フランクフルトモーターショー 2011 (2):仏伊韓メーカーの展示取材

PSAがディーゼルハイブリッドモデルを、Fiatが新型Pandaを初披露

2011/10/14

要 約

 IAA 64 フランクフルトモーターショー2011がMesse Frankfurtで2011年9月15日から25日にかけて開催された(プレスデーは9月13、14日)。本レポートは、3回に分けて報告する展示取材の2本目。今回は、フランスメーカーのPSAとRenault、イタリアメーカーのFiat、韓国メーカーの現代グループを取りあげる。3本目のレポートでは日米メーカーの予定。

 PSAは、世界初となるディーゼルハイブリッドシステムHYbrid4を前面に出した展示をPeugeotブランドで行い、Citroenブランドでは上級モデルブランドDSラインをアピールしていた。Renaultは、小型商用車のEV コンセプトカーなどを展示。

 Fiatと現代グループ傘下の起亜は、それぞれ小型車 Fiat PandaとKia Rio(3ドアモデル)を初披露。現代ブランドでは同ブランドの欧州での躍進を支えたCセグメント車i30の2代目が初披露された。



PSA:ディーゼルハイブリッドHYbrid4搭載モデル Peugeot 508 RXH を初披露

 PSAは、世界初のディーゼルハイブリッドシステムHYbrid4 を搭載したモデルを展示。このハイブリッドシステムは、前輪をディーゼルエンジンが、後輪をモーターが駆動させる仕組み。HYbrid4を搭載する販売モデルとして、Peugeot 3008(2011年秋発売予定)、Peugeot 508 RXH(2012年春発売予定)、Citroen DS5(2011年末発売予定)を展示した。

 また、大型のコンセプトカーも初披露。Peugeotは6人乗りのディーゼルプラグインハイブリッドMPV HX1を、Citroenは9人乗りの大型バンTubikを展示。

 

Peugeot 3008 HYbird4のカットモデル Peugeot 3008 HYbird4のエンジン部分
Peugeot 3008 HYbrid4のカットモデル Peugeot 3008 HYbrid4のエンジン部分

 

HYbrid4:PSAのディーゼルハイブリッドシステム

概要  PSAが開発した(世界初の)ディーゼルハイブリッドシステム。ディーゼルエンジンが前輪を駆動させ、モーターが後輪を駆動させる。前輪と後輪の駆動部はそれぞれ独立。エンジンは、アイドリングストップ機能と回生ブレーキ機能の付いた、2.0L HDi ディーゼルエンジン(最高出力120kW、最大トルク163bhp)。最高出力27kW・最大トルク37bhpのモーターと駆動用のニッケル水素電池(容量1.2kWh)を搭載。変速機は6速AMT。
4つの
走行モード
(1) 自動(Auto): 自動的に、燃費が良くなるようにエンジンとモーターを用いて駆動する。
(2) ZEV(Zero Emission Vehicle): モーターのみを使い走行する(最大2-3km)。その後は自動的にAutoモードに切り替わる。
(3) 4WD: 路面状況が悪く、よりグリップが必要な状況で、低速で4輪とも駆動させるモード。
(4) Sport: モーターとエンジンを最大限に活用して、反応の良さと強い駆動力を引き出すモード。

 

Peugeot:3台のディーゼルハイブリッドモデルを展示

508 RXH  Peugeotブランドの旗艦モデル508(2011年2月発売)のディーゼルハイブリッドモデル。ベース車であるステーションワゴンモデルに比べて、最低地上高54mmは高くなっている。PeugeotのHVの2モデル目。2012年春に発売予定。Hybrid4 ディーゼルハイブリッドシステムを搭載し、燃費性能は4.2L/100km~(欧州複合:注)。
3008 Hybrid4  世界初のディーゼルハイブリッド車。HYbrid4 システムを搭載し、燃費性能は3.8L/100km~(欧州複合)。2011年11月までに発売予定。ベースモデルである3008の欧州複合燃費は4.7L/100km~。
HX1  6人乗り(4+2)MPVのディーゼル・プラグイン・ハイブリッド・コンセプトカー。MPVを名乗っているものの、大きな全長(4,954mm)に比べ、全高が低く(1,373mm)、細長い車体をしている。ガルウィングの4ドアで前部ドアは前方へ、後部ドアは後方へ跳ね上がる。
 HYbrid4 システムを搭載し、システムの最大出力は299bhp。外部からの充電でEV走行も可能(最大30km)。燃費性能は3.2L/100km(欧州複合)。

(注)燃費性能は装着するタイヤにより様々。表記したのはそのうち最高の数値。

 

Peugeot 508のディーゼルハイブリッドモデル Peugeotのコンセプトカー XH1
Peugeot 508のディーゼルハイブリッドモデル Peugeotのコンセプトカー XH1

 

Citroen;最上級モデルのDS5と大型バンのコンセプトカーを展示

DS5  上級モデルDSラインの3モデル目にして最上位モデル。5ドアのクロスオーバー。全長は4.52mと C5より25cm短い。2011年末に欧州発売予定。2012年には南米・ロシア・中国でも発売される。
 それぞれ2種類のディーゼルエンジンとガソリンエンジンが用意され、HYbrid4システムを搭載したディーゼルハイブリッドモデルも発売される。
Tubik  車での新しい旅を提案する3×3シートの9人乗りのコンセプトカー。全長4.08m、全幅2.08m、全高2.05mと大型のバン。シートは、向かい合って座ったり、ベッドのように用いたり、テーブルとして利用したりと多彩な利用が可能。助手席側のドアは、側面全体を覆うドアが上がるようになっている。パワートレインはHYbrid4を用いたディーゼルハイブリッド。
 Tubikの名前は1940年代に製造されていた、商用バンTUBに由来している。

 

Peugeot DSライン最上級モデル DS5 Citroenの大型バンのコンセプトカー Tubik
Citroen DSライン最上級モデル DS5 Citroenの大型バンのコンセプトカー Tubik

 



Renault:小型商用車のコンセプトカー FRENDZYを初披露

 Renaultは、小型商用車のコンセプトカー FRENDZYを初披露。他に、今後1年間で発売を開始するEVの4モデルも展示。展示を行っていたのは、VWグループが1階を専有した3号館の2階。1階の活況ぶりと比較すると、やや静かな印象。

 

RenaultのLCVコンセプトカー FRENDZYの助手席側 RenaultのLCVコンセプトカー FRENDZYの運転席側
RenaultのLCVコンセプトカー FRENDZYの助手席側 RenaultのLCVコンセプトカー FRENDZYの運転席側

 

Renault:小型商用車 FRENDZY を初披露

FRENDZY  小型商用車(LCV)のEVコンセプトカー。同ブランドのLCV Kangooと同じように乗用車としても使えるように設計(Kangooより全長は124mm短い)。Bピラーがない車体構造をしており、運転席側は観音開きの2ドア、助手席側の後部ドアはスライドドアになっている。スライドドアには37インチの液晶ディスプレーが付いており、商品の広告などが行える。
 電動パワートレインは、2011年11月に発売される LCV Kangoo Z.E.と同じものが用いられており、モーターの最大出力は44kW で、リチウムイオン電池を搭載。

(注) Renaultは、この先1年で4つのEVモデルを発売する。2011年11月には、電動LCV Kangoo Z.E.を発売。前後2人乗りの超小型EV Twizyを2012年3月に、小型セダンEV ZOEと中型セダン EV Fluence Z.E.を2012年秋に発売する予定。

 

2011年11月発売のKangoo Z.E. 2012年3月発売の、2人乗り超小型EV Twizy
2011年11月発売のKangoo Z.E. 2012年3月発売の、2人乗り超小型EV Twizy
 
2012年秋発売の小型セダンEV ZOE 2012年秋発売の中型セダンEV Fluence Z.E.
2012年秋発売の小型セダンEV ZOE 2012年秋発売の中型セダンEV Fluence Z.E.

 



Fiat:新型 Pandaを初披露、Chryslerとの提携第1弾モデル Freemontも展示

 Fiatは先代よりやや大型化した、新型Pandaを初披露。イタリア国内で2011年内にも生産開始予定。他に、ChryslerからOEM供給を受けるSUV Freemont等を展示。

 Fiatの展示は、ChryslerのJeepブランドを始め、傘下のブランドを一つの展示ホールに集めて行われた。Ferrari、Maseratiなど有名ブランドを抱えることもあり、会場は活気づいていた。

 

Fiat Pandaの3代目 逆立ちし、ルーフ部分を切り開いて、車室の様子が分かるように展示されたPanda
Fiat Pandaの3代目 逆立ちし、ルーフ部分を切り開いて、
車室の様子が分かるように展示されたPanda

 

Fiat:3代目Panda、Chryslerとの提携第1弾モデルFreemontを展示

Panda  Fiatブランドの小型車Pandaの3代目。全長/全幅/全高は3.65/1.64/1.55(m)と、先代より全長で約10cm、全幅で6cm、全高で1cm大きくなっている。生産は、2011年第4四半期よりイタリア Pomigliano d'Arco工場で行われる
 用意されるエンジンは、2気筒0.9L TwinAirのターボ付と自然吸気タイプ、4気筒1.3Lの3種のガソリンエンジンと1.3L Multijet II ディーゼルエンジン。TwinAirエンジンとディーゼルエンジンのモデルはアイドリングストップ機能を標準装備。2種の混合燃料エンジンも追加される。発売後、1年以内に緊急ブレーキ機能も追加される。
Freemont  7人乗りSUV。Fiat傘下 Chryslerから、Dodge Journey のOEM供給を受けた提携第1弾モデル(注)。エンジングリルのデザインが変更されている。2011年10月発売。

(注)Fiat傘下のLanciaブランドでは、Chrysler 300のOEM供給を受けて、17年ぶりに復活した 同ブランドフラグシップセダンTheme、Chrysler 200 Convertibleの供給を受けた Flavia Cabrio、Chrysler Town & Countryの供給を受けた MPV Voyagerなどを展示。

 

Freemont:ChryslerからDodge Journey をOEM供給受けたモデル
Freemont:ChryslerからDodge Journey のOEM供給を受けて投入されるモデル

 



現代グループ:2代目 現代ブランド i30と起亜ブランド Rio 3ドアモデルを初披露

 現代グループは現代ブランド、起亜ブランドとも出展。現代ブランドでは、Cセグメント車のi30の2代目モデルを初披露したほか、発売されたばかりのi40、電気自動車の試験生産車 BlueOn EVも展示。起亜ブランドでは、5ドアモデルは発売済みのBセグメント車Rioの3ドアモデルと、同ブランド初の後輪駆動モデルのコンセプトカー Kia GT Conceptを初披露。

 現代ブランドと起亜ブランドはそれぞれ別の会場での展示。現代ブランドはFiatグループと同じ展示ホールで出展し、記者発表時にはFiat側まで人があふれる状況。起亜ブランドは、Renaultと同じくVWグループの上の階の会場で、やや閑散としていた。

 

現代ブランドi30の2代目モデル 2011年7月に発売されたi40の5ドアモデル
現代ブランドi30の2代目モデル 2011年7月に発売されたi40の5ドアモデル

 

現代ブランド:新型i30を初披露し、新型i40、EVの試験生産車などを展示

i30  2012年初めに欧州で発売される、Cセグメントのハッチバック i30の2代目。「流れるような彫刻 "fluidic sculpture"」と呼ぶ車体デザインが特徴的。現代自動車の欧州部門でデザイン/開発された。年間12万台の販売を計画している。
 パワートレインは1.4Lと1.6Lディーゼルエンジン、1.4Lと1.6Lガソリンエンジンが用意され、変速機は6速MTと、6速AT。Blue Driveと呼ばれる燃費を良くしたモデル(アイドリングストップ機能、低転がり抵抗タイヤ装備のディーゼル車)のCO2排出量は、100g/km以下になる予定。内装は上位モデルの i40並とのこと。
i40  欧州向けDセグメント車。韓国/米国などで発売されている、Sonataと同じプラットフォームを利用して、欧州で開発された。2011年7月に5ドアモデルが発売され、年内に4ドアタイプが発売される。
BlueOn EV  小型ハッチバック i10をベースに開発されたEV。2011年より試験生産され、約2500台が生産される予定。 リチウムポリマー電池(容量16.4kWh)を用い、航続距離は約140km。

(注)現代・起亜は、それぞれ、2015年後半、2014年前半にコンパクトサイズのEVを発売すると、2011年9月28日に発表した。当初は電池性能・コストの問題から(i10クラスの)小型EVに注力するとしていた。起亜自動車は小型CUVセグメントのEVを2011年末に発売し、その後、現代自動車はPHVとコンパクトサイズのEVを発売する。

起亜ブランド:Rioの3ドアモデル、ブランド初の後輪駆動モデル Kia GT Conceptを展示

Rio  Bセグメントの小型車の4代目(韓国名はPride)。5ドアモデルは2011年9月より欧州で発売されている。3ドアモデルは世界初披露(2012年第1四半期に発売予定)。先代モデルよりホイールベースは70mm拡大され2570mmとなり車室内が広くなった。一方で全高は1,455mmと起亜の全モデルで一番低くなっている。韓国所下里 (Sohari) 工場で生産される。
 パワートレインは1.1Lと1.4Lディーゼルエンジン、1.2Lと1.4Lガソリンエンジンが用意される。1.1L ディーゼルエンジン搭載のEcoDynamicsモデル(アイドリングストップ機能付で、車体抵抗を抑える部品を付ける一方、装備を簡略化して車体重量を36kg軽くしたモデル)の欧州複合燃費は3.2L/100km。
Kia GT Concept  起亜ブランド初の後輪駆動のスポーツセダンコンセプトカー。次世代の起亜ブランドの方向性を示すとしている。サイドミラーの代わりに取付けられている、翼のような形をしたカメラと、観音開きの前後ドアが特徴的。V6 3.3L ターボ付直噴ガソリンエンジン(最高出力 395PS、最大トルク534Nm)と8速ATを搭載。

 

4代目Rio(3ドア) Kiaブランド初の後輪駆動モデルとなる、Kia GT Concept
4代目Rio(3ドア)。
写真は、燃費性能を高めたEcoDynamicsモデル。
Kiaブランド初の後輪駆動モデルとなる、Kia GT Concept

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>