5Gによる通信や遠隔制御が自動運転を補完・支援

オートモーティブワールド2019でのNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの講演から

2019/02/22

要約

ネットワークを活用した自動運転
ネットワークを活用した自動運転(資料:ソフトバンク)

  2019年1月に開催された第11回オートモーティブワールドセミナーにおいて、通信3社、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクによる「5Gでコネクティッドカーはどう変わるか ?」を統一テーマとする講演があった。3社は、5G導入の意義、スケジュール、導入に備えて進めている各種の実証実験を紹介した。

  5G通信の標準化を進める国際団体3GPP*が段階を追って標準化した仕様を発表し、5Gの標準仕様が固まってきた。2019年にもプレサービス、2020年に商業サービスが導入される予定。

* 3GPP(Third Generation Partnership Project):無線通信仕様の標準化を進めるプロジェクト。

  本レポートは、各社の講演から、5Gが自動運転を補完・支援する役割を中心に報告する。

  • 車載センサーで把握しきれない領域(遮蔽物によりセンサーで把握できない近傍領域や広域情報など)の状況認知を、通信で補うことが可能になる。
  • 5Gによる遠隔制御システムを搭載するレベル4自動運転車の実証実験が行われている。(日本でレベル4の無人自動運転の公道テストを行うには、警察庁の道路使用許可に関するガイダンスにより、遠隔制御システムの搭載が求められている。)

  また、2019年12月に3GPPのRelease-16で「5G V2X(NR-V2X)」の仕様が決定される。現在実証実験が行われているLTE V2Xに比べ性能が大幅アップし、自動運転をさらに本格的に補完・支援することが可能。スマートフォンに対応し、V2P(Vehicle to Pedestrian)も可能になる。

  同時に、今後のデータ転送量の飛躍的な増大に対応して、データの分散処理が検討されている。Multi-access Edge Computing(MEC)は、端末から近い位置にデータ処理機能を配備することで、通信の最適化や低遅延化を実現する技術で、これにより5Gの性能を最大限に発揮できるとのこと。

  5GによるConnectivityの向上は、テレマティクスの利便性を向上させる。さらに完全自動運転が実現すると、車内がパーソナル空間となりインフォテインメント利用の機会が増え、高速・大容量のネットワーク接続で応えることが求められる。


関連レポート:
日産、NTTドコモ、AT & Tの第5世代移動通信システム(5G)導入 (2018年11月)

このレポートは有料会員限定です。 残り 9 章
無料会員登録により、期間限定で続きをお読みいただけます。