インド:乗用車販売の伸び率が2012年度は1-3%増に鈍化

各社がディーゼルエンジンの生産能力を増強

2012/11/13

要 約

インドの自動車生産・国内販売・輸出台数

インドの乗用車市場シェア

 インドにおける2011年度 (2011年4月~2012年3月) の自動車生産台数は404 万台、新車販売台数は343万台で世界第6位の市場に成長した。しかし、新車販売の伸び率は、2010年度の28.3%から2011年度は7.6%、2012年度上期は6.2%と鈍化している。

 インド自動車工業会 (SIAM) の予測によると、2012年度の乗用車 (SUV・バンを除く) 販売は 1-3%増にとどまる見込み (2012年10月発表)。インドの経済成長の速度の鈍化に加え、ガソリンの価格統制廃止による価格高騰やローン金利の高止まりがその理由だとしている。

 インド市場では物品税率が低い全長4m以下の小型車が市場の6割を占めていたが、2012年度上期にはその比率が5割近くに下がり、中型車以上の乗用車やSUV等のUtility Vehiclesの販売が増加した。各社の新型車も、インド市場の中核である小型車に加え、中型車やSUVなど幅広い車種の投入が拡大している。

 市場拡大の速度は鈍化しているが、インド市場の需要拡大の余地は大きいと見込まれ、各社が完成車の生産体制を強化している。

 乗用車市場の38%のシェアを有するインド最大手のMaruti Suzukiは年産能力25万台の新工場をGujarat州に建設し、2015-16年には200万台の生産体制を整備する。トヨタは既存2工場の年産能力を21万台から31万台に引き上げ、日産はRenaultとの合弁工場の能力を40万台に増強。いすゞは2016年を目処に年産10万台の工場を建設する計画。米国メーカーでは、Fordが年産24万台の新工場をGujarat州に建設している。

 また、インドではディーゼル燃料の価格統制は維持されており、燃料費が安いディーゼルエンジン搭載車の需要が高まっている。これに対応し、自動車メーカーの多くはディーゼルモデルを投入し、ディーゼルエンジンの生産能力を拡充している。

関連レポートインドの日系部品メーカー (2012年11月)



乗用車の新型車投入:SUVやMPVの投入が拡大

インド:2012年に投入される小型乗用車と今後の投入予定モデル

メーカー モデル 発売時期 概要
Maruti Suzuki Alto 800 2012年10月  小型ハッチバック。Maruti 800に替わる同社のエントリーモデル。3気筒0.8L ガソリン/CNGエンジンを搭載。燃費はガソリン車で15%改善し、22.74km/L。価格は24.4万~35.6万ルピー。2013年1月より中南米やアフリカに輸出する計画。
ホンダ Amaze 2013年度  小型セダン。新興国戦略車 Brio のプラットフォームを使用。ガソリンエンジンまたは新開発のディーゼルエンジンを搭載。
Mahindra &
Mahindra
Quanto 2012年9月  小型SUV。全長は4m以下で、SUVながら小型車と同率の物品税が適用される。1.5L ディーゼルエンジンと5速MTを搭載。ムンバイでの販売価格は58.2万~73.6万ルピー。
GM 新型
Chevrolet Spark
2012年10月  小型ハッチバック車。1.0L 4気筒エンジンと5速MTを搭載。ガソリンモデルが32.6万~38.1万ルピー、ガソリン/LPG併用モデルが38.2万~41.5万ルピー。
Chevrolet
Sail U-VA
2012年11月  小型ハッチバック車。上海GMが開発した新興国向け小型車用プラットフォームを使用し、BangaloreにあるGM Technical Center-India が約2年かけてインド市場向けに設計。1.2Lガソリン/1.3Lディーゼルエンジンと5速MTを搭載。58.7万ルピーから。今後、セダンも投入する予定。
Renault A Entry
(コードネーム)
2014-15年  Maruti Suzuki Alto, Hyundai Eon、Chevrolet Spark と競合する小型車。800ccエンジンを搭載する模様。
(注) 1. 上表に記載したモデルはインド市場の中心である小型車 (全長4m未満、エンジン容量はガソリンが1.2L/ディーゼルが1.5L以下)。小型車の物品税率は10%。一方、中・大型車の物品税率は22% + 1台当たり1万5,000ルピー。
2. 発売済みモデルの価格は、特記されている場合を除き、Delhi 市での価格 (後出表も同じ)。2012年11月初旬で、1ルピーは約 1.47円。

 

インド:2012年の投入モデルと今後の投入予定モデル(上表以外の乗用車。ピックアップを含む)

メーカー モデル 発売時期 概要
Maruti Suzuki Ertiga 2012年4月  3列シート7人乗りの小型MPV。インド市場向けに日本で開発された。このモデルにより同社はUtility Vehicleセグメントに参入すると共に、コンパクト3列シート車という新カテゴリーを創出。1.4L ガソリン/1.3Lディーゼルエンジンを搭載。価格はガソリン車が58.9万~73万ルピー、ディーゼル車が73万~85.4万ルピー。
トヨタ 新型 Camry 2012年8月  第7代目となる新型車の投入を機に現地生産を開始。2.5L VVT-iガソリンエンジンと6速ATを搭載。238万ルピー。
日産 Evalia 2012年9月  日産車ではインドで初の多目的車。7人乗り。日本名 NV200。1.5L 4気筒ディーゼルエンジンと5速MTを搭載。84.9万~99.9万ルピー。
Datsun ブランド
2 車種
2014年  価格は40万ルピー以下の予定。
Renault Duster 2012年7月  SUV。1.6Lガソリン/1.5Lディーゼルエンジンを搭載。ガソリン車が71.9万~81.9万ルピー、ディーゼル車が79.9万~112.9万ルピー。
Scala 2012年9月  セダン。日産Sunnyとプラットフォームや多くの部品を共有。1.5L ガソリン/ディーゼルエンジンと5速MTを搭載。ガソリン車が69.9万~78.6万ルピー、ディーゼル車が86.9万~95.7万ルピー。
Tata Motors Xenon 2012年9月  ピックアップトラック。2人乗りのシングルキャブと5人乗りのデュアルキャブモデルを設定。3.0/2.2L ディーゼルエンジンを搭載。シングルキャブは54.4万ルピーより、ダブルキャブは63.4万ルピーより。
Safari Storme 2012年10月  SUV Safariの製品ラインに追加投入。Safariの主力モデルとの位置づけ。2.2L ディーゼルエンジンと5速MTを搭載。2輪・4輪駆動モードに切り替えられる。対抗車はMahindraのXUV500, ScorpioやトヨタのFortuner。価格は99.5万~136.6万ルピー。
Mahindra &
Mahindra
新型 Verito 2012年7月  Renaultとの合弁解消後、2011年4月にLoganから車名を変更したVerito (セダン) をモデルチェエンジ。1.4Lガソリン/1.5Lディーゼルエンジンを搭載。対抗車はMaruti Suzuki DZire, Toyota Etios。ガソリン車が52.7万~54.9万ルピー、ディーゼル車が62.6万~71.4万ルピー。今後、ハッチバック車も投入する予定。
双竜 Rexton 2012年10月  2011年に傘下に入れた双竜自動車の高級SUV。双竜モデルをインド市場に投入するのは初めて。2.7Lディーゼルエンジンと5速AT/MTを搭載。ムンバイでの販売価格はAT車が196.7万ルピーから、MT車が176.7万ルピーから。
現代自動車 新型 Sonata 2012年2月  セダン。2.4L GDI エンジンと6速MT/ATを搭載。185.9万~206.7万ルピー。
Elantra 2012年8月  セダン。準中型セグメントの同モデル投入により、インドでの現代車はフルラインアップとなった。対抗車はToyota Corolla, Chevrolet Cruze。1.8Lガソリン/1.6Lディーゼルエンジンを搭載。ガソリン車は125.1万~147.4万ルピー、ディーゼル車は129.1万~158.5万ルピー。
BMW 新型 3 Series 2012年7月  高級セダン。ディーゼル車を4モデル、ガソリン車を1モデル設定。両エンジンとも2Lまたは3L。ムンバイでの販売価格は289万ルピーから。
Daimler B-Class 2012年9月  プレミアムコンパクトハッチバック。1.6L 4気筒エンジンと7速デュアルクラッチトランスミッションを搭載。ムンバイでの販売価格は214.9万~248.7万ルピー。
VW 新型 Touareg 2012年9月  SUV。旧モデルよりひと回り大きくなった。3.0L 6気筒ディーゼルエンジンと8速ATを搭載。
GM 新型
Chevrolet Cruze
2012年6月  セダン。2.0L ディーゼルエンジンと6速MTを搭載。138.5万~153.3万ルピー。
Ford EcoSport 2013年2月頃  小型SUV。Fiestaをベースに、Fordのブラジルスタジオが開発。世界100カ国で販売される予定。1.0L Ford EcoBoostエンジンと5MTを搭載。1.6Lエンジン並みの馬力ながら、CO2排出量は140g/km以下。インドにEcoBoostエンジンが投入されるのはこれが初。

 

 



Maruti Suzuki/トヨタ/Renault-日産/いすゞ/Fordが生産能力を拡充

インド:主要自動車メーカーの生産拠点

組立工場 年産能力
(1,000台)
生産車種
Maruti Suzuki India Ltd. Gurgaon (Haryana州) 900 Alto 800, Ertiga, Eeco, Ritz (Splash), Wagon R, Omni (Every), Gypsy (Jimny), Estilo (MR Wagonベース)
Manesar (Haryana州) 600→850
(2013)
SX4, Swift, Swift DZire, A-Star (Suzuki Alto/Nissan Pixo)
Mehsana (Gujarat州) 0→250
(2015)
(2015-16年に稼働開始予定)
Toyota Kirloskar Motor Pvt. Ltd. Bangalore 1 (Karnataka州) 90→100 (2013) Toyota Innova, Fortuner
Bangalore 2 (Karnataka州) 120→210 (2013) Toyota Corolla, Etios, Etios Liva, Camry
Honda Cars India Ltd. Greater Noida
(Uttar Pradesh州)
100 Honda City, Civic, Accord, Jazz, Brio
Renault Nissan Automotive India Pvt. Ltd. Oragadam (Tamil Nadu州) 400→800
(2015-16)
Nissan Micra (March), Sunny, Evalia (NV200),
Renault Fluence, Koleos, Pulse, Scala
Isuzu Motors India Pvt. Ltd. Chennai (Tamil Nadu州) 0→100
(2016)
(2016年に工場を新設する計画)
ピックアップトラックを生産
Hyundai Motor Sriperumbudur 1
(Tamil Nadu州)
300 Hyundai Santro (Atoz), Accent (Verna), Sonata,
Elantra XD (Avante), Getz (Click), Eon
Sriperumbudur 2 300 Hyundai i10, i20
Volkswagen India Pvt. Ltd. Chakan
(Maharashtra州)
110 VW Polo, Vento,
Skoda Fabia, Rapid
Skoda Auto India Pvt. Ltd. Aurangabad
(Maharashtra州)
30 Skoda Octabia, Superb, Laura, Fabia, Yeti
VW Passat, Jetta, Audi A6, A4, Q5, Q7
Fiat India Automobiles Ltd. Ranjangaon
(Maharashtra州)
200 Fiat Palio, Linea, Grande Punto
Tata Indica Vista
BMW India Pvt. Ltd. Chengalpattu
(Tamil Nadu州)
10 BMW 3-Series, 5-Series, X1
Mercedes-Benz India Ltd. Chakan
(Maharashtra州)
6.2 M-Benz C-Class, E-Class, S-Class, M-Class, (2013年から) GL-Class
Daimler India Commercial Vehicles Ltd. Oragadam
(Tamil Nadu州)
36 BharatBenz 大型・中型トラック
General Motors India Pvt. Ltd. Halol (Gujarat州) 110 Chevrolet Optra, Tavera, Aveo, Cruze,
(2012年末-)上汽GM五菱のCN100ベース Micro-van
Talegaon
(Maharashtra州)
160 Chevrolet Spark, Beat, (上海GMが開発) Sail U-VA
Ford India Pvt. Ltd. Maraimalai Nagar
(Tamil Nadu州)
200 Ford Fusion, Fiesta, Endeavour, Figo (2013-) EcoSport
Sanand (Gujarat州) 0→240
(2014)
(2014年に稼働開始予定)

 

インド:現地資本自動車メーカーの生産拠点

組立工場 年産能力
(1,000台)
生産車種
Mahindra & Mahindra Ltd. Chakan
(Maharashtra州)
320 Mahindra XUV 500, Maxximo, Genio
双竜 Rexton, Navistar truck
Kandivali
(Andhra Pradesh州)
60 Maxx pickup, Thar
Nashik (Maharashtra州) 160 Mahindra Scorpio, Bolero, Xylo, Verito, Quanto
Zaheerabad (Andhra Pradesh州) 85 Bolero Maxi Truck
Haridwar (Uttarakhand州) 150 Mahindra Gio, 三輪自動車
Mahindra Reva Electric Vehicles Bangalore (Karnataka州) 30 Mahindra Reva, Reva L-ion
Hindustan Motors Ltd. Thiruvallur (Tamil Nadu州) 24 Mitsubishi Lancer, Lancer Cedia, Pajero, Outlander, Pajero Sport
Uttarpara (West Bengal州) 25 Hindustan Ambassador, Winner (小型トラック)
Pithampur
(Madhya Pradesh州)
7.5 Winner (CNG仕様)
Ashok Leyland Ltd. Encore (Tamil Nadu州) 150.5 各種車両
(2013-) Ashok Leyland Stile (日産 NV200の姉妹車)
Hosur (Tamil Nadu州) Ashok Leyland Dost (日産と共同開発したLCV)
Bhandara (Maharashtra州) 商用車
Alwar (Rajasthan州) 商用車
Pantnagar (Uttarakhand州) 商用車
Tata Motors Pune (Maharashtra州) 544 Tata Indigo/Indica, Xenon XT, Aria, Venture, Safari Storme, 商用車, Land Rover Freelander
Jamshedpur (Jharkhand州) 144 Primaシリーズトラック、中・大型商用車
Lucknow
(Uttara Pradesh州)
90 バス
Pantnagar (Uttarakhand州) 500 Tata Ace/Magic
Sanand
(Ahmedabad州)
250 Tata Nano
Dharwad
(Karnataka州)
90 Tata 小型商用車 ACE Zip, Magic Iris
Tata Marcopolo Motors Ltd. Dharwad
(Karnataka州)
30 Tata Marcopolo バス

 

 



スズキ/ホンダ/Renault-日産/現代自/Fordはディーゼルエンジンの生産体制を増強

 インドでは、2010年6月に政府がガソリンの価格統制を廃止した結果、ガソリン価格が高騰。2010年央には1L当たり50ルピー台前半だったが、2012年半ばには70ルピー超となった。一方、ディーゼル燃料の価格統制は維持され、40ルピー前後で推移している。

 そのため、ディーゼルモデルの需要が増加し、乗用車のディーゼルエンジン搭載比率は、2008年度の約20%から2011年度の約50%に高まっている。各社は、インド市場で車の販売を拡大するために、ディーゼルモデルの投入とディーゼルエンジンの生産体制を強化している。

インド:各社のディーゼルエンジン生産・調達体制の整備

スズキ  2012年1月、Fiat から、年間10万基の1.3L ディーゼルエンジンMultiJet (75hp) の調達を開始した。Fiat の Ranjangaon工場で生産されているエンジンが供給される。Maruti Suzuki はこのディーゼルエンジンをエンジン製造会社のSuzuki Powertrain India (SPIL)でライセンス生産しているが、それだけでは不足するため、Fiatから直接調達する。
 2012年3月、Maruti Suzuki は170億ルピーを投資してGurgaon工場内にディーゼルエンジン工場を建設することを明らかにした。年産能力は2013年央に15万基、将来的には30万基にまで引き上げる計画。
ホンダ  2012年9月、300億円を投じてディーゼルエンジン工場を建設していることが明らかになった。Rajasthan州Tapukaraにあるパワートレイン/プレス工場の敷地内に建設する。2013年に稼働し、1.5L 前後のディーゼルエンジンを生産し、BrioやCity、Brioベースの新型セダン Amaze に搭載する予定。現在、ホンダはインドでディーゼル車を販売していない。
Renault-日産  Tamil Nadu州のOragadam工場敷地内にディーゼルエンジン工場を新設し、2012年から生産を開始した。年産能力は約40万基。Renault Scala, Pulse, Duster, Fluenceや日産 Micra, Sunny, Evalia向けに供給している。
現代自動車  2012年11月、Tamil Nadu州の Sriperumbudur工場の敷地内に、3億ドルを投じてエンジン工場とプレス工場を新設すると発表した。エンジン工場は、ガソリン/ディーゼル両エンジンが生産できるフレキシブルな工場。2013年度中の稼働を目指し、年産能力は合計30万基。
Ford  2012年7月、Maraimalai Nagarにある既存エンジン工場の年産能力を36%増の34万基に増強したと発表。ガソリンエンジンの年産能力は26万基、ディーゼルエンジンは8万基となった。将来は、小型エンジンの製造・輸出ハブとして、生産全体の40%を輸出する計画。

 

 



日本メーカー (スズキ/トヨタ/日産/いすゞ) の動向

Maruti Suzuki:完成車工場の動向

Manesar工場の
暴動・閉鎖・再開
 Manesar工場では、2012年7月18日に一部労働者による暴動が発生し、従業員の安全が確保できないとして、7月21日から8月20日まで同工場を閉鎖。8月21日に閉鎖を解除し、操業を再開した。暴動事件の首謀者グループが既に逮捕され、暴動に関与した約500人を解雇したため、従業員の安全が確保できると判断した。
 Manesar 工場では暴動前は1日当たり約1,700台生産しており、1日の操業停止による損失は6億~7億ルピーに上るとされる。暴動前は従業員が約4,500人いたが、2012年10月半ば時点では約3,000人で2直操業を行い、1日当たりの生産台数は1,400台にまで回復した。
新工場の建設  Maruti Suzukiは2012年6月、新工場用の土地取得について、Gujarat州政府と基本合意書を締結したと発表。400億ルピーを投資して、同州Mehsana市に年産能力25万台の四輪車工場を建設する。稼働開始は2015-16年頃。Mundra港にも近いため輸出拠点としても育成する計画。
合計年産能力  Maruti Suzukiは現在、Manesar工場にも年産能力25万台の新ラインを増設しており、新工場と合わせて2015-16年には、同社の年産能力は200万台に達する見込み。

 

トヨタ:2013年にインドでの年産能力を31万台へ

年産能力を
31万台へ
 2011年7月、インドの自動車市場拡大に伴い、現地での生産能力増強計画を発表。まず49億円を投じて、2012年前半までに第1工場の年産能力を8万台から9万台、第2工場を8万台から12万台に拡充。さらに、172億円を投じて、2013年までに第1工場の生産能力を10万台、第2工場を21万台に引き上げ、年31万台の生産体制を整備する。(第3工場の建設を検討しているとの報道もある。)
南アフリカへ
完成車輸出
 2012年4月、インドで生産した新興国向け戦略車の Etios と Etios Liva の南アフリカ向け輸出を開始した。南アフリカ向けにカスタマイズした輸出モデルを、Chennai近郊のEnnore港から輸出する。輸出規模は年間2万台の予定。トヨタがインドで完成車輸出をするのは初めて。今後はインドを完成車とトランスミッションの供給基地として活用していく。
ガソリンエンジン工場を稼動  Toyota Kirloskar Auto Parts(TKAP)は2012年8月、既存工場の敷地内にガソリンエンジン工場を稼動させた。新工場のエンジン年産能力は10万基で、EtiosやEtios Liva向けのガソリンエンジンを生産。投資額は約50億ルピー。また、インド国内でのディーゼル車需要の高まりを受け、ディーゼルエンジン工場の建設も検討している模様。
トランスミッション工場を建設  さらに、年産能力24万基の新たなトランスミッション工場も建設しており、2013年初めに稼動する予定。

 

Renault-日産:合弁工場の年産能力を40万台から80万台に増強

市場シェアの目標  日産は、インドの自動車市場で、2011年に3万1,000台で1%だったシェアを、2016年度までに8%に引き上げる。Renaultは、2013-14年度に年間販売10万台、市場シェア5%を目指す。
2015年度に年産80万台体制へ  Renault-Nissan連合は、Tamil Nadu州Oragadam工場の年産能力を、2012年3月に20万台から40万台に増強した。2015年度までに第2工場を建設して、年産能力を80万台に引き上げるとの報道もある。同工場で生産した車は、2011年には約8割を輸出したが、今後はインドで市場開拓を進め、2016年までには6~7割を国内販売、3~4割を輸出に充てる計画。

 

いすゞ:インド市場にピックアップを投入

 いすゞは2013年から、インドでピックアップを販売すると発表した (2012年6月)。車種は不明だが、D-Max (旧モデル)とSUVのMU-7を投入するとの報道もある。外資メーカーがインドでピックアップを販売するのは初めて。2012年8月に資本金3億ルピーで現地法人 Isuzu Motors Indiaを設立。当初はタイからの完成車輸入・KD生産により、販売を開始する。2013年の販売目標は1,500台。2016年には年産能力10万台の工場を新設する計画。現在、インド市場にピックアップを投入しているのは現地メーカーのみで、市場規模は約10万台。

 

 



インドメーカー (Tata Motors) の動向

Tata:商用車事業の動向

大型トラック
6車種投入
 Tataは2012年9月、車両総重量31~49トンクラスの大型トラック6モデルを投入した。中大型トラックの主力製品であるPrimaシリーズには、最高出力380hpのエンジンを搭載する新モデル2車種、230hpのエンジンを搭載する新モデル2車種を追加。このほか、37トンの貨物トラック、31トンのダンプカーを投入した。
LCV向け
工場を新設
 Tataは約90億ルピーを投資し、Karnataka州のDharwadに小型商用車の生産工場を設立した。生産開始は2012年6月からで、積載量600kgの小型トラック ACE Zip と小型バン Magic IRIS を生産する。年産能力は9万台だが、将来はさらに増強する計画。

 

 



欧米メーカー (Ford/Daimler/VW/Fiat) の動向

Ford:年産能力24万台の工場を新設

 Fordは約10億ドルを投じて、2011年9月から Gujarat州 Sanand に新工場を建設している。稼働開始は2014年の予定。プレス加工から溶接、塗装、最終組立まで一貫生産が可能。エンジン工場も新設し、年産能力は、完成車が24万台、エンジンが27万基で、インド国内および輸出向けに生産する。新工場稼働後のFordの合計年産能力は、完成車が44万台、エンジンが61万基となる。

 

Daimler:Bharat Benzブランドの中大型トラック生産開始

大型トラック  Daimler India Commercial Vehicles は2012年4月、440億ルピーを投じてTamil Nadu州Oragadamに建設していた商用車工場を完工した。同年9月にBharatBenzブランドの大型トラック3モデル (GVW 25トン/31トンの貨物トラック、25トンのダンプカー) の生産を開始。いずれもM-Benzの大型トラック Axor のプラットフォームを活用。
中型トラック  2012年10月にはBharatBenzブランドの中型トラック3モデル (GVW 9トン/12トンの貨物トラック、12トンのダンプカー) の生産を開始。3モデルとも三菱ふそうの小型トラック Canterや中型トラック Fighterのプラットフォームを活用し、三菱ふそうから支援を受けて設計・現地化した。

 

Audi:生産能力を6,000台から9,000台に増強

 Audiは3,000万Euroを投じ、AurangabadのSkoda工場の敷地内に年産3,000台のAudi専用の生産棟を建設する。2012年内に完工する予定で、年産能力は従来の50%増の9,000台となる。2011年のインドにおけるAudiの販売は5,500台であったが、2012年には8,000台を販売し、BMWとM-Benzを抜いて高級車ブランドで第1位になることを目指している。

 

Fiat:Tataとの販売提携を解消、Chryslerモデルも投入

Tataとの販売提携を見直し  Fiatは2012年5月、インドでの販売分野におけるTataとの提携を見直すと発表した。両社の提携は2006年3月に始まり、Fiatブランドのインドでの販売はTataが行っていた。今後、Fiatは新たに販売サービス会社をインドに設立する。ただし、両社の生産面での提携は引き続き継続する。
Fiat-Chrysler
モデルを投入
 Fiatは 2013年3月以降に、Fiat-Chryslerのモデルをインド市場に投入する計画を明らかにした(2012年7月)。2014年末までにインドに100以上のショールームを開設し、Chrysler, Jeep, Fiat Commercial等すべてのブランドのモデルを投入するとしている。

 

 



2012年度上期の生産は前年同期比3.1%増の197万台、国内販売は6.2%増の166万台

 インドにおける2012年度上期の生産台数は前年同期比3.1%増の197万台、国内販売台数は6.2%増の166万台となった (2011年度の生産は7.8%増、販売は18.2%増)。自動車市場の減速に加え、Maruti Suzukiが暴動によりManesar工場を1カ月間閉鎖したこと等が影響し、生産・販売とも伸び率が鈍化したと見られる。

 同期の完成車輸出台数は、2.6%増の31万台。最大の輸出先である欧州市場の不振とMaruti Suzukiの生産停止を反映して、輸出台数の伸び率は2011年度の15.7%増から大きく後退した。各社はさらなる輸出拡大を目指し、アフリカや南米など輸出先の多様化を図っている。

 

インドでの自動車生産・販売・輸出台数

(台)
2008年度 2009年度 2010年度 2011年度 2011年
4-9月
2012年
4-9月
国内生産 乗用車 1,838,593 2,357,411 2,982,772 3,123,528 1,484,399 1,562,916
商用車 416,870 567,556 760,735 911,574 430,793 411,078
合計 2,255,463 2,924,967 3,743,507 4,035,102 1,915,192 1,973,994
国内販売 乗用車 1,552,703 1,951,333 2,501,542 2,618,072 1,195,559 1,278,763
商用車 384,194 532,721 684,905 809,532 371,894 385,673
合計 1,936,897 2,484,054 3,186,447 3,427,604 1,567,453 1,664,436
輸出 乗用車 335,729 446,145 444,326 507,318 260,341 267,544
商用車 42,625 45,009 74,043 92,663 43,194 44,017
合計 378,354 491,154 518,369 599,981 303,535 311,561
資料:SIAM (Society of Indian Automobile Manufacturers)
(注) 1. 2011年度は、2011年4月~2012年3月。
2. "乗用車 (Passenger Vehicles)" は Passenger Cars、Utility Vehicles (UVs)、Multi Purpose Vehicles (MPVs) の合計。

 

 



(参考) インド乗用車市場でのメーカー別販売台数

インド乗用車市場 (UV/MPVを含む) でのメーカー別販売台数

(台)
2008年 2009年 2010年 2011年 2011年
1-9月
2012年
1-9月
BMW 2,905 3,619 6,246 8,042 7,152 3,046
Fiat 4,383 22,757 21,950 16,733 14,573 9,938
Ford 28,564 29,452 83,887 96,271 73,796 67,562
GM 65,702 69,071 110,361 111,056 83,672 71,035
Hindustan Motors 10,411 9,757 10,728 5,686 4,820 3,236
ホンダ 54,136 62,337 62,872 47,548 38,968 57,096
現代自動車 245,397 289,863 356,717 373,709 276,192 294,050
Mahindra Renault 18,976 6,456 8,163 3,289 3,289 0
Mahindra & Mahindra 102,498 143,609 164,496 223,008 161,722 215,345
Maruti Suzuki India 697,850 836,886 1,065,732 997,281 785,478 794,642
Mercedes-Benz India 3,445 3,385 5,819 5,634 5,634 2,284
日産 133 7,164 22,893 15,619 38,191
Renault 864 15,836
Tata Motors 231,132 260,113 343,695 350,184 254,516 291,319
トヨタ 52,807 54,320 74,762 136,148 95,482 137,537
VW Group 16,188 17,225 55,589 113,869 85,064 82,972
その他 9,324 6,646 8,647 8,032 5,054 5,291
乗用車・UV・MPV合計 1,543,718 1,815,629 2,386,828 2,519,383 1,911,895 2,089,380
商用車合計 436,436 448,557 652,689 774,906 573,146 622,831
インド市場総販売台数 1,980,154 2,264,186 3,039,517 3,294,289 2,485,041 2,712,211

資料:SIAM (Society of Indian Automobile Manufacturers)


お詫び:本レポートの記述内容に誤りがあり、タイトル、グラフ、本文を修正いたしました。
     謹んでお詫びいたします。(2012年11月22日記)

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