VW:2014年新車販売は1000万台へ、世界一に挑む
アウディ/ポルシェ/中国が業績を支え、VWブランドは経費削減に取り組む
2014/08/25
- 要 約
- 世界販売台数:1,000万台を超え、世界一へ
- 業績:為替変動で、売上/利益とも伸び悩む
- 収益構造:中国とAudi/Porscheブランドが支える、VWブランドは減益
- 2つの母国市場:年産体制500万台を目指す中国市場と、販売が回復する西欧市場
- 課題を抱える市場:米国、ブラジル、インド、ASEAN
- LMC Automotive 販売予測:VWのライトビークル販売は、2017年に1,137万台へ
要 約
2014年上半期:3万台差で販売台数世界第2位
VWグループの2014年1-6月の世界販売台数は、前年同期比5.6%増の506.6万台。同時期のトヨタの販売台数は同3.8%増の509.6万台であり、GMは同1.4%増の492.2万台。VWは上半期の販売台数でGMを抜き世界第2位メーカーとなり、首位のトヨタにわずか3.0万台に肉薄した。
2014年通年:世界販売首位も
トヨタは同年8月5日に2014年暦年の販売台数見通しを下方修正し、前年比2%増の1,022.0万台になると発表。VWは「Strategy 2018」で掲げた、2018年までに1,000万台販売という中期目標を、2014年に4年前倒しで達成するとしているが、詳細な見通しは明らかにしていない。仮に下半期も上半期と同程度の伸び率を達成した場合、2014年通年の販売台数は1,027万台程度になる。年間の販売台数首位の座は数万台程度の差で決着する可能性がある。
中国とAudi/Porscheブランドが業績の支え
VWグループを収益面で支えているのは、AudiとPorscheの2つのプレミアムブランドと中国市場。2014年1-6月の業績で見ていくと、AudiとPorscheを合わせた販売台数はグループの16%(連結対象外の中国事業を除く)を占めるに過ぎないが、営業利益は自動車部門全体(同)の約8割を占めている。 また、中国合弁会社には持ち分法が適用されており、2014年1-6月の中国合弁会社の持分利益は26億ユーロであり、税引前利益の3分の1を占めた。
米国/ブラジル/インド、VWブランドが懸念材料
一方懸念が残るのは、販売台数を落としている米国/ブラジル/インド市場と、VW乗用車ブランドである。米国/ブラジル/インド市場では、積極的な投資を今後行って現地生産を進め、市場にあったモデルを投入することで挽回を狙っている。また、VW乗用車ブランドは中国を除くと販売台数が減少しており、営業利益率も2.1%(2014年1-6月)に過ぎず、今後コスト削減が実行される。
LMC Automotive社の販売予測
LMC Automotive社は、2014年のVWのライトビークル(中大型商用車を除く)の販売台数は、3.8%増の959万台に増加すると予測している。2016 年以降も販売台数の増加は続き、2017年には1,137万台に到達すると予測。
事業戦略Strategy 2018と実績
2010年 実績 |
2011年 実績 |
2012年 実績 |
2013年 実績 |
2014年 見通し |
2018年 目標 |
|
---|---|---|---|---|---|---|
VW Group |
720万台 | 827万台 | 928万台 | 973万台 | 1,000万台以上 | 1,000万台以上 |
VW Group 税引き前売上高利益率 |
7.1% | 7.8% (注) | 6.9%(注) | 6.3% | (上半期 7.9%) | 8.0%以上 |
自動車部門の 設備投資対売上高比率 |
5.0% | 5.6% | 5.9% | 6.3% | (上半期 4.1%) | 6.0% |
自動車部門の投資収益率 | 13.5% | 17.7% | 16.6% | 14.5% | - | 16%以上 |
注) 2011年、2012年のVW Group 税引き前売上高利益率は、Porsche の株式に関するプット/コール・オプションの再評価による特別利益を含めると2011年は11.9%、2012年は13.2%。
関連レポート:
VWの中国事業(1): 乗用車とパワートレイン生産体制の最新動向 (2013年10月掲載)
VWの中国事業(2): 販売体制/モデル事業などの中期事業計画 (2013年11月掲載)
北京モーターショー2014取材:
VW/Skoda: 新型Golf R/NMC、Skoda Rapid sportなど5車種の紹介 (2014年5月掲載)
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