燃料電池商用車:トヨタが中国大手OEMとFCシステムを共同開発

ホンダ/いすゞ、現代自動車、Daimler/Volvo、EUの6社バス連合、Nikola Motorの計画

2020/07/30

要約

燃料電池大型トラック
トヨタが米国トラックメーカーのKenworthと共同で開発した燃料電池大型トラック(出典:トヨタ)

  本レポートは、燃料電池を搭載する商用車の動向を報告する。
  燃料電池車は、電動自動車としてEVに比べ航続距離が長い、燃料充填時間が短いという大きなメリットがあるが、価格の高さや水素ステーションが少ないことが普及の妨げになっている。
  しかし、ここ1~2年の間に燃料電池商用車(バスや大型トラック)の投入が開始され、また新たな商品化の計画が相次いで発表されている。商用車であれば高いイニシャルコストの吸収が可能であり、また決まったルートを走行するので水素ステーションの課題も解決しやすいとされている。

  先行するトヨタは、2018年から日本で大型バス「SORA」を販売している。2020年6月、中国の一汽など5社との連合を設立し商用車向け燃料電池システムを共同開発する計画を発表した。また、既に福田汽車などのバスメーカーに燃料電池部品を供給している。
  さらに、米国のトラックメーカーKenworthと共同開発した大型トラックが2019年秋からカリフォルニア州でオペレーションを開始し、トレーラーヘッドも開発した。また日野と共同で燃料電池大型トラックを開発する。

  ホンダといすゞは、燃料電池大型トラックを共同開発する。

  現代自動車は2020年7月、10台の燃料電池大型トラックをスイスに向け出荷した。2020年内に50台、2025年までに1,600台を輸出する計画。

  欧州では2020年4月に、DaimlerとVolvoが共同で大型トラック向け燃料電池システムを開発すると発表した。Daimlerは小型トラックはEV、大型トラックは燃料電池車としていく方針。乗用車については今後燃料電池車の開発は行わず、EV化を推進する。
  2019年6月、Ballard Power Systemsなどの6社連合は、EUから資金援助を得て燃料電池バス1,000台を開発・生産する計画を発表している。また、EUは2020年7月に水素戦略を発表、ドイツも独自の水素戦略を発表した。いずれも、運輸部門では商用車に注力するとしている。

  米国では、新興メーカーのNikola Motorが、Class 8の大型トラックとピックアップトラックの開発を進めている。BoschがスウェーデンのPowercellと共同開発している燃料電池スタックの供給も含め開発を支援している。

 

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