日鍛バルブ (株) 2012年3月期の動向
ハイライト
業績 |
(単位:百万円) |
2012年 3月期 |
2011年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 32,950 | 32,415 | 1.7 | -海外事業では為替の影響はあったものの、アジア地域を中心に好調に推移。震災影響により減産を余儀なくされた国内および北米については、下半期からは大幅な受注回復が見込まれたものの、タイ洪水影響による減産や欧州の経済不安による受注減、為替の影響などにより低調。 |
営業利益 | 658 | 2,203 | (70.1) | - |
経常利益 | 836 | 2,192 | (61.9) | - |
純利益 | (895) | 565 | - | - |
小型エンジンバルブ | ||||
売上高 | 21,709 | 21,562 | 0.7 | 1) |
営業利益 | 351 | 1,660 | (78.9) | - |
可変動弁・歯車 | ||||
売上高 | 6,010 | 5,987 | 0.4 | 2) |
営業利益 | 28 | 182 | (84.6) | - |
要因
1)
<小型エンジンバルブ>
-国内では、軽自動車向け製品の新規立ち上がりや海外向け製品が好調。
-海外では、アジア地域で為替の影響があったものの、同地域における内需拡大を背景に、四輪車用エンジンバルブ等概ね好調に推移。北米地域では、震災およびタイ洪水に起因するサプライチェーンへの影響にともなう生産減や為替の影響により大幅な減収。
2)
<可変動弁・歯車>
-モデルチェンジ効果や北米向け製品の好調などにより増加傾向にあったが、震災後の国内需要の回復が想定より遅れたことにより減収。
>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)
開発動向
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2012年3月期 | 2011年3月期 | 2010年3月期 | |
全社 | 696 | 1,117 | 1,391 |
小型エンジンバルブ | 174 | - | - |
可変動弁・歯車 | 379 | - | - |
研究開発活動
<小型エンジンバルブ>-電気モーターを併用しているハイブリッド」エンジン用のバルブでは、低コスト化と高信頼性に向けて開発を継続し、一部のエンジンにはすでに量産採用されている。
-エタノールやガスを使用した代替燃料エンジン用バルブでは、多様な燃料性状に対応した材料の基礎開発を終了し、現在量産に向けた開発を継続。
-ダウンサイジングエンジン用のバルブでは、軽量化と高耐熱化に向け開発を行っている。冷媒封入中空バルブの開発に取り組む。
<可変動弁・歯車>
-可変動弁機構では、継続的な燃費改善要求に対し、エンジンのフリクション低減や燃焼サイクルの高効率化・圧縮比可変を実現すべく、可変バルブタイミング機構の大変換角化や交換レスポンスの高応答化を進めている。
製品開発
ホローステムバルブ-エンジンバルブの軸部内部を空洞化した中空バルブ「ホローステムバルブ」の量産を2012年に開始する。これまでの空洞化加工をしない中実バルブと比べて10%の軽量化を実現した。また、ホローステムバルブのヘッド部分を空洞化して中実バルブから20%重量を軽減した「ホローヘッドバルブ」の量産技術を開発、14年の量産化を予定している。バルブ自体の軽量化により、周辺部品の強度や重量を軽減できる技術として、自動車メーカーの採用拡大に結びつける。エンジンバルブは、バルブ内部を空洞化しない中実バルブが一般的で、中空バルブは製造にかかる手間やコストの面からモータースポーツ用エンジンなど採用例は限られているという。同社は、モータースポーツ用エンジンの中空バルブ製造技術をもとに、量産車にも搭載できる耐久性と生産コストを両立した。エンジンバルブの軽量化により振動を低減するほか、バルブスプリングなど周辺部品の強度も緩和できるなどの負荷低減効果と周辺部品の軽量化にも貢献する。両部品ともに、量産にかかる製造時間やコストは中実バルブとほぼ同等として、競争力を高めている。(2011年12月19日付日刊自動車新聞より)
ライセンス契約・技術援助契約等 |
(2012年3月31日現在) |
会社名 (国名) |
契約内容 | 契約期間 |
Eaton (米国) |
小型エンジンバルブに関するライセンス契約 | 2011年07月01日 - 2012年06月30日 |
Eaton (米国) |
油圧式バルブリフターに関するライセンス契約 | 2011年07月01日 - 2012年06月30日 |
P.T. Federal Nittan Industries (インドネシア) |
小型エンジンバルブに関するライセンス契約 | 2010年06月01日 - 5年間 |
新和精密(株) [Shinwa Precision Co., Ltd.] (韓国) |
油圧式バルブリフターに関するライセンス契約 | 2010年08月01日 - 5年間 |
Nittan (Thailand) Co., Ltd. (タイ) |
小型エンジンバルブに関する技術援助契約 | 2012年02月01日 - 5年間 |
新和精密(株) [Shinwa Precision Co., Ltd.] (韓国) |
メカニカルタペットに関するライセンス契約 | 2002年12月05日 - 10年間 |
北京柳成新和汽車部件有限公司 [Beijing Yoosung Shinhwa Automobile Parts Co., Ltd.] (中国) |
ラッシュアジャスターに関するライセンス契約 |
2006年12月07日 - 10年間 |
北京柳成新和汽車部件有限公司 [Beijing Yoosung Shinhwa Automobile Parts Co., Ltd.] (中国) |
メカニカルタペットに関するライセンス契約 | 2008年01月01日 - 10年間 |
Nittan Euro Tech sp.zo.o. (ポーランド) |
自動車用エンジンバルブに関するライセンス契約 | ライセンス対象製品の出荷を開始した日から5年間 (2008年8月29日締結) |
設備投資
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2012年3月期 | 2011年3月期 | 2010年3月期 | |
全社 | 4,158 | 2,935 | 880 |
小型エンジンバルブ | 3,292 | 2,322 | - |
可変動弁・歯車 | 506 | 344 | - |
自動車用部品事業の投資内訳 |
(単位:百万円) |
生産拠点 | 投資額 | 投資内容 |
小型エンジンバルブ | ||
同社 | 1,944 | エンジンバルブ製造設備の増設および更新・合理化。 |
U.S. Engine Valve (partnership) (米国) |
587 | エンジンバルブ製造設備の増設等。 |
P. T. Federal Nittan Industries |
346 | エンジンバルブ製造設備の増設等。 |
可変動弁・歯車 | ||
同社 | 506 | 産業機械等の精密鍛造歯車製造設備の更新・合理化。 |
海外投資
<ベトナム>-2011年12月、同社は取締役会でベトナムに現地法人設立を決めたと発表した。会社名は「NITTAN VIETNAM(仮称)」で、小型エンジンバルブの製造販売拠点としてハノイ市近郊に設立。資本金は7億5千万円、設立は2012年5月、生産開始は14年をそれぞれ予定する。同社は、タイとインドネシアの現地法人で二輪車用エンジンバルブを生産している。ベトナムは、今後も二輪車市場の需要拡大が見込まれることから第三の現地法人として設立し、東南アジア地域の事業拡大につなげる。(2011年12月24日付日刊自動車新聞より)
設備の新設計画(自動車部品事業) |
(2012年3月31日現在) |
事業所 | 設備の内容 | 投資額 (百万円) |
着手 | 完了 予定 |
完成後の 増加能力 |
本社工場 (神奈川県秦野市) |
エンジンバルブ生産設備 | 520 | 2012.04 | 2013.03 | 合理化、更新が主目的。 |
精密鍛造歯車他生産設備 | 250 | 2012.04 | 2013.03 | 合理化、更新が主目的。 | |
山陽工場 (山口県山陽小野田市) |
エンジンバルブ生産設備 | 1,400 | 2012.04 | 2013.03 | 合理化、更新および生産能力10%増。 |
P. T. Federal Nittan Industries 本社工場 |
エンジンバルブ生産設備 | 450 | 2012.01 | 2012.12 | 合理化、更新および生産能力12%増。 |
U.S. Engine Valve (partnership) 本社工場 (米国) |
エンジンバルブ生産設備 | 450 | 2012.01 | 2012.12 | 合理化、更新および生産能力24%増。 |
Nittan (Thailand) Co., Ltd. 本社工場 (タイ) |
エンジンバルブ生産設備 | 620 | 2012.01 | 2012.12 | 合理化、更新および生産能力12%増。 |
広州日鍛汽門有限公司 [Guangzhou Nittan Valve Co., Ltd.] (中国) |
エンジンバルブ生産設備 | 480 | 2012.01 | 2012.12 | 合理化、更新および生産能力27%増。 |