CATARC提携レポート 中国新エネルギー車動向 2016年8月

2016年7月の新エネルギー車生産はやや減少 商用車生産は小規模で推移する見通し

2016/09/01

中国国内生産 (概要)



このレポートは北京CATARC科学技術センター*のレポートをマークラインズが編集・翻訳したものです。
過去のCATARC提携レポートはこちらをご参照ください

 2016年7月の新エネルギー車(EV、PHV、FCVが対象で、鉛酸電池搭載車は含まない)生産台数は前年同月比で2倍、前月比で2割近くの減少となる36,387台となった。2016年1~7月の新エネルギー車生産台数は18.7万台と、前年同期の9.78万台から倍増した。

 2016年7月の新エネルギー車生産を車種別に見ると乗用車が前月比12ポイント増の86%、バスが同比8ポイント減の13%、特殊車両が同比4ポイント減の1%を占めた。中でも、EVバスとEV特殊車両の減少が顕著であった。2016年7月現在、補助金不正受給を取り締まるため補助金制度が見直されている。新エネルギー商用車メーカーは補助金制度が確定するまで生産を控えているため、新エネルギー商用車生産は補助金制度が確定するまで小規模で推移する見通しである。

図1 新エネルギー車の生産台数 (2016年2月~2016年7月)



中国国内生産

表1 新エネルギー車の車種別生産台数 (2016年7月)

 
PHV
EV
合計
乗用車
9,338
21,795
31,133
バス
1,323
3,394
4,717
特殊車両
0
537
537
合計
10,661
25,726
36,387


図2 新エネルギー車の車種別生産比率 (2016年7月)

PHV

 2016年7月のPHV生産台数は10,661台となった。うちPHV乗用車は前月比4.1%増、前年同月比63.9%増の9,338台となった。PHV乗用車を生産するメーカーは上海汽車、BYD(西安と深圳)、広州汽車、北京Benz、華晨BMWの6社である。栄威550 PHEVは月次生産が3,500台超となり、BYDの秦を上回った。この結果は4月初めに公布された「上海市新エネルギー車購買と使用に関する暫定法(2016年改訂)」(以下、暫定法)による影響が大きい。この暫定法は2014年1月1日から現在までに上海での新エネルギー車累計販売が4万台を超えたメーカーに対して地方補助金を半減、累計6万台を超えたメーカーに対して地方補助金を廃止すると定めている。また、乗用車に対する補助金は従来の1台あたり3~4万元から1~3万元に引き下げた。さらにエンジン排気量が1.6L以下、ハイブリッド走行時の燃費が5.9L/100km以下、燃料タンクの容量が40L以下のPHV乗用車に対しては毎年1.4万元の補助金を支給するとしている。暫定法の改訂によりBYD秦および唐の補助金が大幅に減少したのに対し、栄威550PHEVは改定前より1.4万元多い補助金が得られたため、価格面で有利になったと考えられる。

 2016年7月のPHVバス生産台数は前月比57.9%増、前年同月比18.6%減の1,323台となった。7月に生産されたPHVバスは全て全長8m以上で、10m以上の大型バスは76%超と最も多い。PHVバスを生産するメーカーは前月と同じ11社で、上位5社は宇通、南車時代電動、蘇州金龍、北汽福田、廈門金龍である。駆動電池を種類別に見ると、マンガン酸リチウムが55%と最も多く、ニッケル水素、リン酸鉄リチウムがそれに続く。燃料別では天然ガスの比率が39%から24%に縮小し、ディーゼルが61%から76%に拡大した。ディーゼル比率が拡大した背景は主に軽油価格の値下がりが要因である。

EV

 2016年7月のEV生産台数は2.57万台と前月から大幅に減少した。EV乗用車も前月から1割近く減少し、21,795台となった。EV乗用車を生産するメーカーは22社あり、1,000台超を生産したメーカーは7社ある。上位5社は北京汽車、西安BYD、湖南江南、浙江吉利、江鈴汽車、上位5ブランドはBYD、北京、衆泰、知豆、吉利美日であった。北京汽車は4,000台超を生産し、メーカー別で首位となった。中でも、北京汽車 EV200の生産が最も多い。BYDはE5と秦EVが上位に入ったため西安BYDが深圳BYDの生産を上回った。駆動電池の種類別では三元系が68%を占め、リン酸鉄リチウムが32%を占めた。

 2016年7月のEVバス生産台数は前年同月比40.5%減、前月比60.1%減の3,394台となった。7月にEVバスを生産したメーカーは29社と、3ヵ月連続で減少した。上位5社は鄭州宇通、揚州亜星、成都客車、中国重型汽車、蘇州金龍である。全長10m以上の大型バスの比率が53%と前月より拡大し、全長8~10mは前月より縮小した。駆動電池を種類別に見ると、リン酸鉄リチウムの比率が99%、チタン酸リチウムが1%を占めた。

 2016年7月のEV特殊車両の生産台数は537台と、前年同月比で38.1%減、前月比で75.1%減となった。EV特殊車両を生産するメーカーは前月比で21社増加し、47社となった。上位4社は上汽商用車、重慶瑞馳、大運汽車、南京汽車である。用途別では配送向け車両の比率が最も多く、前月の81%から94%にまで拡大した。



国内動向

新型騰勢(DENZA)、航続距離を400kmに拡大

 2016年8月1日、騰勢(DENZA)は駆動電池の蓄電容量を47.5kWhから62kWhに、航続距離を400kmに拡大した新モデルの市販を開始した。時速50kmまでの加速時間は4秒。新モデルは「時尚(Lifestyle)」、「尊貴(Executive)」、「栄耀(Aurora)」の3つのグレードがある。

香港、BYD e6 EVタクシーの使用を中止

 香港環境保護署はBYD e6を使用した2年間のEVタクシー試験営業を行ってきたが、採算の問題からEVタクシーの使用を中止した。主な要因は香港に充電ステーションが少ないこと、EVの充電に2時間半を要することなどが挙げられている。通常のタクシーは昼夜2交代で営業できるのに対し、EVタクシーは1日1交代が限界であるため、採算を悪化させていた。そのため、BYD e6のEVタクシーは40台程度が香港から撤退している。

重慶小康集団、EVプロジェクトに25億元

 2016年7月27日、重慶小康工業集団股份有限公司[Chongqing Sokon Industry Group Co., Ltd.]は株主総会で「EV乗用車工場の建設に対する投資案」を決議した。工場への投資額は25億元超で、生産能力は新エネルギー車が年間5万台、モーター・電池システムが年間6万セット。2018年10月の稼働を目指す。

BYD、子会社に60億元増資

 2016年7月28日、BYDは100%子会社である深圳比亜迪鋰電池有限公司[Shenzhen BYD Lithium Battery Co., Ltd.]の増資を行い、リチウムイオン電池事業を強化すると発表した。増資により、同子会社の資本金を1.6億元から61.6億元に引き上げる。BYDの出資比率は100%のままである。

出典:
Energy-saving and new energy vehicle network www.chinaev.org
CATARC Beijing Operations

* CATARC (China Automotive Technology & Research Center; 中国自動車技術研究センター)は国務院国有資産監督管理委員会に所属する国営企業で、自動車業界標準及び技術法規の策定、製品認証テスト、 品質保証システム認証、業界企画及び政策研究、情報コンサルティングなどを行う。
CATARCが提供する新エネルギー自動車産業向けの情報サービス「省エネ・新エネルギー車ネットワーク (Energy-saving and new energy vehicle network)」は中国の省エネ・新エネルギー車関連の情報をタイムリーに提供する情報サービスで、マーケティングおよび技術コンサルティングや調査・研究、予測等も行います。