フォード F-150 Lightning 分解調査:電動パワートレイン

EVピックアップトラックのEDM(電動駆動ユニット) ~Munro社の分解調査データより

2023/02/02

要約

フォードF-150 Lightning
フォードF-150 Lightning(Ford社のホームページより)

 F-150 Lightning(ライトニング)はフォード初のBEVピックアップトラックとして2022年春に米国で発売されている。

 Munro &Associates, Inc.では2022年にF-150 Lightning Platinumの分解調査を行い、マークラインズ株式会社でその詳細情報を販売している。

 本稿ではMunro社の分解調査(Zone 4:Powertrain & Battery Pack及び、EDM Report)で明らかになったフォードF-150 Lightningの電動パワートレイン技術を紹介する。


 F-150 Lightningは2021年5月に発表、2022年春から発売されている「F」シリーズのEVバージョンで、駆動用モーターを前後に配置したAWD(4輪駆動)となっており、油冷式SC巻線モーターをSiC搭載のインバーターで駆動する最新鋭の電動パワートレインが採用されている。

 前後に2セット搭載されている電動駆動ユニット(EDM:Electric Drive Motor)は、モーターやインバーターの基本部分が共通で、スケーラビリティを高めている。

 EDMの内部は油冷、外部からの冷却水はインバーターを経てハウジング外側に取り付けられた熱交換器で内部のオイルを冷却している。

 前後のEDMにはSC巻線による最高出力210kWのIPMSM(埋込磁石内蔵型同期モーター)が内蔵されている。

 インバーターのパワーデバイスにはSiC(シリコンカーバイド:炭化珪素) を採用、両面冷却式パワーモジュールに9枚のパワーカードが実装されている。

 減速機はドライブシャフトが中央を貫通する同軸型で遊星歯車を用いた減速機で、リアEDMは電子ロック式ディファレンシャルとなっている。

 バッテリーは容量が96kWh又は131kWhのリチウムイオンバッテリーが搭載、アルミニウム製の押出成形部材とプレス部材を組み合わせたバッテリーパックがフレームに取り付けられている。

 

  マークラインズは、デトロイトに本拠地を置く車両ベンチマークのエンジニアリング会社Munroと提携している。Munro社は各種車両の分解調査を行い、全ての部品について、重量・寸法など詳細スペック、コスト分析を実施、分析結果のレポートを提供している。詳しい情報をご希望の方は、下記へお問い合わせください。


関連レポート:
WCX 2022 (2) 電動化の進展と懸念(2022年5月)
Ford(下):欧州は商用車強化と電動化促進、中国はLincoln車とSUV拡販(2022年4月)
Ford(上):事業戦略「Ford+」のもとでEV、商用車に注力(2022年3月)
GM、Ford、StellantisのバッテリーEV戦略(2021年12月)
Motor Bella 2021: 自動車メーカー各社が米国でのEVラインナップを拡大(2021年11月)

 

このレポートは有料会員限定です。 残り 6 章
無料会員登録により、期間限定で続きをお読みいただけます。