スズキ:日本、インドに加え、東南アジアでの生産・販売を強化

低燃費モデル投入で国内軽自動車市場のシェア30%を確保

2013/05/13

要 約

スズキの地域別新車販売台数 スズキの地域別動向では、欧州市場は不振が続き、中国市場での2012年度販売は前年を下回り、また北米市場から撤退した。このような中でスズキは、日本、インドに次ぐ生産・販売市場として東南アジア、特にタイとインドネシアを強化している。

 スズキの最大市場であるインドでは、2013年3月期販売台数が前期比4.4%増の105万台。Ertiga, Swift DZire等の新型車が好調で、販売が増加した。生産体制では、Manesar工場に第3ラインを追加、Gujarat州に新工場を建設する計画で、2016年には年産能力を200万台とする見通し。

 日本国内市場の2013年3月期販売は、軽自動車・登録車とも増加し、合計販売は前期比12.7%増の67.2万台。しかし、ホンダのN BOX投入で競争が激化した軽自動車市場では、シェアが29.7%に低下した。スズキは2012年9月発売の新型Wagon Rに搭載した低燃費化技術を他のモデルにも展開して拡販を図り、シェア3割を確保したいとしている。

 中国では、日中関係の悪化により2013年3月期の販売が14.5%落ち込んだ。長安スズキが第2工場を建設しているが、稼働時期は需要の回復を見ながら決めるとしている。

 生産体制を強化しているASEAN地域では、タイで2012年3月に新工場を稼働させ、新型Swiftの生産を開始。2016年までに同工場の年産能力を10万台に引き上げる。インドネシアでは2014年に年産能力10万基のエンジン工場を新設。小型車の年産能力も現行の10万台からさらに高める計画。タイとインドネシア間での完成車の相互供給も拡大する。

 2013年3月期の世界販売は3.9%増の266万台、業績は増収増益で、純利益は過去最高の804億円となった。2014年3月期販売見通しは5.4%増の280万台。業績見通しは、円安とインド・東南アジアでの販売増加等に支えられ、売上高2兆8,000億円、営業利益1,500億円、純利益900億円を目指す。

 なお、VWとの資本・業務提携の包括契約解除をめぐる国際仲裁裁判所での係争は、2013年5月時点でまだ解決していない。

スズキの地域別新車販売台数

(1,000台)
日本 欧州 北米 アジア その他 合計
インド 中国 ASEAN
2010年度 588 244 33 1,133 290 96 106 1,625 153 2,643
2011年度 596 223 32 1,006 296 121 127 1,550 160 2,560
2012年度 672 197 30 1,051 253 186 98 1,588 174 2,660
2013年度(計画) 660 220 3 n.a. 1,756 164 2,803

資料:スズキの決算参考資料と決算説明会資料 2012.5.10/2013.5.9
(注) 2012年度の ASEAN での販売 186,000台の内訳は、インドネシアが 139,000台、タイが 33,000台、マレーシアが 7,000台、その他が 7,000台。



インド:2013年3月期の輸出を含む販売は、Ertiga等の新型車が好調で3.3%増の117万台

 スズキのインド連結子会社Maruti Suzukiの2013年3月期輸出を含む総販売台数は、前期比3.3%増の117万台。売上高は22.8%増の4,261億ルピー、純利益は46.3%増の239億ルピーで3期ぶりの増益。2012年夏にManesar工場で暴動が起こり、1カ月間生産を停止したが、下期に生産性を上げて挽回し、業績への影響は少なかった。一方、2012年に投入したErtiga, Swift DZire, Swiftなど高価格の新型車の販売が好調で、コスト削減効果もあり、業績が改善した。

 インドの自動車市場は、景気の停滞やここ2~3年インフレ抑制のためにとってきた高金利政策 (2013年5月初の政策金利は7.25%) の影響を受けて伸び悩んでおり、Maruti SuzukiもMaruti800など低所得者向けの小型車販売が12.6%減の43万台。一方、MPVのErtigaを投入したUtility Vehicleは10倍以上の約8万台に増加した。

Maruti Suzuki の業績

(台・100万ルピー)
2005年度
06年3月期
2006年度
07年3月期
2007年度
08年3月期
2008年度
09年3月期
2009年度
10年3月期
2010年度
11年3月期
2011年度
12年3月期
2012年度
13年3月期
総販売台数
国内販売
輸出
561,822
527,038
34,784
674,924
635,629
39,295
764,842
711,818
53,024
792,167
722,144
70,023
1,018,365
870,790
147,575
1,271,005
1,132,739
138,266
1,133,695
1,006,316
127,379
1,171,434
1,051,046
120,388
売上高
純利益
純利益率
120,034
11,891
9.9%
145,922
15,620
10.7%
178,603
17,308
9.7%
203,583
12,187
6.0%
289,585
24,976
8.6%
358,490
22,887
6.4%
347,059
16,351
4.7%
426,125
23,921
5.6%

資料:Maruti Suzuki Quarterly Report Q4 2011-12, Monthly Sales, Press Release 2013.4.26
(注) インドルピー は、2013年5月初時点で約 1.85円。

 

インド:Manesar工場の暴動

 Manesar工場では、一部労働者による暴動により、2012年7月21日から8月20日まで操業を休止した。首謀者グループが逮捕され、8月21日に操業を再開。2012年秋には1日2直の通常生産に戻り、暴動前より生産効率を高めて、日産約1,800台と暴動前を上回るペースで生産。上期の遅れを下期に取り戻した。ただ、暴動の背景はまだ解明されておらず、スズキは従業員との対話を増やす仕組みが必要だとしている。

 

Maruti Suzuki のセグメント別販売台数

(台)
セグメント モデル 2010年度
11年3月期
2011年度
12年3月期
2012年度
13年3月期
A: Mini M800, A-Star, Alto, Wagon-R 573,238 491,389 429,569
A: Compact Swift, Estilo, Ritz 261,799 235,754 255,302
A: Super Compact Dzire 107,955 110,132 169,571
A: Mid-Size SX4 23,317 17,997 6,707
A: Executive Kizashi 138 458 188
Total A: Passenger Cars 966,447 855,730 861,337
B: Utility Vehicles Gypsy, Grand Vitara, Ertiga 5,666 6,525 79,192
C: Vans Omni, Eeco 160,626 144,061 110,517
国内販売合計 1,132,739 1,006,316 1,051,046
(参考) インド国内の乗用車市場 2,501,542 2,629,839 2,686,429
輸出 138,266 127,379 120,388
総販売台数 1,271,005 1,133,695 1,171,434
資料:Maruti Suzuki Press Release 2012.4.2/2013.4.2
(注) 1. SIAM が 2011年 7月に採用した乗用車の新たなセグメント区分による、セグメント別販売台数。 Passenger Cars, Utility Vehicles, Vans を合わせて、乗用車 (Passenger Vehicles) としている。
2. Ertiga は 2012年 4月に発売したMPV。

 

スズキ:インド市場における新型車投入 (2012~2013年)

発売年月 概要
新型
Swift DZire
2012年2月  2011年8月発売の新型Swiftのプラットフォームをベースにしたコンパクトセダン。1.3L ディーゼル/吸気VVTを採用した1.2L ガソリンエンジンを搭載。ガソリン車には新たにAT車を設定。Manesar工場で生産。デリーでの価格 はガソリン車が47.9万~61.9万ルピー、ディーゼル車が58.0万~70.9万ルピー。
Ertiga 2012年4月  3列シート7人乗りの小型MPV。インド市場向けに日本で開発された。1.4L ガソリン/1.3Lディーゼルエンジンを搭載。このモデルによりMaruti SuzukiはUtility Vehicleセグメントに本格参入。また、小排気量の小型車でありながら広い室内空間と居住性を備える「コンパクト3列シート車」という新カテゴリーを創出。Gurgaon工場で生産。デリーでの価格はガソリン車が58.9万~73万ルピー、ディーゼル車が73万~85.4万ルピー。
新型 Alto 800 2012年10月  小型ハッチバック車の新型車。Gurgaon工場で生産。3気筒0.8Lガソリン/CNGエンジンと5速MTを搭載。燃費はガソリン車で15%、CNG車で13%向上。若い世代など、初めて車を購入する人々が対象。インドのほか、2013年1月より中南米やアフリカへの輸出も開始予定。デリーでの価格は、ガソリン車が24.4万~29.9万ルピー、CNGモデルが31.9万~35.6万ルピー。
新型SX4
(一部改良)
2013年3月  中型セダンの一部改良車。外観や内装を一新し、燃費も向上させた。1.3Lディーゼルターボエンジン/1.6L VVTガソリンエンジンを搭載。CNGモデルも設定する。Maruti Suzuki車としては初めて、タッチスクリーン式オーディオ・ナビをオプション搭載。デリーでの価格は、ガソリン車が73.8万~88.4万ルピー、ディーゼル車が82.7万~97.9万ルピーで、旧モデルから据え置かれた。

 

Maruti Suzuki:2015-16年の年産能力は200万台へ

 Maruti Suzukiは、2013年半ばにManesar工場の第3ライン、2015-16年にGujarat州の新工場を稼働させる予定。これにより、現状の年150万台の生産体制は、200万台に拡大する見通し。日本と同水準の研究開発センターの建設も開始した。

インド:生産能力増強と研究開発施設の建設

Manesar工場
第3ライン
 Maruti Suzukiは、Gurgaon工場の建物の老朽更新を行う一方、同工場周辺の都市化による生産・物流効率の悪化を踏まえ、新工場への移設も視野に入れている。そのためManesar工場での生産能力増強を進めており、年産25万台規模の第3組立ラインを2013年半ばに稼働させる計画。
Mehsana 新工場  Maruti Suzukiは2012年6月、インド西部のGujarat州と、四輪車新工場用の土地280万平方メートルの購入について基本合意書を締結。同州最大の都市アーメダバードから約100km、輸出港ムンドラ港から約300kmと、生産・輸出拠点として適した位置にある。新工場は2015-2016年に稼働予定で、初年度の年産能力は25万台。総投資額は400億ルピー。新工場が稼働すれば、Gurgaon工場 (90万台)、Manesar工場 (85万台) と合わせて、同社の年産能力は200万台となる。
R&Dセンター  Maruti Suzukiは2012年4月、Haryana州 Rohtak に建設するR&Dセンターの定礎式を行った。600エーカー(約242万8,000平方メートル)の敷地に、テストコース等を含め、総投資額200億~240億ルピーをかけて建設する。インド市場向けの新モデルを独自開発する拠点になる計画。日本で災害が発生した場合のリスク分散も兼ねて、日本の研究開発施設と同水準の設備を導入している。

 

 



日本市場: 2013年3月期の軽自動車販売は13.7%増、市場シェアは29.7%に低下

 2013年3月期の日本での販売台数は、登録車がSwift等の堅調な販売により前期比6.3%増、軽自動車が現行全車種で増加して7年ぶりに前期を上回り、合計では12.7%増の67.2万台。しかし、競争が激化している軽自動車の市場シェアは30.5%から29.7%に低下した。

 スズキは新型Wagon R に搭載した次世代環境技術を他のモデルにも展開し、今後も燃費性能を高めたモデルを投入して、軽市場のシェア30%確保を目指す。2014年3月期の軽自動車販売見通しは58万台(スズキの軽自動車全需予想は前期比7%減の180万台)。

 日本国内の生産体制では、これまで浜岡原子力発電所に近い相良工場で輸出向けを含む小型車と国内四輪車の全エンジンを生産していたが、震災リスク対応のため、軽自動車のエンジン生産の一部を湖西工場へ移管した。

スズキの国内新車販売

(1,000台)
2006年度 2007年度 2008年度 2009年度 2010年度 2011年度 2012年度 2013年度
(計画)
軽自動車 606 587 579 554 521 516 586 580
登録車 85 86 85 67 68 80 85 80
国内合計 690 673 665 622 588 596 672 660

資料:スズキの決算参考資料 2012.5.10, Press Release 2013.4.24

 

スズキ:日本市場における新型車投入 (2012~2013年)

モデル 発売年月 概要
新型 Wagon R 2012年9月  軽ワゴンの新型車。スズキの次世代環境技術「スズキグリーンテクノロジー」を投入して開発した最初のモデル。先進的な低燃費化技術 (下表参照)、最大 70kg の車体軽量化、パワートレインの高効率化、各部の摩擦抵抗低減により、自然吸気エンジン搭載車 (2WD) で旧型比22%アップの28.8km/Lの燃費を実現。月販目標は16,000台。
Spacia 2013年2月  背高軽ワゴン Palette の車名を変更し、全面改良した。「広くて便利、軽くて低燃費の軽ハイトワゴン」をコンセプトに、主に子育て中の女性層向けに開発。ロングホイールベースの新プラットフォームを採用し、室内長は2,215mm。車両重量90kg軽量化、次世代環境技術「スズキグリーンテクノロジー」の採用等により、燃費はクラストップの29.0km/L。月販目標は7,000台。
Alto Eco
(一部改良)
2013年3月  Alto Eco にエネルギー回生機構などスズキの次世代環境技術「スズキグリーンテクノロジー」を採用。車両重量も20kg軽量化し、2WD車の燃費はガソリン車トップの33km/L。
(注) 1. マツダは、スズキ Palette の全面改良を機に、従来の Pallet に代え、Spacia をOEM調達する。2013年4月、新型マツダ Flair Wagon として発売した。
2. 日産は、スズキ Palette の全面改良を機に、同モデルのOEM調達を終了する。日産はRooxのベース車としてPaletteを調達していたが、Rooxの後継車は三菱自と共同開発し、2014年に投入する計画。

 

新型 Wagon R に採用した次世代環境技術「スズキグリーンテクノロジー」の低燃費化技術
エネチャージ  既存のアイドリングストップ車専用の鉛バッテリーに加え、高効率なリチウムイオンバッテリー (東芝と共同開発) と高効率・高出力のオルタネータ―を併用した独自の減速エネルギー回生機構システムを採用。蓄えた電気で電装品を作動させるため、走行中の発電を抑制できる。
新アイドリング
ストップシステム
 停止前の減速時、アクセルを離した時から燃料をカットし、ブレーキを踏んで13km/h以下になると自動でエンジンを停止する。(旧システムは9km/h以下で停止)。
エコクール  アイドリングストップ中、エアコンが停止すると、エアコンユニットに内蔵された蓄冷材を通して冷風を室内に送ることで、車室内の温度上昇を抑制。アイドリングストップ時間を拡大する。

 

湖西工場に新型エンジンの生産ラインを新設

 スズキは震災リスク分散のため、2013年3月期中に、相良工場 (静岡県牧之原市) に集中していた軽自動車用エンジンの生産の一部を、湖西工場(静岡県湖西市)に移管した。湖西工場では年産30万基の新型エンジンの生産ラインを新設し、既存ラインと合わせ同40万基の生産規模を持つとされる。新ラインの稼働開始に合わせ、相良工場で手掛けている従来型エンジンは、生産量を順次落とす計画。

 

 



アジア市場:中国では販売減少、タイとインドネシアでは生産設備を増強

中国:2013年3月期販売は低迷/長安スズキの第2工場は稼働時期未定

日中関係
悪化の影響
 2013年3月期の中国販売は前年同期比14.5%減少した。領土問題をめぐる日中関係の悪化で、日系ブランド車の中国販売が落ち込んだことが影響した。
長安スズキの
第2工場
 合弁会社の長安スズキは、2012年4月、重慶市で第2工場の起工式を開催した。当初は、年産能力15万台の工場を2013年12月に稼動、その後25万台まで増強し、既存工場 (年産能力25万台) と合わせて中国で50万台の年産体制を確立するとしていた。しかし日中関係の悪化による販売低迷を受け、2013年2月時点では、需要の回復を見ながら稼働時期を見極めるとしている。
昌河スズキの
エンジン増産
 もう1つの合弁会社である昌河スズキは、2012年10月、江西省九江工場におけるエンジン15万台分の拡張計画を決定した。投資総額は1.68億元で、2013年に竣工する予定。同工場では、北斗星 (Wagon R) や利亜納 (Liana) 等に搭載される小型車用エンジン K14シリーズのほか、K12シリーズも生産する予定。
新型車投入計画  スズキは2013年4月開催の上海モーターショーでCセグメントセダンのコンセプトモデルAuthenticsを世界初公開。2014年末までにAuthenticsをベースにした量産モデルを長安スズキで生産・販売する計画。また、2013年末より同社で、CセグメントクロスオーバーのSX4 S-Cross (中国仕様) を生産・販売し、中国市場におけるシェア拡大を図る。

 

タイ:エコカーの新型Swiftの生産開始/MPVのErtigaをインドネシアから輸入販売

新型Swiftの
生産開始
 スズキは2012年3月、タイでスズキ初の四輪車工場 (ラヨン県) を稼働させ、タイ政府のエコカー計画に適合する小型ハッチバック車、新型Swiftの生産・販売を開始した。1.2Lガソリンエンジンを搭載し、燃費は22km/L。販売が好調なため、当初計画より前倒しで同年10月からタイ工場を2直化。2012年の生産を1.5万台から2.1万台に拡大 (1.7万台をタイで販売、0.4万台をASEAN諸国等に輸出)。2013年は5.4万台の生産を見込む。
Ertigaを輸入販売  スズキは2013年3月、3列シート7人乗りの小型MPV Ertigaをタイ市場で発売した。同市場では、近年、小型車やMPV等に対する需要が増えており、スズキは販売ラインアップ拡充のため、インドネシアで生産する Ertiga を輸入し、初年度6,000台を販売する計画。Ertigaは既にインドとインドネシアで販売が開始され、小型ながら広い室内空間と居住性により、拡販に貢献している。

 

インドネシア:MPVのErtigaを生産・発売/新型Swift を投入/エンジン工場を新設

Ertigaの
生産・発売
 スズキは2012年4月、インドネシアで3列シート7人乗りの小型MPV Ertiga を発売したと発表した。Ertiga は同月にインドでも発売した戦略小型車。インドネシアでは1.4L ガソリンエンジンを搭載。同国のTambun工場で生産し、年間約5万台販売する計画。インドネシアではマツダにも年1万台規模でOEM供給する計画。
新型Swiftの
輸入販売
 スズキは2012年9月、インドネシアでハッチバック車 Swift をモデルチェンジして投入した。1.4Lガソリンエンジンを搭載、5速MT/4速ATと組み合わせる。旧モデルは 2007年から Tambun工場で生産していたが、新型車はタイから完成車を輸入する。
エンジン工場を
新設
 スズキは2012年1月、インドネシアに四輪車用エンジンの新工場を建設すると発表した。このほどジャカルタ東方の工業団地に約130万平方メートルの用地を約100億円で取得。鋳造、鍛造、アルミダイキャスト等の部品製造を含むエンジン工場を建設する。生産開始は2014年中の予定。年産能力は10万基で、これにより同国でのエンジン年産能力は計15万基に増加する。

 

ベトナム:四輪車新工場の起工式を開催

 スズキは2012年4月、ベトナムで四輪車新工場の起工式を開催した。1996年よりDong Nai省Binh Da 工業団地内の工場で生産して来たが、市場拡大に対応するため工場をLong Binh工業団地内に移転・建設する。新工場は2013年中に稼働予定。初年度の年産能力は5,000台で、その後拡張していく。スズキの2011年度のベトナムにおける四輪車生産は、Super Carry (バン、トラック) や APV (ミニバン) など2,618台。

 

ミャンマー:3年ぶりに四輪車の生産再開

 スズキは2013年2月、ミャンマーで3年ぶりに四輪車の生産を再開すると発表した。1999年から2010年まで合弁会社で生産・販売を手がけてきたが、合弁契約が切れ、事業を休止していた。このほどスズキは、ミャンマー政府から認可を受け、全額出資 (700万ドル)で新たに現地法人 Suzuki Myanmar Motor を設立。ヤンゴン市内のスズキの既存工場で、2013年5月から月産100台を目途に商用車 Carry の KD生産を開始する計画。

 

 



米国では四輪車販売から撤退、欧州では新型車投入で黒字化を図る

米国:四輪車販売事業から撤退

 スズキは2012年11月、米国で販売事業を行う100%子会社、American Suzuki Motor Corporationが、米国連邦破産法第11章に基づく更正手続きを申請すると発表した。同社は四輪車事業から撤退し、二輪車・船外機等に事業を集約する。為替や市場動向等を考慮すると、採算性確保は困難と判断した。米国でのスズキ車のサービス・部品供給は継続する。スズキはこれにより、経営資源を主力のインドや東南アジアに集中させる方針。

 

欧州:スズキ初のCセグメントクロスオーバー、新型SX4を投入

 景気低迷が続く欧州では、2013年3月期も販売が減少、営業損失となった。スズキは新型車を投入して黒字化を目指す。2013年秋には、同社初のCセグメントクロスオーバー、新型SX4を欧州に投入する。2012年9月のパリモーターショーで発表したコンセプトカー S-Cross の量産モデルで、1.6Lガソリン/ディーゼルエンジンを搭載。ハンガリーのマジャールスズキの工場で生産し、欧州およびその他の国々に輸出する予定。

(注) 日本では現行モデルのSX4を静岡県の相良工場で生産している。米国向け輸出の主力モデルだったが、2012年11月に米国での四輪車販売事業からの撤退を決めたため、後継モデルは日本では生産しない方針。

 

 



2014年3月期の販売見通し:インド・東南アジアで増加し、世界販売は280万台

 スズキの2013年3月期の世界販売は、前期比3.9%増の266.0万台。日本ではエコカー補助金で軽自動車販売が増加したこと等により販売が拡大。海外では、中国販売の減少をASEAN諸国での販売拡大がカバーして微増となった。

 2014年3月期販売見通しは5.4%増の280.3万台。エコカー補助金終了の影響で日本での販売は減少するが、インド・東南アジアを中心に海外販売は約15万台増加する見込み。

 2013年3月期の生産は国内・海外とも増加し、合計では2.7%増の287.8万台で過去最高。海外生産比率は64%となった。

 2014年3月期の生産見通しは、輸出車・OEM供給車の減少で日本での生産は減少、海外は欧州・アジアとも増加する見込みで、海外生産比率は68%に高まる見通し。

スズキの新車販売台数

(台)
2006年度
07年3月期
2007年度
08年3月期
2008年度
09年3月期
2009年度
10年3月期
2010年度
11年3月期
2011年度
12年3月期
2012年度
13年3月期
2013年度
(計画)
日本 690,668 673,259 664,880 622,000 588,000 596,000 671,823 660,000
海外 1,530,958 1,732,490 1,641,176 1,727,000 2,055,000 1,964,000 1,988,541 2,143,000
世界合計 2,221,626 2,405,749 2,306,056 2,349,000 2,643,000 2,560,000 2,660,364 2,803,000
資料:スズキの決算参考資料 2012.5.10/2013.5.9, Press Release 2013.4.24
(注) 1. スズキブランド車 (一部ライセンス車を含む) の販売台数。2013年度計画は2013年 5月発表。
2. 2012年度海外販売台数には一部予想値を含む。

 

スズキの生産台数

(1,000台)
2006年度 2007年度 2008年度 2009年度 2010年度 2011年度 2012年度 2013年度
(計画)



国内
向け
軽自動車 608 588 590 545 513 519 593 595
登録車 83 82 79 58 63 76 86 75
輸出車 388 415 331 219 259 244 184 150
OEM供給車 134 134 139 138 159 181 182 123
合計 1,212 1,219 1,139 959 994 1,020 1,044 943



欧州 189 252 260 180 164 174 151 176
北米 22 28 7 1 - - - -
アジア 987 1,138 1,088 1,406 1,720 1,609 1,683 1,847
合計 1,199 1,418 1,355 1,586 1,884 1,782 1,834 2,025
世界生産 2,412 2,637 2,494 2,545 2,878 2,802 2,878 2,968

資料:スズキの決算参考資料 2012.5.10/2013.5.9
(注) 国内生産は完成車生産台数 + CKD生産台数。海外生産は現地ラインオフ台数 (CKD組立てを除く)。

 

 



2014年3月期業績見通し:円安とアジア市場の成長により営業利益は54億円増の1,500億円

 スズキの2013年3月期の連結決算は、国内売上高が前期比5.5%増、海外売上高が0.8%増で、連結売上高は2.6%増の2兆5,783億円。営業利益は、為替影響や欧州での売上減少などによる減益要因を、日本・アジアでの四輪車販売の増加や原価低減などによる増益要因で吸収し、前期比253億円増の1,446億円。純利益は、米国事業撤退による特別損失を吸収した上で、過去最高の804億円となった。

 2014年3月期の連結業績見通しは、対ドルだけでなく対インドルピーでの円安、インド・東南アジアなど成長市場での販売増加に支えられ、売上高2兆8,000億円、営業利益1,500億円、純利益900億円を目指す。

スズキの連結業績

(100万円)
2006年度
07年3月期
2007年度
08年3月期
2008年度
09年3月期
2009年度
10年3月期
2010年度
11年3月期
2011年度
12年3月期
2012年度
13年3月期
2013年度
見込み
売上高
国内売上高
海外売上高
3,163,669
973,500
2,190,200
3,502,419
981,400
2,521,000
3,004,888
965,500
2,039,300
2,469,063
952,559
1,516,504
2,608,217
937,452
1,670,765
2,512,186
986,774
1,525,411
2,578,317
1,040,948
1,537,369
2,800,000
980,000
1,820,000
営業利益
経常利益
純利益
132,900
139,183
75,008
149,405
156,904
80,254
76,926
79,675
27,429
79,368
93,841
28,913
106,934
122,502
45,174
119,304
130,553
53,887
144,564
155,593
80,389
150,000
165,000
90,000
設備投資
減価償却費
研究開発費
207,400
149,900
92,100
243,600
161,600
108,700
216,200
141,200
115,000
120,200
141,800
108,800
130,300
138,400
104,100
126,700
103,100
109,800
169,300
93,700
119,300
270,000
115,000
130,000
従業員数 (人) 45,510 50,241 50,613 51,503 52,731 54,484 55,948
為替 (ドル) 117円 114円 101円 93円 86円 79円 83円 90円
為替 (Euro) 151円 160円 144円 131円 113円 109円 107円 120円
為替 (ルピー) (未発表) 1.68円 1.54円 1.70円

資料:スズキの決算短信 2012.5.10/2013.5.9, 決算参考資料 2012.5.10/2013.5.9
(注) 2013年度見込みは、2013年5月発表。

 

スズキの営業利益増減要因

(億円)
増減益幅 諸経費等の増減 原価低減 研究開発費 売上・構成変化等 為替影響 減価償却費
2011年度 124 433 226 (57) (542) (289) 353
2012年度 253 (288) 284 (95) 327 (69) 94
2013年度(予想) 54 (200) 280 (110) 34 260 (210)

資料:スズキの決算説明会資料 2012.5.10/2013.5.9


参考資料:スズキおよびMaruti Suzukiの広報資料、各種報道

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>