タイ: 2014年の生産台数は前年比11%減の220万台の見通し

購入支援策終了の反動減と政治混乱で内需は縮小、輸出は小幅増の見込み

2014/10/03

要 約

タイの自動車生産・輸出・国内販売台数
クーデター後、政治混乱は収拾

 タイでは、2014年5月22日のクーデターにより、暫定的な軍事政権が誕生。一連の改革プロセスを経て、2015年秋に総選挙・民政移管を行うという行程が発表され、ひとまず政治混乱が収まった。国内経済の大幅な景気後退入りも回避されたと見られる。

2014年は生産・国内販売が減少、輸出は増加の見込み

 タイ工業連盟 (FTI) によると、2014年の生産台数見通しは前年比10.5%減の220万台。Toyota Motor Thailand (TMT) の予測では、タイ政府の購入支援策終了による反動減と政情不安による需要減で、国内販売は前年比30.9%減の92万台となるが、輸出は6.4%増加する見通し。

 2014年第2四半期に発表されたLMC Automotiveの予測によると、2014年のタイのlight vehicle販売台数 (中大型商用車を除く) は前年比27.0%減の94万台。その後、販売は徐々に回復し、2017年には124万台に達する見込み。

第2期エコカー計画に10社が応募

 タイ政府が低燃費小型車の生産誘致のために実施しているエコカー計画の第2期の申請が、2014年3月末で締め切られた。第1期に参加した日系5社に新規5社が加わり、計10社が応募した。投資計画が認可されれば、2019年末までに生産を開始する予定。タイ政府は「2017年に自動車生産300万台」とする目標の達成につなげたいとしている。

生産能力・開発機能を拡充する一方、新工場の稼働延期も

 中長期的には生産・輸出拠点としてタイは重要であるとして、引き続き生産能力拡充の動きが見られる。日産は2014年7月に年産能力15万台の第2工場を稼働。中国の上海汽車とタイのCP Groupの合弁会社は6月に同5万台の新工場を稼働した。VWはエコカー用に2019年までに工場を新設する計画と報じられている。また、三菱といすゞはタイにおける研究開発機能を強化した。一方、ホンダは新工場を2015年に稼働する予定だったが、需要低迷により稼働開始を半年から1年延期する見通し。


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