東京モーターショー 2011:日本の自動車メーカーの展示取材(2)

商用車メーカーの展示と乗用車メーカーの技術展示

2011/12/28

要 約

 第42回東京モーターショー取材レポートの日本メーカー編の2本目。このレポートでは、商用車メーカー(海外メーカー傘下を含む)の展示と、乗用車メーカーのパワートレイン関連展示を取り上げる。

 商用車メーカーも、乗用車メーカーの展示と同じく、ハイブリッドトラック(バス)、プラグインハイブリッド・トラックを積極展示。日野と三菱ふそうは、EVの小型バン、小型トラックも展示。商用車でも、近距離輸送の小型車(バス)を中心に電動化を進めていく姿勢を示していた。

 乗用車メーカーの技術展示では、マツダがSKYACTIV技術群のディーゼルエンジン、ガソリンエンジン、AT、キャパシターを用いた減速エネルギー回生システムを展示した。富士重工は3つの水平対向エンジンを、トヨタは小型HV Aquaのハイブリッドシステムを展示。

 また、日本の新車販売で3割以上を占める軽自動車へ新しい技術を応用していく展示も見られた。ダイハツは、次世代の技術として、2気筒直噴ターボエンジン、次世代の大容量キャパシターを展示した。ホンダも次世代革新技術「EARTH DREAMS TECHNOLOGY」第一弾の、軽自動車用の新型エンジン/新型CVTを展示した。


関連レポート: 東京モーターショー 2011:日本の自動車メーカーの展示取材(1)  (2011年12月掲載)

東京モーターショー 2011:海外の自動車メーカーの展示取材 (2011年12月掲載)

東京モーターショー 2011:部品サプライヤーの展示取材(1)  (2011年12月掲載)

東京モーターショー 2011::部品サプライヤーの展示取材(2) (2011年12月掲載)



商用車メーカーの出展概要:各社、ハイブリッド商用車を展示

いすゞ:プラグインハイブリッド小型トラックとハイブリッド大型路線バスを展示

 いすゞは、40kmのEV走行が可能な小型プラグインハイブリッド・トラックのELF Plug-in Hybridと、大型ハイブリッド路線バス ERGA Hybridを参考出品。また、次世代トラクターのデザインスタディ T・NEXTを展示した。


ELF Plug-in Hybrid

大型路線バスERGAのハイブリッド版
ELF Plug-in Hybrid
シャシーの後端部にリチウムイオン電池が搭載されている。
大型路線バスERGAのハイブリッド版

いすゞのトラクターのデザインスタディ T-NEXT
いすゞのトラクターのデザインスタディ T-NEXT

いすゞのコンセプトモデル

ELF Plug-in
Hybrid
 小型 プラグインハイブリッド・トラック(参考出品)。同社のELF Hybrid に比べて、モーター出力を50kWへ、リチウムイオン電池の容量を19 kWhへ増強(注)。EV走行距離は40km(自社測定)で、EV走行モードスイッチを搭載している。EV走行を可能とするため、パワーステアリングポンプとバキュームポンプを電動化した。
ERGA Hybrid  大型路線バスERGAのハイブリッド版(参考出展)。エンジン、クラッチ、モーター、トランスミッションが直列しているシステムを持ち、発進時にはモーターのみでの走行が可能。
T・NEXT  いすゞの次世代トラクターのデザインスタディ。空力性能と安全性能を融合したエクステリア。運転席は、格納可能なステアリングを備えて、最適な運転姿勢と休息時の快適な居住性を両立。

(注) 同社が2010年から走行実験をしていたプラグインハイブリッド・トラックはELF Hybrid に充電機能を付けたもの。

 

日野:2代目 Dutro Hybrid、EVコンセプトバン eZ-CARGOを展示

 日野は、2011年7月に発売した 2代目小型ハイブリッドトラック Dutro Hybridを展示し、それに充電機能を付け加えた Dutro Plug-in Hybridを参考出品。EVのコンセプトバン eZ-CARGOも展示。また、展示会場の東京ビッグサイトと豊洲駅間では、非接触充電機能の付いたハイブリッド路線バスの実証実験も行っていた。


小型ハイブリッドトラック Dutro Hybrid の2代目

Dutro Plug-in Hybrid
小型ハイブリッドトラック Dutro Hybrid の2代目 Dutro Plug-in Hybrid

日野の電動商用車

DutroHybrid  2011年7月に発売された、小型ハイブリッドトラック Dutro Hybrid の2代目。商用車では初めて(日野調べ)、アトキンソンサイクルを採用したハイブリッド専用ディーゼルエンジンを搭載。先代ではエンジンとモーターは直結していたが、間にクラッチを置く仕組みとした。これにより、減速時にクラッチを切ることで、モーターによる発電をより効率的に行うことができる。
 また、ハイブリッド専用の5速AMT「プロシフトV」を開発。ハイブリッドシステムと協調して、コンピュータ制御し、燃費が良くなるように自動変速する。そのため、ドライバーによる燃費のばらつきを抑えることができる。燃費性能は12.2km/L (重量車モード)。
Dutro Plug-in
Hybrid
 Dutro Hybrid に充電機能を付けたプラグインハイブリッド・トラックのコンセプト。EV走行可能距離は5km程度。充電口はフロントグリルと車体後部の2箇所にある。外部へ電源を供給する機能も持っている。
eZ-CARGO  日野の小型EVバンのコンセプト。モーターが前輪を駆動する。そのため、後部の搭載スペースを大容量・低床とすることができた。
非接触充電
ハイブリッドバス
 日野は、東京モーターショーの会場 東京ビッグサイトと豊洲駅間(約4km)で、非接触充電可能な大型ハイブリッド路線バスを実証運行。4.7L クラスの小型エンジンを搭載し、モーターと合わせて、排気量10L のバスと同程度の動力性能を発揮。40 kWhを超える電池容量を持ち、市街地で15km程度のEV走行が可能。日野は国土交通省等と共同して、同様の実証実験をしてきた。


日野の小型EVバンコンセプト eZ-CARGO
日野の小型EVバンコンセプト eZ-CARGO

 

三菱ふそう:新型 Canter Eco Hybridと実証実験車のCanter E-Cellを出展

 Daimler Truck部門のハイブリッド技術開発の中心的役割を担う三菱ふそうは、2012年春に発売予定の小型ハイブリッドトラック、新型Canter Eco Hybridを世界初公開。また、実証実験車として、小型EVトラックのCanter E-Cellと、高速走行を前提とする大型ハイブリッドトラックSuper Great Eco Hybridを出展した。


2012年春に発売予定の新型Canter Eco Hybrid

新型Canter Eco Hybridに採用するハイブリッドシステム
2012年春に発売予定の新型Canter Eco Hybrid 新型Canter Eco Hybridに採用するハイブリッドシステム

 

三菱ふそう (Daimler Group) の新型車

Canter Eco
Hybrid
 小型ハイブリッドトラックの新型車。世界初公開。2012年春に発売予定。商用車世界初のモーター内蔵デュアルクラッチ式自動トランスミッション 6速Duonic を採用。高性能リチウムイオン電池と新開発 BlueTec システム (排出ガス後処理装置) を搭載した 4P10型ディーゼルエンジンとの組み合わせで、ディーゼル車に対し30%以上燃費を改善する。
 ハイブリッドシステムの構成部品には、Daimler Group で共同開発した共通部品を多数使用。システムとして世界各国の安全法規への対応も盛り込まれており、販売計画面でも本格的なグローバル展開を意識している。

三菱ふそう (Daimler Group) の実証実験車

Canter E-Cell  小型EVトラックの実証実験車。日本初公開。Daimler Group 商用車事業の "Shaping Future Transportation (将来の輸送のあり方を形成する)"の思想に基づいて開発したEVトラック。欧州向け小型トラック Canter (GVW 3.5t) をベースに、リチウムイオン電池 (40kWh) とモーター (70kW・300Nm) を搭載し、10時間 (200V) の充電で約120kmの走行が可能。
Super Great
Eco Hybrid
 国内商用車として初の高速走行を前提とした大型ハイブリッドトラックの実証実験車。Canter Eco Hybridで使用しているパラレル方式のハイブリッドシステムを採用。新開発のモーター、12段AMT INOMAT-II および新開発リチウムイオン電池、6R10型エンジンとの組み合わせにより、高速走行時に従来ディーゼル車より 10%以上燃費を改善する。

小型EVトラックの実証実験車Canter E-Cell

大型HVトラックの実証実験車 Super Great Eco Hybrid
小型EVトラックの実証実験車Canter E-Cell 大型HVトラックの実証実験車 Super Great Eco Hybrid

 

UDトラックス:尿素SCRシステム搭載のCondor、中型クラスの世界エンジンを出展

 UDトラックスは中型トラックCondorと、このCondorが搭載する中型クラスエンジンも展示した。このエンジンは、UDトラックスが開発し、世界市場向けエンジンとしてVolvo Group各社が採用する。

UDトラックス (Volvo Trucks) の新型車と世界市場向けエンジン

Condor  2011年7月に発売した中型トラックの新型車。大型トラック Quon との統一感を表現した新キャブデザインを採用。GH5エンジン (下記参照)、尿素SCRシステム FLENDS を搭載。アイドリングストップシステムや坂道発進時の安全性を向上するイージーヒルスタートを装備。
GH5 エンジン
GH7 エンジン
 UDトラックスが中型クラストラックの専用エンジンとして自社開発したエンジンで、Volvo Group各社が中型クラスエンジンのプラットフォームとして採用。最大噴射圧力 2,000気圧の新開発コモンレールの採用、高過給タイプのターボチャージャーの搭載、小排気量化、摩擦低減、電子制御等により、燃費性能を向上させた。
 両エンジンの排気量、最高出力、最大トルクは、GH5エンジンが 4.675L、215ps、628Nm、GH7エンジンが 7.013L、245ps/280ps、716Nm/883Nm。

2011年7月発売の中型トラック Condor

中型トラック用の世界エンジン GH5エンジン
2011年7月発売の中型トラック Condor 中型トラック用の世界エンジン GH5エンジン

 



乗用車メーカーのパワートレイン関連展示概要:マツダ/富士重工/トヨタ

マツダ: コンセプトカー雄(TAKERI)搭載のSKYACTIV ディーゼルエンジン、エネルギー回生システムを展示

 マツダは、2015年までに平均燃費を2008年比30%以上改善することを目標とし、そのため、まずエンジンなどのベース技術を改良し、段階的に電気デバイスを採用する「ビルディングブロック戦略」を打ち出している。そのベース技術にあたるのがSKYACTIV技術群であり、電気デバイスのステップ1がアイドリングストップ、ステップ2が減速エネルギー回生システム、ステップ3がモーター駆動システムとなっている。


 東京モーターショーでは、SKYACTIV技術群のうち、ガソリンエンジン SKYACTIV-G、ディーゼルエンジン SKYACTIV-D、ATのSKYACTIV-Driveを展示し、減速エネルギー回生システム i-ELOOPも初披露した。


ディーゼルエンジン SKYACTIV-D 2.0

ガソリンエンジン SKYACTIV-G 2.0
コンセプトカー雄(TAKERI)、新型SUV CX-5に搭載される
ディーゼルエンジン SKYACTIV-D 2.0
ガソリンエンジン SKYACTIV-G 2.0(展示用モデル)

マツダのディーゼル・ガソリンエンジン、AT、減速エネルギー回生システム

SKYACTIV-D  SKYACTIV技術群のディーゼルエンジンで、東京モーターショーで初披露したコンセプトカー雄(TAKERI)、2012年春に発売予定のCX-5に搭載。通常は16から17程度である圧縮比を14にまで下げた。このことで、部品強度を下げ、軽量化が可能となった。エンジン全体で10%程度の軽量化(エンジンブロックをアルミ化)し、またピストンの軽量化によりレスポンスを向上させた。
 圧縮比を下げると、圧縮空気の温度が下がってしまい、低温下での始動性、温度不足による暖機運転中の半失火の問題が生じる。これに対して、マルチホールピエゾインジェクターを利用して、より燃料と空気が混ざりやすいように燃料を噴射し、低温時の始動性を高めた。また、排気側に可変バルブリフト機構を設けて、吸気中に排気バルブをわずかに開け、シリンダー内に高温の排気を入れた。これにより、圧縮空気の温度を高め、半失火を防ぐ。
SKYACTIV-G  SKYACTIV技術群のガソリンエンジンで、熱効率を上げるため圧縮比を最大14(通常は10程度)まで高めた直噴エンジン。圧縮比を高めると、圧縮空気の温度が高まり、異常燃焼(ノッキング)が発生する。シリンダー内の温度を下げるため、高温の残留排気がシリンダー内に戻らないように、長い4-2-1式の排気管を採用。他に燃料噴射特性を上げたマルチホールインジェクター、キャビティ(くぼみ)付ピストンを採用。
 現在、SKYACTIV-Gには3種類のエンジンがある。既存のプラットフォーム向けには、燃費性能に特化したエンジン(Demio向け、圧縮比14、4-1式排気管、水冷式EGR搭載)、動力性能と燃費バランス型のエンジン(Axela向け、圧縮比12、4-1式排気管)の2種(注1)。そして、2011年春に発売予定のCX-5から搭載される、フルSKYACTIV-G(圧縮比13、4-2-1式排気管)。
SKYACTIV-DRIVE  多段式AT、CVT、DCTの全ての利点を集約したという6速AT。ダイレクト感を高めるため、エンジンと変速機が直結するロックアップ領域を、現行5速ATの49%から82%にまで高めた(JC08モード:概ね時速10km以上でロックアップ可能)。そのために、耐久性の高い4枚のロックアップクラッチを用い、ダンパーを大型化。
 また、応答性を高めるために、油圧制御機構と制御コンピュータを一体化した。そのために、コンピュータが油温120度に耐えられるように開発したとのこと。SKYACTIV-DRIVEには、トルク容量によってガソリンエンジン用とディーゼルエンジン用の2種類がある。
i-ELOOP  減速エネルギー回生システム。アクセルオフ時に可変電圧式発電機(12-25V)で発電して、電気二重層キャパシター(注2)に充電する。そして、DC-DCコンバーターで12Vに降圧し、電装品や鉛バッテリーに電気を供給する。高電圧で充電することで、キャパシターは数秒で満充電が可能。キャパシターの電気は1分程度で消費されるため、市街地走行では頻繁に充電が可能となる。そのため燃料を使って発電する必要がほとんど無くなり、約10%の燃費向上が見込まれるとのこと。
(注) 1. 既存のプラットフォームでは、長い4-2-1式排気管はエンジンルームに納まらないため4-1式排気管を採用。
2. キャパシターは日本ケミコンが供給する。日本ケミコンは従来製品に比べて、内部抵抗値を3分の1に抑えて大電流の蓄放電能力を高めた。また、耐熱性も60度から70度に高めて、エンジンルーム内に納めることを可能とした。

SKYACTIV技術群の6速AT SKYACTIV-DRIVE

減速エネルギー回生システム i-ELOOP
SKYACTIV技術群の6速AT SKYACTIV-DRIVE キャパシターを用いた減速エネルギー回生システム i-ELOOP

 

富士重工: 高出力/ディーゼル/ダウンサイジング直噴ターボの3種類の水平対向エンジンを展示

 富士重工は、トヨタ86/スバルBRZ向けに開発した高出力の2.0L水平対向エンジン、欧州市場向けのディーゼル水平対向エンジン、コンセプトカーに搭載したダウンサイジング直噴ターボ水平対向エンジンを展示。


水平対向4気筒2.0Lエンジン

水平対向ディーゼルエンジン
富士重工の水平対向エンジンに、
トヨタの直噴技術D-4Sを組み合わせた
水平対向4気筒2.0Lエンジン
乗用車としては世界初の水平対向ディーゼルエンジン

ダウンサイジング直噴ターボ水平対向エンジン
ダウンサイジング直噴ターボ水平対向エンジン

 

富士重工の水平対向エンジンの展示

86/BRZ 向け
水平対向エンジン
 トヨタ86/スバルBRZ向けに開発された、4気筒2.0L水平対向エンジン。富士重工の水平対向エンジンに、高回転域での出力と燃費性能を高めるため、トヨタの直噴技術D-4Sを組み合わせた。D-4Sは筒内直噴とポート噴射の2つの噴射方式を持つシステム。基本的には直噴で、低回転時などにポート噴射を併用する。
 可変バルブ機構を用いてノッキング対策をし、圧縮比 12.5を実現。ボア/ストロークは86.0mm/86.0mm(注)。最高出力は147kW/7,000rpm、最大トルクは205N・m/6,600rpm。低重心を実現するために、エンジン下部にある排気管/オイルパンの形状を工夫した。
水平対向
ディーゼル
エンジン
 富士重工が、2008年に欧州に投入した、乗用車としては世界初の水平対向ディーゼルエンジン。4気筒2.0Lエンジンで、ボア/ストロークは86.0mm/86.0mm。ピストンが対向して動くことから振動が少ないためバランスシャフトが無いのが特長。エンジンブロックはアルミ製。Euro6への対応は2015年までの中期計画の課題としてあげられている。日本導入は検討中とのこと。
1.6L直噴ターボ
水平対向エンジン
 今後の富士重工のエンジン戦略の方向性を示すエンジン(展示されたコンセプトカーADVANCED TOURER CONCEPTに搭載)。直噴技術とターボ技術を組み合わせて、現行のターボエンジン(2.0Lと2.5L)から1.6L へサイズダウン。このことで燃焼効率をアップ。スバルのどの車種にも搭載できるようにしているとのこと。

(注) ボア/ストロークの86mmとトヨタの車名86は単なる偶然とのこと((86mm/2)の2乗×3.14×86mm×4(気筒)=1,997cc)。

 

トヨタ: 小型HV Aquaのハイブリッドシステムを展示

Aqua ハイブリッド
システム
 Aquaのハイブリッドシステムのエンジンは、2代目Priusのエンジンを改良した排気量1.5Lのアトキンソンサイクルエンジン(70%の部品を新設計)。新たに、クールドEGR、電動ウォータポンプを採用。1.8Lの3代目Priusのエンジンに比べて、エンジン長は51mm短く、16.5kg軽い。トランスアクスルはシステムとしてはPriusと同じものであるが、モーターは巻き線の巻き方を変更して小型化した(長さで21mm短く、8.0kg軽い)。ニッケル水素バッテリーも小型化して、11.0kg軽量化。

AquaとPriusのハイブリッドシステムの比較

Aqua 2代目 Prius 3代目 Prius
エンジン 型式 1NZ-FXE 1NZ-FXE 2ZR-FXE
排気量 (cc) 1,496 1,496 1.797
最高出力 (kW[PS]/rpm) 54[74]/4,800 57[77]/5,000 73[99]/5,200
最大トルク (N・m[kgf・m]/rpm) 111[11.3]/3,600-4,400 115[11.7]/4,200 142[14.5]/4,000
モーター 最高出力 (kW[PS]) 45[61] 50[68] 60[82]
最大トルク (N・m[kgf・m]) 169[17.2] 400[40.8] 207[21.1]
システム全体* 最高出力 (kW[PS]) 73[100] 82[111] 100[136]
バッテリー ニッケル水素
20個(6.5Ah)
ニッケル水素
28個(6.5Ah)
ニッケル水素
28個(6.5Ah)

* エンジンとモーターにより、システムとして発揮できる出力。トヨタ測定値


小型HV Aquaに搭載されるエンジンとモーター

Aqua用のニッケル水素バッテリー
小型HV Aquaに搭載されるエンジンとモーター。
左端にPrius用のものが写っており、モーターの
巻き線の巻き方が異なるのが分かる。
Aqua用のニッケル水素バッテリー

 



軽自動車のパワートレイン展示概要:ダイハツ/ホンダ/スズキ

ダイハツ:

 ダイハツは、30.0km/L(JC08モード) を達成した Mira e:Sの技術を第1段階とする、技術ロードマップを展示。第2段階では、35km/L (JC08モード)を目指す、2気筒直噴ターボエンジン、アクティブ着火システム、大容量キャパシターを展示。第3段階では、ゼロ・エミッションを目指した、ダイハツ独自の燃料電池車の技術を展示。


コンセプトカー D-Xに搭載の660cc 2気筒直噴ターボエンジン

放充電速度を高めたメガストレージキャパシター
コンセプトカー D-Xに搭載の660cc 2気筒直噴ターボエンジン 放充電速度を高めたメガストレージキャパシター

 

ダイハツ技術ロードマップ

1st STAGE
30km/Lの達成
Mira e:S
(JC08モード)
パワートレインの進化  圧縮比を10.5から11.3に高め、i-EGR(イオン電流燃焼制御式EGR)付のエンジンを採用。圧縮比を高めるために、ノッキング対策としてエンジンブロックの肉厚を薄くして燃焼室と冷却水と接近させ、冷却効率を高めた。CVT内のプーリーを押しつける圧力を、エンジントルクと協調させ最適化し、動力伝達効率をアップさせた。
車両の進化  60kgの減量で車両重量730kg以下とした。(1)補強部品をできるだけ直線とすることで、シェルボディの骨格合理化(-30kg)、(2)樹脂部品の薄肉化等による内装部品の軽量化(-20kg)、(3)部品の取付け用のブラケットの削減などアレンジ・パッケージの変更(-10kg)、(4)その他の軽量化(-15kg)、(5)燃費改善アイテムの搭載(+15kg)。
エネルギーマネジメント  停車前(7km/h以下)にエンジンがストップするシステム、減速エネルギーを鉛バッテリーに回生充電するシステムの効率アップ、エンジンルームに効率的に外気導入し冷却を効率アップ。
2nd STAGE
35km/Lを
目指した方策
(JC08モード)
2気筒直噴ターボエンジン  熱効率の良い2気筒化した排気量660ccのエンジン。最高出力:47kW/6,000rpm、最大トルク:110N・m/2,000rpm(注)。2気筒では振動に問題が発生するが、バランスシャフトなど振動を抑える技術を発展させたとのこと。ターボシステムは主に、燃費改善のためEGR量を増やすことに用いる。
アクティブ着火システム  プラグで点火する際に、高周波の電気を加えて、燃焼室内をプラズマ化することで火種を大きくし、ガソリンを無駄なく燃やす技術。EGR量を多くすると燃焼が不安定になることに対応する。
メガストレージキャパシター  放充電速度を高めた新しいキャパシター。容量を現在の3-5倍増やし、エアコン/オーディオ等を動かすことを狙う。ダイハツは、電気二重層キャパシターをアイドリングストップシステムの補助電源に利用していた。
3rd STAGE
ゼロエミッションを
目指して
貴金属フリー燃料電池車

 水素貯蔵に液体燃料(水加ヒドラジン(N2H4・H2O))を用い、燃料電池スタックに貴金属(白金)用いない燃料電池車。水加ヒドラジンは窒素と酸素を原料に作ることができ、常温では引火しない特性を持つ。毒性もガソリンと同程度で、ガソリンスタンドでの補充も可能。また、スタックには、通常、酸性度の高い環境下で発電するため、耐食性の高い、高価な白金を電気触媒に用いる。ダイハツのスタックでは、アルカリ環境下で発電することで、資源が豊富なコバルトやニッケルを用いることが可能となり、コスト低減につながる。

Mira e:S搭載のエンジンは38kW/6,800rpm、60N・m /5,200rpm

 

ホンダ:軽自動車用次世代革新技術「EARTH DREAMS TECHNOLOGY」

 ホンダは、東京モーターショープレスデー初日に、次世代革新技術「EARTH DREAMS TECHNOLOGY」の概要を発表。内燃機関、トランスミッション、電動化技術を進化させ、3年以内に各カテゴリーで燃費No.1を目指す。当モーターショーで披露したN BOXには、この「EARTH DREAMS TECHNOLOGY」の軽自動車用の新型エンジン/新型CVTを搭載。


ホンダN BOXに搭載された軽自動車用の新型エンジン/新型CVT
ホンダN BOXに搭載された軽自動車用の新型エンジン/新型CVT

 

ホンダ:「EARTH DREAMS TECHNOLOGY」軽自動車用エンジンとCVT

3気筒 660cc
DOHC エンジン
 連続可変バルブタイミング・コントロール機構の採用と、コンパクトな燃焼室を実現したことで、クラストップ(ホンダ調べ)の最高出力/最大トルクを達成(43 kW、65N・m)。電子制御スロットルとCVTの協調制御により、燃費性能を高めた(JC08モード 22.2km/L)。燃焼室をコンパクトにするためにスイングアーム式ロッカーアームを採用したり、自動的にバルブクリアランスを調整するハイドロリック・ラッシュアジャスターを採用するなど、高級エンジンに用いられる機構を使っている。また、シリンダーブロックの薄肉化などで、重量を12kg減の69kgとした。
 N BOXのエンジンルームは70mm短く、衝突時の衝撃を吸収するストローク(幅)が短くなる。そのため、エンジンの補機類を中心に、「つぶれやすく」することで対応した。具体的には、衝突時にコンプレッサーや発電機がエンジンの隙間に飛び込み、インテークマニホールド・キャタライザーがつぶれるようにした。その結果、衝突時にエンジンの前後長は78mm短くなり、ストロークを確保した。
軽自動車用 CVT  伝達効率が高く、軽量コンパクトな軽自動車用CVT。プーリーへの入力トルクが高く、回転数が低いと伝達効率が高まるため、エンジンとプーリーの間に平行軸方式の1次減速機構を設けた(ダイハツは遊星歯車方式の減速機構を設けている)。平行軸方式を採用したのは、ギアが少ないため伝達効率が良く、減速比の設定自由度が高いため。
 平行軸方式減速機構では、遊星歯車方式に比べてプーリーの配置の自由度も高く、レイアウトを工夫し、CVTの前後長を短くした。また、トランスミッションケースの構成の簡略化などで軽量化も図った。

 

スズキ:Alto eco 搭載エンジン

改良 R06A
エンジン
 2011年11月発売の、燃費性能30.2km・L(JC08モード)を達成したAlto ecoには、改良したR06A(注)を搭載。改良点は以下の通り。カムシャフト・クランクシャフト摺動部のフリクション低減、ピストンスカート部の樹脂コーティングを波状パターンへ変更し潤滑性向上、クランクシャフトベアリング幅を10%減としてフリクション・重量を軽減、バルブスプリングの荷重を25%減らしカムシャフトの駆動ロスを抑えた。最高出力は40kW/6,500rpmから38kW/6,000rpmへ落とした。

(注) R06Aエンジンは16年ぶりに刷新されたスズキの軽自動車用エンジンで、2011年1月発売のMR Wagonに搭載された。

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>