fit EV で新開発した新世代の回生ブレーキを進化させ、ホンダの市販車として初めて搭載。ブレーキペダルの踏み始めから停止間際まで、モーターが電気を生み出すときの抵抗によって減速するため、電気を多く回収できる(停止間際のみ液圧ブレーキを使用)。
(3)
衝突軽減ブレーキ
 従来15km/h以上だった作動速度域を5km/h以上に拡大し、前走車だけでなく対向車に対しても作動する。
(4)
エマージェンシー
ストップシグナル
 (軽自動車初:2012年11月現在) 走行中に急ブレーキと判断すると、ブレーキランプの点灯に加えて、ハザードランプが自動で高速点滅し、後ろのクルマに注意を促す。
(5)
アレルクリーンシート
 シート表皮にダニやスギ花粉などのアレルゲン物質が付着した際、その活動をほぼ完全に抑制するアレルクリーンシートを採用。ホンダ社内テストではダニアレルゲン98%、スギ花粉アレルゲン97%を不活性化。
(6)
スーパーUVカット・
フロントドアガラス
 フロントドアガラスの紫外線対策をさらに強化。紫外線を約99%カットする (ホンダ調べ) スーパーUVカットガラスを採用。横から差し込む紫外線を効果的に遮る。
(7)
バイオPET表皮シート
 メイン部に高い耐久性と耐光性を持つサトウキビ由来のバイオファブリックを、サイド部に柔らかい感触の再生PETを採用したシート。

 

 



マツダ/三菱: Mazda Atenza とMitsubishi Outlanderに衝突被害軽減ブレーキを設定

 マツダはフラッグシップモデルのAtenzaに、蓄電器にキャパシターを使用した減速エネルギー回生システムを採用。運転支援装備では、衝突被害軽減ブレーキ、AT誤発進抑制機構、車線変更支援システム等の予防安全装備を設定。視認性確保では、ハイ/ロービームを自動的に切り替えるハイビーム・コントロール・システムを設定した。

 三菱自動車は中型SUVのOutlanderに、走行性能装備として前後輪の駆動力制御に左右輪の駆動力制御を追加した4WDシステムを設定。運転支援装備では、衝突被害軽減ブレーキ、車線逸脱警報システム、レーダークルーズコントロールを含む予防安全装備e-ASSISTを三菱として初めて採用した。

マツダ/三菱自動車:2012年8月~2013年6月に国内発売した新型乗用車の主要装備

◎は全仕様に標準装備、○は一部仕様に標準装備、△はオプション設定。
OEM マツダ 三菱自動車
モデル Atenza eK Wagon Outlander Mirage
中型セダン/
ワゴン
中型SUV 小型ハッチ
バック
発売時期 12年11月 13年6月 12年10月 12年8月
走行性能
(燃費向上を含む)
ESC(マツダはDSC、三菱自動車はASCと呼称)
S-AWC (Super All Wheel Control)
アイドリングストップ機構
i-ELOOP (減速エネルギー回生システム) (下表1)
減速エネルギー回生システム
衝突安全性 前席サイド/カーテンエアバッグ
運転席ニーエアバッグ
運転・駐車
支援
リヤビューカメラ
スマート・シティ・ブレーキ・サポート (下表2) ○△
スマート・ブレーキ・サポート (下表3) ○△
AT誤発信抑制機構 ○△
リア・ビークル・モニタリングシステム ○△
衝突被害軽減ブレーキシステム (下表6)
車線逸脱警報システム (下表7) ○△
レーダークルーズコントロール (下表8) ○△
ECOモードスイッチ
ドライブモードセレクター (下表9)
エマージェンシーシグナルシステム
視認性確保 スーパーワイドHIDヘッドライト (光軸自動調整機構付)
アダプティブ・フロントライティング・システム ○△
オートライトシステム
ハイビーム・コントロール・システム (下表4) ○△
自動防眩ルームミラー ○△
リヤビューモニター付ルームミラー (自動防眩機能付)
雨滴感応オートワイパー
快適性
利便性
運転席/助手席独立コントロール式フルオートエアコン
タッチパネルオートエアコン
99%UVカットガラス (フロントドア)
運転席・助手席シートヒーター
i-DM (Intelligent Drive Master) (下表5)

資料:マツダと三菱自動車の新車発表資料, 2013年6月下旬の On-Line Catalog

 

マツダ:主な先進装備
(1)
i-ELOOP
 乗用車用としては、世界で初めて蓄電器に大容量の電気二重層キャパシターを採用した減速エネルギー回生システム。
(2)
スマート・シティ・
ブレーキ・サポート
 市街地や渋滞走行時の低速走行中に (約4~30km/h)、前方衝突回避をサポートするシステム。フロントガラスに設置した近赤外線センサーで先行車を検知する。
(3)
スマート・ブレーキ・サポート
 中・高速走行中に (約15~145km/h) 、前方衝突回避をサポートもしくは衝突被害低減を図る。ミリ波レーダーで約200m先までの先行車や障害物を感知する。
(4)
ハイビーム・コントロール・
システム
 ハイビームでの走行時、対向車のヘッドランプや先行車のテールランプなどをフロントガラス上面のカメラが検出すると、自動的にロービームに切り替える。明るい街中や20km/h 未満の低速走行時など、ハイビームが必要ない環境でもロービームに切り替える。
(5)
i-DM
 ドライバーの運転操作の向上と低燃費運転を支援する (Intelligent Drive Master)。走行中は、アクセル、ブレーキ、ステアリング操作や車速の変化を検知し、操作の判定を表示 (コーチング機能)。運転終了後には、スコアや助言を表示する (ティーチング機能)。

 

三菱自動車:主な先進装備
e-ASSIST  予防安全装備。三菱車として新型 Outlander に初採用。
  (6)
衝突被害軽減
ブレーキシステム
 前方車両をレーダーにより認識。相対速度30km/h以下で、自動ブレーキにより衝突を回避。
(7)
車線逸脱警報
システム
 高速走行時(約65km/h以上)、前方の車線を監視し、車線を逸脱しそうになると表示や警報で注意を促す。
(8)
レーダークルーズ
コントロールシステム
 先行車との距離や相対速度を監視し、ドライバーが設定した車間(3段階に設定可能)を保って、先行車の停止状態まで自動で追従走行する。設定車速は40~100km/hだが、先行車追従機能は、40km/h未満でも作動。
(9)
ドライブモード
セレクター
 路面状況に応じて3つの走行モードを選択できる。「4WD ECO」モードは、通常は、燃費に優れた2WDで走行。滑りやすい路面状況になると、4WDで安定走行に寄与。「4WD AUTO」モードは、乾燥舗装路、濡れた路面など様々な状況で適切な4WD性能を実現。滑りやすい状況で駆動力を高めるだけでなく、コーナリング性能も向上させる。「4WD LOCK」モードは、AUTOよりも後輪へのトルク配分を高め、悪路や雪道に対応。

 

 



スズキ/ダイハツ:燃費向上策として減速エネルギー回生や熱マネジメントシステムを採用

 スズキは燃費向上装備として、軽自動車のSpaciaとWagon Rに、鉛バッテリーとリチウムイオンバッテリーを使用する減速エネルギー回生システム ENE-CHARGE と、13km/h以下でエンジンが停止するアイドリングストップ機構を採用。快適性装備として、アイドリングストップ中も車室内の温度上昇を抑える、蓄冷材を内蔵した空調ユニット ECO-COOL を設定した。

 ダイハツは燃費向上のために、大幅改良した軽自動車のMoveに、エンジンの冷却水とCVTフルードとの熱交換により、エンジンの燃焼効率やCVTの変速効率を高めるCVTサーモコントローラーを軽自動車で初めて採用。9km/h以下でエンジンが停止するアイドリングストップ機構も搭載した。また、運転支援装備として、衝突回避支援システムを軽自動車に初めて採用した。

スズキ/ダイハツ:2012年9月~2013年2月に国内発売した新型乗用車の主要装備

◎は全仕様に標準装備、○は一部仕様に標準装備、△はオプション設定。
OEM スズキ ダイハツ
モデル Spacia Wagon R Move
発売時期 13年2月 12年9月 12年12月
走行性能
(燃費向上を含む)
ESC (ダイハツはVSCと呼称)
ENE-CHARGE (エネチャージ) (下表1)
CVTサーモコントローラー (下表6)
アイドリングストップシステム (下表2, 7)
運転支援 ヒルホールドコントロール
衝突回避支援システム "スマートアシスト" (下表8)
バックカメラ
視認性確保 オートライト
快適性
利便性
ECO-COOL (エコクール) (下表3)
ロールサンシェード (下表4)
ワンアクションパワースライドドア (後席左側) (下表5)
運転席シートヒーター
スマートフォン連携ナビゲーション
メモリーナビゲーション + バックモニター (エコドライブ機能)

資料:スズキとダイハツの新車発表資料, 2013年6月下旬の On-Line Catalog

 

スズキ:主な先進装備
(1)
ENE-CHARGE
(エネチャージ)
 スズキ独自の減速エネルギー回生機構。高効率・高出力のオルタネータで発電。アイドリングストップ車専用の鉛バッテリーと高効率なリチウムイオンバッテリーに充電し、蓄えた電力をオーディオやメーター等の電装品に供給する。
(2)
アイドリングストップ
システム
 SpaciaとWagon Rに採用したアイドリングストップシステムは、停車前の減速時、アクセルを離したときからガソリンの供給をストップ。さらにブレーキを踏んで13km/h以下になると自動でエンジンを停止。ブレーキを離すかハンドルを動かすと、エンジンが再始動する。
(3)
ECO-COOL
(エコクール)
 空調ユニット内に内蔵する蓄冷材を、エアコン作動中に凍らせておき、アイドリングストップ中、エアコンが停止し送風状態になった時、蓄冷材を通した冷風を室内に送る。車室内の温度上昇を抑制するため、アイドリングストップ時間を長くすることができる。
(4)
ロールサンシェード
 (軽自動車初) リヤドアトリムに装着する引出し式のサンシェード。直射日光を遮り後席の快適性を高める。
(5)
ワンアクションパワー
スライドドア
 (軽自動車初) 後席左側には、スイッチを押すだけで自動開閉するスライドドアを採用。

 

ダイハツ:主な先進装備
(6)
CVTサーモコントローラー
 (軽自動車初) これまで、CVTフルードは温まるのに時間を要し、エンジンに負担をかけていた。そこで、エンジン冷却水とCVTフルードを熱交換させ、最適温度化。エンジンの燃焼効率、CVTの変速効率を高め、燃費を向上させる。
(7)
アイドリングストップ
システム
 Moveに搭載したアイドリングストップ機構「新eco IDLE」は、Mira e:S に搭載されたものよりさらに進化し、ブレーキをかけて車速が9km/h以下 (Mira e:S では7km/h以下) になるとエンジンを停止。燃費への貢献度を向上させた。
(8)
衝突回避支援システム
「スマートアシスト」
 レーザーレーダを用いて車両前方を監視するシステム。衝突回避支援システムの軽自動車への搭載は初 (2012年12月時点)。
低速域衝突回避支援
ブレーキ機能
 約4~約30km/hで走行中、システムが前方車両を認識し、衝突の危険性が高いと判断すると、音と表示で警告。ドライバーが回避操作をしないと緊急ブレーキが作動。相対速度が約20km/h以下の場合は衝突回避、約20~約30km/hの場合は、被害軽減を支援。
誤発進抑制制御機能  停止中または約10km/h以下で走行中に、前方約4m以内に障害物(建物や壁など)がある状況で、ペダルの踏み間違いなどでアクセルを踏み込むと、音と表示で警告。同時にエンジン出力を制御し、発進を抑制する。
先行車発進
お知らせ機能
 信号待ちや渋滞などで先行車に続いて停車中、先行車が発進しても自車が発進しない時に、音と表示でドライバーに案内。

 

 



富士重工:ForesterとXVに前後可変トルク配分4WDや予防安全装備を設定

 富士重工は走行性能装備として、SUVのForesterとXVにアクティブトルクスプリットAWDを設定。Foresterには、ESCからのヨーレート(旋回方向への回転角の変化速度) 情報等もモニターしながら前後輪のトルク配分を最適化する新システムを採用した。また、悪路走破性をさらに高めるAWD制御システムのX-MODEや、省燃費モードやスポーツモードなど走行モードを選択できるSI-DRIVEもForesterに設定。

 運転支援装備ではForesterとXVに、ステレオカメラを利用した衝突被害軽減ブレーキ、AT誤発進抑制制御、全車速追従機能付クルーズコントロール等を含む運転支援装備 EyeSight (ver.2) を設定した。

富士重工:2012年9月~11月に国内発売した新型乗用車の主要装備

◎は全仕様に標準装備、○は一部仕様に標準装備、△はオプション設定。
モデル Forester XV
小型SUV 小型SUV
発売時期 12年11月 12年9月
走行性能
(燃費向上を含む)
ESC (富士重工はVDCと呼称)
アクティブトルクスプリットAWD (下表1)
ビスカスLSD付センターデフ方式AWD
アイドリングストップシステム
衝突安全性 前席 SRS サイドエアバッグ/カーテンエアバッグ
運転支援 ヒルホールドコントロール
X-MODE (ヒルディセントコントロール付) (下表2)
SI-DRIVE (下表3)
S (スポーツ) モード
EyeSight (ver.2)
視認性確保 オートライト ○△
雨滴感知式オートワイパー ○△
クリアビューパック (フロントワイパーデアイサー/ヒーテッドドアミラー) ○△ ○△
快適性
利便性
フルオートエアコン (左右独立温度調整機能付)
フロントシートヒーター ○△
パワーリヤゲート ○△
スーパーUVカットガラス (フロントドア)
リヤビューカメラ付ナビゲーションシステム

資料:富士重工の新車発表資料, 2013年6月下旬の On-Line Catalog

 

富士重工:主な先進装備
(1)
アクティブトルク
スプリットAWD
 電子制御AWD。路面や走行状況に応じて、前後輪に最適なトルクを配分。新世代システムは、ESCからのヨーレート(回転方向の変化速度)情報等もモニター。前後輪へのトルク配分をより緻密に制御することで、コーナー進入時の安定性、滑りやすい路面での発進性を高める。
(2)
X-MODE
 エンジン、トランスミッション、VDC等を最適に統合制御し、悪路走破性をさらに高めるAWD制御システム。スイッチを押すだけで作動。急な下り坂でも同じ車速を維持して走行可能なヒルディセントコントロール制御も含む。
(3)
SI-DRIVE
 スイッチ操作で2種または3種の走行モードを選択でき、走りの愉しさや省燃費走行に効果的。自然吸気車には、「インテリジェント」モード、「スポーツ」モードを設定。直噴ターボエンジン搭載モデルには、上記2種に加え、「スポーツシャープ」モードがあり、8段ステップ変速になる専用制御を設定。多段AT車やMT車のような走りの愉しさを味わえる。

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>